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「リネージュII」は2002年にユーザーの前に姿を現わして以来、韓国を代表するMMORPGとして韓国オンラインゲームを牽引し続けているタイトルである。今回追加される新要素も、他の作品に大きな影響を及ぼしていくだろう。本稿ではエヌ・シー・ジャパンで行なわれた体験会でのスクリーンショットと共に各要素を紹介していきたい。
■ ティラノサウルスや、ワニ人間……巨大は虫類の闊歩する新エリア「太古の島」
また、島には「エルクロッキー」というワニ人間が住んでいる。フィールド上のエルクロッキーは凶暴な存在だが、村や集落にいるエルクロッキーは温和で、会話をしてクエストを受けることもできる。クエストには新しいAグレードの武器や製作図を入手できるものや、血盟名声を増加させるものなどが用意されている。 ただし、この島はレベル75以上のキャラクタを対象にしており、現状のフィールドの最難関エリアとなっている。現在のキャラクタのレベルキャップは80、最強のキャラクタがパーティーを組まなくてはとても進むことはできないだろう。太古の島の恐竜の配置の密度の濃さには驚かされた。歩いているとあっという間に取り囲まれてしまうことも多かった。 登場する恐竜は騎乗することができるペット「ストライダー」の野生種と思われる「ワイルドストライダー」や、大きな目が特徴の「オルニトミムス」、小さいが集団で襲ってくる「デノニクス」など多彩だ。様々な生物の特徴が混じった、「リネージュII」らしい様々な生物の特徴を混ぜ合わせた“混沌”の匂いがする不気味な恐竜「ランフォリンクス」や、常に自分に魔法をかけてパワーアップする魔法植物「アラクノイド」なども存在する。 プレーヤー達の最大の脅威となりそうなのが最強の暴竜“ティラノサウルス”だろう。今回登場するフィールドモンスターの中では最も大きく、細部まで気合いの入ったモデリングで、この恐竜の討伐は冒険者達の大きな目標になりそうだ。ティラノサウルスは特別に強いモンスターのようで、これを“弱らせる”ための専用のクエストと、アイテムが用意されている。 弱体化させるアイテムとは「エルクロッキーの捕獲器」というもので、これに更に「捕獲石」という消費アイテムが必要になる。このアイテムを持っている時プレーヤーは「カボクーラ」、「タピラワ」、「シャボノバ」という3つの特別なスキルを使用できる。タビラワはティラノサウルスが身体を揺するアクションに、シャボノバは暴れた時に有効、というように、ティラノサウルスの動きに合わせてこのスキルを使いわけなくてはならないようだ。残念ながら今回はその効果を確かめることができなかった。冒険者達の解析を待ちたいところだ。 この島にはレイドボス「サイレン」が登場する。このボスに挑むためには3つのストーリークエストをクリアしておかなくてはならない。最終クエスト「サイレンに向かって突撃!」はレベル77以上のキャラクタが対象になっており、専用のフィールドで次々と現われる恐竜を倒した後にサイレンが登場する。ティラノサウルスを超す巨大な恐竜モンスターであり、その姿は圧巻の一言だ。ただし、このモンスターはレイドボス扱いだが、熟練したプレーヤーによるパーティーならばフルメンバー(9人)でも撃破可能な強さの設定になっているという。 恐竜が闊歩するこの新フィールドは、歩いてみるとちょっと小さい印象も受けるが、とにかく恐竜達の密度が高いため、とても危険な場所になりそうだ。非常に小さいデノニクスすら高レベルモンスターで、更に体力回復系のスキルを持っているようで容易には倒すことができなかった。また、何で使うかわからないが、「恐竜の卵」というオブジェクトも発見できた。
「恐竜の島」ということで、モチーフという点で「グラナド・エスパダ」の以前のアップデートともかぶる部分があるのが惜しいところだ。ただ、ゲーム性においてはまったく違うもので、実際に歩いてみればその印象はまるで異なる。冒険者達がこの島で何を見つけるか、楽しみである。
■ 中級者も楽しめる「アイテム精錬」、強力武器を“試用”できる「幻影兵器」、上級者の新たな目標「新Aグレード」
