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正式サービス開始以来、常に変化と進化を繰り返してきたパーティープレイ。各ジョブのパフォーマンス、使用する武器、WSの連携、敵対心、回復、狩りの対象とするモンスターなどは、拡張ディスクの登場やバージョンアップによってその都度変化してきた。 このバトルトレンドにおいて、忍者の二刀流&空蝉の術の登場によって、相対的に長く不遇な位置に立たされていたと言わざるを得ないのが“両手武器”であり、両手武器を得意武器としているジョブ達である。10月19日のバージョンアップで登場した侍のアビリティ“八双”と“星眼”は、この両手武器を扱うジョブのパフォーマンスを高め、今後のバトルトレンドを変化させる可能性が十二分にある。また、召喚士についても、シリーズを代表するメジャーなジョブでありながら、パーティープレイでの位置づけに悩まされてきた印象が強い。これが今回の仕様変更により、今後どのように変化していくのか。
今回は、10月19日のバージョンアップで行なわれたジョブ関連の追加・調整をきっかけに、最新のパーティープレイのトレンドを迫っていきたい。
侍の変化で大きなトピックなのは、新アビリティ2種の追加、残心の調整だ。レベル25で習得する新アビリティ“八双”、レベル35で習得する新アビリティ“星眼”が追加、これまでレベル60ジョブ特性だった“残心”がレベル20に変更され、発動率も引き上げられた。また、メリットポイントグループ2アビリティの“正正堂堂”は敵の正面で放ったWSに、攻撃力ボーナスを付与するというものから、5%のダメージを上乗せされるように、上方修正された。 ● 八双:ヘイスト、命中率、STRを一気に満たし、両手武器アタッカーのポテンシャルを大幅アップ
ヘイスト、命中率、さらにSTRボーナスと、装備品などで得ようとすると一苦労するほどのアタッカージョブにとっては垂涎の効果が一気に手に入る。STRボーナスは侍のレベル依存で変化するが、サポートジョブでの使用時にもヘイスト、命中率はそのまま得られるということで、他の両手武器を使うジョブにも魅力的だ。 侍のデザインコンセプトでもある“TPの貯まりが速い”というものは、直接的な“黙想”によるものと、ストアTPによる間接的なもので形にされてきた。だが、後者のストアTPは攻撃が当たったときにはじめて得られるものであって、外してしまうと効力を発揮しない。両手武器全体の課題としても攻撃間隔の長さから、攻撃機会そのものが少ないため、結果的にストアTPの特性も体感しにくい状況が生まれていた。 こうした課題に対して、八双による命中率アップの恩恵と、残心の習得レベル20へ引き下げ、かつ発動率の増加が加わり、ストアTPの効果も存分に体感できるようになっている。八双の命中率アップの恩恵も相当な魅力に感じたのだが、本稿を書くにあたり筆者が侍をプレイした中では、残心の発動率アップも効果が大きいと感じられた。攻撃間隔の大きな両手武器のミスというのは、心理的にも大きいが、そこに残心の一振りが追加されるのはなかなか嬉しい。 ● 星眼:心眼に回避回数とカウンターのボーナスを付与する“受け流し盾”
攻撃を避ける、という性質は忍者の空蝉の術に近い印象があるが、実際に使って得た感触は大きく異なる。まず、星眼と心眼はアビリティのため、空蝉の術のように消費アイテムもなく詠唱時間もない。そして、攻撃を避ける回数が固定ではないため、確実性が薄い。また、再使用間隔は30秒と大幅に短縮されるが、2、3回の攻撃で心眼が消えてしまった場合は15~20秒ほどの間、従来どおりダメージを受けてしまうことになる。逆に、5、6回の攻撃を避け続け、さらにカウンター攻撃も飛び出してくると、忍者を上回る攻防性能を発揮して大変嬉しいが、こうした機会は高レベル相手のパーティープレイでは一般的な戦法としては使いにくい。 こうしたことから、メインの固定盾役としてパーティプレイをするには残念ながら難しい印象だ。ただ、サブの盾役としてはどうかというと、サポートジョブが戦士限定となるが、こちらは十二分の性能を発揮してくれる。同様に連携後などに敵対心が上がりすぎたときの緊急回避策としても有効だ。アタッカー兼サブ盾という、パーティープレイにおける侍のポジションがより明確化された印象である。 ● 八双、星眼の活用、侍の現在のパフォーマンスの考察、今後の可能性
