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【連載第4回】まったりマイペースで「ファイナルファンタジーXI」の魅力をレポート

ファイナルファンタジーXI連載
~ヴァナ・ディール“近東”見聞録~

“蛮族軍”vs“冒険者”の大規模戦闘が実現!
ビギナー冒険者のための“ビシージ”緊急講座

 近東の地で絶え間なく繰り返される蛮族との争い。西方の異国より訪れた冒険者は“傭兵”としてこの争いに参加していく。前回では蛮族の拠点へと傭兵が侵入していくコンテンツ“アサルト”を紹介したが、今回紹介するのは、それと対を成す新コンテンツである“ビシージ”だ。

 ビシージとは篭城戦を指す言葉。マムージャ、トロール、ラミアといった近東の三大蛮族が大軍を率いて皇都アルザビに物理的に攻め込んでくる。冒険者こと傭兵はこれを迎え撃ち、大規模な市街戦を展開する。アサルトが敵地に攻めこむことを目的としたコンテンツならば、ビシージは皇都を守備するコンテンツだ。

 本稿では、この大規模市街戦“ビシージ”の概要と魅力を紹介する。特別なゲーム内イベントでしかありえなかったような大規模戦闘が、定期的に展開される新機軸のシステムの紹介と共に、実際にビシージの模様も伝えていこう。


大規模戦の定期開催を実現した
新機軸システム満載の“ビシージ”の傾向と対策

大軍が“魔笛”を目指してアルザビの奥へ奥へと歩みを進めてくる。初めて参加したときには思わずパニックになる光景だ
リージョン情報のビシージにて、蛮族軍の状況を確認。画像では兵力が150になり行軍レベルが5になると行軍を開始するという状態だ
 従来のMMORPGにおける戦闘というのは、多くの場合において冒険者がモンスターの生息している地域へと足を運び、バトルを展開する。FF XIでもごく一般的な光景である。だが、ビシージではこれが逆転し、冒険者の拠点であるアルザビに獣人の軍勢が攻め寄せてくる。つまり、ビシージは冒険者主導で開始されるコンテンツではなく、獣人が攻めてきたタイミングで強制的に開始されるものなのだ。

 攻め込んでくるのは、マムージャの軍団「マムージャ蕃国軍」、トロールの軍団「トロール傭兵団」、ラミアの軍団「死者の軍団」の3勢力。メニューのリージョン情報にある「ビシージ」では、この3勢力の兵力と状況が確認できる。通常は“練兵中”という状態で、兵力と行軍レベルを高めている状態だ。行軍レベルは、ビシージの連続防衛回数が0回の場合はレベル1、防衛回数が2回ならレベル2、以降、現時点での最大で、防衛回数5回のレベル5まで蓄積される。練兵値の上昇は、蛮族軍が「古鏡」を所持していると加速する。古鏡は拠点にいるArchaic Mirrorを倒すことで奪うこともできる。また、それぞれの拠点で獣人を倒すことでも鈍化する。

 行軍レベルが1以上になると状態表示は「出撃準備中」に変化する。前述の連続防衛回数に基づく規定値に達すると「行軍中」となり、マムージャ蕃国軍とトロール傭兵団はワジャーム樹林から、死者の軍団はバフラウ段丘を軍を率いて進んでくる。この行軍中の軍はプレーヤーには襲い掛からず、一目散にアルザビを目指し進んでいく。攻撃することで戦闘も可能だが、倒しても経験値などは取得できない。大量のモンスターがリンクしてしまう恐れもあるため、行軍中の軍には手を出さず、アルザビに入ってから大規模な包囲戦を展開するのが定石だ。

 ビシージのプレーヤー参加人数は700人前後。700人に近づくと、アルザビに移動しても数秒後にアトルガン白門へと強制移動される。夜のコアタイムには冒険者が殺到するため、出撃準備中時点やその前から早めにアルザビに移動しておくのがよいだろう。

 行軍中に変化してから蛮族軍がたどり着くまでには約30分程度の時間がある。死者の軍団のみルートの違いからか、20分程度で到着するようだ。その間に、パーティやアライアンスを構成していくのだが、他のコンテンツや報酬稼ぎのパーティとは異なるビシージ用パーティ編成のシャウトが飛び交っているはずだ。ジョブやレベルといったものはあまり気にせずにどしどしと参加、もしくはパーティを作成していこう。

