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ガンホー代表取締役社長森下一喜氏特別インタビュー
3本出そろった「ラグナロク」ブランドの展開戦略を聞く

4月29日収録

会場:有明スタジアム

 ゴールデンウィーク2日目の4月29日に開催された「ラグナロクオンライン」ファンを対象にしたファン感謝イベント「RJC2007」は成功裏に幕を閉じた。

 RJCは、ガンホー主催のユーザーイベントとしてすっかり定着した感があるが、これまでは「ラグナロクオンライン」1本に絞ったイベントだったのに対し、今年はそれに加え、「ラグナロクオンライン II」と携帯向けコンテンツ「ラグナロクオンライン GAMES」を発表し、「ラグナロク」ブランドとして3本を同等にアピールするなど、同社の「ラグナロクオンライン」関連のビジネスが新しいフェイズに入ったことを伺わせる内容だった。

 RJC恒例のガンホー森下社長へのインタビューでは、「ラグナロクオンライン」関連コンテンツと、それに付随するビジネスの変化、そしてオフラインイベントの今後の展開などについて話を伺った。

 なお、インタビューはRJC開催中を縫って実施されたため、RJCで発表された、たとえば「ラグナロクオンライン」夏期サービス開始の“サービス”が示す内容や、3年ぶりの開催となる「Ragnarok World Championship(RWC)」の詳細、RWC日本予選の抱負などについては事前に知らされていなかったため質問していない。これらについては機会を改めて話を伺うつもりだ。


■ RJC2007の手応えと、オフイベントの今後の可能性について

記念パッケージを並べ、RJCの手応えを語るガンホー代表取締役社長森下一喜氏
開会挨拶でユーザーの歓声に手を振って答える森下氏。ガンホーの広告塔としての存在感はいまだ変わらずといった印象だ
編: まずはRJC 2007開催の感想からお願いします。

森下氏: RJCという対人戦のイベントは、スタートさせた当初はどうなるものかと思いましたが、1つのオフイベントとしてユーザーに良い機会を提供できるものに成長してきたと思います。そして今年は、ディファ有明で開催していた頃から、「いつか目の前にある有明コロシアムでやりたいね」と話していたことが、ついに実現できました。協賛各社様もたくさんお呼びできるような規模に拡大できました。

 また、ステージを見れば横幅も広いけど縦幅も広く、登壇してとても気持ちが良かったです。お客様も朝早くからお集まりいただき声をかけてくださいました。開催できたことに関し、来場者様や協賛各社様に御礼申し上げます。

編: RJCは年々規模を拡大してきています。ガンホーさんのイベントの将来像はどのようにお考えでしょうか。

森下氏: 今年、ガンホーは自社タイトルを2つ追加します。今回は「ラグナロクオンライン」のイベントですが、現時点でいつという明言はできませんが、ガンホーのブランドを象徴するような総合的なお祭りもできたらいいなと思います。1つ1つのタイトルに強いファンがついていますので、東京ゲームショウのような場をガンホーの総合的なお祭りの場として企画し、さらに個別のタイトルについてはRJCのような感謝祭として継続していきたいと思います。ただ、今年の東京ゲームショウに関しては出展するかどうか決まっていません。

編: 普通のオフラインイベントですとゲーム大会とステージイベントのみというケースが多いですが、ガンホーさんのイベントの特徴として、コスプレなどユーザーが参加する要素が多いことやグッズの人気が非常に高いことが挙げられます。一言で言えばオフイベントが非常にうまい。オフイベントという独自の強みを、ビジネス化する計画はあるのでしょうか?

森下氏: これだけの規模になれば興行的なビジネスも、あるいは可能ではないかとは考えています。しかし、あくまでファン感謝祭ですので、入場料を取っているわけではありませんし、今後も取るつもりもありません。但し、それだけのものを提供し続け、お客さんが満足してお客さんがお金を払っていただけるようなものを提供できる形があれば、興行的なイベントを成り立たせることがあるかもしれません。オンラインゲームで定額課金は入場料を取りますが、アイテム課金では基本無料で、中で欲しいと思ったものがあれば買ってもらう。それはある意味1つのモデルとしてはあり得るのかなとは思います。

編: つまり、オフイベントそのものがアイテム課金のビジネスであると?

