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「FF XI」に存在するメインウェポン武器12種類のうち、半分を占める「両手武器」。両手武器は、殲滅速度、総合ダメージ、パーティープレイ時の安定性などのさまざまな点において、二刀流による片手武器と比して劣る存在として、不遇なポジションにあった。それとともに竜騎士、暗黒騎士、侍といった両手武器を最も得意とする前衛ジョブもまた、効率重視のパーティープレイの中では比較的不遇な存在だった。 こうした常識に大きな変革が訪れた。2007年8月28日に行なわれたバージョンアップにより、両手武器の扱いが根本から見直され、今までにない変化を遂げたのだ。今回はその両手武器の変化をテーマに、そのパワーアップぶりを詳しく取り上げていきたい。9月11日に、新コンテンツ「パンクラティオン」を導入するバージョンアップと共に、両手武器に関わる不具合の修正も行なわれたが、本稿はその追加アップデートによる変化を反映させてある。
なお、8月28日に実施されたアップデートの全体の内容については、2007年8月28日のバージョンアップ、2007年9月11日のバージョンアップについては、それぞれリンク先の公式サイトをご覧頂きたい。
まずはレベル75の暗黒騎士で両手鎌を試してみた。レッサーコリブリを相手にした通常攻撃は、210~290ダメージほどと非常に高い。命中も上がっているようで、攻撃ミスはほとんどみられない。続いて、ウェポンスキルの「ギロチン」を撃っていく。「ギロチン」は4回攻撃なので、ダメージの計算に4発中の何発が命中するかも大きく関わってくる。 バージョンアップ以前に同じシチュエーションで「ギロチン」を撃った場合は、700~900ダメージほどだった。これに対して今回の結果は1,100~1,600ダメージほど。主に1,300ダメージ前後を安定して出すという、目立った違いが見られた。単発の威力が上がっていることもあるが、命中率が高まり4発が安定してヒットし、ダメージが安定していた。 このときは、暗黒騎士をメインジョブにプレイしている筆者の友人に手伝ってもらったのだが、このときは9月11日のバージョンアップで行なわれた「ダメージ値の上限補正が正しくかかっていない不具合の修正」、「ギロティン/ペンタスラストの命中率の調整」が入った直後。どのように変化しているか不安の混じる中で試したのだが、ほとんど大きな影響はみられなかった。 その結果を確認した筆者の友人は、「(こんなに強いのは)オレの暗黒じゃない」と冗談を話していたほど。この言葉は、強化内容の良し悪しを言っているのではなくて、今まで馴染んできた自分のキャラクタ、メインジョブ、ウェポンスキルとは思えないほど変わっている、という意味だ。こうした言葉が口をつくほどに両手武器は様変わりしたのだ。 もちろんこの変化は両手武器全般に訪れたもの。両手刀を得意とする侍では、以前だと同様のシチュエーションで通常攻撃は90~160ダメージほどの幅だったのに対して、120~200ダメージほどにアップしていた。ウェポンスキルでも以前は「八之太刀・月光」で700~1,100ダメージだったところ、800~1,200ダメージほどに上昇。「九之太刀・花車」においても、600~900ダメージほどから、800~1,100ダメージほどに上昇していた。 周囲には同じように両手武器の感触を確かめようとコリブリで試す冒険者が多かった。様子を眺めていると、両手斧のウェポンスキル「スチールサイクロン」で1,300平均のダメージを出していた。
この両手武器の変化は具体的にどのような内容でもたらされたのか、以下に解説していこう。
