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【連載第15回】大人による大人のための洋ゲー連載

Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」

弾いた! 叩いた! 歌った!! 音ゲーレポート3連発!!
世界のみんなとロックを楽しめ!! マルチプレイ編

Rock Band (Special Edition)

  • ジャンル:音楽ゲーム
  • デベロッパー:Harmonix Music Systems
  • パブリッシャー:MTV Games/Electronic Arts
  • プラットフォーム:Xbox 360 / プレイステーション 3 / プレイステーション 2 / Wii
  • 価格:59.99ドル(北米通常版)、169.99ドル(北米Special Edition)
  • レーティング:ESRB:Teen(13歳以上)
  • 発売日:11月20日(発売中、PS2版のみ12月18日発売)


 年末企画最後の第15回目となる今回は、第13回目から連続でお伝えしてきた音ゲー特集の最終回として、引き続き「Rock Band」を取り上げる。音ゲーにはマルチプレイが良く似合う、ということで、オンラインで世界中のプレーヤーと、オフラインでは気心の知れた仲間と即席のバンドを組んで熱く・楽しく演奏できる「Rock Band」のマルチプレイ機能をご紹介しよう。

 今回は4つある各マルチプレイモードの解説と、オフライン専用のモードでは実際に3人ほど編集部に集合してバンドを結成、実際に演奏をしてみたところをレポートする。オンラインを使えば一人でも世界中のユーザーとバンドを組んで演奏ができるのは本作の大きな特徴と言えるだろう。

 オフラインでドラム・ギター・マイクの3アイテムを使ってプレイする様子は、家庭用の体感ゲームもここまできたかと思わせる迫力がある。人を集める以外にある程度広い部屋も必要という、日本の家屋事情的にやや辛い現実問題はあるが、規模もプレイもアメリカ~ンな「Rock Band」が持つ楽しさの一端を本稿で感じ取っていただければ幸いだ。

オンラインには様々なロック野郎が君の参加を待っている! “Tug of War”と“Score Duel”は、ランキング集計対象となるランクマッチと対象外の非ランクマッチが存在するため、我こそはと思うプレーヤーはランクマッチで日夜世界中のプレーヤーと演奏対決に励んでみるのも面白いだろう

【お断り】
 当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
 GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません



■ 今一度マルチプレイ機能を掘り下げて見てみよう

マルチプレイには大きく分けて4つのモードがある
 「Rock Band」のマルチプレイは、“Band Quickplay”、“Band World Tour”、“Tug of War”、“Score Duel”の4種類が用意されている。さっそく各モードを詳しく説明していこう。

“Band Quickplay”

 「Rock Band」のマルチプレイ中もっともポピュラーなモードで、オフラインもしくはオンラインで最大4名までセッションを行なうことができる。もしオフライン側で人が足りない場合は、Xbox LiveもしくはPLAYSTATION Network上からオンラインプレーヤーを探してオン/オフのユーザーと一緒にセッションできるのが最大の特徴だ。

 つまり、バンドを組んで演奏する場合、自宅に呼べるフレンドがいなくても、オンライン上からメンバーを調達できることで、いつでも時間と他人の都合にとらわれずにバンド演奏が楽しめるのが素晴らしい。

 プレーヤーのうち誰か一人がリーダー役になり、4人の即席バンドを組むと、次は演奏する曲目を選ぶ。この曲目はリーダー以外は選択できないため、他のメンバーが何かリクエストをしたい時はボイスチャットでリーダーに呼びかけるしかない。

 演奏開始前に各パートは難易度をイージーからエキスパートまで自由に選ぶことができる。セッションにあたって自分に適した難易度を選んで演奏することができる点は、全体のチームワークに重きを置く「Rock Band」のマルチプレイらしい仕様だ。

 このモード特有の仕様としては、“UNISON BONUS”というものがあり、バンドメンバー間の演奏の息がピタリと合うと、ゲーム中のスコアにボーナス点が更に加算される。ゲームプレイ自体は各パートごとの通常プレイと変わらない。演奏ミスが重なってしまうと脱落してしまうが、その際は他のプレーヤーが救済することで、3回まで脱落から復帰することが可能だ。