森下氏: そこまで言ってしまうと語弊があると思いますが、興行的な可能性はまだまだです。5年の実績でしかないので、他社さんのタイトルに比べるとまだまだ歴史も浅いです。今後「ラグナロクオンライン II(RO2)」のリリースによって、新たな顧客層を獲得し、ブランドが確立されていく中で、イベントそのもの自体が価値を十分見出していけば興行的なビジネスは可能ではないかと考えています。そこがオンラインゲームならではの可能性だと思います。こうしたオフラインイベントの展開は、コンシューマではなかなか見出せないところがあると思います。

 先ほどの質問に帰ると、オンライン事業と、コンシューマ事業、モバイル事業の3つのプラットフォームの総合的なゲームを提供できるということを看板にしていきたいなと考えています。家庭用ゲームの事業に関してはいろいろな形でタイトルをお客さんに提供できたらなと考えています。

編: コンシューマ事業という点では、ガンホーグループとしてのコンシューマの第1弾タイトルである「まいにちいっしょ」ではアイテム課金を始められましたが、ユーザーさんの反応はいかがですか。

森下氏: これはSCEJさんのパブリッシングですが、SCEJさんからも非常に良い評価を得ていますし、ユーザーさんからも評価を得ています。ゲーム機におけるポータルの可能性が見えてきたと考えています。売り上げとしてはまだまだですが、普及台数のことを考えていくと、十分可能性が出てきたなと思います。

編: 印象的だったのはアイテムの値段です。30円、50円といったかなり安い設定ですよね。

森下氏: 価格はあくまでSCEJさんが設定されたものです。アイテムやアバターの販売については、弊社やゲームアーツから多少の意見は述べさせていただいているぐらいです。むしろ個人的には、「右脳ランキング」が、対戦ができるようになったことで、プチコミュニティができたことが面白いなと思います。次世代ゲーム機の先々を考えると非常に大きなものを秘めているなと考えています。

編: ゲームアーツで次世代機向けに新作タイトルを開発されているとのことですが、進捗はいかがでしょうか。

森下氏: お話しできません(笑)。基本的にはコンシューマもモバイルもオンラインも総合的な形でガンホーというブランドの形を出していければと思います。オンラインゲームは、プラットフォームのボーダーが基本的には取り払われていて、次世代機だって同じようになってきます。その意味でオンラインゲームは、コミュニティが育成できることから、タイトル自体を常に陳腐化させずに維持していけるビジネスコアになると思うのです。全体的な売り上げの比率では、今後コンシューマの売り上げのシェアは増えてくるかもしれませんが、それでもオンライン事業はビジネスの中における中核的な事業になると考えています。

編: RJCでは、時期的には「北斗の拳ONLINE」や「グランディアオンライン」など他のタイトルを同時にPRしても良かったのかなと思ったのですが。

森下氏: 個人的には会場の中でそうしたタイトルのPVなどを流してもいいのではないかとは思うのですが、RJCは「RO」のブランドを打ち出したイベントですので、その中で他のタイトルを出してしまうと、コンテンツがかすんでしまう懸念があります。「RO」自体も大切にしたい大事なコンテンツですし、自分でファウンディングしてプロデュースしたタイトルですし、これと同様にスタッフにもそれら他のタイトルに対する思いもありますから、ちょこちょこ出すよりはガンホーブランドとしてガンホーファン感謝祭として大きくやったほうがいいと考えました。今日はRJCで、「RO」のファン感謝祭ですので、その辺は控えました。

編: ガンホーさんは「RO2」、「グランディアオンライン」、「北斗の拳ONLINE」を用意しています。この他ケイブさんやカプコンさんといった国産タイトルの台頭が今年は著しいです。こうした状況をどのように見ていますか。

森下氏: オンラインゲームの第1ステージを経てようやく第2ステージに進めるかなと考えています。国産ゲームといえば「ECO」が非常に人気が出てきてガンホーにとっては「RO」に次ぐ収益の柱になっています。

