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【連載第12回】大人による大人のための洋ゲー連載

Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」

シンプソン一家がゲームの世界に殴り込みだ!!
HD時代のアニメとゲームの華麗な融合がここに

The Simpsons Game

  • ジャンル:サードパーソン・アクション
  • デベロッパー:EA Redwood Shores
  • パブリッシャー:Electronic Arts
  • プラットフォーム:Xbox 360 / プレイステーション 3 / プレイステーション 2 / Wii
  • 価格:59.99ドル(北米向け英語版)
  • レーティング:ESRB:Teen(13歳以上)
  • 発売日:10月30日(発売中)


 必要とあればアメリカ合衆国大統領すらネタにしてしまうユーモアと笑いで世界中にファンがいる超人気アニメーション「ザ・シンプソンズ」のゲーム化最新作がいよいよ発売された。連載12回目は、原作アニメそのままの世界観と面白さを目いっぱい盛り込んだ期待の一作「The Simpsons Game」をご紹介する。

 本作の持つ魅力と、一件バカバカしいけど実は考えさせられる、よく練り込まれたストーリー、世界観をキッチリと再現した丁寧なゲーム内容などを本稿で少しでも感じ取ってもらえればと思う。なお、今回はXbox 360版をベースにプレイしている。

 今回のDLC(ダウンロード・コンテンツ)は、海中で展開する陣取り合戦「Undertow」をご紹介する。無名に近い独立系スタジオによる作品であるにもかかわらず、米国の著名なメディアからエディターズチョイスを得ており、DLCならではのコンパクトさと、考えられたゲームの奥深さが、プレイして実感できる筆者オススメの一作だ。

【お断り】
 当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
 GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません



■ アニメ界最強の家族・シンプソン一家がゲームに帰ってきた!

お菓子を食べながら寝てしまうホーマー
シンプソン一家の軽快なトークはゲームでも健在
 「ザ・シンプソンズ」と言えば、海外アニメの中では数少ない日本国内でも知名度の高い人気作品だ。マッド・グレイニング原作による本作は、'89年にファースト・シーズンがテレビ放映されて以来、2007年の第19シーズンに至るまで、アメリカアニメ史上最長寿番組として知られている。

 詳述することは避けるが、父親ホーマー、母親マギー、長男バート、長女リサ、そして次女マギーらシンプソン一家と彼らが住むスプリングフィールドの個性的な住人達がおりなすストーリーは日本でも人気を得ており、FOX TV(ケーブルTVやスカパーなどで視聴可能)で視聴することができる。

 今年はめでたく映画化もされ、勢いづいている中、EAより新しいシンプソンズのゲームソフトが登場した。タイトル名はそのまんま「The Simpsons Game」。過去にも同作は何回かゲーム化されているが、その中でも最新作となる本作は、原作ファンを大喜びさせる充実の内容と、ゲームファンをニヤリとさせるパロディ要素に満ちている。

 本作の開発にはゲーム本体、アニメパート、原作アニメ関連などなど膨大な人数が携わっておりスタッフクレジットを通しで見るだけでも10分以上の時間を要する。あまりにクレジットのロールが長いので途中で見るのがイヤになったが、ご丁寧にもスクロールの早送り・巻き戻し・ストップ機能があることに気づき、なんとか最後まで確認できた。

 発売プラットフォームはXbox 360、プレイステーション 3、Wii、PSP、ニンテンドーDS、プレイステーション 2と、PCを除いた現行プラットフォームほぼすべてで展開されており、マルチプラットフォーム全盛時代といってもこれだけの布陣を敷けるのは、メガパブリッシャーであるEAならではである。

 「ザ・シンプソンズ」人気が高い欧米ではかなり強力な宣伝展開もされているようで、今年のホリデーシーズン商戦の一翼を担うタイトルとして、質・量共にメガパブリッシャーならではのゴージャスさが楽しめる本作の紹介を早速していこう。

一家は果たしてスプリングフィールドを救えるのか!? 次女のマギーも小さいながら活躍してくれる




■ え? 俺達ってゲームのキャラクタだったの!? という所から始まるストーリー

話題のゲームをゲット! カウンター右下のポスターに注目
ところがマージに見つかり取り上げられてしまう
 「ザ・シンプソンズ」と言うと個性的な登場人物とユーモア、政治や社会問題をシニカルに描いた作品として、日本ではむしろ大人が楽しんでいるアニメという趣があるが、本作でも他では決してマネのできない「シンプソンズ・ワールド」を見事に描いている。

