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【連載第16回】大人による大人のための洋ゲー連載

Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」

Epic Gamesが贈る至高のFPSがPS3に登場!!
6種類のゲームモードで世界中の相手と対戦しよう

Unreal Tournament 3

  • ジャンル:FPS
  • デベロッパー:Epic Games
  • パブリッシャー:Midway Home Entertainment
  • プラットフォーム:プレイステーション 3 / PC / Xbox 360(2008年発売予定)
  • 価格:59.99ドル(北米版)
  • レーティング:ESRB:Mature(17歳以上)
  • 発売日:12月10日(発売中)


 新年一発目の海外ゲームレポートは、ようやくリリースされた大作FPS「Unreal Tournament 3」をチョイスしてみた。

 「Unreal」といえば、最近ではゲーム本編よりも3Dゲームテクノロジー「Unreal Engine」の方が有名になってしまった感があるが、'99年より脈々と続く人気シリーズの最新作として「Unreal Tournament 2004」から約3年ぶりに登場となる本作は、世界中のゲームファンから発売が待ち望まれていた一作だ。

 本作はPC版が先行発売されているが、今回取り上げるPS3版は、PS3プラットフォーム初となるマルチプレイ重視のスポーツ型FPSであり、これもまた初となるユーザー制作MODのサポートなど、ゲーム本編以外にも高い話題性を持っているのが特徴だ。日本語版の発売は今なお未定なのが残念なところだが、さっそく北米からパッケージを仕入れたのでたっぷりご紹介していこう。

【お断り】
 当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
 GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません



■ 7年ぶりにプレステに戻ってきた「Unreal Tournament」

 スポーツ系FPSの名門フランチャイズとして名高い「Unreal Tournament」シリーズは、実はプレイステーションプラットフォームとの縁が深いタイトルだったりするのはご存じだろうか?

 2000年にプレイステーション 2が初めて米国で発売された際に登場したFPSゲームがシリーズ第一作目の「Unreal Tournament(以下UT)」だったのだ。当時のパブリッシャーは仏Infograms(現在のAtari)だったが、移植はEpic Gamesが自ら行なったもので、当時はPCゲームを代表するスタジオがPS2プラットフォームに進出したことで話題になった。

 筆者も米国版のプレイステーション 2本体を入手した際に同時に購入したタイトルとして初めてプレイした時の印象は忘れていない。もちろん事前にPC版をすっかり遊びこんでいた訳だが、PS2版はシングルプレイオンリーの仕様に変更されていたものの、ゲーム自体はPC版とほとんど変わらず、テレビ画面でUTがプレイできる事に驚いたものだ。

 時間は流れて2007年12月、プレイステーション 3プラットフォームに活気をもたらしてくれそうなタイトルが投入された。それがUTシリーズ最新作「Unreal Tournament 3(以下UT3)」だ。オンライン環境が完全に整備され、PCに負けないパワフルなスペックを持つPS3で、どのような興奮をプレイヤーに与えてくれるのだろうか?

第1作目からビジュアル面は飛躍的に強化されている 素早い展開が特徴のスポーツ系FPSだ




■ マウスとキーボードにも対応!! 名門FPSならではの細かい心配りが特徴

解像度は720pまでとなっているが十分に綺麗
PS3内蔵のHDDにデータのインストールもできる
 既にPC版が発売されている「UT3」だが、実はこのタイトルはPS3版が先行すると長く噂され続けていた。蓋を開けてみるとPS3での開発はやはり難産だったらしく、PC版に遅れること約3カ月、ホリデーシーズンの一番重要な時期も外してしまった年末ギリギリでのタイミングに投入されることになった。

 PS3版「UT3」の特徴は、ゲームそのものの面白さ以外にユーザークリエイティブコンテンツ(いわゆるMOD)の開発と適用を公式サポートしたことが大きい。MODに関しては後述するが、PS3プラットフォームにおけるMODコミュニティーの盛り上がり如何で、本作の楽しみ方の今後も変わってくるだろう。

 ゲーム本編の前に「UT3」のもうひとつの特徴を挙げておくと、他のゲーム機用タイトルではあまり見られない細かい設定項目が用意されている点に注目したい。

 まず、解像度は720pまでの対応にとどまっており、PS3のウリである1080p、いわゆるフルHDには対応していない。これは同じEpic Gamesが開発し「UT3」と同じテクノロジーを使用しているXbox 360版「Gears of War」も同じ720pなので、この辺が現行のゲーム機においてUnreal Engineを使うにあたり、制限的にいっぱいの範囲なのかもしれない。