 救済方法がユニークで、たとえばヴォーカルが脱落した場合、ギタリストがギターコントローラーを縦に立てて演奏することで、ヴォーカルがゲームに復帰できるなど、ライブ会場で失敗を打ち消すために盛り上がりを喚起するようなアクションをゲーム中でも行なうことで再度チャンスが与えられるのだ。

バンドメンバーと共にハイスコア目指して頑張ろう UNISON BONUSで更にスコアアップ!
演奏に失敗してしまうと1ダウン! しかし仲間の救済で3回まで復活できる


“Band World Tour”

 「Guitar Hero III」で言うところのCO-OPキャリアーモードに相当するのが、この“Band World Tour”だ。2人以上のプレーヤーがオフラインで揃っている必要があり、2人以上のバンドメンバーを組んでバンド名、バンドのプロフィール、バンドのシンボルとなるアートをデザインして自分達のバンドを立ち上げ、世界ツアーに乗り出す。

 ストーリー的な要素はソロツアーモード同様ほとんどないが、各曲を演奏するたびに演奏の完成度にあわせてファンがつくようになる。このファンは数値的な要素でしかないのだが、ファンの数=人気のバンドというバロメーターになっていて、Xbox LiveやPLAYSTATION.Networkのサービスを介して世界中のバンドが人気順にランキングされるため、勢いプレーヤー側はやる気を出さずにはいられない。

 残念なところは、バンドの人気度合は演奏スコアやファンのスコアといったランキングを参照できるだけで、ウマい人たちの演奏を観るという閲覧機能は「Rock Band」には備わっていない。せめて演奏機能のリプレイをネットワーク上で共有できる機能などがあれば楽しさ倍増だったのだが、ここら辺の機能は次回作以降の実装に期待したい。

 このモード独特の機能としては、ゲームを進めていくと、最初に演奏リストを作成して1曲ずつではなく連続して演奏できるようになる。ちょっとした機能ではあるが、演奏終了ごとにいちいち曲の選択画面に戻らなくても良いため、ライブの雰囲気をより濃厚に楽しめる仕掛けとしてとても好感が持てる機能だ。

オフラインでメンバーを募っていざツアーへ! 指定数を選曲することで連続して演奏できるのが嬉しい
ローディング画面も各プレーヤーのキャラクタが登場 これは2人セッション時のもの。目指せフルメンバー!


“Tug of War”

 この“Tug of War”と“Score Duel”は2人専用のモードで、同じ楽器を使用する。楽器の指定はお互いのゲーム機に付けられているコントローラーからリーダー側が指定する。

 このマルチプレイモードの醍醐味は1曲を小節ごとに交代で演奏を担当して、いかにヘマをせずにパーフェクトを目指して演奏し続けるかという一種の神経戦で、画面上部にバーが表示され、有利な演奏を続けるプレーヤー側のバーがどんどん増えていき、演奏終了時にどちら側にバーがふれているかを競うモードだ。

 プレーヤーごとの演奏の技量が最も問われるゲームモードで、何せ自分のしくじりが相手のプレーヤー側にもっとも露骨にわかってしまうため、一度恥ずかしいミスをしてしまうと、焦ってその後も終始演奏がメタメタになってしまうことがあり、プレーヤーのメンタル的な強さも必要とされる。

 ちなみに途中脱落は無いため、自分のオンラインプレーヤーとしての評価とゲーマーとしてのモラルを問われないように不利な戦いでもキッチリと最後まで演奏し終えることは「Rock Band」プレーヤーとしては必要不可欠な条件と言える。

 ただし若干このゲームモードのおかしいところは、演奏の難易度をプレーヤー単位で変えられるようにしてしまったため、技量よりも難易度の差によるスコア配分で勝敗が決まってしまうことが多々見られることだ。

