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会場:Shanghai New International Expo Center
入場料:50元(約800円)
■ 5周年を迎えたChinaJoy。中国大手が出揃い、日本勢が堅調。韓国勢はほぼ撤退
ChinaJoy 2007は、開催規模、会場共に第3回から変わっておらず、それだけに3年前に比べると会場運営もずいぶんこなれてきた印象がある。あまりの大音声に耳栓が必要だったり、各ブースで様々なグッズを配りすぎるあまり、閉会間際は通路がゴミだらけになったり、ステージイベントに火薬を使用して煙が場内に蔓延するような、びっくりする事態は発生せず、安心して見られる、ある意味“普通のゲームショウ”になった。 ただ、全体的に試遊台が少なく、ステージイベントが中心であったり、後述する盛大のブースでは、ブース内にプールと砂浜が設置され、至る所で水着姿の女性が微笑んでいたり、ブース内の抽選で車1台をプレゼントするといった桁外れっぷりはいかにもアジア的だが、警備員が常時目に付き、台湾のようにステージイベントでグッズを投げ配ったり、ブース内で即売会はやらないところは中国ならではの規律性が感じられる。 今年の出展メーカーは、SHANDA(盛大)、THE9、NETEASE、9YOUといった大手メーカーのほか、昨年初出展した国営放送CNECを親会社に持つCITVC、日本でも展開している中国産MMORPG「Perfect World」のデベロッパー完美時空、CGC Gamesなど。SHANDAは日本のメーカーとの事業提携に活路を求め、THE9はドル箱タイトルの「World of Warcraft」で得た資金で、「Hellgate London」(Flagship Studios)、「ラグナロクオンライン II」(Gravity)、「FIFA ONLINE」(Neowiz)、「Audition 2」(T2 Entertainment)といった新作オンラインタイトルを次々に獲得、9YOUは大阪ヘラクレス市場に上場した勢いで、会場内外の様々な場所に広告を打つなど、各社さまざまなアプローチで出展を行なっていたのが印象的だった。新規メーカーも続々生まれており、各メーカーとも生き残りに必死だ。 韓国メーカーは、わずかにWebzenの子会社Webzen Chinaのみという状況で、韓国産オンラインゲームは中国で未だ根強い人気を誇っているものの、メーカーとしての存在感は薄れつつある。韓国勢の中国展開戦略は、現地メーカーとの共同出資による現地法人設立から、現地パブリッシャーに完全に任せるという方針に切り替わったと見て良いだろう。台湾勢は前年同様ゼロという結果だった。こちらも同様の理由だろうか。海外メーカーにとって中国の壁は依然として厚いことを感じさせてくれた。 欧米メーカーは、Electronic ArtsとUbisoftがそれぞれ単独出展を果たしていた。中国では海外メーカーの自社パブリッシングは認められていないため、現地パブリッシャーは両社ともCITVCで、出展の一部は重複していたほどだが、それでも単独出展するところに、ワールドワイドパブリッシャーを自他共に認める両社らしいプライドを感じさせる。後述するが、EAに関しては、コンシューマタイトルを参考出展していたところが大きなトピックだ。 残る日本メーカーは、単独出展していたSony Computer Entertainment Asia(SCE Asia)とスクウェア・エニックスの2社に加えて、7月3日に「DOA ONLINE」を正式発表したテクモが、提携先である中国最大手のSHANDAブースをほぼ独占状態で同作を出展、そしてコーエーがCNECブースで簡体字版のPCゲームタイトルを出展していた。 SCE Asiaはプレイステーション 3タイトル11本の試遊台を全面展開、スクウェア・エニックスは、今春正式サービスを開始した「ファンタジーアース ZERO」と、今秋サービス開始予定の「コンチェルトゲート」を出展していた。テクモは「DOA ONLINE」を映像出展したほか、ゲームイメージを伝えるために「DEAD OR ALIVE 4」、「DEAD OR ALIVE:Xtreme 2」を参考出展。コーエーは、「三國志11」、「真・三國無双4 Special」、「遙かなる時空の中で2」の3タイトルを出展していた。 その一方、残念なニュースとしては、コーエーの中国パートナーである盛宣鳴と、昨年のChinaJoyで中国オンラインビジネスの本格始動を宣言したセガが未出展だったことだ。 盛宣鳴は、昨年、ブースに一艘の船を設置して「大航海時代 Online」をアピールし、来場者の度肝を抜いてくれたが、現在、中国の複数の情報サイトでも報じられているように、盛宣鳴の楊峰銘CEOをはじめとした経営陣が総辞職するなどして倒産騒ぎとなっている。 昨年、セガは北京歌華網絡文化資訊有限公司と共同でブース出展し、デジタルコンテンツサイト「嘉游(JIAYOU)」を立ち上げ、「サクラ大戦MMO(仮称)」や「シェンムーオンライン」といった大作MMORPG、「ペンゴオンライン」、「ぷよぷよオンライン」など複数のカジュアルゲームを発表した。しかし、今年5月の「嘉游(JIAYOU)」の運営中止を発表。正式サービスを行なっていたオンラインゲーム「彩虹騎士」のサービスも8月30日を持って終了する。セガでは撤退ではなく、あくまで仕切り直しとしているが、こちらもまた中国でのビジネスの難しさを実感させるエピソードだ。
■ コンシューマゲームが大々的に出展。コンシューマ市場にもはや国境はないのか?