 ゲーム本編のストーリーは、バートがゲームショップで暴力満載で話題の「グランド・セフト・スクラッチー」(言うまでもなく「Grand Theft Auto」のパロディー)を購入したところをマージに見つかり取り上げられてしまうところからスタートする。

 意気消沈のバートは道端で「The Simpsons Game」のマニュアルを拾う。なぜ落ちていたかは考えてはいけない。マニュアルを読み進めると、この世界そのものがゲーム中の世界であり、ゲームの主人公であるバート自身とシンプソン一家に備わった特別な能力があることを発見し、家族それぞれの能力を活かして行動に出るという展開だ。

 全体は18のミッションで構成されており、それぞれのミッションは独立しているがストーリーは大きく1つにまとまっている。キャラクタゲームだからというおざなり感をゲームスタート当初から微塵も感じない丁寧なつくりがファンだけではなく、ゲーマーとしても好感が持てるところだ。

 ゲームはムービーパートと実際のゲームパート大きく2つにわかれており、ムービーパートでは実際の「ザ・シンプソンズ」のアニメそのものの展開(むしろHD化されてこちらの方がキレイ)される。ゲームパートはサードパーソンアクションで構成されており、シンプソンズ一家4名(次女マギーは赤ん坊なのでマージの背中にいる)のうち2人を選択して様々なミッションに挑むことになる。

 過去のタイトルもそうだったがゲームの描写にはトゥーンシェーディングを採用することで原作の雰囲気を落とさずにゲーム化することに成功している。特に今回「The Simpsons Game」ではXbox 360やPS3といったHDクォリティ表示が可能な機種の場合は、原作の雰囲気をより忠実に表現しており、ムービーとインゲームとの区別がつかないことがある位だ。

 ゲームの序盤の見所としては、同作の舞台となるスプリングフィールドがきちんとゲームの中で再現されており、自由に歩く事ができるという点だろう。もちろん街中にはアニメでもおなじみのキャラクタが登場し、シンプソン一家をはじめ、全てのキャラクタがオリジナルアニメと同じ声優を起用している点は、最早お約束的な要素ではあるが、ファンとしては一層の親しみを感じる重要なツボと言える。

 ほかの見所としては、おそらくゲーム化して初めてであろう、シンプソン家の全間取りを再現したことが挙げられる。家自体はゲームが進むとキャラクタのコスチューム変更や集めたアイテムコレクションなどが確認できる機能も持っているため、ちょくちょく自宅に寄って散策してみるのも面白い。裏庭にはきちんとバートの秘密基地もある。

 また、コンビニ「クイックEマート」や「クラスティーバーガー」、「モーの店」など同作品のファンにはおなじみの場所も再現されているため、まずはスプリングフィールド内の探索を十分に楽しむことが、このゲームを十二分に楽しむ第一歩と言えるだろう。

自分達一家がゲームのキャラクタに!? シンプソン家を忠実に(!?)再現
モーの店内もこのとおり ホーマー御用達のコンビニ・クイックEマート
おなじくクラスティーバーガーも登場 スプリングフィールドの町にはおなじみの住人達が歩いている
町のあちこちにあるバス停を使えば、移動時間を短縮できる 全18からなるミッションを堪能しよう




■ 「ああ、なるほどね」 納得せずにはいられないシンプソン一家の特殊能力

バットマンならぬバートマン
様々なギミックを駆使して大活躍だ
マギーなら狭いダクトの中も移動できる
 ゲーム序盤は、あたかも“ゲームのような”特殊能力を使えるようになったシンプソン一家が、それぞれの能力を使って行動に出るお話が展開される。この部分は原作の中でも人気のあると思われるエピソードをうまくアレンジしてあり、プレーヤーは能力の使い方とゲームの進め方を効果的に理解することができる。

 各キャラクタの特殊能力とシンプソン一家の各能力を箇条書きにすると以下の通りになる。ゲームが進むにつれ能力の数は増えていくが、ここでは序盤のみを対象にしている。

◇ホーマー・シンプソン
武器:ゲップ
特殊能力:ホーマーボール/グミホーマー/ヘリウムホーマー

 ゲップは範囲内の敵を一定時間気絶させられる。パワーバップという強化攻撃もある。特殊能力のホーマーボールは文字通りボールのように膨らんで転がることで敵を蹴散らしたり、敵や消火栓などを潰すことができる。グミホーマーは、グミキャンディーのような形になり、グミを敵に向けて飛ばす。ヘリウムボンベからヘリウムを吸い込むと、空中に浮遊することができる。この能力は崖などを越える時に欠かせない。