物理攻撃におけるステータスの補正とは、武器の性能で得られる攻撃力や命中率などに、STRやDEXといったステータスのボーナスが加わること。これまでのステータス補正は片手武器も両手武器も同じく「STR2=攻撃力1」という計算になっていた。 この計算が、両手武器を装備しているときには、「STR1=攻撃力1」とされるようになった。単純にSTRステータスの攻撃力補正は片手武器と比べて倍になったわけだ。また、命中率に影響を及ぼすとされるDEXにおいても、ほぼ同様の計算が両手武器装備時にされている。命中率は数値で表示はされないため厳密には言い切れないところがあるが、これも片手武器に比べて倍近い補正がかかるようになった。 もうひとつ見逃せないのが、「レベルや防御力が高い敵に対しては両手武器の性能がよりダメージ値に反映される」という一文だ。レベル差の大きい格上の敵に対してより効力を発揮する。 片手では支えきれないような巨大な武器を振り回す「両手武器」は、片手武器の「斬る」に対して、「叩きつける」といった豪快なイメージがある。実際、攻撃力と命中率はベースとなる計算式が変わったことで高まり、装備品によるブースト効果も今までの倍得られるようになった。軽い武器ではほとんど傷を与えられないような相手にも、巨大な武器でならダメージが与えられる。そうしたイメージにぐっと近づいた印象だ。 過去の歴史を振り返ると、両手武器は一撃のダメージが大きい反面、攻撃の間隔が長すぎて、短時間の戦闘では十分な効果を挙げることができなかった。それに比べ、忍者のアビリティで得られる片手武器の二刀流攻撃は、一撃のダメージこそ小さいものの、攻撃間隔が短いために、安定したヒット率と総合ダメージを得ることができていた。片手武器が両手武器の1戦闘における総合ダメージを上回ることが明らかになるにつれて、戦場から両手武器が駆逐される傾向が強まっていったわけである。
こうした状況からどのように調整されれば、武器それぞれの個性が際だち、かつバトルバランスがよくなるのか。これは相当な難題だったと思うのだが、回答は前述のようにステータスそのものへの計算式を変え、扱いやすく威力が出るという単純にして明快なアプローチが採用された。アタッカーが扱う強力な武器であり、両手武器本来のイメージにぴったりと当てはまる。本来こうしたイメージに魅力を感じ、両手武器を使いたいと考えていた冒険者は多いだろう。ついにそのイメージどおりの魅力が発揮されるようになったわけだ。
だが、両手武器においては、ステータス補正と装備補正のみで、十分な命中率を得られるようになったため、スシ以外の食事を選ぶという選択肢が生まれてきた。例を挙げると「カレー」シリーズは命中補正効果はないものの、STR+効果を筆頭としたステータスアップ効果と、大幅な攻撃力アップ効果がある。食事効果時間も90分と長くコストパフォーマンスに優れている。もちろんこれ以外にも「肉」系統の食事など、いろいろと選択していけるだろう。
両手武器の実用性が上がったことで、サポートジョブの選択肢として侍に目が向く。侍が持つ「両手武器に特化したアビリティ」、「八双」と「星眼」は攻防のスタイルをアビリティで切り替えられる。「八双」と「星眼」については本連載の第12回にて紹介している。1年近く前の記事ではあるが、基本的な要素については変化していないので、概要や特性についてはそちらをご覧頂きたい。
その結果、敵の攻撃がアタッカーに及び、場合によってはパーティー全体の危険を招くようなことにもなる。わかりやすくいうと、アタッカーが大ダメージを与えすぎたあまり、敵のターゲットがアタッカーに集中し、倒されてしまうという事態になる可能性である。 パーティプレイにおいては言うまでもなく、「パーティー全体の総合力を高い出力で維持する」ことが重要だ。大ダメージを与えても倒されてしまっては何の意味もない。今後、両手武器を扱う際は、突出しすぎてバランスを崩さないように攻撃を調整するような、アタッカーならではのテクニカルさが求められる。 小刻みにダメージを積み上げる片手武器に比べて、一撃が大きい両手武器での敵対心のコントロールは少し難しい面がある。両手武器をふるう自身の操作で加減を調整していくのか、それともターゲットが向いてしまうことをあらかじめ想定して、ある程度持ちこたえられるようサポートジョブを工夫するのか。こうしたところはレベル上げやバトルフィールド戦闘など、戦闘のシチュエーションやパーティーの構成に応じて考えていくのが重要だ。 両手武器アタッカーのポテンシャルが上がったことで、パーティーにおける盾役ジョブの代表格である忍者やナイトの相対的なバランスも変わってきた。もちろんこれも戦闘の種類によって向き不向きなどが異なってくるわけだが、回復魔法やアビリティによって高い敵対心を瞬時に得られるナイトは、両手武器アタッカーがくりだす大ダメージの敵対心にも負けず、仮にターゲットが移ってアタッカーがダメージを食らってもケアルで回復できるなど、相性がいい。