蛮族軍の行軍
バフラウ段丘を進む「死者の軍団」ノンアクティブのため危険はないが知らずに見ると驚く光景
アルザビでは冒険者の軍が編成される
蛮族軍の状態が行軍中ともなれば、アルザビには自然と冒険者が集う。ビシージでは従来のパーティのようなパーティにおけるジョブのバランスなどはあまり考えなくてもよい。画像右のようにおまかせパーティを使ってみるのもアリだ

蛮族軍の目標であり、護るべき存在である“魔笛”

封魔堂の奥に保管される“魔笛”。楽器のような名前だが、どのような力を秘めたものなのかはわからない。ただひとつ確実なのは、蛮族は魔笛を奪いにやってくるということ
 ところで、なぜ蛮族軍がアルザビに攻め込んでくるのか? アトルガン皇国と蛮族軍は長く対立している状態であることももちろんだが、大きなポイントになるのは秘宝“魔笛”の存在である。この魔笛はアトルガンミッションにも深く関わってくるようで、詳しいことは現段階では定かではないが、強大な力を秘めたものと思われる。このアルザビの施設「封魔堂」に保管されている魔笛を奪うべく攻め寄せてくるのだ。逆に言えば、魔笛が蛮族軍に奪われている状態ではビシージは発生しない。

 冒険者はアルザビを含む近東での活動において、魔笛の恩恵を受けている。わかりやすいものでは、皇国軍より受けられる“サンクション”の追加効果が大きい。ビシージでの連続防衛数が累積していくと、サンクション取得状態での戦闘において取得経験値にボーナス値が加算されるのだが、魔笛が蛮族軍に奪われてしまうと、得られなくなる。また、サンクション取得時には皇国軍戦績100ポイントを消費することで、潜在効果のリジェネやリフレシュ、食事効果時間の延長などを得られるのだが、これらも同様に選択できなくなる。

 上記に挙げたサンクションに関するもの以外にも、魔笛が奪われている状態では変化が起こる。以下はそれらをまとめたものだ。筆者のプレイしているワールドではまだ魔笛が奪われたことがなく確認できないため、コミュニティから得られた情報を抜粋させて頂いた。

『“魔笛”が獣人に奪われている状態で起こるデメリット』
・皇国軍から受けられるサンクション効果による取得経験値ボーナスが得られなくなる
・サンクションの効果持続時間が大きく減少
・アルザビとアトルガン白門にある販売店の品揃えが減少
・アルザビにいるタルタルのNPC「Shihu-danhu」が使うジュノ近辺へのデジョンの精度が落ちる
・監視哨での戦績ポイント消費による移送サービスが使用不能になる
・アルザビのBGMがなくなる

 このように魔笛が奪われると、近東地域での活動においてのメリットや利便性が失われてしまう。ビシージで五蛇将の封印が解かれた結果、魔笛が奪われてしまった場合は、冒険者の手で奪還することになる。マムーク、ハルブーン、アラパゴ暗礁域といった蛮族の拠点に出現する、バトルフィールドへと乗り込み、戦闘に勝利することで奪還できる。バトルフィールドの侵入条件には、魔笛を所持している拠点での戦闘で入手可能な、一時的な「だいじなもの」が必要となる。

 現段階では筆者のプレイワールドを含め、魔笛を奪われたワールド自体が少なく、まだまだ情報は少ない。この時点で言えることは、魔笛が奪われるということは、冒険者全体の近東地域の活動に大きな支障が出るということだ。読者のワールドで魔笛が奪われた際には、ぜひとも魔笛奪還にチャレンジ頂きたい。

魔笛の封印を守護する“五蛇将”

 魔笛を保管している封魔堂には五つの封印が解かされており、ビシージにおいてもこの封印が破られない限り封魔堂の中に蛮族が侵入することはない。この五つの封印を解く鍵「鏡」を守護しているのが「五蛇将」だ。五蛇将とは、エルヴァーンの「天蛇将ルガジーン」、ヒューム男性の「炎蛇将ガダラル」、ミスラの「水蛇将ミリ・アリアポー」、ガルカの「土蛇将ザザーグ」、ヒューム女性の「風蛇将ナジュリス」の五大将軍の総称。五蛇将は通常時のアルザビでも警護をしており、話しかけるとそれぞれの個性を知ることができる。