よく知られているように、中国では今なおコンシューマゲームがハード、ソフト共に販売が認められておらず、任天堂が中国iQueと提携して展開している「iQue DS Lite」等の携帯型ゲーム機を除いて、正規市場は存在しない。そのため、出展はもれなく発売未定の“参考出展”ばかりだったが、Sony Computer Entertainment Asia(SCE Asia)やElectronic Artsといった大手メーカーが堂々とコンシューマゲームを出展していたのには驚かされた。ChinaJoyの5年の歴史の中でもこれほど大規模な出展は初めてだ。 出展プラットフォームは、プレイステーション 3、Xbox 360、Wiiと現行機がすべて出揃っており、HD液晶テレビやWiiコントローラを振り回せるだけの広さの体験コーナーを設けるなどして、中国のゲームファンに、オンラインゲームとはまったく異なる楽しさをアピールしていた。一方、PSPやDSなどの携帯型ゲーム機の試遊台は見ることができなかった。こちらは海賊版が出回っており、市場として厳しいという判断ゆえだろうか。 こうしたコンシューマーメーカーの動きは、法規制の解禁が間近に迫っていることを匂わせるが、関係者に聞く限りでは、状況は例年とまったく変わっておらず、必ずしも解禁を意味するわけではないという。それではどのような理由から出展しているのかというと、大別して3つの考え方がある。 ひとつは今後のビジネスをふまえて主催者の出展要請に応じたため、もうひとつは中国都市部に点在する電脳街に当たり前のように置かれている輸入品の購入を促すため、3つ目は、日本や台湾、香港といった海外へ旅行する人に“お土産”として購入してもらうためである。中でも3つ目の海外旅行を狙った間接的なマーケティング施策は、無数の国が点在するアジアならではの取り組みであり、非常にユニークだ。 いわゆる次世代機は、普及を促進させるため、こうした国境を越えた展開をある程度視野に入れたパッケージになっている。たとえば、PS3のシステムOSは台湾、香港で利用されている繁体字に加えて、簡体字にも対応しており、ソフトウェアでも簡体字対応するタイトルが増え始めている。SCE Asia公式サイトも簡体字を含む多言語対応を果たしており、ネットカフェならわずか2元(約32円/1時間)で情報収集できる。 SCE Asiaによれば、PS3の簡体字対応は、マレーシアやシンガポールなどアジア圏で簡体字はニーズがあるためであり、必ずしも中国展開を意図したものではないとしているが、コンシューマゲームを遊びたい中国在住のユーザーにとって簡体字対応は素直に喜ばしいニュースだ。これまで各プラットフォーマーは、現地法人による直接展開を狙っているものと思われたが、合弁会社設立という妥協案を飛び越えて一気に、ゲームファンに海外で母国語対応のプラットフォームとゲームソフトを購入してもらい、結果としてプラットフォームの浸透を図る。中国のコンシューマビジネスはそのような形になりつつある。
プラットフォーマーとしてはハードが売れなければ、ハードの値下げができず、ゲームメーカーとしてはハードが売れなければゲームが売れない。多言語対応による国境をまたいだ展開は、メーカー側にとっては利益に合致した行為だ。ただ、ユーザーサポートや故障修理の問題は依然として残る。何よりサポート対象外となるのが痛い。次世代機までアングラ化しないためにも早期の現地展開が望まれるところだ。
□China Digital Entertainment Expoのホームページ (2007年7月13日) [Reported by 中村聖司]
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