 どういうことかと言うと、仮に自分がイージーの難易度を指定して、相手がエキスパートを指定したとすると、当然自分のトラックに降ってくるNotes(符号)の数も、スピードも全く異なる訳だが、バランスを取るためにイージーの方が1回あたりの演奏成功に対するスコア加算が大きく、手数の多い高難易度ほどスコアが低い。従って、演奏に忙しくミスする可能性が大きい高難易度の方が不利にできている。

 ハンデという面もあるとは思うが、実際のところ筆者がイージーでプレイして相手がエキスパートレベルを選択し、相手方の演奏がかなりウマくても、イージーで演奏のやさしい筆者はほとんどミスをしないので易々と勝利を得れることが何度もあった。

 ただし上記の内容は全く解決策が無い訳ではなく、もし難易度面でのバランスが気になる場合は、ランクマッチを指定すれば難易度ごとのランキング対決ができるため、しっくりとくるマルチプレイが楽しめるだろう。

バーを自分側に寄せるようにベストの演奏をしよう 難易度によってはやさしい方が有利になることも


“Score Duel”

 このゲームモードはモード名の通り演奏によって得られるスコアを競うモードだ。お互い五分の条件で演奏を行なうため、1回のミスが致命的なダメージとなって演奏の後半以降に影響してくる場合がある、かなりシビアな対決が展開されるゲームモードで、“Tug of War”と同様にプレーヤーの技量と度量がダイレクトに響く。

 うまく演奏をこなしていると発動するオーバードライブモードをうまく活用して、通常演奏を成功し続けると得られる4倍までのスコア加算を、いかに8倍まで増やすかが重要なポイントになる。

 「Guitar Hero III」のようにアイテムを使って相手を邪魔するようなルールは存在しないため、あくまで正攻法。己の腕っ節だけで対決する硬派なゲームなので、ソロパートやエンディングボーナスなどを手堅く稼ぐ技量と、失敗してもすぐにもとの軌道に戻せる度胸が勝負を左右する。これらの点は“Tug of War”にも通じるが、“Score Duel”方がぐっとシビアだ。

 このゲームモードは、非ランクマッチでプレイする場合“Tug of War”とは逆の問題が付きまとう。つまり、リーダー側が選曲と難易度を指定してしまうため、リーダー側がエキスパート難易度を指定してしまうと、相手が初心者でも強制的にエキスパート級の演奏を強いられるのだ。これだとリーダー側の裁量で勝敗がコントロールできてしまうため、こちらもバランス面で不満が残る。

 どちらにせよランクマッチにしてしまえば同じような腕前のプレーヤーと対決することになるので問題ないのだが、ランキングにとらわれない自由な演奏がしたいなあ、と思った際に非ランクマッチを選ぶと思わぬストレスを背負い込むことになるかもしれないので、この点は注意が必要だ。

タイマンでスコアを競う技量重視のゲームモードだ わずかなミスが後半にじわじわと効いてくる


 筆者の個人的なオススメは、やはりオーソドックスな「Band Quickplay」だ。ほぼオンライン上で4人が集結するのは厳しい感じなのだが、テクニックを競うよりもお互いの持つテクニックでいかに演奏の完成度を上げていくか、という一種の共同作業にも似たプレイ感覚が何とも言えず面白い。

 さすがにあまりにも下手くそな演奏を続けたりすると、他のプレーヤーに逃げられてしまう可能性も高いのだが、それでも黙々と演奏を重ねていくうちに見知らぬプレーヤー達との連帯感が強まり、自分のパートの演奏に一層打ち込むようになってくる。

 マルチプレイデビュー時に注意しておきたいのが、自分のキャラクタだ。まさかデフォルトの状態で放置するようなことは、無いとは思うが、自分の分身がオンライン上で他のプレーヤーキャラクタと一緒にバンドを組むのだから、身なりはバッチリ自分流のセンスでキメておくことをおすすめしたい。特にタトゥーは様々な柄をレイヤーで組み合わせていくため、プレーヤー側のセンスが特に問われる部分になりそう。

 もし服やアクセサリーが買えない……という場合はソロツアーモードでしっかりと練習兼ギャラ稼ぎをして出直しておくのが吉。ソロツアーの後半は1曲あたりの演奏で得られるギャラも高いので、マルチプレイで頑張る=ソロツアーも頑張るという方式が成り立つのだ。



■ 今「Rock Band」界隈では歌い手が不足中!!