 ビシージでは五蛇将の部隊も冒険者と共に戦うこととなるのだが、彼らが倒されると鍵である「鏡」が奪われ、封魔堂の封印が解けていく。五蛇将には回復魔法などをかけることが可能なので、蛮族軍との戦闘だけではなく五蛇将へのサポートも行なっていこう。

炎蛇将ガダラル
羅刹と恐れられるヒューム男性の炎蛇将ガダラル。プライドの高そうな言動と鎌が印象的
天蛇将ルガジーン
五蛇将を束ねる、エルヴァーンの天蛇将ルガジーン。冒険者こと傭兵に対しても礼儀正しいナイトだ
土蛇将ザザーグ
気さくながらも自信あふれる言動の土蛇将ザザーグ。気っぷの良いガルカモンクであり、冒険者の間で人気も高い
水蛇将ミリ・アリアポー
白魔法を駆使するミスラの水蛇将アリアポー。一人称に“ボク”を使い、冒険者にはツンツンした態度をとる。ぶっちぎりで一番人気の将軍だ
風蛇将ナジュリス
物腰柔らかな言動の風蛇将ナジュリス。東国の英雄「ヨイチ」と並び称される弓の天才である

ビシージ中の立ち回りと報酬の評価ポイント

激しい戦闘が行なわれる場所では画像のように死屍累々の模様になることも。ビシージはデスペナルティが発生しないため、リレイズアイテムを準備の上、大胆に楽しみたい
 蛮族軍の強さは、筆者の体感ではレベルにして80から85といったところで、ヒットポイントが非常に高く、攻撃力もあり、冒険者より断然強い。戦闘中の敵には従来のエンカウントロックはされず、誰でも攻撃に参加できる。ビシージ中に蛮族の攻撃に倒れても経験値の減少といったデスペナルティは発生しない。普段ではできないような積極的なプレイで楽しみたいところだ。

 ビシージ中は、蛮族の進行が抑えるため、普段開放されている門が閉められている。二階部分の門はところどころ開いているので区画間の移動はそこから行なおう。一階部分の閉められた門は、蛮族が進行していくと破られる。封魔堂や五蛇将が守護する区画へと進行していく前線の敵を率先して抑えていくのが望ましい。進入された区画では、前述のように五蛇将をサポートしよう。

 勝利と敗北が判定されるのは、敵が撤退するか、“魔笛”が奪われるか。魔笛を守りきれれば皇国軍の勝利となり、奪われれば敗北となる。蛮族軍は仲間が倒され少なくなると撤退していく。終了時には冒険者の活躍度合いによって、上限700の枠内で経験値と皇国軍戦績が支給される。評価の内訳は明らかではないが、敵に与えたダメージ、味方や自分への回復や強化魔法によるサポートなどでも評価となる。ジョブレベルが50以上あれば、救護班や衛生兵的な立ち回りに徹すればそれなりに活躍でき、報酬ももらえるというバランスになっている。

 ちなみに、通常時のアルザビでの封魔堂前の広場では、門の設置や、NPCの傭兵などの参加にかかわる「皇都防衛力」を回復するための募金が受け付けられている。募金を行なっているのは「Gajaad」というヒュームの男性NPC。話しかけるとアトルガン青銅貨の募金を求められる。募金を多く行なった冒険者には記念品としてアイテムが贈られるが、話しかけたあと青銅貨をトレードしないで離れようとすると、レベルとジョブとプレーヤーネームを交えつつ、募金をしてくださーい! とSayで言われてしまう。他の冒険者に聞かれると恥ずかしい演出なので、話しかけた後には募金をしっかりと行おう。また、皇都防衛力をはじめ、連続防衛回数や防衛成功の総数、魔笛を奪われた回数は、「皇国軍仕官」から聞くことができる。

皇都防衛力を回復する募金
通常時の封魔堂前の区画では、アルザビを復興させるための募金と署名が受け付けられている。アトルガン青銅貨を二枚募金するのだが、署名後に募金しないまま離れようとすると……
ビシージの情報を確認
皇国軍仕官からは、ビシージの連続防衛数や皇都防衛力などを確認できる


