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“歩いて旅する「指輪物語」の世界「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」ガイドブック”第5回目は、「特別編」として、10月3日に実装されたアップデート「王の都」の各要素を紹介したい。 「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」(LOTRO)では、現在、「エリアドール」と呼ばれる中つ国の北方地域が実装されている。今回のアップデートのテーマとなる「王の都」とは、かつてこの地にあった北方王国の都、「アンヌーミナス」を指す。この都は前回実装された新地域である巨大な湖「イヴンディム」のほとりにある。 前回はまるまる1地域が実装されたが、今回はそれほど大きな場所が追加されていない。しかし、アンヌーミナスは今まで以上に光と闇の勢力が激しく戦っている場所であり、プレーヤー達は指輪物語では語られていない戦いを体験することになる。ストーリー要素以外にも、「名声」といったやり込み要素や、遊びの幅を広げる要素がたくさん追加されており、より内容の濃いMMORPGに進化している印象を受けた。 「王の都」では、新エリア「アンヌーミナス」、「名声システム」、「トロル・野伏・鶏への変身」、「スキル・バランスの改良」といった要素が追加されている。順に紹介していこう。
■ 高レベルプレーヤー向けの新地域アンヌーミナス。闇と光の勢力が激しく戦う場所
アンヌーミナスは北方王国の騎士の末裔である「野伏」達が守る地域という設定だ。本作のキャラクタのレベルキャップは50だが、アンヌーミナスは50以上の敵があちこちにいて、レベルキャップに近いプレーヤーキャラクタでなくてはとても探索することができない危険な場所となっている。できればパーティーでの行動をおすすめしたい。 アンヌーミナスは野伏達が必死に守っている場所だが、野伏の数は少なく、ほとんどの場所は闇の勢力の支配下にある。プレーヤー達はここで野伏たちを助けることになる。今回、アンヌーミナスの冒険はストーリー要素の強い連続クエスト「エピッククエスト」と連動する要素が多く、アンヌーミナスで活動するなら、前回のアップデートで追加されたエピックの9巻のクエストを終わらせてからの方がより楽しめる。 アンヌーミナスではエピック10巻のクエストが進行する。エピッククエストは1つの巻がいくつかの章に分かれており、今までは多くても10章止まりだったが、今回は14章まで用意されており、かなりのボリュームになりそうだ。筆者はまだ4章までしか進めていないが、アンヌーミナスの敵は強力で、できるだけフルメンバーのパーティーを揃えて進めていきたいと感じた。これからは夜、プレーヤーが多くいる時間帯に仲間を募りじっくり進めていこうと思っている。
アンヌーミナスでは、野伏の野営地に定期的に闇の勢力が攻め込んでくるのが新鮮だ。少人数の敵ならば野伏達は難なく撃退するが、トロルを引きつれた部隊だと、野営地の中心近くまで敵が近付き、野営地そのものがなくなってしまいそうな劣勢の展開になることもあり、野伏達をつい手伝ってしまう。また、湖で捕虜をおぼれさせようとしている闇の勢力などもいて、激しい戦いが「現在進行形」なのを強く思い知らされる。今までは闇と光の勢力の境界線は比較的はっきりしていただけに、中々新鮮だ。
■ 新スキル、バランス調整など様々なアップデートを実施。待望の金庫拡張も
筆者がメインでプレイしている「キャプテン」も今回様々なスキルが追加された。女性の従者が召喚できたり、仲間の力を増す「旗」が設置できるようになったり、仲間に光り属性の攻撃能力を付与できる「エレンディルの剣」といった新スキルを獲得したりと、全体的によりパーティー全体を効率よく強化できるようになった。 中でも、「盾持つ兄弟」はパーティーの中から1人を選び出し、様々な支援をすることができるスキルで、盾役のプレーヤーに回復能力を付与できたりと、うまく使いこなせば今まで以上にパーティーに貢献できそうである。 ハンターには仲間を様々な場所に移動できるスキルがあるが、この移動スキルが強化されたのもとてもうれしい。より多くの場所にパーティー全体を運ぶことができるようになったため、クエストで様々な場所に移動する必要がある場合など、ハンターがいるといないとではクリア時間が大幅に変わってくる。