ナイト自身もどちらかといえば趣味的な存在だった両手剣の実戦投入実用が可能になったことでプレイの幅が広がった。 一方、忍者は、こうした両手武器アタッカーの本気の攻撃に対しては、盾役としてターゲットを維持するのに苦労することだろう。ただ、忍者の強みは盾役だけでなく、アタッカーも可能なところであり、忍者自身の圧倒的なソロ性能を含むパフォーマンスの高さも変わりがない。今現在、両手武器の変化を楽しんでいる冒険者が多い中では、忍者のアドバンテージが低下したようにも見えなくもないが、総合で考えると、どちらにも一長一短があり戦闘スタイルの個性があって、うまいバランスに感じられる。
今後のパーティースタイルを盾役をベースにして例えてみると、「ナイトを中心にした両手武器アタッカー全力攻撃系」と「忍者や戦士を中心にしたリスクの少ない高速回転系」、といった具合に二分されていきそうだ。もちろんこれ以外にも、両手武器アタッカーを多く集めた攻撃特化の力押しパーティーなど、意欲的な冒険者の試行錯誤によって、新しいパーティースタイルがどんどん生まれてくるだろう。
グリップは主に合成で作成できるものが多いのだが、高レベルのものでは皇国軍戦績で交換できるものや獣神印章バトルフィールド戦の報酬として手に入るものもあるようだ。早くも競売にて13種類(HQ品は含まず)が確認できたので、下にリストとして記載した。 グリップの効果は様々で主に前衛用のものと後衛用のものにわかれる。前衛用ではSTRやDEX、VITといったステータスを底上げするベーシックなグリップのほか、両手武器攻撃間隔-3%や、ダブルアタック+2%、残心効果アップといったユニークな効果を持つグリップも用意されている。いずれも効果絶大とまではいかないが、強化された両手武器の攻撃性能をさらに底上げしてくれる非常にありがたいアイテムだ。 例えば、レベル30から装備できる「ブラスグリップ+1」はDEX+2の効果があるが、これは両手武器計算に置き換えると、命中+2とほぼ同等と考えられる。レベル30で命中+2相当の補助装備がつけられるとなると、印象が変わってくるのではないだろうか。ちなみにこの両手武器におけるステータス補正への考え方は、グリップだけの話ではなく全装備のステータスアップに当てはまる。
一方、後衛ジョブ用のものはHP、MP、INT、MNDなどの基本的なステータスアップ効果にとどまっており、“ダブルアタック+2%”に相当するような後衛ならではのユニークなグリップの登場を待ちたいところだ。
巨大な武器を力任せに叩きつけ大ダメージを与えるが、加減をするようなコントロールは難しい。また、両手武器を得意とする多くのジョブは基本的に防御力が低いため、敵対心を上げすぎて敵にターゲットされることに注意を払わねばならない。両手武器アタッカー全般に言えるこの特徴どおりのものだ。 アタッカーに異なる特徴と方向性がついたことで、パーティー編成も今後変化が生まれてきそうだ。強力な両手武器や黒魔法が振るわれる中で瞬時に敵対心を稼ぎ、さらに“かばう”で狙われている仲間を守ることもできるナイト、回転力を重視したアタッカーの中でリスクが非常に少ない安定した盾をこなせる、ハイパフォーマンスな忍者。 コルセアや吟遊詩人といった底上げ役のジョブでは、ジョブごとの個性を伸ばしギャンブル性も持つコルセア、安定した底上げを行なえる吟遊詩人といった差別化がもとよりあり、組み合わせのおもしろさが浮かぶ。
最後に、今回は両手武器にフォーカスしているため本格的には扱えていないが、コルセアのファントムロール効果もバージョンアップで引き上げられている。パーティーメンバーのジョブに合わせたファントムロールを振ることでボーナス効果を得られるという特徴は、他ジョブはもとより両手武器ジョブの個性をより強く底上げできる。新しくトレンドに上がってくるパーティースタイルの中で注目したい存在だ。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年9月14日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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