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本連載においても何度か紹介してきたビシージ。もはやアトルガン時代に生きる冒険者にとって、おなじみの最大700人規模の超大規模戦闘だ。蛮族軍の最大兵力はさらに引き上げられ、ついにレベル8になった。レベル8ではこれまでの規模を圧倒的に上回る巨大な脅威が参戦してきた。今回はそれをメインに最新ビシージの状況をお伝えしよう。
また、ビシージにおいて皇国軍を象徴する存在「五蛇将」の魅力が広がっていることも見逃せない。以前には、五蛇将の中心人物である天蛇将ルガジーンの過去を知れるクエスト、「天駆ける剣」を紹介した。バージョンアップではこの五蛇将クエストの続きとして、土蛇将ザザーグと風蛇将ナジュリスのクエストが導入された。「天駆ける剣」もオススメのクエストだったが、追加された土蛇将ザザーグと風蛇将ナジュリスのクエストもそれに負けず劣らず充実している。それらは後半に紹介しているので、ぜひこちらも注目いただきたい。
ビシージに参戦してきた3体と同種族のHNMであるハイドラ、ケルベロス、キマイラという3体については、公式サイトの「皇国手配書2 (2006/12/05)」にイラスト付きでどのような存在なのかが語られている。その文面の段階で既に皇都攻撃、つまりビシージに加わる可能性が示唆されていたのだが、レベル8でついに登場に至ったというわけだ。 なお、これらの巨大モンスターは、蛮族軍レベル8なら必ず登場するというわけではない。レベル8には強さに幅があり、モンスターの出現数も一定ではなく、複数のバリエーションが用意されている。この強さの幅は、連続防衛回数に依存し、回数が多いほど蛮族軍レベル8が強力になる。巨大モンスターが登場するのは、その最高値のみだ。 蛮族軍との背景としては、ハイドラにおいては鱗を持つ種族マムージャとのイメージがリンクし、同じ鱗を持つ生物の頂点としての龍として存在するのだろう。3つ首の特徴においては、マムージャ一族の僭主「Gulool Ja Ja」もまた双頭であり、具体的には定かでないものの、イメージが繋がってくる。ケルベロスにおいては、トロール一族や領地のハルブーンに感じられる冥界のイメージがあり、冥界の番犬として神話等でも名高いケルベロスの存在に繋がってくる。また、キマイラにおいてはミッションに置いて存在が明らかに合成された生物兵器であることが最大の理由だろう。 いずれもこれまでのビシージで見られたモンスターとは、存在感や特別感が段違いだ。特に巨体と3つの首がインパクト抜群の巨龍「Illuyankas」が暴れ回る姿を初めて目の当たりにすると、あまりの光景にちょっとした絶望感がよぎるほど。ケルベロスの「Gere」やキマイラの「Nemean Lion」においても、「Illuyankas」と比べるとサイズこそは控えめだが、やはり圧倒的な存在感がある。 「Illuyankas」は巨体と3つ首が特徴だが、首の数を減らすことが攻略のポイントとなる。詳しくは定かでないが、切断系のウェポンスキルをヒットさせるなど一定の条件で、3本の首のうち2本までを引っ込めさせることができる。同種のハイドラにもあるギミックだが、見た目がしっかり変化するのは面白い。 特殊技では、ポーラーブルワークという魔法バリアやパイリックブルワークという物理バリアを貼るのが厄介だが、全体には物理攻撃の通りがよく物量の力押しで倒していける。範囲攻撃にはレベル75の冒険者にも300を超えるダメージを与えつつ、同時にヘヴィ効果やディスペル効果を与える技があり被害はまぬがれない。回復役として参加した場合は、あまり近づかずに周囲からサポートをするのがオススメだ。 ケルベロスと同種の「Gere」は、ストンスキンとブレイズスパイク効果のある特殊技マグマホプロンを頻繁に使用する。範囲属性の麻痺を与えるユルレーションも厄介で、攻撃がストンスキンに阻まれ、麻痺で自由を奪われ、そうしているうちに範囲攻撃のダメージによる被害が広がっていく。パラナが使えるジョブで参加しているときには、無差別でもいいので周囲にパラナを配ると喜ばれるだろう。 3体のHNMの中で最も脅威なのはキマイラと同種の「Nemean Lion」だろう。