 さすがにPCゲームのように解像度をゲームプレイ中に変えることはできないが、「UT3」独自の機能としてポストプロセッシング(画質補完機能)が4種類用意されており、ゲーム画面の質感をプレーヤーのお好みで変更することができる。

 また、ゲーム機では珍しくUSB仕様のマウスとキーボードに対応しており、PS3本体のUSBポートにつなげばPCゲームと同じ操作性でゲームを楽しむことができる。ちなみに筆者の方でPS2の純正キーボードとマウスをつないでみたが、なんの制限も受けずにすんなりと動作した。

 一方、コントローラは、標準のコントローラに加えて、「Dual Shock 3」にも対応しており、振動付きでゲームを楽しめる。SIXAXISの傾き検知機能にも対応しており、ミサイルを避けたりホバーボード(後述)に乗った際の操作に使用することができるが、機能的にはオマケの水準以上のものではない。デフォルトの設定がオフになっているあたり、使用感もあまり良くない。

 以上、操作系の設定項目が充実している点はいかにもスポーツ型FPSゲームらしいが、肝心のキーコンフィグ機能が無いのがやや残念なところだ。操作性全般は極めて良好で、マウス+キーボードにこだわらなくてもDual Shock 3あるいはSIXAXISコントローラでも全くプレイには支障はない。操作方法もわかりやすく、一度テレビゲーム機でFPSゲームをしたことがある人であれば、割と簡単にゲームに馴染むことができそうだ。

 なお、ゲームのローディング時間短縮のためにPS3内蔵ハードディスクに主要なファイルをインストールしてしまうことも可能だ。全てのファイルがインストールされる訳ではなく、ゲームの起動には「UT3」のディスクが必要となる。

 全般的な評価としては、コンシューマゲームとしてはこれまでになく多用なインターフェイスをサポートしているが、残念ながらPCゲームの水準にはまだ至ってはいないというのが実情だろうか。ただ、作り手側の本気度は十分伝わってくる充実度だ。

多くのゲームサーバーがキーボードとマウスに対応している 乗り物もコントローラで思い通りに操作できる




■ シリーズ初のキャンペーンモードを搭載。オンライン協力プレイもサポート

本作の主人公Reaper。何となく誰かに似ている?
チームの紅一点・Jesterは主人公と同じ星の生まれ
 「UT」シリーズは、「Unreal Tournament」の名のとおり、マルチプレイに特化したゲームデザインだったが「UT3」では、本格的なシングルプレイ用のキャンペーンモードが実装されている。

 ストーリーはCox Neburaという植民惑星で展開される人類(Axon)とエイリアン(Necris)との戦いを描く。各陣営にはいくつかの流派というか組織があり、プレーヤーはRoninというチームに所属するJames “Reaper” Hawkinsとなり、惑星中を転戦していくことになる。

 ゲーム中にはReaperを支えるチームメイト以外に「UT」の顔とも言えるMalcolmや「Unreal」シリーズおなじみのSkaarjなども登場する。最新のUnreal Engineで表現されるSkaarjの顔には昔の印象がほとんどない。逆にMalcolmは当時の面影は残しつつも、テクノロジーの進化に合わせて迫力ある顔になっており、昔からのファンならばこの辺の観察もぜひしっかり押さえておきたいポイントだろう。

 キャンペーンモードは、「UT3」に実装された各ゲームモードがストーリーの進展にあわせてミッション仕立てで構成されているという内容。序盤はチュートリアル代わりになっており敵となるBotのAIも弱めだが、ステージが進むにつれてAIも強くなってくる。味方のAIには何種類かの指示(自陣を守れ、敵地に攻め込めなど)を出すこともできるため、シングルプレイでありつつも、戦略的な要素も盛り込まれている。

 キャンペーン自体は要するにストーリー付のBOT対戦モードなのだが、要所に挿入されるムービーシーンはとても迫力があり「UT3」の世界観に浸りたい人はキャンペーンをオススメしておきたい。対戦のみに集中したい場合はInstant Actionモードで好きなゲームモード、ルールでBOTと対戦することができるので、好みに応じてプレイしわけると良いだろう。