編: ネットカフェの反応が非常に良いようですね。

森下氏: 最初「RO」は数店舗しか加盟店が無く、「ラグナロクオンライン 1DAYチケット」導入後は新しいモデルとして爆発的に店舗数が伸びました。今ではネットカフェは流通チャネルとして欠かせないものとなり、第2世代となるIPスルーシステムを導入して今まで培ってきたノウハウを持ってガンホーとして新たな施策を投入してきました。

編: 中でも「ECO」で4月20日に導入された「ECO公認ネットカフェ専用クエスト」は、「1DAYチケット」に次ぐ画期的な新ビジネスだと思います。ネットカフェへの注力ぶりもここ最近目立ってますね。

森下氏: ネットカフェの施策については、新規タイトルについても新しい試みを行なっていきます。まだ具体的な内容についてはお話しできませんが、「RO」は、ネットカフェの協力があって成功した部分も大きいです。ネットカフェさん側にも、店舗に足を運んでいただくユーザーさんにも、そして弊社にもメリットが見出せるような3者のWin-Win-Winの関係構築を考えていきたいと思います。力を入れている店舗さんは本当に新しいことを考えてくれます。そうしたお店は大事にしていきたいです。今後「RO2」も出てきます。カフェ側さんでも期待が高いタイトルですので、また新しい施策をやっていきたいと思います。


■ 「ラグナロクオンライン II」の日本での展開戦略について

「ラグナロクオンライン II」の日本展開について述べる森下氏。久々の大型コンテンツであるためか、慎重な発言に終始した
「ラグナロクオンライン II」は、RJCで初公開されたが、完全事前予約制とややハードルが高かったのが残念
編: 今回、ユーザー向けに初公開した「RO2」についてお伺いします。「RO2」の日本での展開戦略を聞かせてください。

森下氏: 「RO2」単体ではなく、「ラグナロクブランド」としての展開戦略を考えていきたいです。「RO2」だけをフィーチャーするのではなく、総合的な「ラグナロク」のブランドとして考えていきたいです。中長期的な戦略を考えた場合、1と2を切り分けるのではなく、同一チームで展開していくつもりです。

編: ユーザーさんに対しては、「RO」と「RO2」の両方をを遊んでくださいということでしょうか。

森下氏: それがベストですが、それぞれ必要スペックが違ってきます。2Dと3Dでは要求されるマシンスペックが違いますので既存の「RO」ユーザーが全員できるわけではないことは理解していますし、それがコンテンツのリスクであることも認識しています。

 その一方で、総合的な「ラグナロク」ブランドとして考えた場合、まだ「RO」で取り込めていないユーザー層は十分あると思うのです。もちろん2Dが好き、3Dが好き、2Dはイヤだという人もいるだろうし、そうした点で新しい顧客層を獲得していく1つのチャンスポイントだと考えています。「RO」をいくらプロモーションしてもなびかないユーザー層がこれからのターゲット層になると思います。

編: ご指摘のように要求スペックが非常に高いゲームですが、これについてはどのように向き合っていくのでしょうか?

森下氏: それは基本的には「ゲームの要求スペックを落としてもらう」ということしかないと思うのですが、我々としては逆に高くても構わないからやってみたいというお客さんのニーズを考慮して、「RO」は家でプレイして「RO2」はネットカフェでプレイするといった、遊びたいと思う人が遊んでもらえるような環境を作っていきたいと思います。

編: 今回は、「RO」以来となるGravityさんとのパブリッシングビジネスになります。今回の協業体制はどのようになっているのでしょうか?

森下氏: いまも「RO」をやっておりますし、協力体制はずっと続いているという認識です。「RO2」でもそこから大きく変わることはありません。

編: たとえば、「RO2」の開発チームに、ガンホーからスタッフを送り込むようなことは考えていないのですか?

