【連載第8回】韓国最新オンラインゲームレポート

　Bill Roper氏率いるFlagship Studiosと、日本を除くアジア全域のパブリッシング権を持つHanbit Softは、5月31日、韓国ソウル市内において、開発中のアクションRPG「Hellgate: London Asia Launching Party」を開催した。

　発表会では、韓国でのクローズドβテストが７月中に行われることと、北米・欧州のビジネスモデルはパッケージ販売に決まったことが発表された。当初、発表が予定されていた日本を除くアジア全域のサービス日程やビジネスモデルについては各国パブリッシャの都合により見送られた。

　来場者向けに公開された「Hellgate: London」の試遊台では、シングルプレイのみの公開にとどまったが、「Templer」、「Cabalist」、「Hunter」の3つのカテゴリクラスから派生する、「Guardian」、「Blademaster」、「Summoner」、「Evoker」、「Marksman」、「Engineer」の全6種類のクラスがプレイ可能で、クエストもしっかりと盛り込まれるなど、ローンチに向けたステップを確実に歩んでいると感じた。

　この日は抽選で招待された200人のユーザーも参加し、「Hellgate: London」のアジアパートナー各社の紹介や、本作の最新バージョンをプレイしながら、開発者との触れ合いを楽しんでいた。ユーザーへの試遊台への評価は高く、今後の展開にいっそう期待が高まるイベントとなった。最新バージョンの内容も踏まえつつ、「Hellgate: London」の最新情報をお伝えしていく。

■　「Hellgate: London」最新バージョン公開。「Marksman」、「Summoner」など6つのクラスをプレイアブル出展

Hanbit Softのキム・ヨンマン会長。3年前にBill Roper氏に出会い、「Hellgate: London」のゲーム性に驚きFlagship Studiosとの契約を進めたという

Flagship Studios CEO Bill Roper氏。Hanbit Softが「StarCraft」などをe-Sportsタイトルとして広めた影響力を見込み、アジアパブリシャーとして契約を交わしたと語った。韓国は7月からクローズドβテストがスタート

　この日公開されたのは、「Templer」、「Cabalist」、「Hunter」から派生する、6つのカテゴリクラス。公開済みの「Templer」の「Guardian」、「Blademaster」のほか、初公開となる「Cabalist」の「Summoner」と「Evoker」、「Hunter」の「Marksman」と「Engineer」もプレイすることができた。公開されたバージョンは韓国語版のα版だったが、スキルの発動やキャラクターの育成もしっかりとできる状態で、完成度は非常に高い。

　筆者は「Summoner」をプレイしてみた。魔物を召喚しモンスターを狩る「Diablo II」の「Necromancer」に近いプレイスタイルだった。「Summoner」は攻撃やスキルの使用にはかなりのディレイがあり、ややまったりしたプレイスタイルとなっている。しかし、ボス級の巨大モンスターの周辺をぐるぐるとまわりながら召喚魔を呼び続けて大量の攻撃を仕掛けるシーンなど、スペルキャスターならではの活躍の場面もあり、面白かった。

　ゲームシステムでは、シングルプレイはストーリーの柱となる荒廃したロンドンを舞台にしたシナリオクエストと、それに付随するサブクエストからなる。メインクエストは「Hellgate: London」のシナリオを辿るクエストで、ロンドンに開放された地獄との通路「Hellgate」にまつわる物語。サブクエストはどの地域のモンスターを何匹狩るといったMMORPG的な内容で、アイテムやお金を報奨として獲得できるというものだ。

　画面の撮影が禁止だったのが残念なところであるが、Bill Roper氏によれば、開発の進捗状況は、クラス間のバランス調整やバグ修正を残すのみとのこと。筆者が触れてみても氏の言葉通りの完成度で、日本でのパブリッシングを担当するバンダイナムコゲームズからの最新情報に期待したいところだ。

この日のイベントはソウル市ホンイク大学の近くに位置するクラブ「キャッチライト」で行われた

発表会に参加したアジア各地域のパブリッシャーたち。The9 Limited（中国）、IAH（シンガポール）、Funtown（台湾）の3社が参加し、キム・ヨンマン会長、Bill Roper氏と共にパーフォマンスを披露。ロンドンを救出するという意味を込めて一人一人が剣を持って地面に刺した

■　3～4カ月に1度の割合で大規模アップデート　初回のパッチでは新クラスが追加!!

