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【連載第9回】大人による大人のための洋ゲー連載

Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」

ポスト「Tony Hawk's」シリーズを狙った
EA発、次世代機向け正統派スケボーゲーム

skate.

  • ジャンル:スケートボード
  • デベロッパー:EA Black Box
  • パブリッシャー:Electronic Arts
  • プラットフォーム:プレイステーション 3/Xbox 360
  • 価格:$58.99(北米版)
  • レーティング:ESRB:TEEN(13歳以上)
  • 発売日:9月13日(英語版)


 今回は久しぶりにスポーツゲームを取り上げたい。スケボーゲームと言えば、Activisionの「Tony Hawk's」シリーズがほとんど唯一のメジャーなスケボーゲームとしてゲームファンには認知されているが、その独占的市場に乗り込んできたのが、Activisionに昨年北米トップシェアの座を奪われ、奪還に躍起になるElectronic Arts(以下、EA)だ。タイトル名もそのものズバリ「skate.」。本作の内容はいかに!?

【お断り】
 当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
 GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません



■ 次世代機限定の正統派スケボーゲームがEAから登場

 冒頭でも触れたが、「skate.」はスケートボードゲームに関して「Tony Hawk's」シリーズの独占状態だったがゲーム市場に、大手パブリッシャーであるEAが叩きつけた挑戦状と言える。開発スタジオはEA傘下でカナダに本拠を構えるEA Black Box Studioが行なっており、海外ゲームファンであればスケボーに興味がなくても注目をせざるを得ないタイトルだ。

 「Need for Speed」シリーズを開発している同スタジオは、EAタイトルの中でも質の高いゲームを世に送り出す事でゲームファンからの評価が高い。プラットフォームもXbox 360とプレイステーション 3という“正統派”の次世代機にフォーカスをあてることで、マルチプラットフォーム展開の弊害とも言える下位プラットフォームに仕様を合わせるということもしていない。EAのような大手パブリッシャーにしては珍しい戦略に、本作への期待感も高まるというものだ。

 今回はXbox 360版をベースにして紹介していく。Xbox 360およびプレイステーション 3どちらのバージョンも体験版が提供されている。PS3版に関しては北米圏のPS.Storeにアクセスする必要があり、また両バージョンともチュートリアルしかプレイできないのが残念だが、本作の醍醐味は十分に体験できるので、この記事を読んで本作に興味を持った方は、パッケージ購入前に試してみるといいだろう。

 さて、「skate.」は架空の街、San Vanelonaを舞台に、ストリートスケートボーダーであるプレーヤーの活躍を描いている。San Vanelonaは、一個の街を形成しており、車道には車が行き交い、歩道には通行人がいて、人々の生活が描かれている。街は4つのエリアに分かれていて、それぞれのエリアには特色ある風景を持っている。プレーヤーは街中をスケボーを使って縦横無尽に移動し、プロスケーターからトリック(技)を教えてもらったり、競技やライバルとの勝負に挑み、徐々に自分のキャリアを積んで行くわけだ。

 ゲームには実在のプロスケーターが数多く登場する。トニー・ホークに勝るとも劣らぬプロスケートボーダーの一人「マーク・ゴンザレス」ほか、MTVでユニークな生活が紹介されて話題になった「ロブ・デューディック」とそのボディーガード「ビッグ・ブラック」なども登場し、ゲームを盛り上げてくれる。余談だが、MTVの「Rob & Big」は人気スケートボーダーの生活がよくわかる筆者一押しの番組だ。

 それから、EAのゲームには今やかかせなくなった、ファッションや音楽などライフスタイル系コンテンツとのタイアップも積極的に取り入れ、本作にとってゲームを更に楽しむための重要な要素となっている。DC Shore、almost、NIXON、Adidas、NIKEなど、ストリートファッションやスケートボードメーカーの製品が実際に登場し、これらの製品を購入してコーディネートを楽しむことができる。

著名な実在プロスケーター達がゲーム内に登場するのも、このゲームの特徴の一つ。 ロブとビッグのコンビはまさに今が旬のチョイスだ



■ キャリアーモードでは基本的なトリックから学ぶべし!