精錬にはCグレード以上の武器と、「生命の石」、「ジェムストーン」というアイテムが必要になる。生命の石はモンスタードロップによって入手できるが、様々な等級と、指定レベルが設定されており、“最上級”の高レベル向けの石はレイドボスやボスモンスターでの入手確率が高い。ジェムストーンは精錬の“手数料”ともいうべきアイテムでCとBグレードの武器には「ジェムストーン:Dグレード」が、AとSグレードの武器には「ジェムストーン:Cグレード」が必要となる。 精錬の特徴は様々なオプションがランダムで付くことだ。その効果は、装備することでステータスが上がったり、攻撃力や魔力、命中率など戦闘力が上昇するもの、更には独自のアクティブスキル、パッシブスキルがつくものもある。魔法使い用武器なのに著しく攻撃力が上昇してしまった、というようなことも起こる。精錬は手数料を払うことで解除することができ、必要アイテムさえ揃えれば何度でも精錬し直すことができる。 この精錬アイテムは、一度精錬してしまうと個人倉庫に保管のみ可能で、トレードや、販売、ドロップが不可になる。上級者などは狩りやオリンピアードの時に武器の貸し借りを行なっているが、精錬アイテムではできない。また、どんなオプションで満足するかは個人で変わってくる。優秀な武器を複数持っているような最上級のプレーヤー達は何本かの武器をお気に入りの値まで精錬し、状況に合わせて使いこなすということも可能だろう。 「幻影兵器」というアイテムもユニークな要素だ。1次転職完了時と、2次転職完了時にそれぞれDグレード、Cグレードの「幻影兵器交換券」が入手でき、これと引き替えか、村の武器商人から、レベル40以上のキャラクタが購入できるこのアイテムは、入手しづらい高価な武器を“お試し”で使うことができる。 幻影兵器には魔力(耐久度)が設定してあり、速いペースで減っていく。今回テストとして購入したアイテムは最初300の魔力があったが、1分で1減っているようだった。価格帯は取引されているアイテム相場のおよそ100分の1といったところだが、「リネージュII」は狩りに必要な時間が長いため、狩りのために購入するというにはやや高額だと感じた。 適性レベルの最強武器をとりあえず持たせてみたい、といった遊び方か、戦争時にいつもは使わない弓を幻影兵器で代用する、という使い方が一般的になるのだろうか。最も有効な使い方としては、倒されると高確率でアイテムをドロップしてしまうPKが、落としても後腐れない武器として使用するということも考えられる。 今回追加されるAグレードの新装備は上級者の間で話題を集めそうな武器だ。Aグレードはレベル61~75(76以上のキャラクタにはSグレードアイテムを装備できるようになる)のキャラクタが対象で、従来のAグレードと比べても性能がよいものが多く、人気を集めそうである。単純に装備の幅が広がったのもうれしい。 ただ、これら新アイテムの材料を入手できるクエストというのが、レベル75以上のキャラクタが挑戦できる太古の島のクエストだというのが少し問題に感じた。Sグレードを手にした超上級プレーヤーが、本来そのアイテムが必要なプレーヤーのためにアイテムを取るという図式になる。上級プレーヤーの更なる富の独占に繋がりかねない。ゲームの設定部分で疑問に感じるところだ。 この他、ヘアアクセサリとして傷跡やバタフライヘアピン、独眼といったアクセサリが追加された。これらのヘアアクセサリはパッケージに付属する「提督の制帽」以外は、オリンピアードやレイドボス、闇の祭典を通じての入手ということで、多くのユーザーが個性的な格好を追求できる、というものではないではない。「リネージュII」はアバター要素が少なく、筆者は不満に感じているのだが、“上級者のみがほんの少し外見を変えることができる”という方向性は今回も変化がなかった。他のMMORPGの様に、自分なりのオシャレが楽しめる要素を今後も要望として出していきたい。
アイテムの追加要素ではやはり精錬に魅力を強く感じる。今回のテストでは実際に、どんな効果を生み出すのか何度も試してしまった。追加スキルなどは特に興味深く、プレーヤーの報告を待ちたい。自分の目指す武器を目指して何度も精錬をしたり、精錬を解除して後になって大きく後悔したりと、悲喜こもごもを生み出していきそうだ。
■ 協力技や新召喚獣なども登場する新スキル、人を狂わす呪われた剣「アカマナフ」
テンプル ナイトが習得する「サモン アトラクト キュービック」は敵に持続的にヘイトとホールドを使う光の球を呼び出す。テンプルナイトはこの魔法の他、敵にダメージを与えるストームキュービック、パーティーを癒すライフキュービックという魔法を以前から持っており、合計3つのキュービックを扱うキャラクタとなる。今回増えたスキルや魔法の中には「フェニックスの血」や、「アインハザードの聖水」、「バトルシンボル」といった新アイテムを使用する必要があるものがある。これらのアイテムは象牙の塔で購入できる。 また、エレメンタルマスターは「ユニコーン マグナス」を、スペクトラル マスターは「スペクトラル ロード」を、アルカナ ロードは「キング オブ キャット」を、ウォースミスは「ボンバード キャノン」をそれぞれ召喚できるようになった。特に圧巻なのがボンバード キャノンだ。ずんぐりとしたカエルのロボットのような外見をしており、攻撃を指示すると大きな口から砲身がせり出してきて、砲撃形態へ変形する。 