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【連載第10回】大人による大人のための洋ゲー連載
■Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」■
ラリーの応酬に思わずウットリ!?
Rockstar Gamesが贈る卓球ゲームの決定版
Rockstar Games Presents
Table Tennis |
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記念すべき連載10回目は「Rocstar Games Presents Table Tennis(以下、「Table Tennis」)」のWii版をご紹介したい。このWii版は2006年5月にXbox 360で発売された同名のゲームソフトの移植版で、Xbox 360版は日本でもマイクロソフトから発売されたのでプレイした方もいるだろう。
Wii版は現時点で日本版発売の具体的なアクションがないところが、海外ゲームファンにとっても要注目のポイントと言えるだろう。スポーツゲームとWiiリモコンとの相性が良いのは「Wii Sports」などで既に実証済だが、本作の題材となっている「卓球」のような激しいスポーツをWiiとWiiリモコンでプレイした場合、果たしてどのようなゲーム性になるのか、筆者も興味津々だったり。
そして今回のダウンロードコンテンツ(DLC)は、FPSユーザー期待の「Time Shift」の体験版を取り上げる。発表から発売まで随分と時間の経ってしまった……という海外ゲームではよくある紆余曲折を経てようやく登場した注目作の出来をチェックしてみた。
【お断り】 |
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当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
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■ あのRockstar Gamesのセンスと地味スポーツの代表格・卓球が合体
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卓球と言えば中国、ということでこの中国代表Liu Pinが主人公格のキャラクタとして登場する
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リプレイ機能ももちろんついてくる
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Rockstar Gamesといえば、言わずとしれた超大作「Grand Theft Auto」シリーズの開発元としてその名を轟かせているが、この会社は小粒ながらも、なかなかに楽しめるタイトルをコンスタントに世に送り出している。例えば同名の映画を題材にした「The Warriors」や、本連載でも取り上げた学園生活を描いたアクションゲーム「BULLY」や残酷表現で物議をかもした「Manhunt」などが挙げられる。
今回ご紹介する「Table Tennis」もそんな小粒だが味わいのある佳作タイトルの一つ。卓球というマイナーなスポーツを題材にしつつ、随所にRockstarらしい演出がキラリと光る「地味だけどセンスが良くてカッコいい」ゲームに仕上がっているのが特徴だ。
オリジナルのXbox 360版は、Rockstar San Diegoが開発を担当している。もともとこのスタジオはRockstar Gamesに合流する前はAngel Studioという名前で、マイクロソフトから発売されていたPC向けのドライビングゲーム「ミッドタウンマッドネス」シリーズなどを手がけている。現在の代表的なタイトルは「Midnight Club」シリーズで、やはりドライビングゲームに強いスタジオという印象がある。
一方、Wii版は同じRockstar Games傘下のスタジオでRockstar Leedsの手によるものだ。こちらも、もともとはMobius Entertainmentという独立系のスタジオで、2004年にRockstar Gamesに合流するまでは「MAX PAYNE」や「American Idol」などの各タイトルのGame Boy Advance版などを開発していた。
現在同スタジオの主なタイトルはGTAのPSP向けリメイク版と言える「Grand Theft Auto Liberty City Stories」や「同 Vice City Stories」、その他RockstarタイトルのPSP版の移植を手がけており、携帯ゲームプラットフォームを得意としている。
本作は前述した通り、既に発売されているXbox 360版の移植版なので、ゲーム内容はXbox Liveを使った対戦を除いてほぼオリジナル版を踏襲している。ここでは主にWii版の特徴などを中心に見て行きたい。
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白熱のプレイがWiiでも楽しめる! |
1対1の戦いを題材にしたスポーツゲームは実は少ない