今後は、八双で本来のアタッカー役と連携役を存分にこなしつつ、モンスターの敵対心が上がり過ぎたときに星眼&心眼状態に切り替えるというスタイルが基本になる。前述のように八双を使うことで、命中率が高まり攻撃速度は速まる。これによりストアTPの効力がより強く得られるため、表面上のパフォーマンスよりもさらに戦力が高まっている。 さらなるパーティスタイルの可能性としては、効率的な面で忍者やナイトのプレーヤーが見つからない時の策にはなるだろうが、戦士サポ忍者の盾役とターゲットを回し合うような組み合わせが考えられる。または、レベル35以上の侍が二人いたならば、サポ戦士にして常時星眼状態でのタゲ回しも被ダメージ量を抑えつつのプレイスタイルが成立するだろう。ちなみに短い期間に限定した話であれば、レベル37未満の空蝉の術が1しかない期間の忍者との相性も、もちろんよい。 自己回復によって瞬時に高い固定力を得られるナイトとの組み合わせは、アタッカーとしての攻撃力を存分に発揮しつつ、ナイトからの回復魔法も得られるということで、非常に有効だろう。被ダメージを減らし狩りの効率を高めるべく、とにかくスピーディに敵を倒すという方向性だ。 最後に、侍の全体的なジョブ特性、アビリティを見直してみよう。下記には最新の侍のアビリティ類を表にしてみた。こうして一覧を眺めてみると、全てのものが両手武器の活用とTPの蓄積速度のアップに向いているのが改めて分かる。これまではあと一歩のチューニングが上手く取れておらず、効果がぼんやりとしがちだったが、今回のアビリティの追加と調整によって命中率が変わったことで特徴と個性がくっきりとした。 ちなみにサポートジョブを忍者にして、空蝉の術も加えればより強くなりそうなモノだが、八双と星眼には使用中、魔法の詠唱時間、再詠唱時間を50%延長するというペナルティがあるので、使い勝手は悪化している。八双と星眼は手動で切れるため、サポートジョブに忍者という選択はなくはないが、それなら両手武器に直接メリットのあるサポートジョブを選んだ方が賢明だろう。 サポートジョブの選択肢としては、戦士、シーフあたりが有力となりそうだが、ダークホースとして竜騎士もおもしろい。ワイバーンピアスの潜在能力であるヘイスト+5%が得られるほか、ジョブ特性の命中率アップ、アビリティのジャンプでTPを稼げるなど、一見奇抜だが、理にかなった物が揃っている。
最後にソロプレイの側面を見ると、今回の調整は純然な上方調整のみであり、当然のごとく向上している。基本的に星眼と心眼状態がメインとなり、近接攻撃を避けつつ、心眼カウンター、残心の発動を期待できるなど、メリットが大きい。“楽”程度の敵なら、ガンガン狩れそうだ。レベル75限定だが、正正堂堂の効果も期待できる。もちろん被ダメージが完全になくせるわけではないので、あまりの無茶は禁物である。
ここ1、2年の高レベル帯のパーティープレイは、物理攻撃アタッカーの場合、忍者を軸に、片手武器の二刀流によるスピーディな戦闘が主体となっていた。両手武器では、二刀流の恩恵を受けられないため、どちらかというと敬遠されがちな傾向だった。 さらに、両手武器の瞬間ダメージが大きく、敵対心コントロールも片手武器と比較すると難しいという側面もあるのだが、これはアタッカーの宿命ともいえるもの。盾役が稼いでいる敵対心を想像し、それを超えないようにギリギリまで攻めるというのは、アタッカーのゲーム性であってテクニカルな部分だと筆者は捉えている。 最も両手武器アタッカーとして苦しかったのは“命中率”ではないだろうか。