ビシージに参戦 アライアンスを組み、死力を尽くして混戦の市街戦を戦い抜く

蛮族軍の到着を待つ皇国軍こと冒険者軍。ビシージ前にはパーティ作成の声が盛んにこだましている
 ここからは実際に筆者がビシージに参戦している模様を交え、体験面の印象や実際の流れを紹介していこう。蛮族軍の拠点の状況を確認し、ビシージが発生しそうな数値が見られたら、アルザビへと移動していく。この蛮族軍の状況がいつでも確認できるのは、第3回でも紹介した蛮族軍の動向を見張っている「監視硝」の存在のおかげだろう。

 アルザビへと移動すると、同じようにビシージに向けて待機していると思われる冒険者の姿がちらほらと見え、その数は時間が経つにつれてどんどんと自然に増えていく。次第にシャウトの内容もビシージに関連したものが増え、ビシージ用のパーティを作成中の声、パーティ参加希望の声がこだまする。

 筆者もその流れに乗って、パーティ参加希望の意思をシャウト。他のコンテンツであれば、ジョブの確認やレベルの確認などをTellでやりとりするところだが、ビシージに限ってはそれは異なる。待つこともなく、パーティに誘われるのである。参加したパーティはすでにアライアンスが組まれており、空き人数のあるところには、次々と参加希望のシャウトをしている冒険者が組み込まれていく。これは別に筆者がこのときに参加したパーティが特別だったわけではなく、毎回そうなる。この参加の手軽さと気軽さは特筆ものだ。ゲーム内イベントの展開のような、特別なお祭りムードのようなテンションの高さを感じる。

 蛮族軍の状況が行軍中に変わり、蛮族軍が出発したという報が流れる。ますます高まる冒険者たちの高揚感。強化魔法を唱えるもの、シャウトで騒ぐもの様々。そうした最中にもビシージに参加しようという冒険者の数は増え続け、バフラウ段丘、ワジャーム森林といった外界へと続く区画には大量の冒険者が集っていった。

 蛮族軍が絶対防衛ラインを突破したという報が流れ、蛮族の軍勢がついに皇都アルザビに到着。警戒警報が響き、人民街区の非戦闘員には退避命令が出される。その直後にアルザビ内に蛮族軍が侵入、蛮族のみならず、眷属のモンスターも大量に居並ぶ。その姿に軍が臆さないようにか、間髪いれずに五蛇将を束ねる天蛇将ルガジーンの言葉が入り、皇国軍の士気を高める。

絶対防衛ラインを突破され警戒警報が鳴り響く
蛮族軍がアルザビに突入すると、ビシージ特有のBGMの開始と共に警戒警報が発令される。天蛇将ルガジーンの勇気を奮い立たせる声が響き、封魔堂の封印が怪しく光る。五つの光は五蛇将が守護する封印だ

マムージャの軍団「マムージャ蕃国軍」
先陣を切って乗り込んでくる前衛ジョブタイプのマムージャと、それに続く魔道士タイプのマムージャ。眷属の魔物も次々に侵入してくる

トロールの軍団「トロール傭兵団」
剣を構えるトロールと砲銃を構える後続部隊。トロール傭兵団は、ブラックプリンことフランやボムなど、冒険者にとって苦手意識のある敵が組み込まれている

ラミアの軍団「死者の軍団」
ラミアの軍勢「死者の軍団」には、ジャンプ攻撃などトリッキーな動きを見せるクトゥルブや、アンデッドモンスターが多く存在する。複数のアンデッドによるブラッククラウドなどの範囲攻撃が強烈

画像は、ビシージ中の五蛇将の守備配置。外界へと続くゲートのある区画「Bastion」から蛮族軍が侵攻していく
 市街戦が開始されると、冒険者は市内の各所にバラバラに配置される。まずはパーティメンバーとコミュニケーションを取り、集合場所を確認するのがよいだろう。この時、前述のように一階部分の門は閉まっているため、二階部分から区画を移動していくのを意識しよう。

 北門、西門と隣接する区画「Bastion」を通ると、大量のモンスターが侵攻している姿が目に入る。蛮族軍はこの区画から、合成ギルドや競売所のある南の区画や、東の大通り、さらに封魔堂の区画へと進んでいく。Bastion以外の五つの区画にはそれぞれ五蛇将が一人待機しているが、配置的には、Bastionの東に隣接しているアトルガン白門方面の大通りを守備する天蛇将ルガジーンと、Bastionの南の区画にいる土蛇将ザザーグが早い段階で戦闘に突入する。この二人の守備するエリアが突破された先に他の将軍は待機しているため、五蛇将のサポートをメインに立ち回るのならば、まずこの2人のサポートからはじめていくのがオススメだ。