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■ シンプルなゲームルールと光る演出がゲームの特徴
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ゲームモードはいたってシンプル
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トレーニングはまず最初に必ず一通りプレイしよう
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操作方法を覚えるには1にも2にもトレーニングだ
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本作はフルプライス(一般的には59.99ドルないしは49.99ドル)より10ドル安いバリュータイトルの位置づけにあるためか、システム自体はシンプルそのもので「トレーニング」、「トーナメント」、「エキシビジョン」の3つしかゲームモードは存在しない。余計なゲームモードがゴテゴテと付いているよりは洗練された印象があり、物足りないというよりはむしろ卓球のプレイに集中できる感じで好印象を受ける。
「Table Tennis」初体験プレーヤーは、まず面倒くさがらずに「トレーニング」を全てこなしておくことをおススメしたい。当然のことながら「はじめてのWii」に収録されている「ゆびさしピンポン」ほど単純ではないので、まずどのような操作でショットが打てるのか、これは実地で学ばないと理解することが難しい。せめて相手のコートの狙った部分にボールを落とす方法と、スマッシュの打ち方くらいは覚えておいた方が賢明だ。
「トーナメント」は難易度別に数種類用意されており、当然勝ち進んでいくたびに相手が強くなっていく。決勝まではかなりの試合数をこなさないといけないため、プレイに挑む際はある程度時間に余裕をもっておく必要がある。「エキシビジョン」は選択したキャラクタ同士で単発の試合を行なう。Wiiリモコンが2つあれば対戦プレイも楽しめる。
プレーヤーは、11人のキャラクタから1人選び試合に挑む。デフォルトの状態ではほとんどのキャラクタがロックされており、試合に勝つことで徐々にアンロックされていく。それぞれのキャラクタには、サーブがうまい、パワーがある、スピンにキレがあるなど、きちんと特徴づけがされており、プレーヤーのスタイルによって使い分けて行くと良い。
ビジュアル面はWiiというハードウェアのスペック上、オリジナルのXbox 360版がHDクォリティだったのに対して、Wii版はSDのレベルに落とし込まれている。両バージョンを見比べると差は一目瞭然なのだが、Wii版自体のビジュアルがダメ、という訳ではなく、もともと広大なフィールドだの、ド派手な戦闘シーンだのがあるゲームではなく、あくまでも卓球台がメインという狭い世界のゲームなので、解像度的なもの以外は大差がない。
BGM/SEの演出はこのゲームのおススメしたい特徴の一つで、本作の雰囲気づくりに欠かせない要素になっている。ラリーが続いてくるとテクノ系のBGMがフェードインしてきて、ラリーの応酬とBGMがとけ込んで、何ともプレイしていて気分が良い。この瞬間こそが「Table Tennis」をプレイする最大の醍醐味になっている。
観客の声援や反応も非常にタイミングよくつくられており、ハッと思わずミスをしてしまった瞬間の反応や、好プレイをしたときの歓声など試合の流れによって適切な反応がされるため、臨場感あふれる試合が楽しめる。このあたりの目のつけどころというか、センスは「さすがRockstar」と感心してしまう。
■ リモコンはブンブン振らなくてもOK!的確な状況判断が勝利の秘訣
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日本代表のクミ。最初のトーナメントで戦う相手となる |
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試合中ここだ! というシーンはカメラが切り替わる
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Wii版「Table Tennis」最大の特徴は、コントローラーからWiiリモコンによる操作方法の変更にある。実際にWiiリモコンを振ってラケット操作を行なうので、より実際の卓球をプレイする感覚に近い。なおかつ体を動かすことによって、ゲームをやり続けることで運動効果も得られる!? というメリット抜群な仕様になっている。
実際の卓球はラケット1つで済むが「Table Tennis」の場合はWiiリモコン+ヌンチャクコントローラーが必要となる。ヌンチャクは、キャラクタを動かしたり、相手のコートにボールを落とす位置を調整するために使用する。これはおそらく、純粋なWii向けタイトルならWiiコントローラひとつで行なえたはずだが、Xbox 360版のコントローラー操作をWiiに落とし込む際、元の仕様に合わせるために必要に迫られたのだと思う。
ラケットを振るのはもちろん、Wiiリモコンを使い打ち返す方向に振る。スピンをかけるときは十字ボタン。上でトップスピン、下でバックスピン、左右でそれぞれのスピンをかける。Aボタンでソフトショット、Zボタンでフォーカスショットと、Wiiのゲームにしては、ボタン操作はなかなか忙しい仕様になっている。