 BOTのAIも弱くすればFPS初心者でも簡単に倒せるレベルだが、強くすれば慣れたプレーヤーでも不意打ちを食らうほどの鋭い動きをしてくる。キャンペーンでは序盤は誰でもクリアできる難易度だが、徐々に敵が手ごわくなってくるようになり、このあたりのバランス調整はなかなかうまくできている。

 また、キャンペーンをオンライン上のユーザーと一緒にクリアしていく協力プレイにも対応しており、このステージは一人では難しいなあ……という場合には、他のプレーヤーと一緒に協力してクリアしていくことも可能だ。

Roninの仲間・Othelloはニューヨーク出身だ 「Unreal」シリーズおなじみのSkaarjも登場する
シリーズを重ねる度にリアル度が増すMalcolm トーナメントチャンピオンMalcolmと主人公との出会い
Necris陣営のAkasha。主人公達に立ちはだかる強敵だ キャンペーンでは惑星中を転戦する




■ 軽快な操作性が持ち味の初代UTへの原点回帰?おなじみの武器も多数登場

操作感覚は初代「UT」に近くなった
「UT」おなじみのロケットランチャーも登場
 ゲーム全体の流れは「Quake」シリーズと並ぶスポーツ型FPSの代名詞とも言えるゲームなので非常に展開が速い。「UT」シリーズの外伝的なタイトル「Unreal Championship」シリーズではジャンプ技が充実しており「UT」というよりは別のアクションゲームという雰囲気もあったが、本作「UT3」では原点回帰ということなのか、初代「UT」に近い操作性とプレイ感がある。ストレイフジャンプや横ジャンプ、2段ジャンプは健在だ。

 前作「Unreal Tournament 2004」からゲーム中に乗り物が登場するようになっているが、本作では更に多くの乗り物が用意されており、多彩な攻撃を仕掛けることができるようになっている。乗り物が登場するマップでは、各プレーヤーキャラクタは新たにホバーボードという専用の高速移動兵器が用意されている。

 ホバーボードは画像を見れば一目瞭然なのだが、要するにサーフボードのホバリング版のようなもので、徒歩から素早く高速移動に移ることができるすぐれものだ。ただし欠点も多く、使用中は武器が使えず、敵の弾がヒットするとコケてしまう。

 「UT3」では戦車やバギーなどの乗り物には敵軍の旗などを持ったまま乗り込むことができないため、専らホバーボードは敵が追っかけてこないうちに素早く自陣に逃げ込む際や、目的地に少しでも早く向かう時に使用するのが効果的だろう。

 面白い利用方法としては、移動中の乗り物(味方のものに限る)にワイヤーをかけることで引っ張ってもらうことができる。これを活用すると更に足の早い乗り物の移動速度をうまく活用して素早く目的地に移動でき、なおかつ1人以上の戦力を投入することができる。

 武器は全部で11種類登場し、こちらも初代「UT」から発展・進化したような武器に戻されたような感じになった。プライマリとセカンダリの2種類の射撃方法が用意されているため、適宜使い分けて敵に対応したいところだ。武器の切り替えはR2ボタンでローテーションすることができる。

ホバーボードは使い所をよく考えて! ビームワイヤーで乗り物に牽引してもらうこともできる




■ オールドスクールから最新の仕様まで6種類のゲームモードを実装

デスマッチは自分以外は全て敵、撃ちまくれ!
6種類のゲームモードが用意されている
 「UT3」のゲームモードはキャンペーンを除くと全部で6種類用意されており、古典的なDeathmatchや様々な乗り物を駆使して陣取り合戦を行うWarfareなど、FPSゲームの持つ面白さ・醍醐味を一通り楽しむことができるようになっている。各ゲームモードの概要は以下の通り。

Deathmatch
 最大16人まで楽しめる相手は全て敵という古典的な対戦モード。ルールがシンプルな分熱中しやすく、しかも「UT3」のような競技性の高いFPSゲームにはピッタリのゲームモードで、オンライン対戦用のサーバーも多い。

Team Deathmatch
 Deathmatchモードのチーム対戦版。赤チームvs青チームに分かれ、規定のフラグ数もしくは制限時間内に敵対するチームより多くのフラグ数をゲットしているチームの勝利となる。こちらもプレイ人口は多く、対戦相手には困らない。