 蛮族軍は3勢力それぞれ、マムージャ、トロール、ラミアなど獣人族を主力とし、それを保護するように多数の眷族を引き連れてくる。マムージャであれば、ドラゴンとヴァーミンのキメラであるという風竜プークや、見た目にも巨大で威圧感のあるWyvernを引き連れている。トロールは、特殊技の自爆が恐ろしいボムやフランを連れている。ラミアは近縁種のキメラであるメローや、ジャンプ攻撃が特徴的なクトゥルブ、さらにアンデッドを従えている。蛮族軍の総数は行軍レベルによって異なるのだが、最大のレベル5では、30~40体が一気に押し寄せてくる。

皇国軍“不滅隊”や、ゴブリン傭兵も参戦。他にもボランティアの戦闘員など、皇都防衛力が高いと、多数のNPCが参戦する
 ここでは「トロール傭兵団」が攻めてきた場合を想定して、ビシージにおける戦闘風景を点描していきたい。天蛇将ルガジーンが守備している大通りに出て戦闘を展開する。周囲にはボランティアの戦闘員や皇国軍の兵士が天蛇将ルガジーンと共に戦闘に加わっているほか、皇国軍に参加しているゴブリン傭兵の姿も見られる。もちろん、もっとも多いのは最大時で700名もいる冒険者たちだ。

 筆者はメインジョブが吟遊詩人のため、主に歌によるサポートや回復での立ち回りが多いが、中でも重要視しているのはリレイズ効果をもたらす「女神のヒムヌス」だ。というのも、蛮族軍の攻撃は強烈で、レベル75の前衛ジョブでも1,000を超える強烈なダメージを受けてあっさりと倒れてしまうケースが多いためだ。倒れた他の冒険者を蘇生してまわるという活躍も意外と喜ばれる行動である。

 トロールの軍団の場合、気をつけたいのはやはりボムの自爆。ビシージ中は敵味方ともにかなり混雑するため、表示が追いつかないことも多々あるのだが、気づいたときには倒れているという場合もある。正直に言って、ボムとの戦闘は、ラグの多い状態ではできるだけ避けたいところである。

 蛮族軍は、冒険者の包囲網を突破しつつ少しずつ封魔堂のある奥の区画へと侵攻していく。冒険者も必死に進行を食い止めるべく攻撃を与え続けるが、レベルキャップの冒険者がかなりの人数で攻撃を与え続けても一体撃退するのには時間を要する。強烈な一撃のもとに倒れる冒険者、ボムの自爆に巻き込まれ悲鳴をあげるもの、周囲を見渡すとどこもかしこも蛮族だらけのアルザビ。あらゆる場所で戦闘が展開され、蘇生や回復魔法の詠唱が響き、黒魔法が唸りをあげる。時には五蛇将の将軍が戦闘不能に陥ったという報も響き、劣勢が伝えられることもある。これまでは特別なイベントでしか考えられなかった大規模戦の光景に気分が高揚する冒険者は多いはずだ。

 戦闘が展開されていくに連れて、パーティーメンバーが分散してしまい、混戦模様が高まっていく。MPも底をつき、ヒーリングのために退避している冒険者の姿も見られる。皇国軍の疲弊が激しくなってきたころ、突如トロールたちはデジョンを使って消えていった。蛮族軍は個体数が残り少なくなると撤退していくのである。この時のビシージでは、魔笛は奪われることなく済んだ。防衛達成、皇国軍の勝利である。天蛇将ルガジーンが勝どきの声を上げ、味方の勝利が確定する。終了後には、冒険者それぞれに活躍の内容によって経験値と皇国軍戦績が与えられる。ビシージ専用に編成されたパーティメンバーは互いの労をねぎらいつつ解散していった。

市街で繰り広げられる混戦につぐ混戦
冒険者と蛮族軍の死闘が展開される。大量に押し寄せてくる蛮族軍に対して死力を尽くして迎撃する冒険者軍。エンカウントロックはないため、自由にどの敵にも攻撃可能だ。強烈な攻撃に倒れる冒険者も後を絶たないが、デスペナルティがないため、上位のレイズは使う必要はない。