「Rock Band」の世界は圧倒的な歌い手不足。求むヴォーカル志望!
プレーヤーパートごとに難易度が選択できる親切設計
 上記で紹介した4つのマルチプレイモードのうち、特にプレイしていて面白いのは“Band Quickplay”もしくは“Band World Tour”のバンドプレイだろう。バンドメンバーが周りにいない場合は、必然的に“Band Quickplay”に選択肢は限られるが、それでも見知らぬプレーヤー達と一緒に組むセッションは、かなり満足度が高い。

 難易度はパートごとにプレーヤーが選択できるため、自分のパートを自分の技量範囲内で頑張れば良いという点も好感が持てる。何より自分の作成したキャラクタのアバター性が高いため、他のプレーヤーがどんな格好をしているのか? どんな作り込みをしているのか、毎回接続する度にチェックするのがたまらなく面白いのだ。

 「Rock Band」のキャラクタメイキングが細かく作り込める点は第14回のレポートでもご紹介したが、プレーヤーが作ったキャラクタが最も活躍するのは何といってもオンラインでのマルチプレイ時と言っても過言ではないだろう。

 他のプレーヤーよりも自分のキャラクタがちょっとイマイチ……という場合はソロツアーでひたすら演奏をしてギャラを稼ぎ、新しい衣装をアンロックさせてゲーム内ショップでお買い物、そして再びオンラインでお披露目という、オフライン→オンラインプレイの流れをバランスよくつくりあげている点は素晴らしい。ソロツアーで演奏を重ねていけば、曲の練習にも繋がるため、まさに一石二鳥といえる。

 なお、まっ先に考えるのがオンラインプレイ時に外国のプレーヤーときちんとコミュニケーションが取れるか不安に思う方もいるかもしれないので、筆者がプレイしてみた感触を書いておこう。

 筆者が入手したのはXbox 360版なのだが、まず各マルチプレイに関しては米国時間で深夜帯でもない限りはほぼ100%相手が見つかる。“Tug of War”と“Score Duel”に関してはちょっと半端な時間だと見つからない可能性もあるが、“Band Quickplay”はどんな時間帯でも最低一人はマッチングすることができる。筆者が日本時間の真夜中~昼間~夕方~と各時間帯で繋いでみた経験上ではあるが、相手探しに苦労することはない。

 相手とのコミュニケーションでボイスチャットバリバリかというと、そうでもない。リーダーが決まった後には割と淡々と(しかしアツい)演奏がメンバー間で満足するまで続く。なので「英語で話しかけられても困るなあ……」という方は、あまりその類の心配をしなくても良いだろう。

 なぜボイスチャットがあまり多くないのかというと、これは筆者の勝手な想像だが、演奏中はそっちに集中しすぎてチャットする暇が無いのだ。「Rock Band」は全体的に「Guitar Hero III」よりも難易度が高い印象を受ける。

 ギターとベースならまだしも、ドラムはドラム叩いてペダルを踏んでと、演奏中はかなり忙しい。しゃべってる暇なんかあるか、という気がする。何より演奏中にバカ話をすることでせっかくの演奏(と歌)が台無しになってしまうという点はプレーヤー側を沈黙させる重要な要素ではないかと思う。

 しかしボイスチャットを唯一活発化させそうなのが、プレーヤーがヴォーカル(リードシンガー)として参戦したときだ。プレーヤーから発せられるボイスが他のバンドメンバーを聞き惚れさせるか、あるいは抱腹絶倒させるか、この点が実に興味深い。

 興味深いなんて言い方をするという事は、実際この目で確認していないのか?ということになるが、残念ながらその通りで“Band Quickplay”にかなり時間を費やしてみたが、ギター・ベース・ドラムはすぐに集まっても、とうとうヴォーカル役が埋まることは一度もなかった。やはり自己主張の強いアメリカ人もオンライン歌手デビューはやや慎重なのだろうか?

