|
「ファーストスローン」では、新種族「カマエル」が追加され、彼等のスタート地点となる「魂の島」そして高レベルキャラクタ向けの新地域「神託の島」が追加される。この他にも、城とは別に取り合いができる「要塞」、新スキル、新アイテムなどアップデート要素は非常に豊富だ。これらの要素が追加された「リネージュ II」の世界はどのように変化するか、注目していきたい。
■ 魂を糧として戦い、分身や武器変化など今までの種族とはひと味違ったスキルを使う「カマエル」
カマエルはかつて神々と争っていた「巨人」達によって生きている兵器として創造されたという。彼等の住む「魂の島」は長い間封印されていたが、巨人を倒した神々によって封印が解かれた(ただし、兵器としての事実は封じられたという)。その後、ドワーフたちアデンの冒険者によって「発見」されたことで交流が生まれ、今では世界の新しい一員として、他種族にも平和に受け入れられている。 カマエルは戦士としての能力を持ち、女性は射撃武器が得意な戦士に、男性は細い体にもかかわらず力強く剣をふるう剣士へと成長する。ゲーム的なルールとして、男性、女性で職業が異なるというユニークな種族である。実装時点で既存の種族同様、最高レベルである80レベルまでの3次職と、スキルが設定されている。カマエルの肉体は闇に属する特性を持つため回復魔法が効きにくい。前衛職としては打たれ弱い部分もあるが、機動力のあるアタッカーとして活躍できそうだ。 カマエルの最もユニークな特徴は「魂」というポイントを使ってスキルを使用するところだ。強化スキルや弱化スキル、攻撃スキルなど、全てに魂のコストがかかる。この魂とは、その名の通り生物に宿っているもので、カマエルはモンスターを倒すことでその体から、魂を吸収する。敵を倒せば倒すほど強力なスキルが使えるのだ。「ライフ トゥ ソウル」というスキルを使えば、自分のHPを消費することでも魂を得ることができる。 この他にもいくつものユニークなポイントがある。カマエルは「チェンジウェポン」というスキルで、既存の武器をカマエル専用武器に変換できる。この武器を使えば、片手剣がレイピアに、両手剣が古代剣に弓がボウガンに変わる。これらの武器はDグレード以上の武器で変更可能だ。男性カマエルは数々の接近戦スキルを持ち、翼を打ち振るうことで後方の敵をまとめて倒す「スプレッドウイング」といったスキルがある。女性カマエルは分身を作り出す「デコイ」や、トラップを設置することができる。
今までのキャラクタにはない能力は、新鮮なプレイ感を体験させてくれるだろう。他キャラクタで使っていた強力な装備を使わせることができれば、キャラクタを育てることはそう難しくないという。一方で初心者にとっては回復魔法が効きにくく、打たれ弱いという弱点がプレイを難しくさせる。上級者向けの種族という位置づけのようだ。上級者達がこのキャラクタをどう使うか、興味深い。
■ カマエルのスタート地点「魂の島」、の2つのユニークなダンジョンのある高レベル向けフィールド「神託の島」
魂の村の各地には「拠点」があり、レベル20までのキャラクタは無料でゲートキーパーを通じて移動できるため狩り場への移動もスムーズだ。カマエルの住む島は朝も昼もずっと薄闇に包まれており、カマエルが造る建造物も黒い石で作られているため、全体的に暗い雰囲気の世界だが、建物の繊細さや、NPCの華麗な衣装にカマエルの独特の文化を感じさせられる。
この島には「ノルニルの洞窟」と、「ノルニルの庭園」という2つのダンジョンがある。ノルニルの洞窟は黒い体に赤いラインが入った、鉱物で出来たような怪物「ケイブレオパード」や、「ケイブゴーレム」が待ち受けている。ノルニルの庭園はクエストの「大空洞の中へ」を受けたか、終了したカマエルをパーティーメンバーにしなくては入ることができないインスタンスダンジョンだ。
神託の島には「暗雲の邸宅」、「宝石の在り処」という2つのインスタンス ダンジョンがある。暗雲の邸宅はレベル78以上のキャラクタが2人で挑戦できるダンジョン。3人以上でも、1人でも入ることはできない。登場モンスターは非常に強力、条件を満たすと部屋の扉が開く仕掛けになっていて、各部屋の秘密を解き明かしながら進むこととなる。油断をすると一人だけ部屋に入って扉が閉まってしまうこともあり、気をつけたい。たくさんの敵を相手に、2人で戦うには、息のあった連携が必要だ。 暗雲の邸宅の秘密を解き明かすと、宝石の在り処へ行くための道が開ける。こちらは、2~9人までのパーティーで入れる場所だ。入口は水晶の神託所の真下、湖の底にある。あるアイテムを手にしていると中にはいることができる。中には高レベルのモンスターがひしめいている。宝石の在り処には「エメラルド広場」、「蒸気の道」、「珊瑚の庭園」という3つのコースがあり、選択することで1つのコースが攻略できる。エメラルド広場と蒸気の道はモンスターを倒し、鍵を入手しなくては行くことができない。