Capture The Flag
 Deathmatchに並ぶFPSゲーム対戦の基本ルール。赤チームvs青チームに分かれ、敵対チームの陣地にある旗を奪い自分の陣地まで持ち帰る。また、敵が奪いにくる自陣の旗を守るという、攻守共にチームワークが問われるゲームモードだ。

Vehicle CTF
ルールはCapture The Flagと同じだが、Vehicle=乗り物が登場することで、戦い方の幅が広がっている。乗り物を必ず使う必要は無いが、広めのマップが用意されており、徒歩とホバーボードではややスピードと火力が心もとない。通常のCTF戦より迫力とスピード感溢れる戦闘が楽しめる。

Warfare
 「UT3」で初めて実装された新しいゲームモードで、広大なマップの両端に各陣営の陣地が設置され、最終的にはそれぞれの陣地内にあるPower Coreを破壊した側の勝利となる。ただし敵のPower Coreはシールドで守られており、これを解除するにはマップ上に点在するNodesと呼ばれる施設を占領し、自陣地と敵陣地を1本の線でリンクさせてやることで、敵のPower Coreシールドが解除される。これを最終的に破壊した側の勝利となる。

Duel
 BOTおよびオンライン上のプレーヤーと1対1のタイマン勝負をする。敵が1人しかいないと、いつ・どこから・どのような攻撃を相手が仕掛けてくるか、見当をつけにくいため、緊張感溢れる戦いが楽しめるのが醍醐味。オンライン上ではあまり人気が無いようだが、筆者的にはかなりオススメのゲームモードだ。


 6つあるゲームモードの中でもやはり一番の注目は新しく追加されたWarfareモードになるだろう。ルール的には「BattleField」シリーズのような陣取り合戦もので、AxonとNecrisという2陣営にわかれて戦う設定になっている。

 Warfareモードでは、広大なマップでの移動をカバーするため、戦車・装甲車・武装バギー・ホバークラフトなど陸と空の兵器が各陣営合わせて17種類も用意されている。中にはイカのようなロボット兵器も登場するなど、「UT」シリーズも随分変わったと驚かされる。

 これまでにも陣地を占領して行くタイプのFPSは無数に色々リリースされているが、「UT3」のWarfareモードのユニークなところは、自陣と敵陣のPower Coreをマップ上のNodesで直結させないと敵の本丸を叩けない、という点にあるだろう。Power Core間のリンクをいかに効率よく分断し、自軍有利の体制をつくるか、チームワークとマップごとの戦略性が物を言うゲーム内容になっており、長く楽しめそうだ。

多彩な乗り物が登場する Nodesを占領してPower Core同士をリンクさせよう
熾烈な奪い合いが展開されるNodes 敵のPower Coreを破壊すれば勝利だ




■ UTの醍醐味・マルチプレイは最大16人まで対戦可能

ゲームサーバーの条件を絞って簡単に検索が可能
マルチプレイ用のキャラクタを作成できる
 本作の真骨頂とも言えるマルチプレイはLAN対戦およびインターネットを使ったオンライン対戦の2種類が用意され、それぞれ最大16人までの同時プレイをサポートしている。コンシューマゲームでは定番のスプラッシュスクリーン(画面分割)による対戦機能は用意されず、1台のPS3で複数人が対戦を楽しむことはできない。

 オンライン対戦は、任意のサーバーに接続してプレイするピア・トゥー・ピア接続を採用しており、パブリッシャーのMidway Gamesが用意しているオフィシャルサーバーもしくはユーザーが立てたサーバーいずれかを選んでゲームに参加する。

 もちろん、自分自身がサーバーを立てることも可能で、その際は自分のPS3が持つパフォーマンスやネットインフラ全てを他のプレーヤーに割り当てるDeticatedサーバーモードか、自らも参加可能なListenモードの2つが用意されている。どちらも最大16人までサポートしており、参加人数が足りない場合は、適宜BOTを追加することも可能だ。

 サーバーホストとなる場合は、ゲームモード・巡回するマップの順番・キーボード&マウス使用の許否・タイムリミット・ゴールスコアなど、各ゲームモードのルールに沿って細かく設定することができる。身内だけでプレイしたい場合はパスワードによるロックも可能になっているほか、マナーの悪いプレーヤーをキック(追い出す)機能も用意されており、マルチプレイ面での設定は、さすがにこなれている印象を受けた。