 前回のゲーム本編の紹介でも触れたとおり、ヴォーカル部分は難易度がやさしいうちはかなり適当に歌っても実は何とかなる。しかしそれはあくまでソロツアーだからこそ可能な技、オンラインでのマルチプレイデビューとなれば、鼻歌やピッチに合わせて適当に叫んでいる程度では他のバンドメンバーは納得しないというもの。

 「Rock Band」の斬新な要素はプレーヤー側の「歌唱力問題」により、まだまだすべての機能を楽しめていない。ああ、どこかに歌のうまいプレーヤーはいないかしら?と思いつつ今日も夜な夜なオンラインの世界を渡り歩くロックミュージシャン達が今も数多く存在するのだ。4人フルメンバーで揃った時こそ「Rock Band」が持つ真の面白さを体感することができるに違いない。

演奏前にはキャリブレーションを設定すること 自分の技量でコツコツと演奏をこなしていこう




■ せっかくだから、俺達はこの「Rock Band」でロックするぜ!!

キャリブレーション調整はお約束
ギターコントローラで演奏練習
 次は実際にオフラインで3人集まった時のプレイはどのような感じになるのか、早速12月の某日、GAME Watch編集部に関係者が集まって即席ロックバンドを結成してみた。

 物理的にギターコントローラが足りないため、ギター×1、ドラム×1、ヴォーカル×1という3人構成だ。ちなみに箱を開けてからすべての部品を取り出し、ドラムコントローラを組み立て、ゲームプレイできるようにセッティングするまで30分ほどかかった。なかなかの作業量だ。

 プレイしたのは、“Band World Tour”のローカル(オフライン)モードだ。オフラインプレイ前に気をつけておきたいのは、人数分のXbox Liveアカウントが必要になる。(Xbox 360版の場合)1パート1キャラクタ(=1アカウント)が原則になる。PS3、Xbox 360ともアカウント作成そのものは無料なので、追加料金は掛からないが、ID作成にはそれなりに時間がかかるので、あらかじめ作成しておくのがオススメだ。

 もっとも、参加者全員がプラットフォームホルダーであれば、IDのデータを入れたメモリーカードを持ち寄るだけでいい。要するに普段はソロツアーや単独オンラインプレイでキャラクタ用アイテムのアンロックに努めたり、せっせと腕を磨いたりして、みんなで集まる時はメモリーカードに自分のデータを入れて集合、もしくはオンラインで集まってセッション演奏、というプレイ方法を想定しているようだ。

 次に重要なのがトレーニングだ。ぶっつけ本番でプレイするのもいいが、まずは最低限のプレイルールを覚えるために、各人トレーニングモードでプレイをしてみることにした。ちなみにこのトレーニングモードは曲の速度を自由に変えることができるため、非常に練習しやすい。特にドラム練習には有効だ。

 練習していると、画面と演奏のタイミングが合わない。どうやら編集部にある液晶テレビの応答速度と実際の演奏タイミングが合っていないためのようなので、キャリブレーション設定で、変更を行なう。こちらもギターよりはドラムのための調節といった方が良いだろう。手数が多くてタイミングがシビアなドラム演奏には、液晶やプラズマモニターなどのHDTV環境でプレイする際には調整が必要不可欠と言える。

 一応、ゲーム内には液晶、プラズマ、プロジェクターなどHDTVの大分類に分けて設定が既に用意されているのだが、液晶テレビといえどもメーカーによって応答速度にはかなりバラつきがあるため、結局はマニュアルで設定した方が確実だ。

ドラムコントローラは高さ調節が重要 まずは二人で一通りの演奏テスト
トレーニングでは曲の好きな部分のみ練習も可能 演奏速度を変えて苦手なパートもみっちり練習できる




■ まずは準備が大切、箱から出したらまずは調整、そして練習!!

