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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:5,000ウォン(前売り3,000ウォン)
■ 「CSCZ」をベースに、NEXON独自のオンラインサービスでプレイできる新世代の「Counter-Strike」
今回、ようやくNEXONとValveの双方からゲームの全容を知るに十分な情報が発表されたのでここにまとめておきたい。なお、スクリーンショットやデモムービーなど実機の映像はまったく公開されなかったため、テキスト中心になってしまうことをあらかじめご了承いただきたい。 まず、「Counter-Strike Online」のベースとなっているのは、「Half-Life 2」のフランチャイズである「Counter-Strike Source」ではなく、「Half-Life」の延長線上にある「Counter-Strike Condition Zero」だ。グラフィックスエンジンとしては、Source Engineではなく、「Half-Life」Engineのカスタムバージョンとなる。 一時、韓国で「Counter-Strike Online」はSource Engineで開発されているという噂が流れた。実際はその情報は誤りだったが、NEXONは新作オンラインアクション「マビノギ英雄伝」で、ValveからSource Engineのライセンスを受けており、そのため噂が信憑性を帯びたという背景がある。 しかし、NEXONでは、「CS」のメインストリームが最新作の「Counter-Strike Source」ではなく、いまだに「Counter-Strike 1.6」であることを重視。しかし、「Counter-Strike 1.6」の移植では「1.6」の市場そのものに勝てないため、ゲーム的な差別化を図るためにカスタマイズ性の高い「Counter-Strike Condition Zero」を選択したという。 Valveがこれまでリリースしてきた「Counter-Strike」シリーズとの最大の違いは、NEXONとの共同開発部分にある。具体的には、Valveのオンラインサービスプラットフォーム「Steam」を介さず、NEXONが独自でマッチングサービスを提供する。今回、その具体的な内容は公開されなかったが、「Special Force」や「Sudden Attack」といった韓国のオンラインFPSのようなマッチングロビーの形でサポートする方針だ。 また、マッチング方式も大幅に変わる。PtoP型ではなくなり、サーバークライアント型に変更される。NEXONのオンラインゲーム開発/運営ノウハウを駆使したサーバークライアントシステムを導入することで、PtoP型と遜色のない快適性、ハッキングのない健全なゲームプレイを実現する。マッチングロビーのデザインも新しく作り直され、より対戦が楽しみやすい環境が提供される予定だ。 次に、ゲームコンセプトについてだが、Valve側では「Counter-Strike」シリーズ最新作として「正統性を継承した作品にする」としており、韓国のオンラインFPSが目標としてきた「Counter-Strike」の“打撃感”(編注:韓国でFPSにおいて重要視される部分で、脳内判定/処理と、実際の判定/処理のシンクロ率の高さを示す)を継承するという高い目標を掲げている。 このValveの発言は非常に重要なので補足しておくと、韓国産のあらゆるオンラインFPSは、「打撃感が低い」とされている。その理由として、サウンドエフェクト、アニメーションの違い、サーバークライアント型による若干のラグ、そしてカジュアル層もカバーするためにヘッドショットの成功率を下げていたり、当たり判定を広げていたりすることなどが挙げられる。 過去のCSシリーズでは、銃弾が頭部にヒットすれば確実にヘッドショットが成功する。つまり成功率100%だが、これではビギナーが勝てる要素がなくなるため、韓国産のオンラインFPSでは、銃弾が頭部にヒットしても、これを無効とする確率を数十%程度設定し、さらに当たり判定を広げて、ビギナーがビギナーズラックを拾う確率を高めている。それゆえに、CSファンからは「打撃感が低い」と敬遠される傾向にあるわけだ。これはゲームの善し悪しの話ではなく、単純にゲームコンセプトの違いである。 今回のValveの発言は、そうしたコアFPSユーザーにとって斜め下のチューニングは一切行なわず、「Counter-Strike」のハードコアな仕様をそのまま持ってくるということを意味している。つまり、「Counter-Strike Online」は、「Counter-Strike 1.6」同様に、コアゲーマー向けのハードコアな仕様のオンラインFPSになるというわけだ。また、シリーズで定評の高い武器のバランスもそのまま継承するということだ。