ただ、ゲームとしてある程度ビギナーでも楽しめるようにするためか、Wii版では、Wiiリモコンを振り回してダイレクトにボールを打ち返す訳ではなく、相手が打ったボールを自分のキャラクタが打ち返せる範囲にある間にリモコンを振っておけば、キャラクタが自動的に打ち返してくれるような仕様になっている。
このため相手プレーヤーの難易度が低いうちは、かなり余裕のあるプレイになるが、一度相手が強くなってくると瞬間的に打ってくるショットを見極めて打ち返す必要があり、実際の卓球と変わらない緊迫感のある試合が楽しめる。相手が強くなればなるほど、展開が早くなってくるので、より的確な操作が必要になってくる。
プレイしてみた感じだと、とりあえず相手がどんなショットを繰り出してくるかわからない時は、すかさずリモコンをブンと振っておいて一回ボールを返した上で、次のチャンスをねらうやり方が有効だ。この場合、時々フェイントでソフトショットでネットにひっかけようとしてくるとアウトで、序盤戦のみに有効だ。ラリーが長くなってくると、テーブルの上の騙し合い合戦のようになってくる。きっちり打ち返すタイミングも計れるくらいの冷静さは失わないようにしたいところだ。
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ネットを狙う作戦はなかなか巧妙で難しい |
試合に勝つと使えるユニフォームの種類が増えていく |
■ スポーツゲーム好きのWiiユーザーは要注目の一本
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トーナメントに勝つとキャラクタがアンロックされる |
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リプレイ機能はあまり充実していない
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「Table Tennis」は、正統な卓球ゲームとして必要な要素を全て網羅している。1対1で戦うシンプルさ、洗練された演出からくるカッコ良さ、ひたすらショットを打ち返すストイックなプレイスタイルは、地味なスポーツをRockstar Gamesの持つ一流のセンスで魅力溢れるものにしている。他のスポーツゲームフランチャイズでは決して体験できない要素に満ちたゲームだ。
欲を言えば、ダブルスや団体戦といったゲームモードや、ラケットやラバー、シューズなどを細かくカスタマイズできる機能があれば、より本格仕様となったはずだが、そこまでしてしまうと卓球経験者でなければわからない世界になってしまうため、手軽に格好良く卓球を楽しませるためには、この態度の落とし込みが妥当なのかもしれない。
最近のスポーツゲームはフランチャイズモードなどのマネージメントまで関わるゲームモードや、キャラクタ作成機能、ミニゲームなど、次のシーズンまで丸々1年間は遊べるようにゴテゴテと色々な機能が付きすぎていて、スポーツゲーム本来の良さである、誰でも知ってるルールで、手軽に楽しくプレイできるという部分が必ずしも活かされていないように思える。この点、「Table Tennis」は十分に合格点を与えられる内容だ。
スポーツゲームをもっと楽しもう、という趣旨ではEA Sportsのエクストリームスポーツ系タイトルが頑張っているのだが、「Table Tennis」では、必要な機能以外は全部そぎ落として「プレーヤーに卓球をさせる」という本来の要素にのみ徹底的にフォーカスをあてているので、ゲームとして非常にとっつきやすい。
ささやかな不満点としては、リプレイモードが貧弱であるということが挙げられるだろう。カメラの視点も3種類程度しかなく、どれもが視点としてはかなり微妙なのが惜しい。フリーカメラもないため、プレーヤー独自の視点から試合を見直すことができないのは、ちょっとつまらない。スポーツゲームには、最高の瞬間を様々な角度から見なおせるための機能は必須だ。
「Table Tennis」は移植もので、しかもバリュータイトルという位置づけにはあるが、スポーツゲームに飢えているWiiユーザーにはかなりおススメできる一本と言える。他の有名スポーツフランチャイズゲームのWii版の少なくないタイトルがあまり良好とは言えない移植内容になっているのに対して、このゲームは間違いなく楽しめるのだから、任天堂純正タイトル以外はまだまだクオリティにバラつきのあるWiiのゲームラインナップの中では貴重なタイトルと言えるだろう。
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トーナメントは男女混合。比較的女性のキャラクタが多い |
キャラクタの表情はリアルで豊かだ |
(C) 2006 Rockstar Games. All rights reserved.
Rockstar Games, Rockstar North, Rockstar Leeds, Rockstar Lincoln, Rockstar San Diego, Rockstar Toronto, Rockstar Vancouver, the logo, and related logos are trademarks and/or registered trademarks of Take-Two Interactive Software, Inc.
