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入場料:無料
上海の中心地である人民広場のすぐ側という抜群の立地にある百貨店「新世界城」との共同事業として展開しているプレイヤーズアリーナは、セガが中国市場で展開する新しいアミューズメント施設として2006年5月にオープンした。運営を担当しているのは、セガと新世界城との共同出資企業「上海新世界世嘉遊芸有限公司」だが、セガが直接関与しているオフィシャルなアミューズメント施設としては中国唯一の存在である。 昨年のChinaJoyの際にも同施設を訪れ、開店2カ月後の状況をレポートした。運営2年目を迎えてプレイヤーズアリーナはどのように変化したのか、1年ぶりに現地を訪れ、最新レポートをお届けしたい。プレイヤーズアリーナの運営責任者を務める上海新世界世嘉遊芸有限公司 総経理代理の青山茂樹氏にも話を伺うことができたので、特別インタビューとして別途お届けする。 なお、プレイヤーズアリーナの事業内容そのものは、基本的に昨年から変わっていないので、概要については昨年のレポートを参照いただくとして、本稿では昨年からの変化を中心に見ていくことにしたい。
■ ボーナスポイント付与、回数券導入など現地の嗜好に合ったサービスを展開
昨年の時点では、「日本と同じサービスを日本に準じた価格で展開する」というアプローチで展開している印象が強かったが、1年が経過して、「日本と同じサービスを、現地の価格水準に合わせて展開する」という形に変わりつつあるのを感じた。 実際にアトラクションをプレイする場合は、入り口で「プレイヤーズカード」と呼ばれる同施設オリジナルの非接触式のICカードを購入する。このカードの選択肢が100元(約1,600円、10元デポジット、90ポイントチャージ)に加えて、50元(800円、10元デポジット、40ポイントチャージ)のタイプも追加されていた。 プレイヤーズカードは、1元1ポイントで、フロア内に点在するボックスで1元単位でチャージできる。60元以上の金額を一度にチャージするとボーナスポイントが付与されるようになっていて、来場者は仲間内や家族数人で1枚のカードを保有し、よりボーナスが多く付与されるように工夫して遊んでいるという。また、大型アトラクションについては、1プレイ30ポイント(30元)と高額になるため、回数券を用意して割安感を演出するなど、物価の違いからどうしても割高感が拭えないながらも、それを払拭するために随所に努力の形跡が見受けられた。 また、入り口には、最新筐体である「頭文字D ARCADE STAGE 4」や「三国志大戦」、「ワールドクラブ チャンピオンフットボール ヨーロピアンクラブス 2005-2006(WCCF)」の入荷の案内が掲示され、入場無料のため、エレベータからはき出されてきた子供達が勢いよく入っていくなど、昨年より明らかに活気が生まれてきた。ちなみに「三国志大戦」や「WCCF」のプレイ時に必要となるカードについては、カードを売る自動販売機はセキュリティ上の観点から設置せず、入り口でスターターキットを現金販売する形で対応していた。
内部のレイアウトは多少変化が見られた。まずメインフロアの新世界9階は、店舗の拡大のために飲食コーナーが全廃されていた。8階に関しては、入場無料化に伴い、9階から階段を下りると新世界のおもちゃ売り場になっていて、両社のメリットを活かす形で動線の変化が図られていたのが印象的だった。日本の企業と、中国の企業の共同出資プロジェクトは、うまくいかないというのが定説化してきているが、プレイヤーズアリーナに限っては、フロアを見る限りでは非常にうまくいっているという印象だ。
■ 「三国志大戦」や「WCCF」など、大物アーケードマシンを続々入荷
現状だと、「頭文字D」のような体感ゲーム、「甲虫王者ムシキング」のようなキッズゲーム、そして「三国志大戦」のようなトレーディングカードゲームは、ほぼ日本と変わらない品揃えを実現している。プライズマシンに関しては、UFOキャッチャーは置かれていたものの、中身が日本とは若干異なっていた。また、ガチャガチャが大量導入されたのも変化のひとつだ。この1年でずいぶんアミューズメントスポットらしくなったなというのが正直な感想だ。 もっとも、全面解禁ではないため、いまだに設置されていないアーケードマシンも多々ある。ジャンルでいうと、麻雀や競馬といった賭博のイメージが強いもの、店舗間を繋いで対戦を行なうオンラインモノ、そして「バーチャファイター5」や「パワースマッシュ3」といったいわゆるビデオゲーム機もまだだ。