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歩いて旅する「指輪物語」の世界
「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」ガイドブック

【連載第4回】善悪にわかれて戦う人間と、多くの人々が出会う場所“ブリー郷”

ブリー村の広場。多くの冒険者がこの村で出会い、「旅の仲間」を見つけていく



 「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」(LOTRO)の緻密に設定された世界と、美しい風景を紹介する連載企画“歩いて旅する「指輪物語」の世界「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」ガイドブック”第4回は「人間」と、冒険者達が集い、旅立っていく「ブリー郷」を紹介したい。

※拡大画像には、撮影場所の簡単なガイドも加えてあります。ぜひ「LOTRO」で訪れてみて下さい。


■ 中つ国で最も勢いがあり、善と悪に分かれ激しく争う種族、「人間」

 旅人達は我らを見て顔をしかめ、里人達は我らを軽蔑の名で呼ぶ。
 もし我らによって絶えず守られていなければ敵は彼らの心臓を凍らし、
 その小さな街を廃墟にしてしまうだろう。
 しかし我らが、そうはさせないだろう。
 そのために我らは隠れていなくてはならぬ。

 しかし、新たな時が訪れた。戦いが迫っている。剣を鍛え直し、
 ミナス・ティリスに参りますぞ。

エルロンドの会議でのアラゴルンの言葉

すべての職業が選択可能な人間。寿命は他種族と比べて短く、死と老いの恐怖に一番囚われやすい。この心の弱さのためか、悪の側に所属する者も多い
キャプテンは従者を召喚できる。従者はパーティーの力を大きく増してくれる。専門職には劣るものの、ヒールもでき、肉弾戦もこなすマルチな強さを持つ
 「指輪物語」の時代、中つ国を去ろうとするエルフ、あまり増えないドワーフ、西方地域で平和な生活をしているホビットといった多種族に比べ、人間はすでにこの世界の隅々まで広がり、生活をしている。人間はまたサウロン率いるモルドール軍でも大きな勢力を持つ。指輪を巡る戦いでは人間は光と闇の軍勢どちらにも所属し、激しく争う。

 「LOTRO」の人間は腕力と生命力に優れる一方で、悪の誘惑に屈しやすい特性を持っている。現在選択できる職業のすべてに就くことができ、剣や弓を扱えるだけでなく、魔法の才能も持っている。スタンダードな種族とも言える人間はその分、個性が薄く感じる部分もあるが、原作に思い入れのない人でもすんなりプレイできる種族とも言える。原作のアラゴルンやボロミアに憧れるというファンは間違いなく人間を選ぶだろう。

 実際、筆者もホビットを守る満身創痍のボロミアのイメージに惹かれて、プレーヤーキャラクタに人間の「キャプテン」を選んだ。キャプテンは人間だけしか選択できない職業で、仲間を鼓舞し力を回復させる能力を持ち、さらに“従者”を召喚することでパーティーの力を増すこともできる。高レベルのキャプテンはパーティーメンバーを角笛を吹いて召喚するという、極めて便利な能力を持っていて、感謝されることも多い。筆者の個人的な思い入れが一番深い職業だ。

 この世界での人間は悪の誘惑へ屈する者と、それに立ち向かう者、そして不安を抱えながらも傍観している者の3つに分かれる。人間の最初のクエストではスタート地点である「アーチェト村」が盗賊達の焼き討ちにあうという、衝撃的なシーンから始まる。ブリー郷では「ブラックウォルド」と呼ばれる盗賊団が大きな勢力を持っており、自警団と激しく争っている。

 「LOTRO」の世界では人間は悪役の側面も強く持っている。盗賊だけでなく、「魔王」に支配された暗黒の国「アングマール」に所属する“山岳人”も強大な敵としてプレーヤーの前に立ちはだかる。悪に墜ちた人間はゴブリンやオークと協力する者も多い。オークと人間の特徴を持つ「半オーク」と呼ばれる種族すらいて、彼らは闇の勢力のスパイとして人間社会に入り込んでいる。