 肝心のサーバーは、オフィシャルサーバーが各ゲームモードに最低数個はリストアップされてくるため、遊び場所自体は困ることがない。しかもオフィシャルサーバーは日本からのPingも100台と比較的良好な回線状況にあり、当然のことながらプレーヤーも集まりもいい。まずはここで対戦経験を積んでおくのが良さそうだ。

 もっとも、オンライン参戦しているプレーヤーの腕は総じて高く、スピード感のあるスポーツ型FPSに長らくご無沙汰だった筆者には、かなり手ごわく感じられた。どのゲームの対戦も同じことが言える訳だが、DeathmatchやWarfareなどの人気ゲームモードでひたすらゲームの展開スピードとマップを覚えている毎日だ。

 マルチプレイからプレーヤーが受ける充実感はかなり高いが、「Call of Duty 4」のような参加したプレーヤーキャラクタが、どんどん強くなっていくという要素が薄く「対戦」というゲームの主軸以外に「育てる」とか「集める」といった副次的な楽しみ方が薄い点は、今時のFPSゲームのトレンドとは若干異なっている。あくまでストイックなゲームデザインだ。

 一応キャンペーンモードをクリアすることで、キャラクタのマルチプレイ用装備(上下の服装や髪型、ヘルメットなど)のバリエーションを増やしていくことが可能だが、残念ながら展開の速い「UT3」では自分はおろか他人のキャラクタをじっくり観察する時間がほとんどないため、盛り上げ要素には今ひとつ至ってないのが惜しいところだ。

人気のあるゲームモードならサーバの数には困らない Botを加えて更にマルチプレイを盛り上げることも




■ ユーザーMODで更にゲームの世界が広がるのか!?

MODデータは外付のストレージなどから読み込む
データがPS3にインストールされた状態
 PS3版「UT3」の画期的な出来事として、ついに「UT3」で、コンシューマプラットフォームにMOD文化が本格的に導入されるということが挙げられる。

 MOD(Modificationの略)とはいわゆるゲームの改造にあたるもので、ゲーム本体のシステムやエンジンを用いて本編に収録されているものとは異なるマップや武器、あるいはゲームのルールを楽しむことができる要素だ。

 いわゆる拡張パックと呼ばれるものに近い存在だが、MODを推奨している開発スタジオなどではMODを開発するためのエディターやSDKをユーザーに対して無償で提供し、ユーザーコミュニティの活性化につなげている。

 「UT3」でも専用のエディタが用意されているが、現状はPC版のみ提供されており、PS3版は今後提供する旨を開発元のEpic GamesはUnreal Developer Networkのサイト上で公表しているため、そう遠くないうちにPS3ネイティブの制作環境が整備される予定だ。

 ただし、現状でもPC版のエディタで、PS3版のMODを作ることはできるようで、PS3初のMODとして、現在マップが1種類公開されており、UT3公式サイト内に設置されたフォーラムの該当スレッドから、ダウンロードすることができる。

 使用するにはPCからファイルをダウンロードし、USB接続のハードディスクやメモリースティックなど外部のストレージにファイルをコピーして、PS3に接続、UT3メニュー内の「MY CONTENT」からインポートをしてやればOKだ。

 筆者が現在PS3版唯一のMOD「DM-SHRINE」を早速適用したところ、マルチプレイ開始前のローディング中にPS3が必ずハングアップを起こすようになってしまった。そういう状況に陥った場合は、問題のあるMODを削除するか、無効にすることで回避できる。

 現状、環境の整備がまだ十分とは言えず、PS3版「UT3」のユーザーMOD機能はまだ安定していないし、クリエイター人口も未知数だ。これは専用のエディタが登場して以降、どのような優秀なMODが登場するか今後の楽しみとして考えておいた方が良さそうだ。もし、PS3版「UT3」で様々なユーザーコンテンツをつくりたい!と考えている読者の方がいる場合は公式サイトをこまめにチェックしよう。

MODがうまく機能しない場合は無効にすることもできる 様々なユーザークリエイトコンテンツの登場に期待したい




■ 妥協しない仕様にコンシューマゲームのFPSゲーム新時代到来を見た!

