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名作ファンタジー「指輪物語」の世界を“歩く”ことができるMMORPG「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」(LOTRO)。前回は導入編として物語のキーアイテム「1つの指輪」と、主人公フロド達がたどった道のりを紹介した。 連載2回目からはより細かく「LOTRO」のフィールドを紹介し、実際に旅する際のガイドブックとしたい。「LOTRO」はその土地土地の情景を、住人達の生活様式、人々の人となり、歴史、そしてその土地で起きている問題など多彩な視点から再現している。その細かさ、そしてフィールドから生まれるリアリティは他のMMORPGの追随を許さない。 今回は「指輪物語」、そしてその前の話に当たる「ホビットの冒険」での“主役”を務めた“小さい人”ホビットと、彼らの「ホビット庄」を紹介しよう。「指輪物語」の作者のトールキンは物語の中で最も細かく、愛情を込めて彼らの性格と、生活を描写している。「LOTRO」は街や生活を精密に再現するだけでなく、原作で語られるホビットの真の強さ、明るさもきちんと表現している。ホビット庄は、「LOTRO」の世界で最ものどかで、楽しい場所である。多くの人に訪れ、小さな人達とふれ合ってもらいたい。 ※拡大画像には、撮影場所の簡単なガイドも加えてあります。ぜひ「LOTRO」で訪れてみて下さい。
■ 明るく楽しく、勇気ある小さな人“ホビット”
ホビットというのはまことに驚嘆すべきともがらじゃ。 フロドの決意を聞いたガンダルフの言葉
ホビットは底抜けの明るさと、いざというときの底力を持っている。この設定を活かし、「LOTRO」におけるホビットは暗闇や恐怖に対する抵抗力に優れ、体力にボーナスがある。反面、その小さな身体のため、腕力は減少する。選択できる職業はパーティーの盾役である「ガーディアン」、隠れることが得意な「バーグラー」、遠距離攻撃が強力な「ハンター」、歌でパーティーを癒す「ミンストレル」だ。成長したホビットはより隠れることが巧みになり、パーティーに希望を与える明るさも獲得する。
原作のホビットは特に隠行の名人としても知られていて、彼らがその気になれば他の種族では見つけることは困難だという。ゲーム内で隠れ身を使い、敵を背後から攻撃するバーグラーはホビットの小ささにとても似合っている。彼らは弓の名手としても知られていて、標的にものを当てるのが得意で、路上の石を握ったホビットには大きな獣も警戒するという。ハンターのホビットは的確に敵を倒す格好よさがある。魔法を使う才能こそないが、ホビットは他の種族に劣らない頼もしい仲間だ。
ホビット庄ならではのクエストとして「郵便配達」と、「パイ運び人」というものがある。このクエストは決められた場所から時間通りにものを届けるといういわゆる「お使い」クエストなのだが、郵便配達の場合は「詮索好きのホビット」に見つかると失敗してしまう。ホビットは止めなければ7代前の先祖の話までしだすという「時間つぶしの天才」であり、彼らの話は切り上げないとどこまでも続く。人の都合に頓着せずマイペースにことを運ぶ彼らのちょっと迷惑なところは、そのほかにも様々なクエストで見ることができる。 ホビットは文字より先に料理を習う(文字の方は一生習わない人もいる)、という種族的な伝統があり、ホビット庄は料理人を志すプレーヤーに特になじみ深い場所になる。「LOTRO」ではホビット庄は腕利き料理人の集まる場所であり、舌の肥えた人が集う場所になっている。最高品質の料理を作る場所もここである。長寿のホビットとして知られた「トゥック翁」の好物は猪のあばら肉に特製のスパイスを使った料理、といった特別な食べ物が登場するクエストもある。 食べることと噂話が大好きで、臆病なところもある彼らだが、危機に立ち向かうときの底力は目を見張るものがある。ゴブリン達の住む洞窟にも恐れずに武器を持っていくし、仲間が困ったときに援助の手は惜しまない。「カラムのための包帯」というクエストでは先祖の因縁で自分の命を狙った“大きい人(人間)”が怪我をしているのを聞いたとき、命を狙われていたホビット、ウィリマーは彼を手当するための方法をプレーヤーに教える。ホビットの心の強さを教えてくれるエピソードだ。