森下氏: 現在でも相互の開発者が行き来していますし、「RO」と「ECO」については常駐させているので、現段階では未定ですが、「RO2」でも同様にしていきたいとは思っております。プロダクトは別のものだけれどもお互い中にいます。「ECO」をGravityと協業してやっていくところでは開発者相互の交換であったり、たまに来るよりは常にいるほうがお互い同じ空間にいるほうがコミュニケーションは常に図れますからね。相互の展開を考えれば、昔から比べよくなってきていると認識しています。

編: 韓国ではβテストが行なわれています。現在の「RO2」の開発状況を教えてください。

森下氏: 開発の進捗に対する大きな進捗点は無いです。順調に進んでいます。年内にはサービスインできるかと思います。

編: ガンホーさんの社内でもテストされていると思いますが、触ってみた感触はいかがでしょうか?

森下氏: 今は社内テストの段階ですので、「RO」であったように日本の市場環境の中に耐えられるものかどうか、ジャパナイゼーション的なものを入れていかなければと思うので常に話し合っています。

編: 森下さんの感じる、適していない部分とは何ですか?

森下氏: 表現的な部分です。日本ではふさわしくないといったところでそれらは調整していきます。別に大きな問題ではないです。非常に小さなディテールです。

編: 「アマツ」のような日本オリジナルのアップデートは計画しているのでしょうか?

森下氏: 今のところその予定は無いです。


■ 「個人的には月額課金」。「ラグナロクオンライン II」の目標とビジネスモデルについて

ユーザー見込みに対して確信に至っていないという森下氏。個人的には月額課金制を採用したいようだ
「ラグナロクオンライン II」は、「ラグナロクオンライン」と同様に第2開発部第1課が運営を担当する。右が第1課課長の廣瀬高志氏、左が「ラグナロクオンライン II」担当の畠山寛生氏
編: 森下さんから見た「RO2」の魅力とは何でしょう?

森下氏: 最大の魅力は、2Dでは実現できなかった自分自身のキャラクタのカスタマイズが多くできるところが一番ではないでしょうか。あとはゲームのスケールです。「RO」の良いところを継承しながら今までできなかったところが体験できるだろうと思います。

編: 「RO2」に関しては、今回ようやく日本でも動き始めたという感じですが、日本市場の手ごたえはいかがでしょうか。

森下氏: さすがにまだわからないですよ(笑)。確信的な手ごたえには至っていません。

編: 今回「RO2」のユーザー数はどれくらいを想定していますか。

森下氏: 難しい質問だね(笑)。想定している数字はありますが、言えないです。何らかのタイミングでもう少し確信的なものに変わってきたら出したいと考えています。

編: 日本のオンラインゲームは、会員数がミリオンに達するとメジャータイトルという印象があります。それ以下になると一気に下がって10万から数十万程度で団子状態になっているのが現状のような気がします。その下に数万人規模の無数のタイトルがあるようなイメージですが、「RO2」はどのあたりを考えているのでしょうか。

森下氏: SランクからA、B、CランクとあったとするとSからAくらいの規模にはしていきたいと思います。

編: 「RO」と同程度の200万市場をもう1つ作りましょうというほどの期待は持っていないのですか。

森下氏: そのためにはユーザーさんの初速反応がまだまだ足りていないかなと考えています。メディアさんが記事を書いていただいて、いろいろな意見を拝見していますが、実際の市場としての初速評価や、今回の体験プレイでのフィードバックなどを通じ徐々に確信的なものにしていきたいです。我々は「RO」というミリオンタイトルの次の作品ということでそれなりの期待は当然かけています。

編: 昔はたとえば「ECO」では100万人越え、「ヨーグルティング」でも「RO」越えを狙っていきたいと勢いのあるコメントが聞かれましたが、いつになく慎重な構えですね。森下さんの中でも、すでにオンラインゲーム市場が熟成し、簡単にはミリオンヒットが生まれないなという認識があるのでしょうか。

森下氏: マーケットの成長速度がゆるやかなペースになってきたのではないかと思います。「RO」という1タイトルでオンラインゲーム市場が急加速したように、1つのブロックバスター的なものが生まれていくことも市場がさらに次の直線を描くために必要だと考えています。コンシューマのハードウェアが2次曲線を描いていくためには、そこで必要となるのがコンテンツの魅力ですが、「RO2」はその可能性があるでしょう。