なんといっても他の2体と比べて広範囲にダメージを与える特殊技の数が多い。スタンの追加効果があるフルミネーションやサンダーストライク。テラーの追加効果があるドレッドストーム。トゥールビヨンといずれもかなり広範囲に届きダメージが大きい。また、テネブラスミストで範囲内にいる冒険者のTPを消し、岩息で石化状態にまで追い込んでくる。 通常ではありえない人数で戦えるビシージだけに、敵のTP蓄積が早いのだろう。範囲ダメージの技を立て続けに放つこともあり、武器を構えて立ち向かっていた数多の冒険者が一斉に崩れ落ちる。Nemean Lionの近くで倒れている仲間を蘇生すべく近寄ってきた魔道士もまた、蘇生までは成功するもその場で特殊技に巻き込まれる危険が高く、そして蘇生をもらった者もまた安全な場所まで待避する前に再度倒されてしまうことも多い。その惨状たるやまさしく地獄絵図だ。可能な限り遠隔攻撃に徹するのがオススメだ。 いずれの3体ともターゲットにしたキャラクタを引き寄せる能力を持っていて、動き回りこそはするが出現した区画からは離れないようだ。ある意味、インパクトの大きさで冒険者を引きつけて、その間に手薄になった区画を他のモンスターが攻め落とす、囮のような存在にも感じられる。
また、巨大モンスターの存在を抜きにしても、蛮族軍レベル8は強烈だ。まず敵の数が圧倒的に多く、そして各勢力ともにNMの参戦数が多い。そもそも「Illuyankas」、「Gere」、「Nemean Lion」の3体はビシージの後半戦に入ってから各勢力のNMが呼び出しているようなのだが、正直なところそのタイミングに至るまでにすでに半壊してしまっている可能性はある。 まず、マムージャ蕃国軍では忍者タイプの「Eidolic Qufeel Ja」が多量に現れる。忍者タイプのマムージャは、「微塵がくれ」による極大の範囲ダメージを放つのがなんといっても恐ろしい。ビシージでは巨人の薬などHP上限を上昇してくれるアイテムもあるが、微塵がくれの大ダメージの前には意味をなさない。 しかし、3勢力の中でも圧倒的に恐ろしいのは死者の軍団だと思う。3体のHNMにおいても死者の軍団で登場するキマイラが最も脅威としたが、それと同様に死者の軍団全体も他の勢力より苦戦を強いられる。まず死者の軍団においてはアンデッドの敵が範囲のHP吸収技を繰り出すため、アンデッドのHPは強烈に回復し、周囲で戦っていた冒険者はピンチに陥る。レベル8以下の兵力でも元々死者の軍団は厄介な相手だった。 それに加えてレベル8ではラミアのNo2、3、15、21、34といったナンバリングのあるNMが総登場。ベリーダンスによる魅了で冒険者を操り、待避していた冒険者は仲間に襲われる。まさしく阿鼻叫喚だ。レベル8で初登場となる「Lamia No2」は相当の強敵。範囲技の遠隔攻撃は、強烈なダメージを浴びせてくる。さらに間隔も速く、3連発、4連発と間をおかずに連射をして一気に周辺を壊滅に追い込むこともあった。 トロール傭兵団は他の2勢力に比べると比較的おとなしい印象がある。だが他の勢力同様にレベル8では参戦数が圧倒的に多い。注意は必要だ。
これまでのビシージは時間帯や参加プレーヤー数によるものの、勝利を重ねることができていた。最大人数である700人近いときには余力もあっただろう。だが、ビシージのレベル8はこれまでとは様相の異なるスペシャルなレベル域。これまでは個別に参戦してきた各勢力のNMがオールスターに登場し圧倒的な数を率いて押し寄せ、さらにはHNMまでも呼び出してくる。本気で魔笛を奪いにくる蛮族軍に対して、冒険者含む皇国軍は必死の抵抗が必要だ。それでも陥落するときには為す術がない規模である。 勝利時の報酬として経験値(またはリミットポイント)と皇国軍戦績が得られる。基本的には1,800前後のように思うが、なにしろNMの数が多いため、勝利時にはたいがいNM撃破ボーナスが加わっていた。筆者が参加した限り、最大では2,350の報酬になったときもあった。5,6回も参加するとメリットポイントが1つ獲得できてしまうほどだ。 ただ、敵の襲来から終了までに掛かる時間は1時間から3時間ほどとかなり長い。人数が少ないときほど長期戦になり、数時間にも及ぶ長く辛い攻防が繰り広げられる。そうしたときには報酬はもはや問題でなくなってくるだろう。阿鼻叫喚の中で必死に生き残り、互いを助け合うように回復して少しずつでも撃退していく。そうしなければ敗北を迎えてしまう。そうした本気で挑む死闘の中には、また今までのレベルのビシージとは異なる魅力があることは確かだ。
