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会場:プレイヤーズアリーナ
両社の間での役割分担は、大型デパート新世界城を展開する上海新世界がハコを提供し、セガがコンテンツと施設のオペレーションを担当している。従業員は現地人が中心となっているが、セガから出向しているスタッフも多い。早い人になると2005年から駐在しており、外国人専用の居住区で暮らしながら、1日2交代制の営業時間を交代なしで勤務している。プレイヤーズアリーナのオペレーションは、まだまだ日本人に依存するところが多いのが現状である。 今回は、現場を取り仕切る責任者である上海新世界世嘉遊芸有限公司 総経理の川原崎浩嗣氏に、プレイヤーズアリーナの戦略と、今後の展開について話を伺った。
■ 通常の娯楽ではなく、文化娯楽として展開する「プレイヤーズアリーナ」
川原崎氏: 中国市場開拓のミッションのひとつです。そうはいいながら、中国でゲームが禁止されていたという状況もありまして、それを払拭した上で、そこをランドマーク的な見本として上海の皆さんに広く受け入れられるようにしていくというのが目標ですね。しっかりとしたビジネスとして成立させた上で、中国のアミューズメント市場の健全な発展に努めていけたらと考えています。 編: 現在も中国では44号文書をはじめとして、ゲームビジネスを規制する法律はいろいろあります。その中でいかに法律に適用させる形で軟着陸できたのでしょうか? 川原崎氏: 今回は通常の「娯楽」とは違う「文化娯楽」というライセンスで展開しています。上海市と各種地方自治体でもライセンスの与え方、ライセンスの仕組みは違いがあるんですね。私たちはもともと体育文化部、健全な体育施設ですよということを本義として展開しています。 編: では、ジョイポリスではなく、プレイヤーズアリーナという名称を使ったのは、その辺も関係してくるのでしょうか? 川原崎氏: そうです。 編: このプレイヤーズアリーナ構想というのは中国限定なのでしょうか? それとも今後世界にという? 川原崎氏: まだそこまで決めているわけではないと思います。これは世界にアピールするためということはあるのでしょうけれども、あくまで上海のプレーヤーにスポーツ施設を提供していくというのが一番重要視しているところでもありますので。 編: 体育施設という話がありましたが、プレイヤーズアリーナのテーマというのは何なのでしょう。 川原崎氏: スポーツですね。ゲームではないといってしまえばどうなのかとは思いますが、ゲーム性を持って実際に体などを動かしたりすることを含めたスポーツをメインテーマにしたエリア、システムですね。 編: 置いているコンテンツというものはセガさんのみなのでしょうか。 川原崎氏: いえ、当然他社さんの商品もありますし、中国で調達したものもあります。 編: プレイヤーズアリーナオリジナルコンテンツというものはあるのでしょうか? 川原崎氏: 中国だけで展開するかどうかはまだちょっとはっきりしないのですが、初めてのアトラクションというのは数機種あります。まずは入り口を入ったところに展示しているアトラクションなのですが、「フォーミュラ・レーサー」というものです。こちらが上海でF1サーキットが展開され非常に人気も高いということで、展開したアトラクションです。8人乗りでほぼ実寸に近いようなフォーミュラカーに乗ってプレイします。 編: プレイヤーズアリーナでゲームをプレイするためには、10元の入場料に加えて、100元でカードを購入する必要があって、これはちょっと敷居が高いかなと感じました。どういった層をターゲットとしたビジネスなのでしょうか? 川原崎氏: ユーザー層というより、ゲームセンターと日本にある東京ジョイポリスという区分けをすれば、ジョイポリスタイプに近い施設作りをしていきたいなというところからスタートしています。製造のクォリティを含めて質の高い、ビジュアル的にも楽しめるというところで投資しています、 ですから、プレイ料金に加えて、入場料も取ってというと考えていました。ただ、実際にはプレイヤーズアリーナは、5月23日に正式オープンしたのですが、夏休みも近いということで、現在は入場無料キャンペーンということでやっています。 