ギターコントローラはすぐに取り回しが楽
ドラムのパッド部分は叩くとかなりうるさい
 準備ができたところで、早速セッションスタートだ。最初はギターとドラムのみでプレイしてみた。演奏する曲は初めてであれば、スローテンポの曲が良い、ということで、Weezerの“Say It Ain't So”を選択してみた。実はこの曲、ボーカルでも歌いやすくて初心者オススメの曲である。

 ギターコントローラーはベースと共用なので、プレーヤー側でどちらか好きな方を選ぶことできる。本体のフレット(弦が張ってある部分)の上下部分にボタンが5つづつついており、通常は上のボタンを使って演奏し、ソロパートに突入した際は下のボタンを使う。どちらも役割は同じなのだが、要はカッコ良くロックするには必要な仕様なのだ。

 ギターおよびベース演奏時で重要なのは、まず緑・赤・黄のボタン押しと弦に相当するストラムバーを正しいタイミングで同時にひけるかどうかが重要だ。イージーレベルではボタンは上記3つしか使わないため、演奏スピードに合わせていかに正しいタイミングでひけるかをマスターする必要がある。

 ドラムコントローラはドラムパッドの部分はゴム製で、添付のスティックで叩くとポコポコと結構響きのある大きな音を出す。しかも振動が床に響くので、プレイ環境が集合住宅で床がフローリングという場合、下の階の住人から苦情がくる恐れがある。ちなみに筆者の家では叩いた際の反響が大きいので、夜のプレイは避けた。

 ドラム部分とキックペダルとの間の高さはある程度調節をすることが可能で、イスとペダルまでの高さはプレイ前に必ず調節が必要だ。編集部でもドラムをプレイした人達から「足が痛くなった」というコメントが相次いだので、ゲームで足を痛めるという事態になる前にキッチリと対処しておこう。

 ドラム演奏時に重要なのはパッドを叩きながらフットベダルを踏んでスネアドラムを叩くタイミングをマスターすることだ。これが見かけは裏腹に想像以上に難しい。両手でスティックを持ってパッドを叩きながら足でペダルを踏む動作というのはギター以上の練習が必要になる。

 ちなみに各ボタンはXbox 360版の場合、標準添付のコントローラのボタン配色に準拠しており該当する色のボタン=標準コントローラのボタンと同じ役割をする。これはギターもドラムも同じで、ドラムの場合は該当する色のドラムパッドを叩けばOKだ。

 しばらくプレイを続けてみると、大体イージーレベルであれば無難にセッションをこなせるようになってきた。持ち回りでギターとドラムをそれぞれプレイしてみたが、ドラムの難易度がやはり頭1つ~2つ飛びぬけている。

 ギターもドラムもボタンは5つなのだが、ギターは手の平の中にボタンがスッポリ収まるため、ちょっと変わったゲームコントローラーとして数曲をこなせばすぐに操作を覚えることができる。特にイージーレベルなら使用するボタンは3つだけなので、尚更プレイしやすい。

 ところがドラムはまずタイミングに合わせて叩く、ペダルを踏んでスネアドラムを鳴らす、という動作が見ているのと実際にやってみるのとでは相当の差異がある。また、異なるドラムのパッドを同時に叩くのも簡単そうに見えて実は練習が必要な技で、2つ同時に叩く演奏が連続すると、慣れるまでは結構大変だ。

 コツとしてはやはりキッチリと調整すること、そしてスティックをパッドに向けて叩く際は強く叩かずにリズミカルに軽く、なおかつタイミングをつかんで叩くというテクニックを覚えていくしかない。キックペダルは深く踏み込む必要はなく、体重をかけずに軽く踏み込むだけで有効になるようだ。

ドラムはひたすら練習あるのみ 初セッションの様子。順調に演奏できている




■ そして3人セッションを開始、恥じらいも消えて終始真剣プレイに突入

世界中のバンドランキングが参照できる
自分たちのバンドアートも作成可能だ
 いよいよ3人でセッションプレイをしてみよう。今回ヴォーカルには女性を起用してみた。即席ロックバンドにも華が必要なのだ。とりあえず彼女が知っている曲でなおかつスローテンポで簡単そうなやつから、“Creep” - Radiohead、“Celebrity Skin”- Hole、“Should I Stay or Should I Go”- The Clash、“In Bloom”- Nirvanaなどを演奏してみた。