片手武器主体のジョブに比べて、両手武器主体のジョブの命中率が低いわけではないのだが、攻撃間隔が大きい武器でミスが連発すると、自分だけ攻撃の手を休めているような感覚に陥ってメンバーに対して申し訳ない気分になる。 さて、こうした背景に登場したのが、サポートジョブに侍をつけるという選択肢だ。ここまでに紹介したように、侍のレベル25に登場した八双はサポートジョブ侍で50から使うことができる。低~中レベル帯で大きな戦力として活躍する両手武器に、片手武器の性能が追いつきはじめてくる時期となる。 一発のダメージは大きいだけに確実に当てていきたいところだが、サポートジョブで命中率を上げるというものは数が少ない。具体的には狩人、竜騎士から命中率アップが得られるのだが、今後は侍を選択することで、攻撃性能を維持しつつ、命中率アップも期待できるようになる。 少し乱暴に整理してみると、“スタンダードな戦士”、“片手武器に嬉しい忍者”、“両手武器に嬉しい侍”という3軸があり、そこにウェポンスキルを必中にでき、ヘイトコントロールも可能になるシーフ、命中率アップ、ワイバーンピアスのヘイスト効果、ジャンプなどを得られる竜騎士といったところが最新の傾向だろうか。これまで以上に悩む楽しみが増してきた印象である。 次に考えていかなくてはならないのは、ジョブごとのサポ侍との相性。まず、戦士、竜騎士はほぼ問題が感じられない。戦士は使用する武器に合わせて忍者、侍、モンクといったあたりを基準に多彩に考えていける。竜騎士は両手槍を生かせる選択として侍が視野に入ってきた。 では、暗黒騎士やナイトといった魔法を使えるジョブにとってサポ侍はどうかというと少々問題がある。侍の八双と星眼には「使用中、魔法の詠唱時間と再詠唱時間が50%延長される」というペナルティがあるためだ。再使用の延長だけでなく、詠唱時間も延びるため、暗黒騎士であればスタンやアブゾタック、ドレインやアスピルといった有効な暗黒魔法の使い勝手が極端に悪化する。 八双や星眼といった効果を手動で切って美味しいところをフル活用するというのも出来なくはないかもしれないが、八双と星眼の再使用時間の1分を考えると苦しいところ。同じようにナイトも回復魔法の使用に影響が出るため、二者択一を迫られる。ナイトには元々奇抜な選択である侍だが、暗黒騎士にとっては悩ましいところ。あえてサポ侍を選ばないというのも選択肢のひとつになるかもしれない。 以上、サポートジョブとしての侍を考察してきたが、今回のアップデートで侍が特別に突出したわけではなく、他のジョブとまた異なる魅力を持って選択肢に立ち上がってきたという印象が強い。一段落ち込んだイメージになっていた両手武器に特化した内容が並び、使用する武器やプレイスタイルなどにより広がりが出た。これは純粋に嬉しいことだ。
今までの契約の履行では、パーティプレイ中にひとつ契約の履行を使うと、残りの1分間は召喚獣に攻撃させる以外に行なえることがなくなってしまい、基本的にすぐ召喚獣を帰還させ、サポートジョブの白魔道士による回復補助を行なうのが主な立ち回りになっていた。今後は、召喚獣を生かした行動が取れるようになる。 まず最初に試してみたのは、召喚獣の補助系の履行を使い、そのまま攻撃系の履行を連続して使わせるという使い方。例えば、ガルーダであれば補助系のヘイスガを行ない、そのまま攻撃系のプレデタークローを放って帰還させる。1体の召喚獣の技に絞って考えているのは、異なる召喚獣を呼び出し直していては詠唱時間等で時間がかかりすぎるため。それでも1分間に2つの履行を活用できるという広がりは心理的にも嬉しい。 次に試したのは、2系統の技をずらして使用するというもの。以前には戦闘開幕時などに履行を使ってしまうと、召喚獣の履行で連携参加したりマジックバーストを加えたりといったアグレッシブな動きをしようとしても、履行の再使用時間が間に合わないことがあった。2系統に分けられたことでこうした部分が解消されている。補助系履行のあと、召喚獣を攻撃参加させ、TPを貯めさせてから攻撃履行を放つようにしたところ、連携参加やマジックバーストなども合わせやすく、なかなか良い結果を出せた。