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会場:@WAN千日前店
会場は当日貸し切り状態で、「リネージュ II」ファンのために席を無料で開放。オープンスペースの少ない、クローズドブースがギッシリ詰まった店舗での開催だったが、各ブースのテレビモニタに、ライブ映像を流すというユニークな方法で、各種イベントを実施。事前応募枠に加えて、当日枠もかなり用意され、「リネージュ II」ファンにはたまらない1日となった。 メインイベントである「バトルトーナメント2007」をはじめとしたユーザー参加型のアトラクションについては別稿で細かくお伝えすることにして、本稿ではイベント全体の模様をお伝えしていきたい。
■ ネットカフェゲーマーの総本山「@WAN 千日前店」とはどのようなネットカフェなのか
今年会場に選ばれた@WAN(アットワン)千日前店は、2007年度の「リネージュ II」の利用時間ランキングで見事日本一を獲得した実績を見込まれて、本イベントの会場として選定された。実は稼働率全国1位になったのは今年が初めてではなく、「リネージュ II」の提供を開始した2005年以降、ほぼ毎回のように全国1位を記録しているというモンスター店舗である。 そこで今回は@WAN千日前店はいったいどのようなネットカフェなのか、非常に楽しみにして大阪に足を運んだが、実際の店内はごく普通のネットカフェだった。大阪なんばのアーケード街に隣接したビルの4階にある、いわゆる複合カフェで、PCの利用のみならず、漫画やTVモニタによるビデオ映像の視聴なども可能となっている。フリードリンク、無料のシャワーサービス、インスタントフードの販売など、ホスピタリティも充実しており、店内デザインは、女性客にも訴求できるように、清潔感と高級感で満たされている。 全体の客席数は約230で、ユーザーのニーズに合わせて、オープン席、カフェ席、シングル、ダブル、トリプルなどさまざまなタイプの座席が用意されている。複数人で利用できる席もあるため、キャパシティは300から350といったところだろうか。 利用料金は30分180円からとそれほど安くないが、別途、特定のオンラインゲームをプレイするユーザーに向けた「オンラインゲームパック」が用意され、こちらは3時間500円からとアジア水準の安さになる。当然、「リネージュ」シリーズも対応しており、これが人気の要因のひとつにもなっている。 ただ、こうしたオンラインゲームに特化したサービスは、同店の専売特許ではなく、「リネージュ II」稼働率全国1位の理由とは思えない。結局のところ、日々「リネージュ II」を長時間プレイしてくれるロイヤルカスタマーをどこよりも多く獲得していることになるが、血盟(コミュニティ)単位でプレイできるカフェ席があることと、店員に「リネージュ II」のユーザーが多く、ある程度の質問ならその場で答えられるという環境の良さが奏功しているということのようだ。 同店の人気タイトルは、「リネージュ」シリーズを筆頭に、カプコンの「モンスターハンターフロンティアオンライン」、ガンホーの「ラグナロクオンライン」、ゲームオンの「MU」、ゲームポットの「スカッとゴルフ パンヤ」など。実は「リネージュ」シリーズ以外のタイトルも、全国水準でかなり高いランクにいるとのことで、オンラインゲームユーザーに幅広く支持されたネットカフェであることがわかる。
近年、オンラインゲーム市場の飽和状態に合わせるように、成長に鈍化の兆しが見えてきているネットカフェ市場だが、同店の繁盛ぶりは、やり方によってはネットカフェはまだまだアミューズメントスポット的なコミュニティ活性の場として成立するという好例といえる。@WANは、近畿地方限定でまだわずか3店舗とのことだが、今後のような広がりを見せるか楽しみだ。
■ より洗煉され、より楽しくなったイベントアトラクション。バトルトーナメントはタイタン大暴れ
同じ店内のすぐ側でやっているイベントの模様を、わざわざモニタで見るというのは妙な感じだが、普通に開催しようとすれば、前回の東京開催以上の混乱は免れない。何とかしてネットカフェでやろうというエヌ・シー・ジャパンの熱意とそのための努力には頭が下がる。ただ、ネットカフェチームのヘッドマネージャーの前田幸佑氏によれば、来年はまた別のアプローチを考えたいとのことで、このような形でのオフラインイベントはこれで最初で最後になるかもしれない。 今回用意されたアトラクションは、昨年同様、「リネージュ II」の人気コンテンツ“セブンサイン”を現実世界でやってしまおうという“リアルセブンサイン”スタイルで行なわれた。司会進行役にはリネージュガールの神崎藍さんとNC Japanパーソナリティの小川瀬里奈さんのふたりと、解説役としてエヌ・シー・ジャパンから山岸克也氏と等々力満氏のふたりの計4人で行なわれた。今回、実施されたアトラクションは以下のとおり。
「イベントアトラクション」