 ヴォーカルで重要なのは、英語の歌詞がわからなくてもとりあえずめげない、わからないところは鼻歌で、という意気込みである。曲数をこなすとなかなか様になってくるからおもしろい。

 特にドラムにウマいプレーヤーがおさまると、俄然ゲームが面白くなってくる。やはりギターとドラムの連携がうまくまわらないと「Rock Band」のマルチプレイはゲームとして成り立たないと思った。ヴォーカルは2人の演奏に華と更なる盛り上がりを添える引き立たせ役だ。

 カッコいい演奏をするには、各パートの見せ場をキッチリとこなすことが重要で、特にギターやドラムのみの出だし部分の演奏や、ソロパートの部分をヘマするとかなり重要な音が出ないかなり寒い時間が流れることになり、最低限ここら辺はしっかりと演奏できるように練習を積むように心がけたい。

 初回こそヴォーカルの発声を恥ずかしがったり、些細な失敗に照れたりすることがあったものの、一度軌道に乗ってしまえば終始真剣なプレイを展開、即席でなおかつテレビゲームながら、ロックバンド体験が満喫できた。

 「Rock Band」の優れた演出のひとつに、演奏がうまくできていると観客側も歌いだすという要素があり、これにはプレーヤー側も驚き、なおかつ盛り上がった気分で演奏に精を出すことができる。実際に3人ともより真剣にプレイするようになった。

 筆者的に見逃せないのが今回参加してもらった彼女は音ゲーが初体験だったということ。ギター・ドラム・ヴォーカルと一通りゲームをプレイしてもらったが、どれもイージーレベル限定だが無難にこなし、楽しそうにプレイしていたのが印象的。もしかしたらパーティーなどで仲間が集まった際の接待ゲームとしても「Rock Band」は適しているのかもしれない。お酒が入った状態でプレイすると、恥ずかしさも吹っ飛んで更に盛り上がるかもしれない。

 なお、今回は導入できなかったが、「Rock Band」の公式サイトには「Rock Band Store」というMTV Gamesによる公式オンラインショップが運営されている。ここではゲームを更に盛り上げる、オリジナルのTシャツ、シューズ、ベルト、時計や各種アクセサリーのほか、なぜかポマードまで売っており、見た目からロック魂を磨くことができるグッズを多数販売しているのが特徴だ。

 その他ではギターコントローラーに貼り付けるスキンステッカーやギターコントローラーがすっぽりと入る持ち運びに便利なバッグ、そしてゲームに飽き足らなくなったら本格的なバンド活動を!ということでフェンダーのエレキギターやスピーカー、マイクなど実際の楽器や器材も購入できるという徹底ぶりで、一見の価値がある。バンド演奏にこなれてきたらゲーム内だけではなく自分達の身なりもイメージチェンジしてみるのも面白いかもしれない。

 ちなみにRock Band Storeは日本への送付も行なっているようで、送料は23ドル95セントから200ドル以上の買い物をすれば50ドル95セントでFedexにて送ってくれるようだ。「Rock Band Store」では「Rock Band Special Edition」ゲーム本体の販売も行なっているようなので、もしかするとこのルートを使えば日本から購入が可能かもしれない。現状はXbox 360、PS3版共に売り切れているが再入荷の際はチャレンジしてみるのも良いだろう。

早速3人のメンバーでセッションスタート 3人でプレイするとこれくらいのスペースは必要
ヴォーカルは恥ずかしがらず歌いあげるべし! 後ろから見ると大体このような感じでプレイする
ウマい人がドラムを叩くと演奏全体の調子が良くなる 「Rock Band Store」は一見の価値あり