人間のスタート地点であるアーチェト村。オープニングのシナリオで盗賊達の焼き討ちにあってしまう ブリー郷には盗賊がいくつもの野営地を作って人々の生活を脅かしている オークと人の特徴を併せ持つ半オーク。闇の勢力のスパイとして暗躍している

ブリー村の北に住むサラエダン。プレーヤーに積極的に助言をくれる野伏だ
 もちろん人間は悪に所属している者ばかりではない。ブリー村の自警団達はその監視の目を光らせ、盗賊達を捕らえている。住民達も怒りと共に盗賊達に立ち向かう。そして「LOTRO」で実装されている地域、エリアドールと呼ばれる北方地方では人知れず悪と戦っている人々がいる。「野伏(のぶせ)」と呼ばれる者達だ。

 彼らは険しい顔をしながら各地を放浪し、村の人々とはあまり交流をしなかったため、「うち解けない変わり者」として、疑いの目を向けられる事も多かった。しかし彼らの正体は崩壊した北方王国「アルノール」の誇り高い騎士の血を受け継ぐ者達なのだ。

 彼らの首領であり、太古より続く純血の王の血を受け継ぐアラゴルンさえ、ブリー村の酒場の主人からうさんくさい人物として、「馳夫」という名で呼ばれている。野伏達は狩猟者であり、放浪者だと思われているが、真実は、彼らは闇の勢力を狩る。北方の人々が安定した生活を営むことができるのも、彼らの活躍あってこそなのである。

 クエストでは野伏達と協力して悪に立ち向かうものが多く用意されている。野伏達の情報は、闇との戦いを有利に導いてくれる。彼らの指摘で、プレーヤーはより大いなる悪の存在を自見出すことができるのだ。自警団の隊長など野伏の正体を知り、村の人々の中にも積極的に協力する者もいる。

 人間は「指輪物語」の世界で中心をなす種族だ。その技術はエルフやドワーフに比べて劣るが、種族としての勢いは他の追随を許さない。現在、中つ国は爆発的に力を増している闇の力に飲み込まれようとしている。人間を闇の奴隷に墜ちる運命から救い出すことができるかは、プレーヤーの活躍と、指輪所持者の任務にかかっているのだ。

踊る小馬亭で受けることができる各種族共通のエピッククエスト。馳夫と共にこの地方で進められつつある陰謀を調査する
ブリー郷の各地には北方王国の遺跡が点在している 農場を占拠した盗賊達。彼等の活動は日増しに活発になっている ブリー村の自警団達も彼等の動きを懸念している。シャーキィと呼ばれる者の正体は?
遺跡をアジトとする半オークと盗賊 緑深いチェとの盛りも彼等のテリトリーだ 元村は多くのホビットが暮らしている。彼等の恋愛を助けるようなほのぼのとしたクエストも


■ 多くの旅人が訪れるブリー村と、盗賊やオークが暗躍するブリー郷

 ブリー村の宿屋は今も同じ場所にあり、主人は村の重要人物でありました。
 彼の宿は、4つの村の住人達の中の怠け者でおしゃべりで物見高い連中の
 集まり場所にもなっていれば、野伏やその他の放浪者、そしてまた青の山脈への
 行き帰りに今でも東海道を通る旅人達の寄り場にもなっていました。

                          ブリー村の解説から抜粋

ブリー郷。エルフやドワーフ、ホビットのプレーヤーも集まってくる最初の大きな拠点となる場所だ
塚山丘陵の東端の丘からはブリー村を一望できる
 ブリー村は元村、小谷村、アーチェト村という小さな村を周囲に持つ、ブリー郷で最も大きな村だ。人間と同じくらいホビットも住んでいて、それぞれが「ブリー村の代表者だ」と思っている。非常に古くからある村であり、街道の追分に当たる部分に位置するため旅人が絶えない、この地方で最もにぎやかな地域である。北方の王国があった頃ほどの賑わいはなくなっているが、それでも依然として人々が立ち寄る場所となっている。

