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【連載第18回】韓国最新オンラインゲームレポート

「Counter-Strike Online」第1次クローズドβテストレポート
最高の射撃感が帰ってきた! ハイエンド志向の名作がオンラインFPS界に進出

12月20日~22日韓国にて第1次クローズドβテスト実施



 米Valveと韓国NEXONは、12月20日から22日の3日間にかけて、新作オンラインFPS「Counter-Strike Online」(以下、「CSO」)の第1次クローズドβテストを韓国において実施した。クローズドテストとはいえ、誰でも簡単に登録が完了するNEXON会員向けで、実質的にはオープンβテストに近い形で行なわれた。公式発表では3日間で述べ17万人がプレイするという盛況ぶりだった。

 「CSO」については、G★2007の「NEXON G★2007 Media Conference」レポートでもお伝えしたとおり、完全な新規タイトルではなく、「Counter-Strike Condition Zero」(以下、「CSCZ」)をベースに武器などの新規コンテンツやUIの拡張が盛り込まれたタイトルだ。韓国を皮切りに、日本、中国、台湾の東アジア4か国への展開を予定しており、ビジネスモデルは未定だ。

 本家「Counter-Strike(以下、「CS」)」のリリースから9年が経過し、途中「CSCZ」、「Counter-Strike: Source(CSS)」といったワンポイントリリーフを経ながら、待望の新作となる。よりユーザーフレンドリーにオンラインFPSの形を取った本作は、「CS」シリーズのもつ素晴らしい射撃感の再現に成功し、「Special Force」や「Sudden Attack」といったオンラインFPSの原点回帰を狙うかのような存在感を放っている。

 今回のテストは直前まで詳細な内容がほとんど知らされず告知も少なかったため、参加したユーザーの多くは、参加しようと狙いを定めていた「CS」ユーザーだった。筆者を含めて参加したユーザーの感想の多くが「CSO」はランチャーの変わった「CS」そのものという意見が多勢を占めた。

 「CSO」はゲーム全体のつくりは本流の「CS」そのままだが、Valveのオンラインサービスプラットフォーム「Steam」を介さず、NEXON独自のユーザーインターフェイスを採用したのが大きな特徴だ。オンラインFPS「Special Force」や「Sudden Attack」に用いられているロビー型のインターフェイスをほぼ踏襲しているようだ。

 「CS」シリーズの大きな魅力である射撃感や爽快感はオンラインFPSになっても健在で、ゲーム性としてはCSユーザーの筆者も満足の一作だ。他にも新規コンテンツとして「DM_Tunnel」、「CS_Camouflage」などの計4種類のマップや8種類のプレーヤーモデル、8種類の武器が追加された他、デスマッチモード及びBOTが実装されており、新たな「CS」の側面を見た。早速レポートをお伝えしたい。


■ ゲームランチャー「Steam」から解放された独自のロビーシステム
ゲームは「Counter-Strike 1.6」をそのまま再現!

「CSO」のゲーム画面。右の上にある緑色のヘルプボックスは元来の「CS1.6」にはない「CSCZ」の機能である。「CS1.6」に比べて「CSCZ」の方がユーザー補助機能が充実している
 まず、「CS」シリーズについて簡単に記述しよう。「CS」は'98年に発売された「Half-Life」のMODとして登場したミリタリーFPSだ。Terrorist(以下、TR)とCounter Terrorist(以下、CT)にチームがわかれ、オブジェクトの爆破や、人質救出といったミッションを巡ってラウンド制の攻防を繰り広げていくのがこのゲームの目的だ。

 シリーズを通じてシャープな射撃感覚と共に、ミッションの成否やキル数によって支給されるお金を使って、武器や装備を買いそろえていく高い戦略性も併せ持っており、e-Sportsのメイン種目としても多く採用されている。公開から9年が過ぎた現在でも世界同時アクセスは30万人を誇っている。

 「CS」のフランチャイズは、発売時期やアップデートによって、主に3つのバージョンが存在する。「CS1.6」は元の「CS」からバージョンアップが重なった本家の最新版。そして「CS1.6」をベースにし、BOTやシングルモード、グラフィックスのカスタマイズが行なわれたのが「Counter-Strike Condition Zero(CSCZ)」、最後は「Half-Life2」でも用いられた「Sourceエンジン」を採用した「Counter-Strike: Source(CSS)」の3つだ。