「サプライズドアトラクション」 今回、事前登録した参加者は、入場時にいずれかのイベントアトラクションに対応したボードが配られ、該当するアトラクションの開催時にメインステージとなっているオープン席に集うというスタイル。“リアルセブンサイン”として、「黎明の君主達」チームと「黄昏の革命軍」チームにわかれ、団体戦で競われた。 個人レベルで参加している参加者を、強制的に2つにわけ、個々人の技量に加えて、即席でのパートナーシップも試されるという趣向は、オンラインゲームのオフイベントとしてはこれ以上ないぐらいに良くできており、見ていて非常におもしろい。なんといっても対抗戦という構図に加えて、勝利したチーム全員に賞品が提供されるため、参加者達も事前に打ち合わせて、ジョブを調整したり、作戦を決めたりする姿が見られるのがいい。 中でも、大阪開催にかけて命名された「決戦!大阪夏の陣 ねねと淀 女の戦い!」は、大いに盛り上がった。ねねと淀に扮したリネージュガール達2人を、各チーム8名の参加者が、味方のリネージュガールを守りながら、敵のリネージュガールを撃破するというもの。昨年実施された「司祭を守れ! チームバトル」の変形版といっていいが、ステージがかなり狭くなり、大乱戦の中、嬌声を上げながら逃げまくるリネージュガールのキャラクタを、敵側の8名が追いかけるという構図がおもしろかった。 イベントアトラクションのトリを飾ったのが「バトルトーナメント2007」。今回は、ユーザーの意見を反映させて、大会参加のレギュレーションを下げ、なおかつ「レベル40以上で、5人の合計が320以下なら可」と編成にゆとりを持たせたことで、昨年以上の参加があり、よりバラエティに富んだ戦いが展開された。 今年は、レベル79タイタンを軸とした圧倒的な攻撃力で勝ち進んできた「青色」と、敗者復活戦を勝ち上がってきた回復力に優れる「生き延び隊」との戦いとなった。奇しくも同じエリカサーバー同士の一戦となったが、一撃必殺のレベル79タイタンの攻撃をしのぎきれず、2戦連勝であっさり青色の優勝が決まった。
余談だが、「リネージュ II バトルトーナメント」は、毎年決勝は、オフラインで開催されるが、当日不参加の場合、オンラインを通じての参加も認められている。だからなのかは不明だが、今年は両チームとも欠席が目立ち、優勝した青色に至っては、リーダー1名のみという有様だった。オフラインで観戦するからにはやはりオフラインならではの醍醐味を堪能したい。メインイベントが形骸化しないためにも、過半数の参加を必須とするなどのレギュレーションの厳格化を提案したい。
■ 当日お楽しみのサプライズドアトラクション。OE大会は+15まで到達
今回は、赤く光る+16のOEに成功すると、Bグレードの+16武器が貰えるというボーナス付きとなっていたが、安全強化値を超えた強化(いわゆるオーバーエンチャント)になると、軒並み失敗者が続出し、+16はおろか、2桁台に到達する人もまれだった。最高記録は+15。惜しい。 イベントの最後には、「武士の五分」と題したバトルロイヤルが開催された。来場者全員を対象に先着順で参加できるとあって、32席のオープン席ではかけ声と同時に激しいイス取り合戦が繰り広げられた。 「リネージュ II」のバトルロイヤルは、5分ごとに戦場が物理的に狭くなるという独自ルールがあって、序盤は各人ともにターゲットにされないように円柱状の浴槽をぐるぐると回る魚のような状態がある程度続き、狭くなるにつれて徐々に追いつ追われつの乱戦となっていく。最終的には剣を振れば必ず届くという距離まで縮まり、手に汗握る大打撃戦となる。システム的な演出のうまさが光るモードだ。 今回、1日通してアトラクションイベントを観戦して気付いたのは、「リネージュ II」は観戦用の機能が非常に充実しているところだ。この機能により、観戦者は単にオブザーバーの視点から試合を眺めることができるだけでなく、参加選手のHPや、繰り出されたコマンドの内容などをリアルタイムで知ることができる。「リネージュ II フェスタ」が毎回、大きな盛り上がりを見せるのは、このシステムの存在が大きい。 ほとんどのオンラインゲームでは、オフラインイベント向けの特別なシステムは用意しておらず、単にオブザーバーの視点で試合を映し、解説者の状況解説に依存している。しかし、実況解説はある程度の知識がないと理解が難しいケースが多く、伝えられる情報量も限られてしまう。ところが「イベントマッチオブザーバーシステム」と呼ばれるこの機能の場合、参加者全員のステータスがリアルタイムで表示されるため、ゲームに不慣れなユーザーでも試合の流れを正確に把握することができる。さすがは韓国を代表する人気タイトルなだけあるといった印象だ。 同システムの使用は、現状では残念ながらオフィシャルイベントのみに限られるが、これがユーザーレベルとまではいかなくても、ネットカフェレベルまで解禁されれば、もっともっとオフラインイベントが盛り上がることが予想される。オフラインイベントの要諦は、ゲームジャンルを問わず、いかに試合の内容をわかりやすく観客に伝え、感動を共有できるかというところにある。
この点では、「リネージュ II」は、他のオンラインゲームの一歩先を行く印象だが、「Half-Life TV」のように、ゲームクライアントを使って自宅から観戦可能になるのが理想だ。「リネージュ II フェスタ」の理想としては、やはり「リネージュ II」加盟全店舗へのリアルタイム配信ということになるだろうが、来年の「リネージュ II フェスタ」はどのような形で開催されるのか楽しみだ。
□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2007年8月26日) [Reported by 中村聖司]
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