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会場:ホテルニューオータニ
■ 韓国メディアも注目のTVアニメ「メイプルストーリー」、心が温かくなる、元気の出る作品を目指す
マッドハウスは「ピアノの森」、「時をかける少女」などの劇場作品や、「DEATH NOTE」、「電脳コイル」などのTVアニメを手がけるアニメーション制作会社。「メイプルストーリー」では、「ビューティフル ジョー」、「おとぎ銃士 赤ずきん」などを監督した石山タカ明氏が監督を務める。 発表会は日本のプレス関係者と共に、30もの韓国メディアが招かれていた。韓国コンテンツのアニメ化ということで、韓国でも非常に注目されているようだ。発表会で最初に挨拶をしたのは、エグゼクティブプロデューサーを務めるネクソンジャパン運用本部本部長のカン・ヨンテ氏。「我々NEXONはこのアニメーションを日本だけでなく、韓国、そしてアメリカでも展開していこうと思っています。そして、オンラインゲームの特徴を活かし、アニメーションとゲームのコンテンツの連動も積極的に行なっていこうと思っています」と語った。 アニメ「メイプルストーリー」はゲームの基本的な設定を押さえながらもオリジナルのストーリーが展開する。かつてこの世界には平和と秩序を保っていた「世界樹」が存在していたのだが、悪の組織「ザッタ団」がこの樹を手に入れようとした。この世界に住む“人間族”と、狼のような“弓族”、岩のような体を持つ“戦士族”、とがった耳と逆トゲの尾を持つ“魔法族”の4部族は力を合わせて立ち向かう。しかし彼等の戦いもむなしく、世界樹はホウセンカのように自らの体を破裂させ、世界に種をまき、そして消滅してしまう。 人間族は世界樹の破壊に手を貸したと疑われ、他の種族も諍いが絶えなくなってしまう。そして世界樹がなくなってから10年、明るく元気な人間族の少年「アル」は、世界樹の種を探すため、冒険に出発する……。まっすぐでひたむきなアルを演じるのは桑島法子さん。わがままで友達がペットの「プードゥー」だけという孤独な魔族の女の子「ニーナ」を遠藤綾さんが演じる。プードゥーには松本梨香さん、アル達の前に立ちはだかるザッタ団の女の子「クローネ」を水樹奈々さんが演じるなど、キャストにも注目だ。 MMORPGの「メイプルストーリー」ではプレーヤーキャラクタは人間しか選べないが、様々な職業が用意されている。アニメではこの職業の設定を、人ではない他の種族として活用していく。また、ゲームの中に登場したモンスターが多数登場するなど、ファンならばニヤリとさせられる仕掛けを随所に用意していくという。アニメオリジナルのアルを中心とした仲間のドラマ、世界樹の種を巡るストーリーにも期待したい。アニメーションが今後のゲームコンテンツにどう影響していくかも興味のあるところだ。 質疑応答では、「MMORPGとして作られた世界観や設定をどう活かしていくか」という質問が上がった。石山氏は、「ゲームではモンスターを倒して強くなっていきます。アニメではどうしていくか、モンスターをただ倒していくだけでは痛々しくて、よろしくないかなと。我々としてもゲーム側のスタッフに『コンセプトは何なのか』という質問をしたところ、『ゲームを通じて全世界の子供達とコミュニケーションを取りたかったくてオンラインゲームを作ったんだ』という答えが返ってきたんです。 私達アニメスタッフもこのコンセプトには強く共感させられました。『なぜ“メイプルストーリー”という名前なのか?』という質問に対して、ゲーム側のスタッフは『語呂が良かった、そしてmany People(多くの人々)だ』と。たくさんの人々に触れて欲しい、愛されたいという思いを込めて付けたタイトルだそうです。だから僕たちは、見て心が温かくなる、活力が出てくる、思いやりを持てる、という想いを主軸にしてストーリーを進めていきます」と語った。 質疑応答ではこの他に、今回のアニメーション以外の質問も出た。NEXONでは韓国のアニメーション制作会社とオンラインアクションゲーム「BnB」のアニメコンテンツを制作中とのことで、他のNEXONのコンテンツに関してもアニメーションかを検討中だという。また、DS用の「メイプルストーリー」は韓国で制作中であり、今年の年末、もしくは来年の早い時期には韓国で展開する予定だという。 アニメの「メイプルストーリー」はゲームとは絵柄も違い、またストーリーもオリジナル色の強いものになりそうだ。韓国産MMORPGのアニメーション化というのは「ラグナロクオンライン」という前例があるものの、まだ少ない。今後はアニメ化される作品も増えていくのではないだろうか。 「モンスターを倒していくのがゲーム」という監督の言葉からは、アニメ制作者とオンラインゲームのプレーヤーとの認識の隔たりも感じた。オンラインゲームは確かに戦闘が大部分を占めるが、友達と出会う楽しさ、同じ冒険の時間を過ごす楽しさは、コンテンツの面白ささえ越える魅力がある。アニメがそれを表現できるか、「メイプルストーリー」を遊ぶ若年層のプレーヤーにどこまで共感を持ってもらえるかは、注目したいところだ。
一方で、現時点では韓国産MMORPGの多くはストーリー性においてははっきり言って貧弱だ。MMORPGをアニメ化することで、アニメで描かれる濃いストーリー、テーマを描きたいというアニメ制作者の“情念”が韓国のゲーム制作者と、今後生み出すゲームに影響を与えてくれることにも期待したい。
(C)NEXON/テレビ東京/マッドハウス/電通
□ネクソンジャパンのホームページ (2007年9月18日) [Reported by 勝田哲也]
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