 現行の3ラインナップ中もっとも高い人気を誇るのは「CS1.6」である。システム自体は人気の薄い「CSCZ」をベースにしている「CSO」だが、マップは「CS1.6」のものが採用されており、雰囲気は「CS1.6」のようだ。「CS1.6」の人気を背景に、韓国、日本、中国、台湾などアジア市場にフォーカスしていくのがNEXONとValveの戦略だ。

 今までの「CS」フランチャイズと「CSO」の大きいな違いは、既存タイトルに用いられているValveのオンラインサービスプラットフォーム兼ゲームランチャー「Steam」の枠を外れたことだ。グローバルの「Steam」フランチャイズのサービスの枠外で、プレーヤーが1つのロビーサーバーに集まりルームを選択し、セッションを始める、ロビー型のインターフェイスを採用したことだろう。

 今回のテストでは、ゲームをスタートするために必要なセッションの作成、ジョイン、チャット機能以外は未実装だった。メニューを見る限り、将来的にはアイテムショップやランキング、階級、クランなどの機能が確認でき、今後のアップデートの中で実装されていくようだ。

 オンラインFPSというジャンルのくくりの中で本作を考えるならば、「Special Force」や「Sudden Attack」との明確な差異は、ハイエンドを突き詰める方向を目指したタイトルということだ。ヘッドショットを出すために狙わなければならないヒットボックスの大きさは非常に小さく、それさえ決まればほぼ1回のクリックで相手を即死させることができる。

 また、ほとんどの壁や床をライフルの銃撃で向こう側に抜くことができ、秀逸なマップ構造と合わせて、上級ユーザー同士の戦いになっても非常に細かい部分での優劣が勝敗の明暗にきっちりと反映されるシビアなゲーム性を売りにしている。

 カジュアルに遊びたいユーザーからすればなかなか魅力をお伝えしにくい部分でもあるが、上手いユーザーがライフルをリロード無しにヘッドショットだけで何人もなぎ倒していく光景は本作にしかない魅力だ。実力によって相手との差が大きく出るゲーム性こそが本作を語る上でもっとも重要な要素だろう。

 ゲームの進行は本作ではセッションに入ってからチームの選択から始まる。「Sudden Attack」や「Special Force」といったオンラインFPSではセッションに入場した際にチームを選択してゲームをスタートするが、ロビーから実際のゲーム画面に入った後でチーム選択を行なうようになっている。「CS」の既存ユーザーには見慣れた仕様だが、一般的なオンラインFPSユーザーには真新しく映るかもしれない。

 次にチームを選択し、使用するモデルを9種類の中から選択する。TR側は完全に架空の存在だが、CTは本作の展開予定地域の特殊部隊(たとえば日本ならSAT)がモデルになっている。外見的な作りとしては「CS」のプラットフォームが「Steam」からNEXONのロビーに変わっただけのようにも見える。武器の購入から見た目、ゲーム性、操作感など、まさに「CS1.6」そのままであり、まったく違和感なくプレイすることができた。

 気になるアクション面は、シャープな動きと射撃と射撃の切れ目がしっかりと伝わってきた。射撃してから敵が倒れるまでのモーションもよくマッチしており、本家「CS」に劣らず遊び手のアクションに対するレスポンスが非常にダイレクトだ。被弾してからキャラクタが倒れるまでのモーションも早いため、敵を撃破できたかどうかをすばやく察知できる。本シリーズ特有の連続キルを重ねた時の痛快さは十二分に引き継がれている。

 こうしたゲーム性と銃の反動などのリアリティが絶妙にバランスを保っており、多くの参加したユーザーからも射撃感は高く評価されている。

ロビー型のインターフェイスを実現した「CSO」。これで初心者も気軽にゲームを楽しめることができるだろう。NEXONの発表によると1日5~6万人がテストに参加したという オプション画面は「Steam」と同じようになっていた。本作では細かい設定を行なうコンソールコマンドが使えないため、必要な設定はオプション画面からサポートしてほしいところだ 武器購入メニューでは武器セットを5つまでセーブすることができる。アーマーや武装を別々に購入する必要があった旧作に比べると便利な機能だ


チームはマップをローディングしてから選択する。しかし、残念ながら今回のテストではゲーム中に人数バランスが悪くなった場合など、任意に相手チームに移ることができなくなった。セッションスタート時のオプションから「CSO」からの新規武器の使用制限なども設定できる


■ 4種類のマップ、8種類の武器、8種類のプレーヤーモデルなどの新規コンテンツに注目!