■ クラン戦、ランキング機能、新規モード、新マップ、新武器などなど新要素も充実
まず、新武器は、FN SCAR、XM-8、MP7A1、USAS-12、VSK-94、QBB-95、ドラグノフSVD、K-1Aといった実在の銃器が新たに導入される。位置づけとしては、「CS Online」の主役を担うものではなく、従来の武器バランスを破壊しないレベルに留めるという。 マップについては「CS Online」では、既存のマップがすべて収録され、かつすべてリファインされる。さらに新マップとして、デスマッチ戦用に設計された小規模室内マップ「DM_TUNNEL」と、人質救出用としてデザインされた屋外マップ「CS_CamouFlage」の2つのマップが追加される。 「DM_TUNNEL」は、新しいゲームモードとなるデスマッチ戦用に設計された室内マップで、広い地下室に4つの小部屋を付けたシンプルなデザインとなっている。このマップを通じて「CS Online」のゲームプレイに慣れるという形を想定しているようだ。 「CS_CamouFlage」は広々とした長方形の屋外空間に二階建ての建物が点在し、複数の動線を通じて立体的な交戦が楽しめる「CS」らしいマップ。人質救出モードを想定して設計されている。 キャラクタモデルは、カウンターテロリスト、テロリスト双方に複数のバリエーションのスキンが用意される。カウンターテロリスト側は、韓国707特殊任務隊、日本SAT、中国魔鬼班、台湾霹靂小組(警察特殊部隊)の4種、テロリスト側はRBC(Red Beret Condittiere)、ARA(Asia Red Army)、NLC(National Liberation Campaign)、Vigilante Corpsの4種類。モデルデータは公開されなかったが、既存の「CS」に比べて、キャラクタの個性がアピールできる仕様になるようだ。 次にゲームモードについては、「CS Online」では、ラウンドシステムやお金獲得のシステムといった「CS」独自のゲームルールはすべてそのまま維持される。その上で「クラシックモードプレイ」として、ルームリーダーが、新規要素をすべてカットして「CS 1.6」相当でプレイすることも可能となっている。「CS 1.6」のユーザーを強烈に意識したモードといえる。 新しく追加されるモードとして、チームデスマッチとデスマッチ、そしてBOTを使った練習モードが追加される。いままで無かったのが不思議なぐらいだが、ついにValveの公式モードとして両デスマッチモードが実装される。また、ゲーム内の新ルールとして、武器の使用に制限が付けられる。たとえば、スナイパーライフル使用禁止、スナイパーライフルのみ、拳銃のみといった具合で、これはゲームモードと並行してルーム独自ルールとしてリーダーが設定することができる。 また、最後のコミュニティ機能は、コミュニティ活動を促進するための強力なツールを盛り込む構想が明らかにされた。クラン戦大会管理ツールを筆頭に、地域別ランキング機能、観戦機能、放送機能、UCC(User Created Content)要素などなど。放送システムに関しては、別途専用クライアントを提供するという。すべて構想レベルで、まだ実機の映像すら公開されていない段階だが、Valveの本気度が伝わってくる発表会だった。 最後にサービススケジュールとビジネスモデルについてまとめておきたい。まず、サービススケジュールは、一番最初にサービスが開始される韓国で2008年初頭頃が予定され、正式サービス開始時期は来春か来夏頃になる見込み。あまりローカライズに時間がかかる作品ではないため、ネクソンジャパンが担当する日本展開もそれらに準じたスケジュールになることが予想される。
ビジネスモデルについては基本プレイ無料のアイテム課金制が予定されている。有料アイテムの内容や収益モデルについては現在検討中としており、一切明らかにされなかったが、ネクソンジャパン代表取締役社長デビッド・リー氏によれば、「韓国で成功しているオンラインFPSのモデルをある程度踏襲することになるだろう」とのことだ。「CS」そのままのハードコア仕様のFPSが、現在のオンラインゲーム市場でどの程度評価されるのかは未知数だが、来年のオンラインFPS界の台風の目となることは間違いなさそうだ。
□G★ 2007のホームページ (2007年11月9日) [Reported by 中村聖司]
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