ハンターは強い攻撃力を持つソロプレイでも人気の職業だが、移動スキル以外にも多数のスキルが追加され、パーティーでも今まで以上に活躍できそうだ。ハンターとキャプテン以外のクラスにもスキル調整があったが、比較的小規模にとどまっている。他の職業でのこれからの追加要素に期待したい。
■ 6つの勢力の名声を稼ぐことで特別なアイテムを入手できる「名声システム」
派閥に貢献すると特別な施設に入ることが可能になり、更に地位を向上させることで特殊なアイテムを購入できる。ちなみに「マゾム」とはホビット語で「今すぐ使うあてはないけれど、捨てる気にはなれないもの」の意味で、特にホビットの家はマゾムで溢れがちである。マゾムは“レベル35~45までの人間、オーク、ドワーフ、死霊がドロップする”となっており、他の派閥の名声稼ぎと同時進行しやすい。 各派閥では対応する生産アイテムを使っても地位を向上できる。マゾム協会では料理を渡すことで名声を得ることができる。筆者のキャラクタは材料を作ることができる「耕作人」と更に「調理」を持っていたため、“牛肉のカリフラワー添え”を200個ほど作りマゾム協会において「知人」の地位を獲得し、マゾム館に入ることができた。 マゾム館ではホビットらしいユニークなアイテムが手に入る。クリティカルがアップするがダメージが極端に少ない「バターナイフ」などは、弓がメインのハンター向けの装備だし、「見本瓶:蛍」などはどうつかうのだろうか。性能は抜きにしてもアバター要素として注目したい。 マゾム協会の料理は比較的安価で楽に名声が稼げるが、他の派閥はかなり地位を向上させるためには時間がかかりそうである。この他、名声を稼ぐのに最適なダンジョンなども今回追加されており、探索も楽しめる。ダンジョンではプレーヤーキャラクタの能力を向上させられる「功績」も獲得することができる。ダンジョンではソロプレイも可能だが、数人でパーティーを組むと敵に囲まれた時も安心だ。
また、ドロップアイテムで複数装備すると効果が増していく「セットアイテム」をドロップアイテムで物々交換できる要素なども用意されており、全体的にやりこみ要素が増している。「LOTRO」は熱心なプレーヤーなら、2カ月もあれば最高レベルの50に到達できる。そこから先はよりよいアイテムを入手してパワーアップを図っていくことが興味の対象になっており、今回はこの要素が強化された印象を受けた。
■ PvPにトロル・野伏参戦! モンスター側有利の戦況にプレーヤー側はどう対抗するか?
今回のモンスタープレイの目玉はなんといっても「トロル」、「野伏」に変身できるところだ。プレーヤーは陣地で「宿命点」を支払うことで、現実の時間で1時間強力なキャラクタに変身することができる。トロルは非常に膨大なHP、そして通常攻撃さえも範囲にダメージを与える高い攻撃力を持っており、まさに無敵気分を体感できる。対する野伏は耐久力こそトロルに劣るものの、その狙撃の力には凄まじいものがあり、通常のモンスタープレーヤーは狙われればあっという間に倒されてしまう。 これまで筆者はモンスタープレイを熱心にやっていないため、トロルになって足を引っ張る(トロルは一軍で変身できる上限数が決まっている)よりも、変身したプレーヤーの後ろをついていくプレイを選んだ。トロルについて進軍する楽しさはたまらない高揚感があった。 とにかくトロルは頼りがいがあり、戦いぶりは凄まじい。遠距離では石を投げ、近距離では棍棒を振り回す。筆者はトロルの影で「虎の威を借る狐」そのままの、小物の悪役気分を満喫でき、これはこれでとても面白かった。プレーヤーキャラクタ側はかなり不利な状況に立たされていたが、それでもトロルを引き付け群れから離れた敵を確実に撃破するなど、ベテランらしい戦いを繰り広げる。トロルのプレーヤーはその無敵気分からか突出してしまうことも多く、置いて行かれた筆者は何度となく倒されてしまった。 今回のバランスはかなりモンスター側が有利な印象を受ける。もともと「指輪物語」自体、悪の勢力の方が圧倒的に強いバランスとなっているが、人間側に互角に持って行くくらいのインパクトのある要素が欲しいと感じたのも事実だ。プレーヤーキャラクタは1対1なら通常のモンスタープレーヤーを蹴散らせる強さがある。このためこれまではかなりプレーヤー側が有利だった。