変形可能なMP7A1、FN SCAR、XM-8を装備時に1キーを押すと、2種類からタイプを選択できる
 「CSO」で追加された新規マップはいずれもスタートから10秒内に敵とコンタクトするような狭いマップ構造となっており、少人数でも激しい戦いが展開された。やや両陣営が近すぎるようにも見えたが、射撃の練習には最適のマップだ。様々なルートを攻略して行くCSの戦略性の面白さを強調したマップの登場にも期待したい。

 新規武器MP7A1、FN SCAR、XM-8は従来の「CS」では無かった武器が追加されていた。武器の変形機能だが、FamasやGlockのようにマウスの右クリックで武器のタイプを切り替える方式とは異なり、「1」キーを押すと2つのHUDが表示され、タイプを選択することができる。スコープを装着したり、弾倉を変えたり、武器の銃身以外の部品を差し替えて全く違うタイプに変化する。

 これらの武器変形は状況によって武器のタイプを切り替えることで、2つのメイン武器でプレイするかのような感覚になった。単純な機能ではあるが「CS」の世界観の広がりに貢献していると感じた。

【新マップ】
DM_Tunnel
暗いトンネルをベースにしたデスマッチ及びチームデスマッチ専用のマップで、狭く、 障害物の多いマップ。お互いのスタート地点が非常に近く障害物が多いため、スタートしてからどこから撃たれたかもわからず倒される場面が多い。かつての「CS」ではお目にかからなかったひたすら乱戦・混戦を目指したマップだ。やりこんだユーザーは射撃のウデが磨かれるだろう
CS_Camouflage
人質救出専用のマップで、狭いが真ん中の2階建ての建物を中心に色んなルートがある。マップは小さいが様々なルートがあるため、チーム内で大まかな攻略ルートを模索しながらプレイすることができた。CTサイド全体を見渡せる2階に位置取るTRとの攻防が主となる
CS_Camouflage2
旧シリーズからの人質救出マップ「CS_Camouflage」の新バージョン。かつてのものよりCT側に通路や障害物が多い構造のため、マップバランスが向上した
DE_REX
研究所を舞台としたマップで爆破モード専用のマップ。狭い通路と2階建ての建物からなる構造で、1階と2階に2つの爆破ポイントがある。中央で真っ向勝負となるケースが多く、両チームとも2階を通って1階を攻略できる戦略性もあるため、新規の4マップで筆者は最も面白かった


【新武器】
USAS-12
TR専用のショットガン。20発装填できる。パワー、連射力は高いが命中率が低く、相当相手が近くにいないと当てづらい
K1A
CT専用のサブマシンガン。30発装填できる。命中率が優れたサブマシンガン
MP7A1
TR、CT両方使用可能なサブマシンガン。20発装填できる。連射力は早いが装着できる弾数が少ないため、力不足な印象がある。MP7A1は変形させることができ、連射力は落ちるが命中力が上昇し、セミズームを使用することができる。ズームを使用した際は、AUGのような中距離向けの画面全体のズームが可能だ
FN SCAR
CT専用のライフル。30発装填できる。武器の反動が少なく連射に優れており、音も小さい。変形後は弾倉が変わり、装填数が20発なる。代わりに連射力は劣るが命中率が上昇するため、1発ずつ区切って撃つことをお勧めする。変形後は中距離から遠距離の相手に最適だ。新規武器の中では一番有用な武器だった
XM-8
TR専用のライフル。30発装填できる。パワー、命中力共に優れている。変形後は1段ズームができるスナイパーライフルに変形可能。当然ながら連射力は落ちる
VSK-94
CT専用のスナイパーライフル。20発装填可能で、サイレンサーを着ける事ができる。スナイパーライフルとしては連射も早い
SVD
TR専用の半自動スナイパーライフル。10発装填できる。AWPほどの威力はないが、連射力はAWPと半自動スナイパーライフルのG3/SG-1の中間といったところ。しかし、反動が大き過ぎる上、命中率はそれほど高くない
QBB-95
一見、形がFamasにも似ているTR、CT両方使用可能なマシンガン。75発装填できる。連射力、命中率共に優れているが、パワーが弱い