それぞれのコースにはレイドモンスターが配置されており、この強敵を倒すことでアイテムを入手できるという。この3つのコースの先に更に1つのコースが設定されている。そこでは更に過酷な戦いが待っているようだ。宝石の在り処のどこかには「力の鍛冶屋ラム」というNPCがいて、神託の島での狩りで得られる「悪の種子の破片」を彼に渡すことで、Sグレードの防具材料アイテムなどの報酬を得られる。暗雲の邸宅と、宝石の在り処は最高レベルのプレーヤー達の目標として、注目を集める場所になるだろう。
■ 「要塞戦」。政治、駆け引き、アイテム集め、様々な思惑を秘めて新しく世界が動き出す
要塞戦は血盟が要塞を所有している血盟に挑戦をすればいつでも起こすことができる(最初期はNPCが所有)。2週間に1度の「攻城戦」と違い、毎日行なうことが可能だ。要塞戦に挑戦するには血盟レベルが4以上の血盟が要塞近くにいる「怪しい商売人」に要塞戦参加申請を行なうことで開始される。要塞戦は最初の参加申請から1時間後に開始される。他の血盟も要塞戦に参加可能で、参加締め切りは要塞戦開始10分前となる。 要塞戦が開始されると周囲は戦場に指定される。要塞の門は全て閉ざされ、防衛用NPCが配置される。血盟が要塞を所持している場合は、保護しなくてはならない「傭兵隊長」も現われる。要塞内部には3~5の「幕舎」と、中央に「指令幕舎」が配置されている。幕舎の内部には隊長NPCと「機械装置」があり、隊長を倒すか、機械装置の電力遮断に成功できれば、その幕舎を占領できる。 攻撃側プレーヤー達が最初の幕舎占領から10分以内に全ての幕舎を占領することができれば中央の指令幕舎が開き、3つの「闘争の旗」が生成される。この旗を持ったキャラクタが指令幕舎の建物の上にある「フラッグ ポール」に旗を掲揚することができれば要塞戦の勝敗が決する。要塞を相手に戦っていた他の血盟達も旗が出た時点で全て敵となる。争奪戦は非常に激しくなるだろう。 要塞を手に入れた血盟は血盟名声値100点を得るほか、所有を維持し続ければ血盟レベルを上げるために必要なアイテム「血の誓い」を6時間ごとに入手できる。さらに要塞の機能として回復施設や各種狩り場へのテレポートすることができる施設などを使えるようになる。また、所属している領地の城を所持している血盟と契約をするか、それとも独立をするかの選択をすることになる。 契約を選んだときは6時間ごとに城主血盟に要塞の血盟は上納金を支払わなくてはならない。その代わり、城から「補給品」を得ることができる他、城の防御レベルを上げることもできる。補給品は上納金を払うのと同様、6時間ごとにレベルアップし、よりよいアイテムが入手できるようになるという。 独立を選んだ場合、城主血盟は要塞血盟に対して要塞戦を仕掛けることが可能になる。独立の場合は上納金を払わなくて良いが、補給品はもらえず、城の防御レベルを上げることもできない。独立状態の最大の魅力は、要塞所有の血盟が専用のインスタンスダンジョン「地下収容所」に挑戦できることにある。 今回の要塞戦の最大のメリットは、「インスタンスダンジョン」に挑戦できる事にあると言えるだろう。独立状態ならば要塞を所有している血盟が地下収容所、契約を結んだ場合は城を所有している血盟が「地下刑務所」に挑戦できる。各インスタンスダンジョンは2人以上で挑戦可能で、登場するボスモンスターを倒すと「騎士の肩章」というアイテムが入手できる。このアイテムを使うことで、今回追加される新アイテム「シャツ」、「ブレスレット」、「タリスマン」などが購入できるようになる。これらの新アイテムはキャラクタを更に強力にしてくれる。 要塞戦は今まで行なわれていた城を中心とする“戦争”の小規模版といった感じになりそうである。城の攻防戦は高レベルのプレーヤーが集中するが、要塞戦は地域によっては低レベルの冒険者向けに設定されている。今までキャラクタが育てられなかった人や、成長中の中級者も要塞戦で戦争の醍醐味を体験できそうだ。