ボンバード キャノンは新しい“攻城兵器”であり、攻城時のみ使用できる。城壁や構造物に影響を受けず放物線を描く砲弾を発射し、着弾地点で範囲攻撃を行なう。今までの攻城兵器と違い「対人兵器」となっており、着弾地点のキャラクタとNPCにダメージを与える。注意しなくてはいけないのは、このダメージは敵味方を問わないというところだ。また、ターゲットを指定するという従来の「リネージュII」の攻撃の仕方とは異なり、ボンバード キャノンは召喚者の向いている方向に砲撃する。運用には注意が必要となるだろう。 新スキルで特に気に入ったのは「バトルスタンス」というスキルによってエネルギーを2キャラクタ以上に分け与えてもらって初めて発動できる“協力技”ともいえるスキル「シンボル オブ フィスト」だ。発動すると大きなフィールドが発生し、この中ではHP、CPの回復力が大きく増す。防御力を増す「シンボル オブ ガーディアン」といったスキルもある。「リネージュII」は9人でパーティーを組めるため、前衛職が3人以上は揃いやすい。 今回追加された協力スキルも狩りで積極的に使われるスキルになりそうである。ちなみにスペルユーザー向けにも「スペルスタンス」という相手にエネルギーを分け与えるスキルと、それに対応するスキルが用意されている。クロニクル2で「合体魔法」というシステムは追加されていたのだが、以前のものは性能やが充分でなく、使い勝手も悪かったためかったため不評だった。今回の協力技はエフェクトも派手で、人気を集めそうだ。 血剣「アカマナフ」はクロニクル5で追加された魔剣「ザリチェ」と同じような呪われた剣である。ザリチェが大きな両手剣だが、アカマナフは対になった禍々しい2振りの剣で、2刀流武器となる。サーバーに1つしか存在せず、手にしたキャラクタは強大な力を一時的に得ることができる。この剣はそれが持つ者が死亡することで持ち主から離れる。所持している間はPKと同じカオティック状態になる。 前回のザリチェが追加されて感じたことは、「これは本当に人を狂わせる剣だ」ということだ。ザリチェを持った者が狂ったように無差別PKに走るかというとそうではなく、実際にはこれを手にした上級者が、一人で強力なモンスターを倒して荒稼ぎするという状況が問題となった。その強力な魅力のために奪い合いが起こったり、血盟や同盟でのごたごたの種になったりした。今回、それが2つになるということで、どんなことが起こるのか、少し心配もしている。どんな状況になるか予想もつかない。 一方でPvPはパーティーによる“決闘システム”が導入され、盛んになりそうだ。相手に対して宣戦布告をし、向こうが受けるとカウントダウンが始まる。決闘時にはキャラクタの足下にそれぞれの所属を示す光の輪が生まれ、視覚的にもわかりやすい。攻城戦時の連携の練習や、プレーヤー主催のGvG大会なども行なわれるだろう。欲を言えば、開催されていない「オリンピアード」のルールや会場を“練習用”として今後は開放して欲しい。 この他にも今回は体験できなかったが、城主専用の新スキルや、新レイドボスなどが追加される。また、スキルやアイテムの仕様やバランスも変更されており、様々な変化をもたらしていきそうである。ただ、正直なところ今回のアップデートは「今までの中で一番小規模かもしれない」という印象を受ける。多くの要素が既存のコンテンツのパワーアップに過ぎないというのが正直なところだ。 しかし、精錬のシステムがプレーヤーに与える影響はかなり大きいのではないかと予想される。極めて低い確率であるが、精錬によって付与される特殊スキルは今までのシステムを大きく変える可能性をもたらすかもしれない。これがゲームバランスを崩してしまうかもしれないという心配もある。「リネージュII」ではアップデートで変わったバランスを、次のアップデートで強引に修正して、結果として新要素の魅力を半減させてしまう傾向がある。精錬の面白さを減らしてしまわないようにしてもらいたい。
韓国では次のアップデートの要素が発表され始めており、ユーザーの間で話題になっている。まだ詳細は明らかになっていないが、韓国では4月後半からテストサーバーがスタートするのではないかと噂もある。今回のアップデート「インタールード」は、既存のプレーヤーに変化をもたらすものが多い。新要素によって現在の「リネージュII」のプレイスタイル、プレーヤー社会がどう変わっていくのか楽しみである。
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□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2007年3月26日) [Reported by 横山譲/勝田哲也]
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