編: 当面は黒字赤字ということはあまり考えずに、まずはお客さんを集めようということでしょうか。 川原崎氏: そういうことになりますね、まずはお客さんに認知いただくことが最初の役割になりますので。 編: 今置かれているコンテンツの中で人気のものは何になりますか? 川原崎氏: 大型のアトラクションでいきますと、先ほど申し上げた「フォーミュラ・レーサー」と「ミスティック・オーシャン」などがいい乗車率ですね。あとは、シミュレーション系のレースゲームであるとか、プライズもの、それから日本にはありませんが、リデンプションマシンには人気がありますね。 編: リデンプションとはメダルゲームのことですよね。 川原崎氏: トークンを使うこと以外はメダルゲームに近いです。通常リデンプションマシンという言い方をします。中国以外にもアメリカでもあります。コインを入れて、ゲームをして、そのゲーム結果によって、切符みたいなチケットがダーッと出ます。単価的には非常に低いチケットなのですが、貯めると景品と交換できるという内容です。 編: 日本と比べて、遊び方の違いというのは何か感じられましたか? 川原崎氏: まずはリデンプションゲームというのが中華圏では割とポピュラーな内容なので、年齢を問わず遊んでいただいています。あとアトラクションでは、慣れていないためかスリルのあるアトラクションに対しては怖がられる方が多いですね。 編: 年齢層男女比でいくとどうでしょうか。 川原崎氏: 男女比は6月7月のデータですが、ほとんど5分5分に近い状況ですけれども若干男性が多いという感じです。百貨店の性格と相まって、カップル、若い人たちと家族連れが混在しているような状況ですね。 編: 年内の来場者数の見込みはいかがでしょうか。 川原崎氏: 当初年間100万~120万人という見立てをしていたのですけれども、こういう形態に変えましたので、そのあたりの数字は具体的には見えていないです。 編: 客単価はいくらくらいですか? 川原崎氏: 現時点では入場料を無料にしているものですから、人数の集計はとってはいるのですが、ダブルカウントだったりしてて怪しい内容になっているので、整合性を持った数値を取るためにしていくための対応をしているところです。もともと100元(約1,600円)くらいを想定しています。
■ オンラインゲーム、アーケードゲームは? 今後の展開について
川原崎氏: 検討はしています。 編: たとえば麻雀「MJ」シリーズなどは人気を集めそうですが。 川原崎氏: セガが得意としている麻雀や競馬というのは、ちょっとまだ輸入の許可が難しいですね。 編: それは賭博性ということですか? 川原崎氏: その解釈がどうなのかというのは、まだ当局のお伺いを立てないと分からないところではあります。ただ、「WCCF」のようなサッカーなら可能なのではないかと思いますね。 編: それから「三国志大戦」シリーズなどもぴったりですよね。 川原崎氏: 今後、検討はしたいなと思いますが、今のところ予定はないですね。 編: 今後はどういった展開をお考えなのでしょうか? 川原崎氏: プレイヤーズアリーナの施設内の展開に関しては、まだ煮詰め切れてないのですが、ちょっと洗練されすぎたかなという感じはします。そのあたりの色合いをもう少し薄めていくようにしていきたいですね。たとえばカーニバルゲームなどをもう少し導入して、にぎやかしさと言いますか、そういった雰囲気作りをしていきたいです。 編: ジョイポリスですと、各種イメージキャラクターで華やかさを演出されていますが、そのあたりの展開についてはいかがですか? 川原崎氏: 今回は、たとえばキャラクタのソニックですとか、そうした既存のイメージとは一線を画してやっていこうというコンセプトがありましたので、今は使用していないのですが、これからはそういったものが必要だろうということで検討はしています。 編: 今後中国の子会社としてオリジナルコンテンツを作っていくということはあるのでしょうか。 川原崎氏: 我々はあくまでオペレーションの会社ですので、アトラクションを開発製造していくというのはまだまだ時間がかかる話になると思いますね。 