そしてインスタンスダンジョンの利点が、城主血盟との複雑な駆け引きを生み出すことになる。「リネージュII」ほど、プレーヤー達が施設の所有権を争い、維持するという行動にここまでフォーカスを当てている作品はない。要塞戦がプレーヤー社会に大きな影響を与えることは必至である。どのようなドラマが展開するか、注目したいところだ。
■ “見せる楽しさ”をもたらす「変身」、新たなスキル、より強力なアイテムなど、プレーヤーの目標は更に高く
「変身刻印書」を購入するには「生命のクリスタル」という、レイドモンスターがドロップするアイテムが必要となる。変身状態では、各変身体のスキルのみが使用できる。変身状態では能力値などもそれに合わせて変化する。変身は「維持時間」が設定されているほか、スキルでも変身解ができる。 強力な戦士の姿の「デスブレーダー」、パワフルな「イエティ」、派手に炎を吐く「インフェルノドレイク」などなど、新たなキャラクタの特殊能力として使いこなしていきたい。この他、呪われた剣(魔剣ザリチェ、血剣アカマナフ)を装備しても姿が変わるようになった。 Sグレードの上位武器も追加された。「ダイナスティ」と名前が付けられた各種武器防具で、セット効果により更に強力な力を発揮する。武器も当然ながら強力だが、防具は既存のセット防具とは異なり通常のセット効果以外に各職業向けのセット効果も存在する。例えば、ローブでもウィザード向け、ヒーラー向け、サマナー向けといったようにいくつかの種類がある。 Sグレード以上の武器には「属性」が付与できるようになった。属性には4種類の元素属性と、2種類の性向属性がある。火と水、地と風、闇と聖が対応しており、この他無属性がある。火属性の武器で火属性の防具をつけたキャラクタを攻撃した場合は、ダメージが軽減される。モンスターにも属性がつき、対応した属性を選択することで戦いは有利になる。属性原石は神託の島での狩りで入手できる。良く行く狩り場のモンスターに合わせて属性を選んでいきたい。 多数の新スキルも追加される。攻撃魔法などのスキルにも属性が付与されることとなった。また、短剣を使う職業はトラップを発見、解除できるスキルが追加される。弓系職業と共に、「カウンター」のスキルが追加され、敵から攻撃を受けた際にMPを回復させるなど、有利な能力を持つようになった。ミスティックミューズのメイジの「アイス ヴォルテックス クラッシャー」、アークメイジの「ファイア ヴォルテックス バスター」など、ヴォルテックスをぶつけてから更に攻撃をするような派手なスキルも追加されている。 「ファーストスローン」はこの他にも、70レベル以上のキャラクタの強化などのバランス調整、城の機能強化、スキル強化の追加など多彩な要素がある。インターフェイス関係では、24個しか登録できなかったマクロが2倍の48個まで登録可能となったり、所持アイテムの情報をチャット欄に直接公開する事が可能となったりと、細かいところで多数の改良点がある。ボリュームたっぷりなアップデートであり、要塞戦を中心に、プレーヤー社会が新たな勢力と、新たなゲームバランスで動き出していくだろう。
今回は、全体的に高レベルプレーヤー向けのアップデートが多い印象を受けた。この中で新種族であるカマエルがどのような役割を果たすか、気になるところである。カマエルにはさらに大きな秘密も隠されているという。「リネージュ II」は最高レベルの80に達しているキャラクタがまだ、1サーバーに数十人くらいしかいない。今回更なる上級アイテムも追加され、全てのキャラクタがまだまだ「発展途上」の段階にあるといえる。これから「リネージュ II」の世界はどのような成長を遂げていくのだろうか。
Lineage II(R) and Lineage II(R) the Chaotic Throne are trademarks of NCsoft Corporation. 2003-2007 (C) Copyright NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmit Lineage II the Chaotic Throne in Japan. All Rights Reserved.
□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2007年11月22日) [Reported by 勝田哲也 / 横山譲]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|