◇マージ・シンプソン
武器:メガフォン
特殊能力:モブマージ

 メガフォンを使ったメガフォンブローバックは、メガフォンで町の住人を洗脳させる。洗脳させるとマージの後についてくるほか、敵が近寄ってくると攻撃をしかけてくれる。特殊能力のモブマージは指定した敵やオブジェクトに対して洗脳した住人をけしかけて攻撃させるという技。どちらも弾数が重要で、できるだけたくさんの人を集めることが戦力強化に直結している。

◇バート・シンプソン
武器:パチンコ
特殊能力:バートマン(バットマンのパロディー)

 アニメでもおなじみのパチンコを使った技が楽しめる。様々な種類の弾を撃つことが可能で使い勝手の良い武器だ。バートマンに変身するとバットマンに出てくるようなギミックを使ったワイヤーアクションや、壁のぼり、高所からジャンプして浮遊移動などができるようになる。

◇リサ・シンプソン
武器:サクソフォン
特殊能力:ハンド・オブ・ブッダ

 リサの武器もアニメではおなじみのサクソフォンを使った攻撃が可能だ。特殊能力のハンド・オブ・ブッダはちょっと変わっていて、ステージ中に大仏の置物がある場所でリサが瞑想すると、上空からの視点になり、有効範囲内のオブジェクトを動かすことができる。ゲーム中では、この能力を使ってパズルを解いていくシーンが多い。



 これらの能力は使うとパワーが減っていき、チャージするためには敵を倒したりステージ中に落ちている回復アイテムを取る必要がある。アイテムはホーマーなら食べ物、マージならバッテリーなど、各キャラクタごとの能力に関連のあるものにわかれている。

 上記以外にマップ中に設置された特定アイテムを取ることでロボバート(バート)や、クラバーガール(リサ)などに変身することで一定時間強力な攻撃力を得る事も可能だ。  ゲームの冒頭~序盤は原作アニメでも人気のあったシーンをゲームに落とし込み、上記の各能力を試せるチュートリアル的なミッションが用意されている。チョコレートランド(ホーマーがお菓子の国に行った夢)や、リサが森林伐採をやめさせるために伐採所に乗り込む話など、アニメを観ている人であれば、見覚えのあるシーンが続々登場する。

クラバーガールに変身して敵を一撃で退治! リサのサクソフォン攻撃はエフェクトがきれいで楽しい
ハンド・オブ・ブッダの能力を使ってパズルを解いていこう ホーマーボールは文字通り転がって敵を蹴散らす能力だ
マージのメガフォンにかかれば住民も従順な兵士に…… 住民を扇動して敵をやっつけよう




■ 人気ゲームのパロディー攻勢にゲームファン大興奮!

突如スプリングフィールドがエイリアンに襲撃される!
古いシンプソンズ・ゲームが焼かれる!右上にいる人物は……?
 ゲームが中盤以降になると「The Simpsons Game」の本領発揮、突如スプリングフィールドにやってきたエイリアンの侵略に立ち向かうシンプソン一家。自分達の特殊能力がエイリアンを撃退するまでには至らないことがわかると打開策を探すためにフリンク教授(アニメにもよく登場する科学者)を訪問するが、ビデオゲームが作られている工場のような世界に飛ばされてしまう。

 そこには著名なゲームをパロディ化した4つのゲームが用意されており、EAの看板タイトルや他社のタイトルを「ザ・シンプソンズ」流におちょくっているところが面白い。「Xbox 720」や「PlayStation 4」などの単語などがバシバシ飛び出し、コアなゲームファンであれば、思わず苦笑(もしくは爆笑)するシーンが満載だ。

 ステージの端々には実在するタイトルを茶化したポスターが貼られていたり、伏字にしないと書けないような有名ゲームキャラクタが工場でコキ使われていたりとゲームファンにとって衝撃的なシーンの数々がこれでもかと展開される。

 あわれにも(?)パロディ化されたゲームは「メダル オブ ホーマー(EAの看板FPS「メダル オブ オナー」)」、「ネバークエスト(オンラインゲーム「EverQuest」)」、「グランド・セフト・スクラッチー(いわずもがな「GTA」)」、「ビッグ・スーパー・ファンファンゲーム(日本の著名ゲームをミックスしたもののようだ)」の4種類で、それぞれ数ステージで1タイトルという構成がされている。

 例えば「メダル オブ ホーマー」などではヨーロッパ戦線以外にあまりメジャーにならなかった太平洋戦争とおぼしきステージもあり、ネタ元になった「メダル オブ オナー」シリーズを全てから題材を持ってくるあたりは、偏りがなくて好印象だ。