Bill Roper氏とアートディレクターDave Glenn氏とのユーザ撮影会。Bill Roper氏のいたずらで会場は爆笑

　本作は7月から始まるβテストのスタート後、3～4カ月に1度の割合で大規模アップデートが行なわれると発表された。同時に最初の大規模アップデート内容として、以下の要素が挙げられた。早ければ年内にも4番目の新クラスをプレイできるかもしれない。

・ゲームモードの追加（Hardcore、PvPなど）
・ギルドの機能の強化（ギルドハウジング、共用倉庫など）
・オークション機能とプレーヤー間のメール機能が追加
・新クエストの追加
・パーティ機能の改善
・新アイテムと防御アイテムにおけるの強化システムの追加
・新マップの追加
・新スキルの追加
・マップに設置されてる固定武器「砲塔」の追加
・新クラスの追加

　インスタントダンジョン方式で行なわれる「Hellgate: London」のマルチプレイではこうした新要素の追加が容易とのことで、毎回のアップデートの中で新しいゲーム体験をユーザーに与え続けていくとのこと。Bill Roper氏は韓国でのe-Sports人気を意識してか「Hellgate: London」のe-Sportsタイトル化に向けた進化も検討中と述べた。

　この日の試遊台の様子ではシングルプレイでのインパクトが大きく、集まったユーザーはパッケージタイトルのように壮大ながらも限られた世界という印象を少なからず抱いていたようだ。そうした中で継続的な大型アップデートとその内容が発表されたことは、ユーザーにとっては好感触だったのではないだろうか。未だ公開されていないマルチプレイの部分をぜひとも体験してみたいところだ。

ユーザー向けに用意された試遊台は20台で、常に満席の状態。参加人数に対して少なすぎた。プレイするために数時間待たなければならないユーザーもおり、台数を増やすなど配慮が必要だった。席に着いたユーザーは真剣な表情で新クラスやクエストを試している

韓国国内ではBill Roper氏の携わった「Diablo II」の成功の影響力からか「Hellgate: London」に対するユーザーの期待度は非常に高い。会場に招待された200人のユーザーには「Hellgate: London」のクローズドβテストアカウントが支給される

「Hellgate: London」最新スクリーンショット。会場に用意された試遊台のスペックはIntel Core2Duo E6400、2GBメモリ、nVidia GeForce 7900GTX、22インチワイドモニター。1680x1050、フルオプションのプレイも快適だった。まだ、確定ではないが、Bill Roper氏によれば別途、Direct X10を使用したWindows Vista専用のクローズドβテストも検討中だという

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□Flagship Studiosのホームページ(英語)
http://www.flagshipstudios.com/
□Hanbit Softのページ(韓国語)
http://www.hanbitsoft.co.kr/
□「Hellgate: London」の公式サイト(韓国語)
http://hellgate.hanbiton.com/
□関連情報
【5月24日】バンダイナムコゲームス、WIN「Hellgate: London」
テンプラークラスの攻撃スキル紹介ムービーを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070525/hell.htm
【5月10日】バンダイナムコゲームス、WIN「Hellgate: London」
オンラインサービスの仕様を発表。特典付きの月額有料サービスを用意
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070510/hell.htm
【3月30日】バンダイナムコゲームス、WIN「Hellgate: London」
近接戦闘クラス「Blademaster」と「Guardian」を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070330/hell.htm
【2006年11月13日】【G★ 2006】Flagship Studios CEO Bill Roper氏インタビュー
「Hellgate: London」マルチプレイモードの詳細に迫る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061113/gs_bill.htm
【2006年11月11日】【G★ 2006】HanbitSoft、オンラインRPG「Hellgate: London」を全面展開
マルチプレイモードを初公開、正式サービスに向けて本格始動開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061111/gs_hell.htm

(2007年6月1日)

[Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]