 今までの市場加速自体、我々が思っていたよりはかなり緩やかでした。その中でも「ECO」は順調に伸びてきて、4、50万人を越えて100万人達成が視野に入ってきています。「RO」と比べると歴史が違いますが、新しいユーザーも入り、サーバーも増えて、規模が大きくなってくることで、奥行きとスケール感が出てきました。このように市場環境の成長の波に乗って伸びてくるタイトルもあれば、ゲーム性その他に左右されて伸び悩むものもあるでしょう。

 一方、10万人20万人規模のタイトルが悪いものかといえばそうではなくて、面白いと思っている人がいて、その人たちが面白いと思っている人がいるならそれでいいと思うんです。ビジネスとしてみれば、その規模でどのようなビジネス展開をしていくのかと。野球で言えばホームランなら確かに素晴らしいですが、でもヒットでもいいではないかと。ヒットを何本かつなげていけば同じ1点には変わりません。ヒットが続く中で満塁ホームランを打てれば全体的な枠が増える可能性があるかもしれないし。ビジネスの中では明快な答えはしづらい部分ではありますが、僕らとしてはホームランなのかスリーベースヒットなのか狙っていけるタイトルだろうと考えています。

編: 「RO2」のビジネスモデルはいかがでしょうか。

森下氏: まったくの未定です。月額課金がいいのか、アイテム課金がいいのかという点ではゲームによってのマッチがあると思います。慎重に決めていきたいと思います。

編: 森下さんとしてはどうお考えでしょう。

森下氏: 個人的な意見としていうならば月額課金ですね。これは「RO2」に限らずです。ガンホーは、日本では数少ない月額固定を2タイトルも抱えている会社です。他にもスクウェア・エニックスさんやコーエーさんもいらっしゃいますが、月額固定には月額固定の良さがあると思います。現在のトレンドには逆らいますが、そのトレンドもまた変わってくるのではないかと個人的に思います。


■ 「ラグナロクオンライン」のスペシャルアイテムの成功の秘訣と今後の展開について

アイテム販売は今後も継続強化していく方針という。この方針は「RO2」でも引き継がれると考えて良さそうだ
「RO2」スタート後、RJCの姿がどうなるのかも気になるところだ
編: 「RO」について一番お伺いしたいのは、2006年末に導入した月額+アイテム販売のハイブリット課金です。スタート当初は、価格面や性能面でトラブルがありましたが、半年経過して軟着陸した感があります。成功の要因は何だと思いますか?

森下氏: ガンホーのアイテム販売は、アイテムカードの販売からスタートしましたが、僕らはその延長線上でゲームの中で直接販売できる形ができたらいいなということを具現化したのがこの形です。そういう意味では、まったくなしの状態からいきなり始めたビジネスモデルではないところが、ユーザーさんにとって良かったのかなと思います。

編: つまり、物理店舗の流通網を持っているブロッコリーをグループ化したことが、成功の要因だと?

森下氏: 確かに「ECO」のアイテムチケットを店舗販売したのは非常に好評を得たのは事実です。この勢いを「RO」にも活かせていけたということが挙げられます。

編: 最近の流れでは、パッケージ製品の中にゲーム内アイテムを同梱する。アイテムの魅力で商品の販売を牽引するビジネスです。このスタイルは今後も継続していくのでしょうか?