 敵キャラクタも某格闘ゲームから抜け出してきたようなのとか、EAスポーツの看板タイトル「Madden NFL」をネタにしたアメフト選手、ゲーム業界では一番有名なゴリラなどザコ敵・ボス含めて登場する。

 また、いくつか強烈なカメオ(特別出演)も登場する。8ビット機時代の「ザ・シンプソンズ」のゲームを「時代遅れのゲームは全部燃やす!!」と燃やしにかかるウィル・ライト(「SimCity」や「The Sims」シリーズ、「Spore」のクリエイター)や原作者マット・グレイニング本人が登場し、ゲームの展開をますます盛り上げる。

 アニメと同じタッチで描かれた、ウィル・ライトがブチ切れているシーン(しかも本人が声を当てている)などは、実にゲームファン冥利に尽きる絵面だ。やはりEAの自社製品が多いが、このようなぶっ飛んだ設定が通用するのも、シンプソンズを題材にしたゲームだから許されると言っても過言ではない。

「The Sims」シリーズなどで知られるクリエイターウィル・ライトが登場! 8ビット機用ゲームソフトにいるシンプソンズ一家のピンチ!
現行世代と旧世代が一同に会する 実在のゲームがパロディ化されている。君はいくつ元ネタがわかるか!?
シタール・ヒーロー モラル・コンバット
著名な(!?)ゲームキャラ達に立ち向かおう このくたびれた青い動物は……!?
一目でわかる進化の様子 「メダル・オブ・ホーマー」からの1シーン
シークレットステージまでゲームのパロディ 若い頃のバーンズ社長が乗っ取った空母に侵入せよ!
「ネバークエスト」は様々なRPGが元ネタになっている 村を焼き払おうとする怪物を退治しよう




■ 原作を大切にする気持ちと丁寧な作りがゲームをより面白くする

 「The Simpsons Game」は数あるキャラクタゲームの中でも充実度・お買い得感の高いゲームだ。力技とも言える名作ゲームのパロディーを「ザ・シンプソンズ」の世界と融合させてひとつのストーリーを作り上げるだけのパワーは、本作を原作のファンだけでなく、より多くのゲームファンにとってプレイする価値のある一作だと言い切れる。

 ゲームの内容自体はオーソドックスなもので、取り立ててここがスゴイ! という部分は無いのだが、プレイ時間も平均的なアクションゲームに比べると長く楽しめ、難易度もほど良く調整されている。時には何回かやり直しを強いられるシーンもあるが、復帰時の巻き戻りはほとんど無いため、ストレスもためずに安心してプレイし続けることができる。

 感心させられるのは、ゲーム全体に「ザ・シンプソンズ」流のこだわりが随所に見られるところだ。背景をしっかりと見回すと、フィールド内のあちこちに思わず笑い出してしまうユーモアが見えてくる。

 実在する事柄の風刺やパロディは多用しすぎると面白さに欠けるが、本作中に現われるそれらの要素は長年磨かれたセンスを感じる。下卑た感じがほとんどせず、カラっとした笑いをプレイ中に提供してくれる点は、原作アニメの雰囲気そのままだ。

 やや残念だった点としては、シンプソン一家のそれぞれが持つキャラクタの能力を活かしたレベルデザインをしているため、各ミッションは参加できるキャラクタが固定されてしまっているところだろう。いつも好きなキャラクタでプレイしていたい、というプレーヤー側の願望には対応できない。

 これはおそらくシンプソンズ一家全員が主人公である、という点を強調したかったためだと思われる。原作は家族愛を大事にするというイメージもあるので、この点は世界観をキッチリと守るためには、必然的にこういう形になったと思われる。

 ゲームのボリューム感は今までEAが世に送り出してきたキャラクタゲームと比較するとかなりある方で、「長く遊ぶ」という点を重視する点でも本作はオススメできる。原作通りの声優で欧米のファンは文句なしに楽しめるところだが、日本のファンにとってはおなじみの日本版声優陣による演出が楽しめないのが、惜しいところだ。もし日本語フルボイスでローカライズされれば、とても価値のある一作になるだろう。

本作は笑って楽しめる貴重なゲーム。がっついて攻略するよりも、じっくりと世界観を満喫して欲しい

The Simpsons Game: Game software(C) 2007 Electronic Arts Inc. EA and the EA logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved. (C) 2007 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. TWENTIETH CENTURY FOX, FOX, THE SIMPSONS, THE SIMPSONS characters, associated logos and wordmarks are trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation and its related entities. All other trademarks are the property of their respective owners.

