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会場:SupperClub(サンフランシスコ)
国内では、PS2「NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメットアクセル」が4月にリリースされており、原作となるコミックスやアニメは第2章といえる「疾風伝」へとシフトしているが、こちら北米では、アニメが第1章「下忍修行編」からスタートし、まさにピークという状況だ。 また、サイバーコネクトツーが手がけているもう1つの大型タイトル「.hack//」シリーズも1月に最新作「.hack//G.U. Vol.3 歩くような速さで」をリリースし、ひと段落したところかと思われる。そこで、「.hack//」に関してもお話を伺うことになった。
■ 北米ではまさに今が「NARUTO」の旬
そうなんですよ。非常に喜ばしい話で。2003年に日本で発売した「ナルティメットヒーロー」を北米で2006年の6月にリリースしていただいたんですが、こちらではアニメ放送が3年遅れでスタートしましたので、それだけのズレがあるのは当たり前なんですが、これが現時点で50万本以上の売り上げなんですよ。欧州では30万。日本では35万ですね。日本以上に北米は市場的に分母が大きいので、ヒットすると「こんなスピードで50万本を越えるのか」というのを今実感しているところです。その流れを受けて今回「EDITOR'S DAY」に参加させていただきました。 北米の「NARUTO」プロジェクトとしては今年で2年目になります。「NARUTO-ナルト-ナルティメットヒーロー2」つまり、こちら (米国) では「Naruto: Uzumaki Chronicles 2」ですね。これが今週発売になります。これも前評判が高くて、我々も楽しみにしているところなんですが、これに加えて、北米専用にPSPで「NARUTO:Ulitimate Ninja Heroes」を開発中です。 日本のお客さんはどちらかというとストーリーの追体験を楽しんでいただいている傾向がありますが、北米のお客さんはアクションを楽しんでもらっている。そこで、PSP「Ulitimate Ninja Heroes」では、バトルに特化して、アドホック通信で友達と遊べて、3対3でチームバトルで遊べるようになっています。スリーマンセルを誰と組んでいるかによってスキルが変わるという新しいシステムを導入しています。これは北米で8月にリリースを予定しています。 ――「NARUTO」のシリーズを数作手がけていらっしゃいますが、簡単すぎても複雑すぎても、ファン層の幅広いコンテンツだけに、落としどころを決めるのは難しいのではないかと思いますが? まず、ファンあっての作品ですから。そこでこちら側で決めているのは、まず「簡単操作」ということですね。ボタン1つに役割は1つ。これを「○○を押しながら○○」というのを禁止しています。ですから、△を押してチャクラを溜める、そして○で発動するという2ステップしかありません。もう1つが重要で、「簡単なのに深い」ということですね。ゲーム性にしても、物量的にも、掘り下げ方にしても「深い」ということを開発の当初から決めています。ファンの期待を裏切らない作りを目指しています。 原作はコミックスもアニメも毎週進行していきますよね。ですから、年に1本ゲームをリリースするペースになっています。すごく集中して制作していますし、チームは若いスタッフを中心に投下しています。平均年齢でいえば20代中盤ですね。若い力で「NARUTO」のゲームは作られています。 ――北米では1章、日本では2章とギャップがありますが、同じ時期にこのギャップのある2つのタイトルを手がけるのは苦労もおありかと思いますが? どちらかといえばゲームエンジンのほうですね。年度によってゲームエンジンが異なりますので、技術的に前の世代のものを手がけるのは苦労します。原作のほうはすべて頭に入っていますから苦労はないのですが。うちのスタッフは、みんな「NARUTO」のことばっかり考えて作ってますんで(笑)。 ――次回作はどのような構想になっていますか? 「NARUTO」のシリーズは、年々ファン層が若返っているんですよ。「ナルティメットヒーロー」のころは14~15歳の方が中心でしたが、「2」のときは12~13歳、今は10歳前後がメインのお客さんになっていますね。これから作る「NARUTO」のシリーズは常に低年齢層を意識して制作していこうと思っています。ファン層が若返るということは、お客さんとしては長い間ファンでいてくれる可能性があるわけです。ただ、あまりお待たせしているとファンの方がゲームを卒業しちゃっていたりもするので、ファン層の広い作品ですから、リリースタイミングなどはこれからも気を使っていこうと思っています。
■ これまでとはまったく違う切り口で展開する今後の「.hack//」 ――続いて、「.hack//」シリーズに関してもお伺いします。こちらも手がけられて長いシリーズですが? そうですね。1作で3年半かかってますから。中学生が高校に上がってますからね。今後は今までとはまったく違う切り口になると思います。ゲームがあってアニメがあって、コミックスがあって小説があって。次は、ゲームに関しては違った切り口を考えています。「次は全何巻ですか?」なんて聞かれるんですが、そういった形にはならないです。 ただ、3年半はお待たせしすぎなので、そう遠くない未来にお届けできるように、今がんばっています。 ――制作期間が長いと、スタッフみなさんのモチベーションの維持などは大変かと思いますが、その秘訣は? それは、同時多発展開でコミックスやアニメを作っていってることがいい刺激になっていますね。我々がゲームを作っていますが、その最中もアニメやコミックスがどんどんでき上がってきますよね。それをチェックさせていただくと「ああ、そうきたか、じゃあこっちはこうしよう」となりますね。それぞれの畑にはそれぞれの流儀がありますので、それぞれ違うところで良さを出す、勝負することになります。これはなるべくしてなった関係性だと思いますね。これがうまくいっていると思います。 ――将来的にオンラインにしていこうという構想はありますか? 常にオンラインへの対応は視野に入れて日々過ごしていますよ。ただ、よくユーザーさんからもご意見をいただくんですが、「ザ・ワールド」をオンラインにして欲しいといわれるんですが、うちがもしオンラインゲームを手がけるとしたら、間違いなくああいう形にはならないです。「ザ・ワールド」をそのままオンラインにしたら、ただのMMORPGになりますよね。あれはドラマを描きやすいように、典型的なMMORPGにしていますので。 ですから、我々が本当にMMORPGを作るとしたら、ぜんぜん違うスタイルになると思います。独創性で勝負すると思いますので。 ――「NARUTO」で毎年エンジンを更新されているとおっしゃられていましたが、次世代機に向けたエンジン開発と、ゲーム開発の両輪をうまく回していくのは大変そうというイメージがありますが? 確かに大変ですが、だからこそできることがあります。そうしないとできないこともありますし。だからこそでき上がったものに手ごたえが感じられるわけです。正直私たちはあまり大変だと思っていませんね。目的は面白いゲームを作ることなんで、ツール開発にしてもエンジン開発にしても、うちのスタッフは割とノリノリでやってます。 ――プログラマブルシェーダーなど、次世代機への対応はいかがですか? 間違いなく楽しいですよ。開発者にとって一番つらいのは、「できないこと」なんですよ。今まではハードのスペック上できないことも多かったわけで、これからはできなかったことができるんです。次世代機の開発は面白いです。新しいことは面白いんです(笑)。苦しいこともあるんですが、それよりも楽しいことが上回ってますから。我々の次のタイトルも期待してください。 ――ありがとうございました。
(2007年6月14日) [Reported by 佐伯憲司]
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