The Resへ向かう坂道を滑るのはとても楽しい
The Resの美しい町並み
 さて、「ゲームモードは大きく以下のように分かれている。

●キャリアーモード
 プレーヤーはストリートのスケートボーダーになり、様々なチャレンジを重ねて行くことでスケボー雑誌に紹介され、有名になっていこう、という本作のメインゲームモード。

●フリースケート
 San Vanelonaの町中を自由に滑ることができる。キャリアーモード用に作成したキャラクター以外に、ゲーム中に登場する実在プロスケーターを使うことも可能。プロスケーターはキャリアーモード中でトリックを教えてくれる。チュートリアル役になっており、各スケーターがお題に出すトリックをクリアすれば、フリースケートで使えるようになる。

●Xbox Live(オンライン)
 最大4人までの対戦(ランク戦/非ランク戦)と、コミュニティ機能として「skate.」プレーヤー達が自分の活躍をムービーと静止画でアップして全ユーザーに公開できる「skate. Reel」と他のプレーヤー達の対戦が鑑賞できる「skate.TV」などの機能が揃っている。

●パーティープレイ
 1台のゲーム機でプレイする対戦モード。最大4人まで選択可能で、1人ずつトリックを決めて勝負をする。コントローラー自体は1個あればこれを使い回すことで対応することができる。

 その他、ゲームに登場するプロスケーターのムービー(これがまたカッコ良い)と、トリックをもう一度学べる「チュートリアルモード」と自分で撮影したムービーや静止画、コミュニティにアップされている静止画をダウンロードできる「メディア」などの機能が揃っている。それでは、さっそく本作のメインモードとなる「キャリアーモード」をご紹介して行こう。

 オープニング映像が終わると、キャラクタメイキングに移る。スケボーのスタイルや体格や髪型、皮膚の色などを選択できるが、あまり細かいカスタマイズはできない。体格などは後述のお店に行けばいつでも変更可能なので、あまり満足いかないキャラクターづくりができなくても、後で修正することもできる。

 ゲーム本編はSuburbs地区のコミュニティーセンター前からスタートする。San Vanelonaは「Suburbs」、「The Res」、「Old Town」、「Downtown」の4地区に分かれている。各地区は更にいくつかのエリアにわかれており、徒歩(というかスケボー)と地下鉄を使って移動を行なう。町中にあるイベントのための移動であれば、マップを開いて参加したいイベントを選択すれば直接移動もできる。(ちなみにスケボーから降りて歩くことはできない)

 ちなみに「Suburbs」は閑静な住宅街、「The Res」は坂道の多いちょっとした住宅街と商業施設が合体したような所、「Old Town」はヨーロッパの町並みのような古い建物が立ち並んだ場所で石畳が多い。「Downtown」はビジネス街とちょっとうらぶれた裏通りになっており、それぞれの地区は特徴のある町並みになっている。

 序盤はチュートリアルをこなしていくことで基本的なトリックを学ぶ。基本的に右スティック+ボタンでトリックを発動させるが、これがなかなか面白い趣向で、コントローラのアナログスティックの特性をうまく活かしたつくりになっている。EA Sportsのボクシングゲーム「Fight Night」で採用された「トータルパンチコントロール」というシステムがあったが、あれに通じるものをプレイしていて感じた。

 つまり、アナログスティックをトリックのイメージを描くようにグリグリやることで直感的にトリックをキメる操作形態で、慣れれば俄然こちらのスタイルの方が面白いが、慣れるまでがちょっと大変である。

 基本的なトリックは忘れないように、チュートリアルはしっかりとプレイしておいた方が後々の対戦時で役に立つ。トリックを忘れてしまった場合は、トリックブックを開けば操作方法と、既に学んでいるかどうかの確認もできる。

 トリックは「フリップ(スケボーをクルっと色々な角度で一回転させる)」、「グラブ(ジャンプした瞬間にスケボーをつかんだりする」、「グラインド(手すり、階段などを滑走する)」など大まかに3種類あり、これらのトリックを合わせて行くのが基本となる。

 アナログスティック操作でこれらのトリックを繰り出すのはなかなか難しく、確実にトリックをきめるには、実際と同じく何度も練習をする必要がある。指が疲れてくると思うような操作ができなくなってくるあたりが、地味に体育会系ゲームという感じで面白い。