だが、MP消費がかなり大きくなる。 契約の履行の2系統化は大きな変化だが、召喚魔法スキルの影響が見直されたのも大きい。スキルがカンストしている以上に装備品などでボーナスがついていた場合、攻撃系履行には命中率アップ、補助系履行では効果時間アップが加わる。特に補助系履行の効果時間アップは最大3分まで延長される。元から効果時間が3分であった履行には変化がないものの、これは召喚士を加えたパーティープレイでは見逃せない変化だ。 具体的には、複数の補助系履行を重ねて持続させ続けることが現実的になったため、ヘイスガと下弦の咆哮を常に付与し続けるなど、補助系履行の効果時間アップを生かした詩人スタイルの模索もよさそうだ。なお、履行の使用時にスキルアップの判定が行なわれるようになり、実践的な動きでスキルが上がりやすくなった。 総じて、MP消費が最大のポイントであることは変わらないが、動きに幅ができたことは嬉しい。だが、ペットジョブとして共に戦うスタイルを取り、維持と攻撃系履行にMPを向けるのか。補助履行と回復補助などにMPを向けるのか。それとも両者のバランスを取りつつ2系統の履行を使うのか。非常に判断が難しいところに立っていると思える。今回の変化によって動きの幅も広がり、スキルの意味合いも確立されたが、もう一段ジョブの動き方がくっきりと見えてくるような変化を望みたいと感じた。 たとえば、2系統の履行に並ぶ技数を見ると、攻撃系の履行の多さ、補助系の履行の少なさが目立つ召喚獣が多いのが気になった。パーティプレイにおいて、補助系履行でのサポートに特化する方向性を考えてもバリエーションが少なく感じる。フェンリル、ディアボロスといった上位の召喚獣はバランスがいいが、イフリートなどは補助系履行が紅蓮の咆哮1つしかないのは寂しい。それぞれの召喚獣ならではの補助系履行の追加を期待したい。 サポートジョブを召喚士にしてみる分には、あまり変化を感じなかった。元々、MP増強が目当てであることが大半であり、攻撃系の履行をあまり使わなかったので2系統により分割は大きな影響を感じない。召喚魔法スキルの調整についても、あくまでスキル以上のボーナスで変化するため、スキルがカンスト未満でも以前との差は出ない。 最後に、余談として本稿の本筋にも関係があるものとして召喚士サポ侍というジョブでのソロプレイも試してみた。召喚士のメイン武器は両手棍なので八双と星眼の恩恵を受けられる。黙想による直接的なTP取得や、残心の発動もなかなか面白い。スピリットテーカーを従来より早いスピード、多いTPで繰り出してのMP回復を得られた。ソロプレイの楽しみという範疇からは抜け出なそうではあるが、ソロ好きはちょっと試してみてもいいかもしれない。
一方、召喚士の変化では、履行の2系統化とスキルボーナスによる変化の可能性を追った。2系統化したことによるプレイの広がりもさることながら、筆者にはスキルボーナスによる補助系履行の効果時間アップも大きく感じた。効果時間が長くなった戦力底上げの履行を常にパーティに与えていくという、戦力底上げスタイルの強化は新しい魅力を感じる。まだまだ随所に制限や未調整部分が多く、発展途上の印象はいなめないが、さしあたり攻撃と補助の2面を分け、シーンに応じてフレキシブルに使い分けるというスタイルが提案されたのは歓迎したい。
FF XIのバトルバランスは変化の連続であり、飽くなき探究心を持った冒険者によって様々なスタイルが提唱されてきた。変化と進化はMMORPGの大きな魅力であり、筆者も1人の冒険者として、今後も継続的な進化を期待していきたい。 (C)2002-2006 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2006年11月6日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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