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所在地:新世界城 「新世界城」といえば、上海市の中心部である人民広場のすぐ側にある名物デパート。 夜になると、建物全体がラスベガスを彷彿とさせる派手なネオンに彩られ、観光客を南京東路に誘う。上海を訪れた観光客ならまず間違いなく一度は目にする上海繁華街の顔と言えるデパートである。この新世界城の8階、9階で、セガがどのようなコンテンツ、サービスを上海市民に提供しているのか。さっそく覗いてみたので、その模様をお伝えしたい。
■ リチャージ可能なプリペイドカードでアトラクションをプレイ
近代的デパートである新世界城の8階の半分と9階全体を用い、セガオリジナルの大型アトラクションを中心に、クレーンゲーム、大型アーケード筐体、幼児用体感機、リデンプションゲーム(メダルゲーム)など250台の各種マシンを設置している。その広さは、1万2,000平方メートル。中には飲食店のテナントもあり、丸一日楽しめるだけのボリュームがある。 リリースを見る限りでは、おおむねセガジョイポリスの中国版といったアミューズメント施設だが、中国の法律により、娯楽(ゲーム)施設としては許可が下りないため、文化娯楽施設というカテゴリでサービスを行なっている。平たく言うとスポーツ施設ということになる。 スポーツ施設にする、つまりゲーム施設から脱却するために、プレイヤーズアリーナでは、アーケードのコントロールパネルを用いるアーケードゲームやアーケード向けネットワークゲームを一切置いていない。セガのアーケードゲームには「パワースマッシュ」や「バーチャストライカー」など、スポーツを扱ったアーケードゲームがあるが、インターフェイスの時点で「ゲーム」と認定される恐れがあるため、念のためにこれらも除いている。 ほとんどのマシンは、日本からの直輸入品であり、「THE HOUSE OF THE DEAD 4」など最新大型筐体も導入されるなど、パッと見の風景は「これは日本だ」と言われてもまったく違和感がない。ただし、よく見ると、すべてのマシンには北京語でガイドが付いており、来場者は最低限北京語でゲームの概要と操作方法を学ぶことができるようになっている。 スタッフは現地から雇用した総勢200名で構成されており、朝10時から夜10時までの営業時間を朝からと夕方からの2交代制で回している。1日の入場者数は平日で5,000人弱だが、土日祝日は1万人を超える日もあるという。現時点では、営業開始からまだ2カ月ということもあり、利益はあまり考えずに、スタッフの教育と、施設の知名度アップに力を注いでいるという。
なお、ChinaJoyレポートでも繰り返し触れてきたように、中国は娯楽に関して規制の厳しい国で、アミューズメント施設に関しても日本の風営法のような法律が存在する。今回は夜に訪問したため、当然のことながら若干アダルトな雰囲気を想像していたのだが、小学生ぐらいの少年少女が数多くいたのに驚かされた。やはり日本の営業とは違うという感じがする。
■ リチャージ可能なプリペイドカードで各種アトラクションをプレイ
プレイヤーズカードは、同施設のすべてのアトラクションやマシンを遊ぶために必要なアイテムで、リチャージ可能な非接触式のICカードとなっている。最初にカードを発行した時点で100元の中から20元分がデポジットとしてカットされ、80元分の80ポイントがチャージされる。 アトラクションをプレイする際は、コイン投入口の側に設置されている専用の端末にカードをかざし、現金を投入の代わりに、その都度カードのポイントから支払う仕組みだ。現金投入口はふさがれ、一切使用できなくなっている。もともと中国のアミューズメント施設では、マシンに直接現金を投入する文化がなく、受付カウンターでいったん現金をコインに替えて、マシンにコインを投入して遊ぶようになっている。 プレイヤーズアリーナもそれにならった形になるが、リデンプションゲームと呼ばれるメダルの代わりにチケットをはき出す中国版メダルゲームでも、ICカードを使ってメダルを落とし込むのがユニークだ。中身は完全にメダルゲームなのに、投入と払い戻しに関してメダルには一切触れず、かつ1回のコイン投入のために非接触式のICカードをかざすという、新旧テクノロジーが融合する姿がいかにも中国的でおもしろい。 1回当たりのプレイ料金は、セガオリジナルアトラクションが10(約160円)元から50元(約800円)、その他のマシンが1元から40元となっている。場末のゲームセンターの一回のプレイ料金が0.5元(8円)程度なのに比べると、若干高い価格設定となる。また、日本のように1日で数万円を使うような、派手に使い込むユーザーも今のところいないようだ。チャージが切れたカードは、フロア内に点在するリチャージボックスで、現金を支払いポイントに充当することで再び使えるようになる。