 ゲーム中の様々な場所で練習は可能だが、建物の周囲などではスケートが禁止されているゾーンが設定されている所もある。ここにはセキュリティ(警備員)がうろついており、プレーヤーを発見するとダッシュで追いかけてくる。運悪く捕まってしまうと罰金を支払うペナルティが与えられる。これにはプレーヤーに公共マナーを学ばせるという視点もありそうだ。

地区間の移動は地下鉄が便利だ Downtownはビジネス街になっている
Old Townは古風な建物が多い イベントはマップから直接行くことができる




■ イベントに勝利して賞金を獲得、プロスケーターへの道を邁進

公道では事故にご注意!!
イベントに勝利すると賞金がゲットできる
 ゲームに少し慣れてきたら、早速対戦に乗り出そう。町中で赤いサインが出ているところは何らかのイベントの目印だ。序盤の対戦では以下のようなものが楽しめる。ちなみにチュートリアルは青っぽい色のサインが目印となる。どちらも、とんでもなく遠いところから視認できたりするので「なかなか到着しないなー」と思ったら、さっさとマップを開いて目的地に直行した方が早い。

●Photo
 カメラマンから出されたお題をキメる。クリアすると撮影された写真がゲーム内のスケボー雑誌に掲載されるかも!?与えられる条件がかなり制限されたシチュエーションが多いので、中盤以降はかなり難しい。

●Best Trick
 与えられたシチュエーションで、トリックを決めて制限時間内にライバルよりも多くのスコアを稼ぐ。例えば、階段の手すりをグラインド技でいかに多くのスコアを稼ぐかなど、得点の稼ぎ合いがなかなかアツい。ゲームによっては大会形式になっていて複数回対戦する場合もある。

●Skate
 ストリートスケートならではのルール。ライバルとタイマンでトリックの競い合いをする。ルールはどちらか一方がまずはトリックをキメる、次の人がそのトリックをコピー(同じトリックを出す)することができればOKで、失敗すると相手の失点となる。要するに相手の失敗を誘うまでトリックを出し続ける根気と粘り強さが求められる、なかなかアツいゲームだ。5回(s.k.a.t.e)失点した方が負けとなる。

●Film
 Photoの映像版。プレーヤーの活躍を映像で収録するのが目的。制限時間内にお題をこなすことが目的だが、Filmの面白いところはいつでもどこでも開始できることだ。画面右上にカメラアイコンがあれば、Xbox 360であればRBボタンを押せばその場でスタートできる。つまりこのゲームの成功の秘訣は、お題をこなせるだけの環境が揃った所を探し出せるかにつきる。



 これらのイベントをクリアしていくことで、賞金を得る事ができる。獲得した賞金は町中にあるお店に行く事で、新しい洋服(上下)や靴、アクセサリーを購入したり、スケボー(デック/トラック/ホイール/チューニング)のカスタマイズをすることができる。これらアイテムは最初はロックされており、イベントをこなして行くうちに徐々にアンロックされていく。

 キャリアーモードの進捗は、スケートボード雑誌の発売タイミングで表されており、イベントをこなしていくと進捗ゲージが上がっていき、MAXに到達すると雑誌が発売、プレーヤーの写真がドーンと載りゲームのお話が進むことになる。このようにゲーム内の進み具合いが非常に明確なので、苦手なイベントは避けてもとりあえずゲージは上がって行くため、プレイスタイルにもある程度自由さを出すことができるので、つまみ食い的な方法でゲームプレイをしていくことも可能だ。

 さらに「Spot」というモードも存在する。これは町中に20カ所存在し、基本自分で場所を見つける必要がある。内容としては、Spot対象のエリア内でトリックをきめて規定のポイントを稼ぎ出せればOKというもので、レースとか競技性のある縛りは存在しない。

 要するにストリートスケートボーダーが無断で公共の場を使ってゲリラ的に滑ってパフォーマンスをする、というものをゲームの中に落とし込んだと思えば良いだろう。シチュエーションがかなり限定されるので、規定のポイントに達するトリックを出すには、トリックを熟知している必要があり、通常のレギュラーイベントよりも難易度は高いようだ。

トリックを学ぶには、ひたすら練習あるのみだ プロスケーター DANNY WAYの登場だ
俺の使ってる靴はこれだ!! 俺のスケボーのホイールはこれだ~!!というアピールが圧倒的


ショップでお買い物は楽しいひととき。ラウンジに行くと街のライバルも たむろしている。雑誌のカバレッジにはプレーヤーの写真も掲載される



■ スケボーゲームの下克上は成った!!