封魔堂の封印を守るべく、五蛇将の奮闘をサポートしよう
画像は上段が水蛇将ミリ・アリアポー、下段が風蛇将ナジュリスの戦闘模様。今のところビシージ中にしか五蛇将が戦っている姿は見られないうえに、紹介している二人は守備配置的に奥にいるため、なかなか戦闘している姿は見られない。それぞれアビリティや魔法を駆使しつつ蛮族軍に向かっていく。冒険者から五蛇将へは、回復魔法のみかけることができる


ビシージ終了後 囚われたNPC、停止してしまう施設、捕虜救出の模様を紹介

競売長が捕虜に囚われてしまい、停止中となってしまった競売所
こちらは宅配所。おやびんがいないと荷物が運べない、と嘆くタルタルがかわいい
 ビシージ終了後、最も気になる要素が「捕虜」の存在だ。ビシージの展開が劣勢であった場合、アルザビのNPCが捕虜として蛮族に捕らえられてしまうのである。囚われの身となるNPCは、大通り沿いに店を構えるショップの店員、チョコボ厩舎、鑑定屋のキキルン、タルタルたちを束ねて競売を運営する競売長、デジョンを唱えて冒険者をジュノ近辺へと運んでくれるタルタル、そして五蛇将の将軍と、アルザビにいるほとんどのNPCが捕虜になる可能性があるといっていい。捕虜の有無は、リージョン情報のビシージ画面から囚われている拠点と数を確認することができる。

 施設を運営しているNPCが捕虜となった場合は、そのNPCが担当している施設が利用不能になってしまう。周囲の関係するNPCも捕虜となって囚われたNPCのことを話す。競売長が囚われた場合は、アルザビの競売所が営業停止する。五蛇将が囚われた場合は、傍にいる従者が同様に囚われた将軍のことを話す。捕虜となっているときにしか聞けないセリフなので、機会のあるときにチェックしてみよう。

 さて、囚われた捕虜を救うのもまた冒険者の務めだ。捕虜は蛮族軍の拠点に幽閉されている。これはアサルト等とは関係がなく、拠点のエリアに点在する牢屋に視覚的にも外から見える形で囚われている。筆者も実際に「マムージャ蕃国軍」によってマムークに囚われた捕虜の救出にチャレンジしてみた。

 ワジャーム樹林を抜け、マムークへと侵入を果たす。マムークには各所に広場が点在しており、それぞれポッド型の牢屋が置かれている。捕虜はこの牢屋に入れられているのである。この牢屋の鍵を開けるにはマムークの場合「蕃都の黒鱗のカギ」が必要になる。蕃都の黒鱗のカギは、マムージャがドロップするアイテムだ。筆者の場合、先に皇国軍戦績を稼ぐべくマムージャと戦闘していたときにこの鍵を偶然入手していたため、この鍵を使って牢屋を開錠するだけである。ちなみに牢屋の鍵はシーフが扱うシーフツール類でも開けることができるようだ。

 鍵をすでに所持していたこともありソロでの単独潜入である。牢屋のある広場を進み、囚われた捕虜を探し回る。広場にはマムージャやプークをはじめとするモンスターが大量に徘徊しており、インビジやスニークを駆使しての移動にも緊張感が高まる。と、ある広場の牢屋にNPCらしき姿を発見、近づいてみると、どうやらショップを運営しているタルタルのチャヤヤのようだ。

 牢屋を開錠するのはインビジをしたままでは行なえない。周囲にはマムージャをはじめ視覚で冒険者を認識するモンスターが多く、タイミングがなかなか取れない。モンスターが離れた瞬間を見計らって、すぐさまインビジを解除、蕃都の黒鱗のカギを牢屋に使う。鍵は一度限りのものなので、壊れてしまったが、牢屋は無事に開錠され、捕虜の救出に成功した。セリフを喋りつつ帰っていくチャヤヤ。筆者には報酬として皇国軍戦績が加算された。

 場所は変わってアルザビ。救出したNPCチャヤヤの元へと急ぐ。大通り沿いの道具屋で元気にお店を開くチャヤヤの姿を確認できた。話しかけてみると、お礼の品として不確定アイテム「???ボックス」を貰うことができた。不確定アイテムはいずれの捕虜からももらえるようだが、捕虜救出時ではなく、アルザビでもらうので忘れないようにしよう。ちなみにこの時もらった不確定アイテムは鑑定してみたところ、オートマトン用のアタッチメント「ストロボ」が出現した。そこそこ価値のあるアイテムである。NPCによってもらえる不確定アイテムは異なるようだが、特別なアイテムも存在するのかもしれない。施設の機能を回復させるためにも、積極的に捕虜を救出していきたいところだ。