入り口で100元のカードを購入するため、客単価は100元以上かというと、実はそうでもない。ICカードは、個人にヒモ付けられているわけではないため、ファミリー単位、カップル単位で使い回すことができる。ひとりだと最低1,600円スタートと結構ハードルの高い施設だが、来場者はファミリーやカップルが圧倒的に多く、それなりに賢く使いこなしているようだ。
■ アトラクションよりも大型筐体が人気、ムシキング中文版もずらり
メインエントランスを抜けた先にはスピードゾーンが広がっている。歩行スペースをゆったりと取り、絶えずめくるめくネオンに照らされた豪華な空間だ。すぐ目の前には上海郊外にF1サーキットがあることを強く意識した超大型アトラクション「SEGA FORMULA RACER」が鎮座している。「SEGA FORMULA RACER」はプレイヤーズアリーナオリジナルコンテンツのひとつで、ほぼ原寸というフォーミュラカーがずらりと8台並ぶ。その周囲には、「アウトラン2SP」や「頭文字D」などの大型筐体のレースゲームが複数台ずつ設置されている。 その奥にはスポーツゾーンがある。スポーツ施設と銘打つだけあって、卓球、バスケ、サッカー、ゴルフなど、安全ネットで囲まれた体感アトラクションが揃っている。ちなみに卓球は、卓球世界一のお国柄ゆえか、素人ではとても手が出せないスピードにチューニングされているという。そのほか、素足でサッカーボールを蹴る来場者がいたり、観客が騒いでいたり、見てるだけで楽しめる空間だ。 さらに奥に進むとリデンプションゾーンがある。夜にもかかわらず子供連れのファミリーでごったがえしていた。ICカードを使ってメダルゲームをプレイするコーナーだが、コイン落としに成功したり、ゲームに勝利したり、ジャックポット等を引き当てると、マシンの下部から勢いよくチケットがはき出される。 切符大のサイズのチケットが、数珠繋ぎ状態のまま当たりの分だけガンガンはき出されるため、プレイに熱中しているとイスの下が細い紙の山ができる。このチケットは、パチンコのように専用の機械で回収、計測し、景品に換えることができる。チケットの束を持ったままさらにゲームに熱中する子供たちの姿が印象的で、メダルゲームとはまた異なる、視覚的、触覚的な楽しさがあるエンターテインメントだと思った。 なお、「当たる」確率は、日本のメダルゲームに比べて圧倒的に高く設定されているようで、こんなに勝っていいのかというぐらいに小当たりが繰り返され、非常に楽しい。ただし、景品の換金レートはかなりお高めで、500点(メダル500枚相当)でもボールペン1本、ぬいぐるみ1つぐらいしか貰えない。 交換レートの悪さは、上海の他のアミューズメント施設でも共通で、プレイヤーズアリーナだけの話ではない。ただ、同店の場合、ICカードにポイントを貯め込むことができるため、マウンテンバイク(45,000点、メダル45,000枚相当)のような高額景品をじっくり期間を掛けて狙うことができる。プレイヤーズアリーナのリデンプションゾーンの人気の秘密はこのあたりにありそうである。 パワーゾーンは、「Wild River」、「Aqua Nova」など、急流滑りやカヌー、ミュージックゲーム、ガンシューティングなど、スポーツとは外れたアグレッシブなコンテンツを取り扱ったコーナーだ。「THE HOUSE OF THE DEAD 4」、「太鼓の達人」、「タイムクライシス3」など、大型筐体も多く、セガ以外の筐体も見られた。ここがもっとも日本のアミューズメント施設に近い。 上海のアーケードファンにとって嬉しいのは、パワーゾーンに配置された大型筐体が新しいものばかりであるというところだろう。2000年に44号文件が発令されて以降、新しいアミューズメント施設は原則的に許可が下りなくなっている。従って、街に点在するそれらの施設は、筐体の入れ替えもなく、故障も直されないという、非常にクオリティの低いサービスが行なわれている。プレイヤーズアリーナなら日本並みのサービスクオリティでアーケードゲームを楽しむことができる。このメリットは大きい。
最後のサイバーポップゾーンは、セガが持っているありとあらゆるプライズゲームや幼児向け体感機や遊技スペース、そしてムシキングなどが配置されており、ここにも家族連れが多かった。日本ではほとんど見られなくなった幼児用体感マシン「わくわく」シリーズが全種揃っているなど、'80年代、'90年代のアミューズメントスポットの姿があった。アーケードゲーマーからすると、アーケードゲームの博物館的な趣すら感じられる。往年のアーケードゲームファンは、昔を懐かしむ意味でも訪れる価値のあるスポットと言えそうだ。
□セガのホームページ (2006年8月7日) [Reported by 中村聖司]
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