オンラインで他のプレーヤーの技を拝見しよう
レースゲームのようなモードも存在する
 「skate.」は、登場するプロスケートボーターのカッコ良さと、絶妙なカメラワークに思わず感動してしまった。顔の表情や体の動き、そしてキャラクタが登場する時にフォーカスされる身につけている服や靴、スケボーのブランドをビシっと見せつける所など、洗練されたビジュアルと演出面のウマさは、EAに一日の長を感じさせる。

 中でも、従来のスケボーゲームでは、やや上から見下ろしてプレーヤーキャラクタ全体がおさまるカメラ視点が一般的だったが、本作はプレーヤーの胴から下とスケボーが強調されるような視点からゲームを描くようになったのは特筆すべき点だ。表現が難しいが、ちょうど「Gears of War」で走っている時のような視点で本当に格好いいのだ。

 このカメラ視点では、スピード感やトリックを決めた時の迫力が段違いで、スケボーゲームというよりもスピード感満点のアクションゲームとしても楽しめる。旧世代のゲーム機を切り捨てて、次世代機スペックの恩恵をフルに受けた迫力あるゲーム画面を作り出しており、できるだけ大きな画面でプレイしたい!と思わずにはいられない。

 ゲーム内容もスケボー+αという欲張って失敗するパターンよりも、素直にスケボーで町中を疾走する楽しさとトリックをする楽しさ、そして現在のストリートスタイルに乗っ取ったゲームデザインを追求したことで、最近の「Tony Hakw's」シリーズの傾向だった「絶対あり得ない」非現実的なゲーム内容とは対局の位置にある正統派ゲームに仕上がっている。

 オンライン要素も充実しており「skate.TV」で他プレーヤーの勝負やフリースケートを観ているのも迫力があって楽しい。当然自分が対戦に参加するのもキャリアーモードをクリアーした後の楽しみだ。ただし、海外プレーヤーの腕前はかなり高く、skate.tvで観ていると絶対敵わないなあと溜め息が出てしまうこと請け合いである。

 今回「skate.」をプレイしてみて「Tony Hawk's」シリーズの独断場だったスケボーゲームジャンルに本作を投入することでEAが叩き付けた挑戦状は見事に当たり、下克上は成った、というのが筆者の正直な感想だ。それは海外のレビュースコアでも現われており、体験版をプレイすれば一発でそれを実感できるだろう。

 本作で唯一問題点を挙げるとすると、日本人ゲームファンにとってはスケボーというジャンルが、野球やサッカーに比べてマイナーな存在であり、なおかつ日本のゲームファン層にあまり適していないという点があるだろう。海外ゲームファンでもFPSやRTSはよくプレイしても、リアル系のスポーツゲームまではちょっと……という人が多いと思う。ちょっとした冒険感覚で「skate.」のようなゲームに触れてもらうことができれば、海外ゲームの面白さでも新しい切り口を発見することができると思う。

 「skate.」が今後フランチャイズ化されるかどうかは同作の売れ行き次第だが、更なる進化が期待できる新種のスポーツゲームの登場に、海外ゲームファンはぜひとも注目をしていただきたい。

新しいトリックを覚えたらひたすら練習 細部まで凝ったビジュアルは次世代機だからこそ実現できた
ケガは男の勲章と言わんばかりの図 マナーをやぶると罰金を取られてしまうので注意
オンラインモードはビデオゲームとしてはかなり充実している Photoモードの成功はタイミングが命
Spotに挑戦するには予め環境を熟知しておこう オマケとしてマーク・ゴンザレスのインタビューなどの映像特典もある


(C) 2007 Electronic Arts Inc. All Rights Reserved.

□「skate.」公式ホームページ(英語)
http://skate.ea.com/

(2007年10月24日)

[Reported by Game Dude]



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