そしてバージョンアップにより、新たな五蛇将クエストが追加された。今回追加されたのは頼もしい兄貴的存在で人気の「土蛇将ザザーグ」、端麗な容姿と物静かな言動ながら弓を構える姿が凛々しい「風蛇将ナジュリス」の物語。「天駆ける剣」と同じく、茶屋シャララトにいるFari-Wariというタルタルの吟遊詩人に会うところから、五蛇将の物語を探る道が再開される。いずれもかなりのボリュームがあるクエストなので、腰を落ち着けて楽しんでいただきたい。読み物や物語が好きであれば、五蛇将のファンならずともオススメしたい内容だ 風蛇将ナジュリスのクエスト「風纏う弓」は、アサルト作戦「ライアーフ捜索作戦」にも登場する彼女の弟、ライアーフが関係して起こったある事件にまつわるものだ。風蛇将として、そして弓の天才として名高い彼女の普段は見られない一面がたっぷりと見られる。 まだ将ではなく一人の射手だったころの彼女の物語は、ある薄汚れた矢に眠る。過去の彼女に足りなかったもの、そして今は少しだけ手に入れられたものとはなんだろうか。このクエストではあるクエストアイテムが必要になるが、さほど入手に苦労するものではない。土蛇将ザザーグのクエストでも同様にあるアイテムが必要になるが、どちらもワジャーム樹林やバフラウ段丘で頻繁に目にするモンスターを倒していると見つけられるだろう。またどちらのアイテムも実は競売所に出品可能なため、早く物語を見たくてしょうがない人には購入する手段もある。 土蛇将ザザーグの「土噛みし拳」では、ザザーグのかなり以外な過去が明らかになる。あまりガルカ族の姿が見られないアトルガン皇国だが、彼ははたしてどこからやってきたのか。その武芸はいかなる歴史で磨かれたのか。そして土蛇将となったきっかけとは。その記憶はある錆びついた章に眠る。 このザザーグのクエストでは注目したいポイントがある。それはザザーグの過去そのものであり、そしてクエストアイテムの記述にある興味深い内容だ。そこには遠く過ぎた過去のある年の数字と、ある地名が彫られている。その年は「クリスタル」の名を冠する戦争のただ中にある……。これらから組み上がるひとつの憶測は、次に待つ“失われた物語”への「もしかすると……?」という期待がある。
ビシージにおいては最大700人のプレーヤーがひしめき多数のモンスターと死闘を繰り広げる。そんな規模のコンテンツが実現していること自体が驚異的であると以前に感想を述べた。しかも接続しているユーザーは地域を限定しないワールドワイド規模だ。これ以上の進化は技術的な革新がない限りは厳しいのでは思っていた。だが、ここにきてさらに数の脅威を増し、これまでにない巨大なインパクトまで追加されたことには、もはや驚きを超えるところがある。それをいまだPS2でプレイできることも考えるとなおのことだ。 だが一方で激化の一途をたどる進化には、喜び以外の声もあるだろう。状況によっては長時間にわたってしまう戦闘は、それだけのプレイ時間をビシージに費やせるかどうかという問題があり、手軽さという点では辛い。会話に挙がるような記憶に残る激戦を生むと言う意味ではそれもまたよしかもしれないが。レベル8以上においてはそうした面もある「特別に激しいレベル帯」として認識することになるのかもしれない。
ビシージに関連する五蛇将の新クエストも紹介したが、土蛇将、風蛇将ともにそれぞれの魅力を増してくれる必見の内容だった。今後、まだ登場していない炎蛇将ガダラル、水蛇将ミリ・アリアポーのクエストの実装にも期待がかかるところだ。また、土蛇将ザザーグのクエストのように、次の展開を予感させるストーリーになっているのも嬉しい。ぜひともご覧いただきたい。 (C)2002-2007 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年6月19日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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