原作ではホビット達は大きい人やオーク達からは軽んじられがちだ。フロドを始めとして旅に出るホビット達はちょっと愚痴っぽく、臆病だ。しかし、子供くらいしか背丈がなく、普段は臆病な彼らが勇気を振り絞り、困難に立ち向かうその姿に「指輪物語」の真のテーマがある。どんな絶望的な状況で、めそめそと愚痴を言い、自らの境遇に嘆きながらも、フロドは、サムは、メリーは、ピピンは最終的には力強く立ち上がり、そして「正しいこと」をする。彼らの明るさと、絶望的な困難を突破する姿に読者は拍手喝采を送るのだ。
彼は庭師であり料理人であるが、指輪の旅では勇敢な戦士としての一面を発揮する。主人であるフロドを守り、巨大な蜘蛛の精霊シェロブに立ち向かったり、フロドが囚われたオークの塔に潜入するなど物語の主役とも言える活躍をする。他にもナズグルに痛手を負わせるメリーや、トロルの急所に深々と刀を突き刺すピピンなど、ホビットは重要な局面で、英雄達すらできないような偉大な活躍をする。強大な敵に立ち向かうホビットのプレイヤーには、原作のホビット達の勇姿がオーバーラップする。
「LOTRO」でのホビットはその小さくてかわいらしい外見から、失敗しても許せてしまう部分がある。1人で突っ込みすぎ、たくさんの敵を連れてあわてて戻ってきて、パーティーを大混乱に陥らせても、「ご、ごめん」とシュンとされると何となく許せてしまう。大きな怪物達に追われ、小さな足を精一杯動かして戻ってくるホビットの姿は、思わず笑みを浮かべたくなるような楽しさがある。ホビットをプレイするプレーヤーは勇敢さと共に、この「お茶目」な部分も意識してプレイしてもらいたい。
■ 美しく牧歌的で、「LOTRO」で一番明るい場所「ホビット庄」
三人は振り返って、川のなだらかな谷間にホビット村の明かりが瞬くのを 住み慣れたホビット庄を後にするフロド
道を歩いているとホビット達の集落を目にするだろう。各村には酒場があり、大きな村にはステージなどもあって、噂話や食事をするホビットの姿を目にすることができる。彼らの話はたわいないが、思わず笑みを浮かべさせるような明るさがある。前述の「郵便配達」や、「パイ運び人」といったクエストに挑戦をしていると様々な村を回ることになる。このため、他の地域以上に街道を走るプレーヤー姿が多い。 ホビットの住居は丸い扉と、その身長に合わせた低い天井が特徴だ。彼らは昔から「穴」に住んでいて、裕福なホビットは洞窟を快適に生活できるように飾り立てる。こうした建物を「スミアル」と呼ぶ。代表的なスミアルはビルボやフロドが住んでいた袋小路屋敷、そしてトゥック翁の子孫の住む「大スミアル」がある。特に大スミアルは1つの丘そのものを家にしたような住居でそのスケールには驚かされる。大スミアルには一部ではあるが中にも入れる。ホビットの住居の独特さを観察するのにぴったりの場所だ。 ブランディワイン川の向こうにもホビットは住んでいるが、彼らはホビット村周辺の者達からは「変わり者」と言われている。ホビットは泳げない者が多いのだが、川のそばに住むホビットはボートに乗り釣りを楽しんでいる。泳げないホビット達にとっては信じられないくらい無謀な行動だ。 西の沢地には原作に登場するマゴットのキノコ農場がある。彼はキノコの番に犬を使っている。原作のイメージを細かく再現したキノコ農場の作り込みは、原作ファンにはうれしい。もちろん犬もちゃんといる。意地悪で知られるロベリア・バキンズは袋小路屋敷の前で得意満面で立っている。彼女に話しかけるとちょっと腹が立つだろう。原作ファンは是非訪ねて欲しい。 ホビット庄は他の地域と比べるとはるかに平和で、のどかだ。ここでは他の地域で明確に感じる「荒廃への予感」とは無縁なように思える。しかし、最近では狼の動きが様々な地域で活発になっており、熊も人を襲うことが多い。巨大な羽根のある虫も農作物に被害を与えるため、住人を悩ませている。北西にはドワーフの盗賊が野営地を築いている。彼らは恐ろしい用心棒を雇い入れているという。
そして冥王サウロンの魔の手は確実にこの平和な地域にも迫ってきている。その最たるものが北のゴブリンの野営地だろう。羊を盗んだり、住人を脅かしたりと最近活動が活発になってきている。調べていくことでプレーヤー達は更なる恐ろしい影を感じることになる。また、最近になって噂に上る「黒の乗り手」の存在も、住人の心に不安の影を落としている。