 「LOTRO」でのブリー郷は、人間キャラクタのスタート地点であると同時に、ドワーフやエルフ、ホビットのプレーヤーが故郷から出て、次に向かう場所になっている。ブリー郷の中心にあるブリー村は多くのプレーヤーが行き交う「拠点」となる。プレーヤーはブリー郷を挟んで「さびし野」と「北連丘」を往復することになる。ブリー村には銀行やオークションなど主要な施設が揃っており、利用頻度も高い。

 ブリー村は石畳に覆われた歴史を感じさせる。路地は入り組んでおり、廃屋の多い貧しい人々の住む地域や、職人達が集まる建物、学者の住む建物などもあって、探索するのが楽しい。盗賊達を「さらし者」にする牢屋すら用意されており、中つ国の人々の生活、社会を実感できるようになっている。

 「指輪物語」ファンはなんと言っても「踊る小馬亭」に強く感動するだろう。踊る小馬亭では、この時代の旅人がどのような人達であるかを描き、彼等が旅の疲れを宿屋で浮かれ騒いで紛らわすという、わかりやすく楽しい場面が展開する。さらにフロド達はここで馳夫(アラゴルン)と初めて出会う。後に頼もしい仲間となる馳夫は、騒がしい酒場の中でじっとこちらを見つめる怪しい男として、フロドに警戒心を起こさせてしまう。

 「LOTRO」はこの踊る小馬亭の雰囲気をうまく再現している。小馬が描かれた大きな看板、太ったバタパー親父、テーブルで酒を飲むドワーフ、ステージで歌を歌うミンストレル……酒場の隅は薄暗く、馳夫が座っていそうだ。酒場はホビット庄にもたくさんあるが、この踊る小馬亭は別格である。「指輪物語」の登場人物が見たであろう風景が、そこに広がっている。

 ブリー村は各拠点へスムーズに移動できる場所であり、多くの冒険者が通り過ぎていく場所である。最近では有志のプレーヤーが「演奏会」を行なったこともあった。「LOTRO」ではキャラクタに楽器を持たせて曲を奏でることができ、これを使って曲に合わせて原作に登場した数々の詩が歌われた。ユーザー達が企画を出し合い、イベントを行なうことで、ゲームの世界はより魅力的な空間になる。初心者でもすぐに訪れることのできるブリー村はイベントを開催するのにもぴったりの場所である。今後、もっとたくさんの企画者によるイベント、そしてそれを助けるようなシステムにも期待したい。

多くの旅人が憩う宿、踊る小馬亭。原作ファンにとって、この建物がきちんと再現されているのはとてもうれしい もちろん宿の中にはいることができる。旅人や吟遊詩人でにぎわっており、もちろんバタパー親父もいる ブリー村で有志のプレーヤーが行なっていた演奏会。原作の詩をメロディと解説付きで歌い、喝采を浴びていた
ブリー郷にはホビットの他、少ないがドワーフの姿も 生産に必要な作業場や銀行など、ブリー村は施設も充実している さらされた盗賊を殴る主婦。この世界の厳しい一面と時代を感じさせるリアルな描写だ
ホビット庄へ繋がる街道にある「アドソの野営地」 元村の市場。ホビットの自警団の姿も見える 北連丘へ続く「緑道」と呼ばれる街道。北の地方は今は無惨に荒れ果て、行き交う人もまばらだ

大きな体を持つオーク。奥にはアジトとなっている洞窟がある
ぶよ水の沢地のゴブリン。大きなかがり火をたいた拠点がある
 ブリー郷は西方向に古森、塚山丘陵と、原作に出てくる危険地域があり、豊富なクエストが用意されている。ブラックウォルドの盗賊達とも、彼らのアジトに侵入したりと、激しい戦いを繰り広げることになる。ブリー村の周辺では農場や遺跡の多くが盗賊達に占拠されており、住民達の生活を脅かしている。盗賊達に屈しない人々を助けるのも冒険者の重要な役割だ。

 北にはオークの大きな野営地があり、西の「ぶよ水の沢地」はゴブリンの拠点がある。どちらも深く入り込み、ボスを倒すためには冒険者同士の協力が必要となってくる。ブリー郷は故郷から出た冒険者達が集う場所である。種族の壁を越えた「仲間」をここで得ることになるだろう。ブリー郷で生まれた繋がりは、さびし野や北連丘といった更にきつくなる冒険を共にすることで寄り強固なものになっていくに違いない。