【新ギミック】
変形前(左)、変形中(中)、変形後(右)
新規に登場したMP7A1、FN SCAR、XM-8はメイン武器選択キーの「1」を押すことで2つのタイプを選択できる。武器のパーツを差し替えることで全く異なったタイプの武器に変形することができる

【プレーヤーモデル】
TR側
左からRBC(Red Beret Condittiere)、ARA(Asia Red Army)、NLC(National Liberation Campaign)、Vigilante Corps
CT側
左から韓国707特殊任務隊、台湾霹靂小組(警察特殊部隊)、中国魔鬼班、日本SAT。アナウンスされた展開地域の実在する部隊を採用したところが面白い


■ 爆破、人質救出といったオリジナルモードに加え、個人デスマッチ及びチームデスマッチモードを追加。最大32人のマルチプレイをサポート

流血がないため、未成年のユーザーもプレイ可能だ
 「CSO」のゲームモードの選択はオリジナルモード、個人デスマッチモード、チームデスマッチモード、BOT練習モードがある。オリジナルモードはマップ特性によって異なり、従来の「CS」のようにCSがマップ名の頭に付くと人質救出モード、DEだと爆破モード、ASだとVIPアシストモードになっている。

 デスマッチモードはキル数を競うモードだ。マップの特性に関係なく、全てのマップでプレイすることができる。個人デスマッチは撃破されるたびにマップ全体にランダムで復活するため、激しい乱戦が楽しめた。デスマッチには所持金の制限がなく、復活するたびに自由に兵装を選択できた。チームデスマッチはお互いのスタート地点から復活するため、戦線が途切れた際にリグループをチーム内に呼びかけるなど戦略的な楽しみ方もできた。

 「CS1.6」や「CSCZ」におけるデスマッチモードは、ユーザーによるAdd-onであったため、サーバーなどの細かい設定が難しかったが、「CSO」ではセッションの作成時にオプションを通じて簡単に作ることができる。

 BOT練習モードではコンピュータ(BOT)を相手にオリジナルモード、個人デスマッチモード、チームデスマッチモードを遊ぶことができる。マルチプレイに慣れないユーザーがプレイに慣れるのにもってこいだろう。

 意外だったのは「CSO」がPtoP型のサーバーシステムを採用したであることだ。「NEXON G★2007 Media Conference」でお伝えしたサーバークライアント型とは異なっていた。なぜ、PtoP型に変更されたのかその理由は不明であるが、サーバー側のパソコンのスペックやネット環境が余程良くないと32人サーバーは重く感じた。

 新規コンテンツは今後時間をかけてじっくり各種バランス調整を行なっていく必要があるが、本作の登場でチーム戦FPSの名作である「CS1.6」を手軽に楽しめるため、高いゲーム性がより身近なものになったと感じた。アジア市場に向けて活動し始めた「CSO」の展開に期待したいところだ。



「DE_REX」は柱が乱立する中央部で接戦が繰り広げられた。ここを防げないと勝利は難しい! 最重要ポイントだ

「CS_Camouflage2」では2階からの攻撃が有利。フェンスから銃撃してやろう

新規コンテンツが追加されたものの実際「CSO」をプレイするユーザーは従来のマップ、武器を利用する傾向が強かった

「CS」は射撃の際にキャラクタの動きをきちんと止めて1発ずつ区切って撃つことがポイントだ。動きのタイミングと射撃のタイミングの読み合いは文字通りの心理戦だ

テスト環境はCore2Duo E6700、メインメモリ2GB、GeForce 8800GTSの自作パソコンだが、最新の環境をもってしても32人サーバーをホストとして快適にプレイするのは厳しかった

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□NEXONのホームページ(韓国語)
http://www.nexon.com/
□「Counter-Strike Online」のホームページ(韓国語)
http://csonline.nexon.com/CSO/Page/Gnx.aspx?URL=Home/Index
□関連情報
【11月9日】「NEXON G★2007 Media Conference」レポート その1
「Counter-Strike Online」はCSの正統性を継承したハードコアFPSに
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071109/gstar_cs.htm
【2006年11月13日】ネクソンジャパン、米Valveとライセンス契約締結
「Counter-Strike Online (仮称)」を開発へ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070726/cs.htm

(2007年12月27日)

[Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]



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