それでもホビット庄は平和だ。1つの説によれば、サウロンは最近までホビットの存在を知らず、そのため悪の勢力が注意を向けていなかった、というものがある。しかしそれだけだとは筆者には思えない。世界を歩いていくと、悪の勢力に堕した人々を目にする。ゴブリンと手を結んだドワーフ、人間の盗賊達、そして邪悪な力に歪んでしまった野生動物や精霊、金に目がくらんだ巨人……。しかし、エルフとホビットだけは悪の勢力に属した存在がないのだ。 寿命というものがなく、善の精霊と近しいエルフはともかく、堕落したホビットが全くいないということは注目に値する。人間やドワーフと違って同族を襲う勢力が存在しないのだ。ホビット達は王といった大きな存在を持たず、郵便配達や見回りなど「自治」がきちんと行なわれている。結局のところ、各個人の「善良さ」、そして「強さ」がホビットを善の存在としているのではないだろうか。 「LOTRO」は各種族、そして各地域ごとに明確にテーマを感じさせる作品となっている。旅を続けていくごとにサウロンの影は濃くなり、プレーヤーの前に荒廃した地域が広がっていく。プレーヤーにとって「ホビット庄」は間違いなく「平和」を意識させられる場所だ。他の地域はまた異なるテーマ、そして違った魅力を持っている。
次回はドワーフとエルフの2つの種族と、彼らのスタート地点である、青の山脈といわれる「エレド・ルイン」を紹介したい。
※斜体の文章は、評論社から出版されている「新版 指輪物語」から抜粋したものです。 THE LORD OF THE RINGS ONLINE: SHADOWS OF ANGMAR interactive video game (C) 1995-2007 Turbine, Inc. and patents pending. All rights reserved. Middle-Earth Poster Map (C) 2007 The Saul Zaentz Company, d/b/a Tolkien Enterprises (SZC), under license to Turbine, Inc. All rights reserved. "The Lord of the Rings Online", "Shadows of Angmar", The Watcher logo, "The Lord of the Rings" 及びキャラクター、イベント、アイテム、場所の名前はSZCの登録商標または商標で、Turbine, Inc. が使用許可を受けたものです。Turbine及びTurbineロゴは米国及びその他の国における登録商標または商標です。 SAKURA Internet及び SAKURA Internetロゴはさくらインターネット株式会社の商標です。その他記載されている会社名、製品名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。その他すべての商標はそれぞれ所有者の所有物です。
【ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影】
□さくらインターネットのホームページ http://www.sakura.ad.jp/ □「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」のページ http://www.lotro-japan.com/ □「LieVo」のページ https://www.lievo.jp/ □関連情報 【8月8日】歩いて旅する「指輪物語」の世界 「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」ガイドブック 【連載第1回】 物語の鍵となる“指輪”とは? http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070808/lot_01.htm 【7月23日】オンラインゲームレビュー「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070723/lotro.htm (2007年8月22日) [Reported by 勝田哲也]
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