 PS3版「UT3」はXbox 360版よりも早くリリースされ、まだまだタイトルのラインナップが薄く、大作を求めるPS3プラットフォームおよびFPSゲームに耐性のあるPS3ファンにとっては非常に魅力的なタイトルとして映りそうだ。特に何かと先行・独占され気味なXbox 360より先という点はPS3ユーザーにとっては大いに溜飲を下げる重要なポイントだろう。

 ゲーム自体はシングル用のキャンペーンモード、対BOT対戦のインスタントアクション、本格的な対人対戦が楽しめるマルチプレイと、「UT3」が持つ豊富なゲームモードとスピーディーな戦いをフルに楽しむための要素は十分に備えており、ゲームシステムまわりでは非の打ち所がない。あえて言うとストーリー性の高いシングルプレイが好き、という方には、本作は若干向かないかもしれない。

 FPSゲームでは重要なフレームレートだが、PS3版は非常にスムーズで安定しており「UT」の醍醐味であるスピード感溢れる戦いを損なうことがない。16人対戦を通しても常に安定しているという点はプレーヤー側としては積極的に評価したい。

 筆者が本作をプレイして感じた本作の持つ重要な点は2つあって、それぞれ良い点・悪い点を順に挙げてみよう。まず良い点はPC版に対してPS3版は何一つ妥協していないという点にある。解像度やグラフィックスまわりのオプションなど、PC固有の機能を除けばPS3版はPC版に対して見劣りする点はひとつもない。

 PCで「UT3」を満足するだけのプレイ環境を整えるのであれば、10万円程度の出費は覚悟する必要があるが、PS3なら、39,800円(米国なら399.99ドル)で環境を整えることができるため、スペックと費用を比較するとPS3版には圧倒的なアドバンテージがあると言って良いだろう。

 PS2時代からPC用メジャータイトルの移植が続々行なわれるようになり、PS2(あるいはXbox)でもPCと同じゲームが楽しめるようになったが、見た目や機能面を含む完成度の高さはスペック差という壁により、見劣りすることが多かったコンシューマゲーム機ではあるが、PS3とXbox 360世代になり、少なくとも今の時点ではPCとゲーム機との差が埋まったという実感を「UT3」は与えてくれる。

 MOD機能に関しては、正直なところPS3ではどこまでユーザーがコンテンツ制作に乗り出してくれるのか未知数ではあるが、これを削らずに仕様に組み込んだ事はEpic Gamesをおおいに褒め称えるべきだろう。

 「UT3」がきっかけとなって、ゲーム機でもユーザーMODの文化が花開くかどうかは、もう少し先を見ないと結論は出ない。少なくともPCゲームの特徴でもある拡張性をゲーム機にも根付かせようという試みはユーザー側から積極的な評価が望まれるところだ。

 悪い点はEpic Gamesには申し訳ないが、パッと見で「Gears of War(以下GoW)」の世界と見分けがつかないということだ。とにかくよく似ている。主人公の所属するRonin集団の装備もよく見ると「GoW」の敵役・ローカストの装備にそっくりで「GoWの拡張パックだよ」と言ってもだまし通せそうな気がする。それぐらい似ている。

 「Unreal Tournament」の第1作目は「Unreal」本編の世界観をキチンと踏襲していたので、フランチャイズが違う以上はもう少しメリハリは出して欲しかったところ。もっともPS3ユーザーにとっては「GoW」に負けないゲームがPS3でも動いている、という点はやはり押さえておきたいポイントと言えるだろう。

 総評するとこのゲームはFPSファンなら誰でも楽しめるシンプルさと奥の深さを持っている。特にマルチプレイに打ち込みたいPS3ゲーマーなら「War Hawk」と「UT3」の2作品は筆者オススメの鉄板ラインナップだ。

Unreal Tournament 3 (C) 1998-2007, Epic Games, Inc. All Rights Reserved. Epic, Epic Games, Unreal, Unreal Tournament, Gears of War(R), The Circle-U Logo, and the Unreal Tournament 3 logo are Trademarks of Registered Trademarks of Epic Games, Inc. In the United States of America and elsewhere. Midway and the Midway logo are Trademarks or Registered trademarks of Midway Amusement Games, LLC. All rights Reserved. Used by Permission endorse or accept responsibility for the content of any Non-Midway Website. Other brands or product names are the trademarks of their respective owners.

□「Unreal Tournament 3」公式ホームページ(英語)
http://www.unrealtournament3.com/

(2008年1月8日)

[Reported by Game Dude]



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