しかし、数で勝る方が拠点に居座られてしまう状況も多く発生し、こうなると挽回するのが難しい。モンスタープレーヤー側はトロルという要素が与えられたが、人間側は少し不利になった感は否めない。次のアップデートでどうなるか、願わくば弱体化する方でなく、より派手で突き抜けた戦いが楽しめるバランスを望みたいところである。
■ 「もう1つの指輪物語」が展開する鶏変身クエスト
鶏のプレイでは闇の勢力の増加に伴い、増えている狼に世界的な危機を感じ、鶏たちが、世界各地にいる動物達に警告するという、「もう1つの指輪物語」ともいうべきストーリーが体験できる。鶏に変身したプレーヤーは非常に非力であり、モンスターに襲われたらあっという間に倒されてしまう。プレーヤーは必死になって逃げながら目的地を目指すことになる。 鶏になっていると他の動物と話ができ、動物たちの意外な一面に触れることができるのも面白い。なによりも、「人間達の知らない活躍」というテイストが楽しい。さらに鶏での冒険はホビット庄にとどまらず、北連丘やトロルの森など高レベル地域にまで続く。まだ始めたばかりなのでホビット庄の中がやっとなのだが、この非力な鶏で、どうやって危険な地帯を冒険するのか、想像もつかない。これからじっくりと攻略していきたい。 ちょっと残念なのは、鶏プレイは「フェローシップ(パーティー)」に対応してないところだ。鶏は小さく、sayでは声が届く範囲も小さい。非力な鶏はプレイをしているととても心細く、仲間と繋がっている感覚が欲しくなる。筆者は友人と共に鶏に変身し、街道を必死に進み、時には仲間を犠牲にしながらも前に進んだ。
仲間達と小さな体になって冒険する感覚は、「ファインディング・ニモ」や、「アイスエイジ」など動物を擬人化した映画の登場キャラクタになったような気分が味わえるが、危険をくぐり抜ける悲壮さと健気さは、ちょっとたとえが古いが、「ガンバの大冒険」のテイストがぴったりだと感じた。とにかく、仲間と道を走っているだけで楽しい。「LOTRO」のフィールドを使った、新しい世界が広がっている。今回の一押しコンテンツだ。
「LOTRO」では、6月の正式サービスから、7月に第1弾のアップデート、そして10月に今回の第2弾と、アップデートが行なわれている。しかも年内にもう1度行われる予定だ。年末のアップデートでは、個人やキンシップ(ギルド)の家を持てる「ハウジング」が追加されているとのことで、期待しているプレーヤーも多い。これだけの短期間で、ここまで遊びごたえがあるコンテンツを追加していくスタッフの熱意にはただ驚かされる。
このコンテンツ量をこのペースで盛り込んでいくMMORPGはそうはないだろう。このスピードをリアルタイムで体験できているのは、やはり興奮がある。贅沢を言えば、オリジナル要素の追加も良いが、「指輪物語」のこの先の冒険も期待したい。霧降山脈の“先”の地域の実装を、熱望したいところだ。
□さくらインターネットのホームページ http://www.sakura.ad.jp/ □「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」のページ http://www.lotro-japan.com/ □「LieVo」のページ https://www.lievo.jp/ □関連情報 歩いて旅する「指輪物語」の世界 「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」ガイドブック バックナンバー http://game.watch.impress.co.jp/docs/backno/rensai/lotro.htm 【7月23日】オンラインゲームレビュー「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070723/lotro.htm (2007年10月10日) [Reported by 勝田哲也]
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