編: 上海市内には、「バーチャファイター」のようなビデオゲームを置いたアミューズメントスポットが存在しますが、あれはイリーガルな存在なのでしょうか。 川原崎氏: そうではないと思います。2000年の44号法令が出るまでに取得されたライセンスには当然生きています。 編: そうしたビデオゲームの展開はないのでしょうか? 川原崎氏: 今ビデオゲームはほとんどありませんが、基本的には入れていきたいですね。「バーチャストライカー」ですとかスポーツがテーマのビデオゲームもいろいろありますので、まずはそこから。ただ単に機械を置くのではなくて何らかの装飾や演出があって、それに起因する物販がというところまでいくと楽しいのではないかと思います。 編: 物販といいますとセガさんのオリジナルグッズということでしょうか。 川原崎氏: そうですね。中国オリジナルのグッズを作れるようになるにはもう少し頑張っていかないといけないと思うのですが、関連する商品ですとか、商品開発も含めて、将来的にはそうした物販もやっていきたいですね。 編: China Joyでは、セガさんの元気の良さがとても印象に残っていて、これから中国市場で何をやっていくのかということに非常に期待感があります。川原崎さんのほうではどういったことをやられるのでしょうか。 川原崎氏: 私のミッションとしては、上海で中国の施設事業を引っ張っていけるようなそういう設備にしたい。当局にも十分産業として認知していだけるように。もちろん一般のお客さんもお父さんお母さんを含めて、ゲームの枠だけではないですよ、エンターテイメントは新しい健全な施設ですよ、という見本を作りあげて、牽引していくということになりますね。 編: 中国のエンターテイメント市場で、今後の展望についてはどのようにお考えですか。 川原崎氏: ユーザーの反応としては非常にいいものがあります。我々の企画とかそういう面に関してはシビアな目を持たれていますので、お客さんの顧客満足度を満たすような商品であるとかオペレーションであるとか、そうしたものをしっかり作っていく。日本とまったく同等かそれ以上にクオリティを高めていく必要性を感じていますね。 編: クオリティというのはどのあたりを高めていきたいのですか。 川原崎氏: ハード、モノとしてのクオリティはもちろんですが、特にオペレーションのほうで、サービスの概念というのが、日本ほどサービスに対する欲求が強くないのですが、その先に期待されているものも大きいと思うのですよ。 外資だから、日本の企業だから、こういうクオリティというのは大事ですし、ユーザーさんもそういう期待感を持っていると思います。現在では他の日本のメーカーさんも進出してきておられますし、ゲームメーカーさんも多数来ておられます。そういう意味で、日本メーカーに対する期待感というのは持たれているのかなと感じます。 編: 今回プレイヤーズアリーナというのは実験店舗ではなくて1号店ということなのですよね。 川原崎氏: そうですね。そういう位置づけになりますね。当然2号店、3号店と続けて行ければいいなと。 編: 今年の目標を教えてください。 川原崎氏: 上海はじめ、中国のお客さんに、健全な娯楽として、エンターテイメントとして認識されること、これが第一だと思います。いろいろな反応がありますけれども、結構受け入れられるのではないかという手応えも感じていますし。 編: 5月から2カ月の運営の中でどのような手ごたえを感じられましたか? 川原崎氏: たとえば、今回のショーでもうちのパンフレットとサービス券をつけているのですが、そうしますと日本では考えられないような回収率でいらっしゃったりしています。6月末から7月頭での動漫(アニメーション)ショーでも配らせて頂いたのですけれども、非常にいい回収率ですね。こうした反応の良さ、早さというのも興味を持ってみて頂いている証かなと思いますし。 編: 頑張ってください。ありがとうございました。
□China Digital Entertainment Expoのホームページ (2006年8月7日) [Reported by 中村聖司]
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