□「The Simpsons Game」公式ホームページ(英語)
http://www.ea.com/simpsons/



■ 今すぐチャレンジできる! ダウンロードコンテンツ

第十一回:海中で海兵隊vs海賊の戦いが今火蓋を切った! 「Undertow」

  • ジャンル:シューティング
  • デベロッパー/パブリッシャー:Chair Entertainment
  • プラットフォーム:Xbox 360
  • 価格:800マイクロソフトポイント(日本/米国)
  • レーティング:ESRB:Everyone 10+(10歳以上推奨)
  • 発売日:11月21日


どうやら世界は海の底という設定のようだ
海兵隊を束ねる司令官。どうやら裏が色々ありそう
 今回ご紹介するDLCもXbox Liveマーケットプレイスから、米国オフィシャルXboxマガジンのエディターズチョイスや米国IGNのBest of E3に選ばれるなど、かねてから期待度の高かった「Undertow」をご紹介したい。開発はChair Entertainmentという新興の独立系スタジオで、本作がデビュータイトルとなる。

 海底を舞台に海兵隊と海賊との戦いを描いた本作「Undertow」の特徴は何と言っても海中版「Battlefield」ともいえるゲームルールだろう。戦場に点在するコントロールポイントを占領して自軍をどんどん敵地に押し出していく陣取り合戦シューティングに仕上がっている。ゲームエンジンにUnrealテクノロジーを採用しながらも、ゲームの展開は2D空間の縦横スクロールシューティングゲームだ。

 攻撃はコントローラの右スティックで360度の方向へ弾を発射させることができる点は、「ジオメトリーウォーズ」などのDLCでおなじみのシューティングゲーム群と同じ(アメリカ人は本当にこのスタイルのゲームが好きらしい)。爆雷を投下することで周囲の敵を一網打尽にすることも可能で、ゲームの操作性は良好だ。

 ユニットも海兵隊・龍騎兵・海賊船・駆逐艦の4種類あり、姿形だけではなく、それぞれ能力・特性が異なっている。プレーヤーは占領したコントロールポイントでユニットをチェンジできるほか、敵を倒したり、敵のコントロールポイントを占領することで得られるポイントを使ってユニットをアップグレードさせて戦力の底上げを図ることもできる。

 海中には5種類からなるパワーアップアイテムも落ちており、うまく使えば劣勢の状況を一気に挽回できるほどの能力も持っており、ゲームに単なるシューティング要素だけではなくキチンとした戦略性を持たせている点は、よく考えられている。ゲーム性としてもしっかり練り込まれており、世界観はちょっと特殊だけど「Battlefield」のような戦略性のあるシューティングゲームファンには、かなりオススメできる内容に仕上がっている。16人までのマルチプレイをサポートしている点も同ジャンルのファンにとっては重要なポイントと感じるはずだ。

 容量の関係からかDLCではおざなりになりがちな演出面に関しても、本作ではUnrealテクノロジーの持つ表現力を活かし、暗い海底で展開される戦いで生じる爆発や岩や建物の破片が吹き飛ぶ様子を美しく再現している。またシングルモードでは、ステージ間にリアルタイムムービーが挿入され、割としっかりとしたストーリーが用意されている点もプレーヤー側としては好感の持てるポイントだろう。

 「Undertow」は、他のDLCコンテンツと同じく既に日本語にローカライズされており、ルールやストーリーを追う際に英語力を必要としない点はうれしい要素だ。体験版は3ステージ分プレイすることができるが、完全版へのレジスト価格800マイクロソフトポイント(約1,200円)は、本作の場合「非常に安い」と言うだけの価値がある。日本のXbox 360ユーザーであれば、大多数の方にオススメできるし、完全版を購入しても「元」が取れると確信できる1本だ。

海賊だったプレーヤーも司令官の思惑で生かされているようだ マップ中のコントロールポイントを占領して前線を押し出そう


爆発の演出はとてもキレイ。マップの描き込みもよくできている 一定のステージが進むとボスキャラ(?)も登場する


(C) Undertow Developed by Chair Entertainment Group, LLC (C) 2007. Chair Entertainment Group, Undertow and UndertowTM are a trademark or registered trademarks of Chair Entertainment Group, LLC.

□「Undertow」公式ホームページ(英語)
http://www.chairentertainment.com/company/projects/undertow/

(2007年12月5日)

[Reported by Game Dude]



当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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