□「Rockstar Games Presents Table Tennis」公式ホームページ(英語)
http://www.rockstargames.com/tabletennis/
■ 今すぐチャレンジできる! ダウンロードコンテンツ
第九回:時間を操る戦士になろう! 「Time Shift」
- ジャンル:FPS
- デベロッパー:Saver Interactive
- プラットフォーム:PS3、Xbox 360
- 価格:無料(体験版)
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時間をスローにして敵に肉薄 |
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戦車砲の弾だってヒラリとかわす
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時間をとめれば強大な戦車に対しても優位に戦える
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前回お休みしてしまったが、今回のダウンロードコンテンツ(DLC)は話題のFPS「Time Shift」の体験版をご紹介したい。プラットフォームはPS3、Xbox 360、PCの3機種あるが、先週末(2007年11月2日)から北米のPlayStation.storeで体験版が公開されたPS3版を取り上げる。
折しも年末商戦ラッシュで次々と大作がリリースされている中、本作「Time Shift」も今年の年末を飾る主要タイトルの一つとして発売が期待されている。2年以上前に本作が発表されて以来、パブリッシャーの変更やクォリティアップのため発売を1年延期するなど、紆余曲折あったタイトルで、FPSファン的にはやっと出た待望の1本、と言う位置づけになっている。
主人公は時間を操れるスーツを着ており、このスーツの性能を活かして難所を突破していくことが本作の最大の特徴になっている。時間の操り方には大きく分けて「スロー」、「ストップ」、「巻き戻し」3つがある。「スロー」は敵の攻撃をかわしやすくなり、「ストップ」を選べば戦車などの通常では対抗できない敵にも肉薄して攻撃を仕掛けることができる。
時間を操る要素として面白いのは最後の「巻き戻し」で、敵の集中砲火などで「もうダメだ……」という状況になった時に発動させると、時間が巻き戻って攻撃をされる前の段階まで戻すことができる。実際にビデオの巻き戻しをしているように破壊されたものが次々に巻き戻って正常な状態に戻って行く様子がリアルタイムで描写され、緊迫感と迫力ある映像が楽しめる。
ゲームそのものは、時間操作の各機能を要所要所でうまく使ってピンチを切り抜けて行く以外はオーソドックスな内容に仕上がっており、今年のトレンドである仲間と一緒に戦う協力プレイではなく、1人のヒーローが強大な敵と立ち向かうという、昔ながらのランボータイプのFPSに仕上がっている。
体験版では一部分のミッションしか遊べないバージョンながら、丁寧につくられている印象があり、爆発のなどの演出面の作りこみは敵の兵士が爆風で吹き飛んだりするシーンでおおいに発揮されており、プレイしていていると製品版にも期待感が出てくる内容に仕上がっている。
ひとつ不満点を挙げると、難易度がべらぼうに高いということが気になった。一番やさしい「カジュアル」レベルでも他のFPSに比べると、かなり難しい。プレーヤーキャラクタの体力は、しばらく放っておくと自動的に回復してくれる仕様なのだが、1発あたりのダメージが大きく、ちょっとした油断ですぐにゲームオーバーになってしまう。
時間操作をうまく使えということかもしれないが、操作できる時間も限られ、再チャージもすぐにはできないため、何かとタイミングとやり込みが必要なプレイスタイルになっている。この点では、プレイ感の爽快さも重視されるFPSゲームらしくないデザインだ。
PS3版はXbox 360版に操作を合わせるせいか、プライマリの武器発射がR2ボタンになっており、グッと押し込まないと弾が発射されないのと、サブウェポン(R1)とよく間違えてしまう。SIXAXISコントローラーの性能上、振動もないのでゲームプレイが今ひとつ味気なくもある。製品版では本作がDUALSHOCK 3に対応していると非常に嬉しいのだが……。
いくつか目立つアラはあるものの、FPSファンとしてはプレイする価値が十分にあるタイトルと言えるだろう。まずは体験版で吟味した上で、じっくりと製品版の購入を検討してみていただきたい。
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PS3版はL1ボタンを押しながら時間を操る |
爆発などのエフェクトはなかなか迫力がある |
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目前に爆発が迫る、危機一髪の瞬間が!? |
時間を戻せばこの通り爆発も引いて行く |
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全般的に敵の攻撃はかなり激しい |
わかりにくいがゲームにはゴア表現(肉体の欠損などの残酷描写)が含まれている |
(C)2007 Sierra Entertainment, Inc. All rights reserved. Designed and developed by Saber Interactive. TimeShift, Sierra and the Sierra logo are either registered trademarks or trademarks of Sierra Entertainment, Inc., in the U.S. and/or other countries.
□「Time Shift」公式ホームページ
http://www.timeshiftgame.com/
(2007年11月7日)
[Reported by Game Dude]
当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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