これらが解禁されれば、上海中のアーケードゲーマーがどんどん集うようなゲームファンのトレンドスポットに変貌する期待感がある。 さて、アーケードマシンでの大きなトピックは、先述したように「三国志大戦」、「ワールドクラブ チャンピオンフットボール ヨーロピアンクラブス 2005-2006」といったトレーディングカードゲームが入荷していたことだろう。日本語版のままの展開で、中国市場の調査を目的とした一種のトライアルとして設置したという。 共に7月上旬に入荷したばかりで、価格は12元(約192円)と日本と変わらない水準で提供されている。来場者の反応は良好で、大量にポイントをため込んだカードを持ち込んで延々とプレイし続け、それを見るために人だかりができるといった光景が繰り広げられていた。 これは、お金を持っている人とそうでない人が織りなす光景かというとそうではなく、日本では人気タイトルは1回プレイしたら他の人に交代するという不文律があるが、中国ではそれがないのだ。連続プレイは当たり前で、お金が尽きるまで、自分が満足するまで遊び続けるのが当たり前になっている。 中でも「三国志大戦」は、中国史を題材にしたタイトルだけに設置直後から大人気で、週末は「まずプレイできない」という。店舗側としてはフル稼働しているので営業的には問題ないが、8台を8人に占領されては、他の来場者が納得できないだろう。来場者全員が楽しめるようなルール作りが急務といった印象だ。店舗側でもこの人気に答えるため、早くも大会イベントを現在企画しているという。 筐体やカードは、日本語版のものがそのまま使われている。カードは定期的に日本から輸入し、スターターキットを入り口で販売する。プレイ後にはき出される新カードも日本語仕様だ。テキストの漢字部分を見てだいたいの意味を理解し、あとはプレイして覚えるといった体当たり的な遊び方が多い。細かいルールは、店頭には簡体字に翻訳されたインストラクションカードが置いてあり、それを読んでゲームの遊び方を覚えていく。 ゲームのバージョンは1.5で、ゲームモードは、「一人用」か「店内対戦」の2種類。中国全土で設置されているのがここしかないため、「全国対戦」には対応していない。まだ設置したてのためか、「一人用」を遊ぶユーザーがほとんどだった。
一方、「WCCF」は、「三国志大戦」と同様日本語版だが、こちらは最新バージョンの「2005~2006」が設置されていた。サッカーは、中国でも人気の高いスポーツであり、こちらもかなりの集客を見込んでいるということだが、8つの席の2~3席が埋まるというレベルで、まだまだ本調子にはほど遠い。「WCCF」コーナーの後ろには、比較的ゆったりしたスペースが確保され、将来的にはユーザー同士のカードトレーディングの場として提供する考えだという。
■ 収益の柱はリデンプションマシン。上海一のリデンプションコーナーを目指す
リデンプションマシンとは、日本で言うメダルゲームのことを指す。メダルゲームとの違いは、メダルゲームがメダルを投入し、大量のメダルを獲得するゲームであるのに対し、リデンプションマシンは、メダルを投入するところまでは同じだが、はき出されるものがメダルではなくチケットというところだ。 メダルを飲み込み、チケットをはき出すリデンプションマシンは、中国のアミューズメントスポットではごく普通に取り入れられており、セガもそれに倣った形となる。なぜメダルではなくチケットなのかというと、メダルゲームの規制に関して明文化されたものが存在しないが、一般的な理解としては、メダルゲームは賭博をイメージさせ、子供に遊ばせるゲームとしては印象が良くないためだという。 メダルは1点(1元)につき1枚のレートで購入でき、チケットの獲得量に応じて鉛筆1本から、巨大なぬいぐるみまで様々なアイテムと交換できる。実質1枚1元(約16円)なので、いわゆるメダル落とし系のマシンで遊ぶと100元や200元はあっという間に使ってしまうため、利益率も抜群なように思えるが、実際にはそうでもないという。
というのも、不正を防ぐためにチケットの再利用はせず、一度カウントされたチケットはすべて廃棄するため、必然的に運営費に占めるチケット代のウェイトが大きくなってしまうためだ。それでも、リデンプションマシンの集客率は他のコーナーと比較しても圧倒的であり、セガとしてもここをさらに拡張し、「リデンプションマシンならプレイヤーズアリーナ」と言われるぐらいまで高めていきたいということだ。
□セガのホームページ (2007年7月27日) [Reported by 中村聖司]
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