囚われた捕虜を救出すべくマムークに潜入
アルザビの大通りに店を構えるNPCチャヤヤを救出。マムークの広場にいくつも置かれているPotHatchをチェックしていく。そのうちにチャヤヤを発見、蕃都の黒鱗のカギを使って救出した

救出した捕虜に話しかけ不確定アイテムを獲得
捕虜救出後にアルザビに戻ると、元通り店を運営するチャヤヤの姿が。話しかけると、自分を助けてくれた冒険者だと覚えていたようで、不確定アイテムをお礼の品にくれた。


高揚感は抜群、これまでにない数百人規模戦闘の魅力を味わおう

かなりの混戦が展開されるビシージ。お祭り騒ぎ的に楽しむものとしては十分だが、もう一段の快適さを望みたい
 今回は大規模戦闘コンテンツ「ビシージ」を紹介した。蛮族軍が皇都アルザビに押し寄せるという特別なゲーム内イベントのような楽しみが定期的に、かつシステムによって発生するというのは非常に面白い。市街戦中には、立ち回り方や活躍方法に幅が設けられており、敵へ与えたダメージだけでなく、回復、蘇生、強化など衛生兵的な働きにも評価が与えられるのは嬉しいところだ。大規模人数ゆえにジョブ等の縛りを意識することなく気軽に参加できる点も好印象。なんといっても、お祭り騒ぎ的な高揚感を味わえる楽しみが定期開催されるのは大きい。新しい試みである点も含めて、素晴らしいコンテンツだと評価したい。

 筆者がビシージを体験中に思い浮かべたのは、「FF XI」のオープニングムービーの映像だ。押し寄せる獣人軍。城壁内には兵が並び、激突していく。弓を放つエルヴァーン、多数のタルタルたちが魔法を詠唱し、強大な魔法を完成させる。そのもの、とは言えないものの、あのオープニングムービーに心が輝いた冒険者ならば、ぜひ一度ビシージに参加してみて欲しい。

 ただ、ビシージに関してはもう一段魅力を増すべく、要望したい点もある。ビシージ中のパフォーマンスの悪さだ。最大時で700人の冒険者に加え、40~50体の蛮族軍、そしてNPCの皇国軍など、750前後のキャラクターが1エリアに介するという、前例のない大規模バトルゆえ仕方ない面もあるかもしれないが、もう少しパフォーマンスの改善を望みたいところだ。

 また、立ち回りに合わせて設定できる「ビジュアルフィルタ」とも言える機能の実装にも期待したい。実際にビシージに参戦すると感じるのだが、Windows版ではまず真っ先にモンスターが表示され、続いてパーティメンバー、さらに他のプレーヤーというように表示されていく。この場合、本稿でも紹介しているような蘇生を専門に市内を走り回るようなスタイルでは、倒れているパーティー外のプレーヤーが物理的に表示されないケースが多く、声だけが届く申し訳ない思いをすることがままある。目的に合わせて特定の要素だけを表示するような、フィルタ機能があると便利である。

 捕虜の救出に関しては、西方エリアにあったトレジャーコッファーのような要素を感じた。獣人拠点で入手できる鍵が必要な点、シーフツール類でも開錠可能な点が大きい。ただし、捕虜の出現はビシージの結果による変動的なものであり、コッファーが陥ったような、一定のプレーヤーが報酬を獲得し続けてしまうような状況にはならないだろう。心理的にも蛮族に囚われたNPCを救いに行くというのはヒロイックな行為で魅力的だ。捕虜を救出することでアルザビの施設が回復するというのも、全てのプレーヤーに喜ばれる要素であり、魅力的な設計だ。

 ビシージは、他のコンテンツと異なり、相手が攻めてこないと参戦できないため、プレイ時間が限られるユーザーはなかなか参加する機会がないかもしれない。そういう場合は、友人達から事前に情報を集めておき、攻めてくる直前にログインするといったやや変則的なプレイスタイルも検討すれば、効率よくビシージを楽しむことができるだろう。


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□「ファイナルファンタジー XI」のホームページ
http://www.playonline.com/ff11/

(2006年5月14日)

[Reported by 山村智美 / Pomm]



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