■ バカっぽく見えて実は硬派、音ゲーとして一つの完成形を見た

「Rock Band」公式サイトは必ずチェックして欲しい
自分たちのバンドアートも作成可能だ
 全3回に渡って取り上げた音ゲー企画だが、いかに今アメリカの音ゲーがアツい状況になっているか、何となくご理解いただければ幸いだ。「Guitar Hero III」「Rock Band」共に楽しく遊べるゲーム内容になっており、どちらも「音楽ゲーム」というジャンル自体に抵抗がなければ、買って間違いなしのタイトルと言えるだろう。

 今回取り上げた「Rock Band」のマルチプレイは、想像していた以上に作り手側の本気度合を肌で感じることができた。「Guitar Hero III」のタイマンマルチプレイも手軽で楽しいが、それ以上に3~4人でバンドを組んでプレイするという行為はもっと楽しく遊べる。今さらながらにマルチプレイの楽しさ第一の秘訣は人が集まること、という点を再認識させられた次第だ。

 音ゲーのおいしいところはダウンロードコンテンツ(DLC)の存在にあるだろう。演奏できる曲が増えるのはプレーヤー側からすると歓迎すべきことだし、新しく追加された曲を購入する、というのはお金を払う側からしても明確で払いやすい。今後は両タイトルによる熾烈な追加曲争いが展開され、プレーヤー側としても長く遊べるゲームとして重宝する存在になりそうで、今後のDLCラインナップから目が離せない。

 既にActivisionが予告しているように来年のホリデーシーズンには「Guitar Hero IV」が発売され、FPSゲームやRTSゲームのように音ゲーが新たに定番ジャンルとしてアメリカの市場に深く根をおろしそうな雰囲気だ。対抗する「Rock Band」も果たして続編が発売されるのか、それは夏のE3あたりで明らかになるだろう。

 2匹目のドジョウを狙って両タイトル以外にも他のサードパーティーから様々な音ゲーが今以上に登場するのは確実で、それらのタイトルの中に両タイトルに肉薄できるものがあらわれるかどうかも楽しみだ。

 「Guitar Hero III」、「Rock Band」どちらも共に優れたゲームであり、秀逸なコンセプトとプレーヤーを魅了するゲーム内容を持っているが、仰々しい周辺機器の数々を投入して自宅にいながらプレーヤーにロックバンド体験をさせてくれる本作は、見た目色物のバカゲーに見えるかもしれないが、実は徹底した硬派タイトルなのだと確信した。

 「Rock Band」公式サイトにはLIFEというカテゴリがある。そこには全米各地のアマチュアバンドを訪問し、音楽にかける情熱を語ったり、実際に「Rock Band」をプレイしていかに本作がマジメにバンド体験ゲームを目指したかを映像で証明してくれるユニークなコンテンツが多数掲載されている。

 アメリカの若者ライフスタイルと音楽がいかに密接な物になっているか、そして「Rock Band」というゲームをいかに受け入れられているかを垣間見ることができるので、チェックをしておくと良いだろう。

 現在Rock Band Tour 2007という、大型トレーラーを全米中に移動させて「Rock Band」を体験させるイベントが展開されているが、この勢いが来年以降も継続していくかを筆者は注視している。ここまで大きく風呂敷を広げたゲームなのだから、ぜひともアメリカのみならず世界中で「Rock Band」熱の盛り上がりに期待したい。

各パートの演奏がうまく合ってくると俄然楽しくなる 個性的なキャラクタを作ってロック魂を磨くべし!
ヴォーカル担当は片手にマイク、片手にコントローラ 演奏中はオーバーアクションの1つも欲しいところ
プレイに慣れてくると真剣そのものに ハイスコア目指して頑張ろう!


(C) 2007 Harmonix Music Systems, Inc. All Rights Reserved. Harmonix, Rock Band and all related titles and logos are trademarks of Harmonix Music Systems, Inc., an MTV Networks company. Rock Band developed by Harmonix Music Systems, Inc. MTV: Music Television, MTV Games and all related titles and logos are trademarks of MTV Networks, a division of Viacom International Inc.

□「Rock Band」公式ホームページ(英語)
http://www.rockband.com/

(2007年12月27日)

[Reported by Game Dude]



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