 塚山のインスタンスダンジョン「大塚山」はブリー郷で一番難易度の高い場所となっている。入口でいきなり今までのモンスターとは桁違いの体力を持つ大蜘蛛が何匹も出現し、冒険者を取り囲んでくるのだ。それまでは2~3人の少人数のパーティーでも戦うことができたが、この大塚山を適正レベルで進むのは、6人のフルパーティーでなければ難しい。パーティーの盾となるガーディアンや、全員の体力を回復することができるミンストレルなど、パーティーの構成も考えなくてはならないだろう。

 戦うばかりではなく、元村の恋するホビットを助ける、といったほのぼのとしたクエストも用意されている。また、踊る小馬亭の前で受けるクエストには、最近西の地域に住みついた巨人と対決するクエストもある。巨人の姿を初めて見るプレーヤーは驚きの声を上げることだろう。「最近巨人がうろついている」というのは、実は原作で噂話にちゃんと登場するエピソードなのだ。

 目立ったクエストではないが、「シャーキィ」と呼ばれる盗賊達のリーダーが暗躍している噂話もある。原作を最後まで読んだ人は思わずニヤリとしてしまう名前だが、現在の所まだ噂に上る程度である。彼の存在はこれからブリー郷やホビット庄で大きくなっていくのだが、プレーヤーは世界を覆いつつあるより強大な危険と対面するためにブリー郷を離れ、北と東に旅立たねばならない。シャーキィとその一団がどう動いていくかは気になるところだ。

 ブリー郷は多くの冒険者が集まる場所となっている。そしてこれからの冒険は、プレーヤー達の協力が不可欠になっていく。冒険者はここで仲間を得て、更なる危険に挑むことになる。勇気を出して他のプレーヤーに声をかけ、仲間を募り、自分だけの「旅の仲間」を見つけてもらいたい。仲間と冒険を共にしていくことこそ、MMORPGの最大の楽しみなのだから。

夜になると現われる死霊。満たされない想いをプレーヤーに語りかけてくる チェトの森の奥にある農場は狼に占領されている かつての王国の繁栄を物語る遺跡は盗賊達のねぐらに変わっている
塚山丘陵に現われる死霊は高い攻撃力を持つ強敵である 元村のホビット達が作る畑では良質の農作物やパイプ層を育てられる ぶよ水のゴブリンの中で「工兵」と呼ばれる種類のものは炎のついた油壺を投げつけてくる
塚山丘陵と比べると対象レベルは低いが、迷いやすく敵も多い古森 古森はトム・ボンバディルの家だけでなく、彼の美しい妻ゴールドベリが守る泉も見つけることができる 限定で開催されている夏祭り。サラエダンのコテージの東にある
大塚山のインスタンスダンジョン。6人の仲間を集めなくては突破は難しい、キツイダンジョンだ
ブリー郷のエピッククエストでは、野伏達や自警団と協力し、ブラックウォルドと戦っていく。踊る小馬亭では、ガンダルフに会うこともできる

※斜体の文章は、評論社から出版されている「新版 指輪物語」から抜粋したものです。

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【ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影】
  • CPU:Pentium 4 1.8GHz以上 (2.8GHz以上推奨)
  • メインメモリ:512MB以上 (1GB以上推奨)
  • HDD:10GB以上の空き容量
  • ビデオカード:GeForce 3 または RADEON 8500以上 (GeForce 6800 または RADEON X850以上)
  • ビデオメモリ:64MB以上(128MB以上推奨)
  • OS:Windows XP/Vista


□さくらインターネットのホームページ
http://www.sakura.ad.jp/
□「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」のページ
http://www.lotro-japan.com/
□「LieVo」のページ
https://www.lievo.jp/
□関連情報
歩いて旅する「指輪物語」の世界
「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」ガイドブック バックナンバー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/backno/rensai/lotro.htm
【7月23日】オンラインゲームレビュー「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070723/lotro.htm

(2007年9月19日)

[Reported by 勝田哲也]



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