森下氏: 継続していきます。一番初めにやったのは「RO」のDVDです。日本で初めてゲーム内のアイテムが当たるものを封入しました。その後も明治製菓さんとアーモンドチョコレートをやったりして、そうした試みを続けていく中で、ユーザーさんがこういうアイテムが欲しいとアイテムチケットを貰うと2度おいしいと思ってもらえればいいなと考えて企画しました。

 僕らにとってアイテムは収益の柱ではなくあくまでプラスアルファというスタンスです。まずは「記念の2007年のメモリアルパッケージが欲しい」と思ってもらえるような商品として企画しています。それを買えばアイテムが付いてくるという流れですね。今回のメモリアルパッケージもゲーム内のアイテムチケットが5種類入っています。こういうパッケージは、大きな変化があるわけではないけれども、自分を演出するものとして存在価値があると思います。

編: オンラインゲームユーザーが、ゲーム内アイテムに対して直にお金を払うという新しいゲーム文化をその担い手としてどのように考えていますか。

森下氏: 個人的な意見ですが、第2ステージという言い方をしています。国産メーカーがオンラインゲームに参入してきて、我々も国産を押していく立場になってきて、どのように共存していくかです。グループ全体のコンテンツのブランド価値を高めていくことを考えていますので、今後は必ずしも競争とは言い切れません。できれば我々の培ってきたノウハウを提供する形で、たとえば海外展開などでお互いが成長できるようにやっていきたいです。

編: 韓国でも「RO」のアイテム販売が始まりました。これはガンホーさんの成功実績の影響もあるのでしょうか。

森下氏: パッケージについてのノウハウなどは提供していますが、それ以外にもグローバルな先行事例が彼らにはあったであろうし、それがローカルの市場の中で受け入れられるかはGravity独自の判断で行なわれたものです。ユーザーさんに対して段階を追ってアイテム販売について意見を伺いながら理解を進めていきました。アイテム販売は、すんなり受け入れられたわけではなく、当然否定的な意見も中にはあります。それでもよりきちんとした形で進化を遂げていかなければならない。Gravityとしては韓国市場の中で、本当にユーザーさんに受け入れられるのだろうか、まだならば段階を追って新たなモデルを浸透させていったほうがいいのではないかと葛藤はあったと思いますね。

編: 日本のアイテム販売に関しては年頭にインタビューした際は十分なデータが無いということでしたが、どのような結果が出たのでしょうか。

森下氏: 順調にユーザーが増えています。

編: 2005年、2006年は、ガンホーさんだけではなくワールドワイドで「RO」にとっては厳しい年になったと見ています。ガンホーさんのアイテム販売がユーザー数増加のきっかけになったということですか。

森下氏: 純粋に減ったというよりはアカウント停止など取締りで減っている部分もありますので、一概に減ったという見方は正確ではないです。それらを差し引いてもゆるやかに上がっています。

編: アイテム販売によってユーザー数は一気に増えたのでしょうか。

森下氏: 販売したからユーザー数が増えたという点では極端な線を描いているわけではないです。取り締まった数字などで月によっては変わってしまうので、一概には言えないです。

編: 今後の「RO」の成長戦略はいかがでしょうか。

森下氏: 成長戦略は総合的なブランド強化です。

編: 「RO2」と「RO」を同時にプレイすると、利用料金が安くなるといったことも考えられるのでしょうか。

森下氏: 2タイトルをプレイしているユーザーにバリューパック的なものを提供するのは戦略的な戦術の1つと考えられます。

編: 最後にユーザーに一言お願いします。

森下氏: 今回モバイルゲーム「ラグナロクオンライン GAMES」が発表され、オリジナルとはまったく異なるゲームになりましたが、日本ならではのRPG的な作り方で我々のグループ会社のジー・モードのノウハウを活かした作品に仕上がっています。これから先も「RO」というブランドをいろいろな展開をしていくつもりですので、末永く皆さんの記憶に残るゲームにしていきたいです。ゲームとしてもマルチユースの展開としても、サービス面も含めて総合的に評価いただけるようにやっていきたいです。今後とも期待してください。

編: ありがとうございました。

□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「ラグナロクオンライン」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□「RJC2007」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/news/event/rjc2007/
□関連情報
【4月30日】 「RAGNAROK ONLINE Japan Championship 2007」大会レポート
アサシンクロスを擁する「Ruf Prism」が優勝
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070430/rjcf.htm
【4月30日】ガンホー、ファン感謝祭「Ragnarok Japan Championship 2007」を開催
即売大行列再び、「ラグナロクオンライン II」は今夏スタート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070430/rjc2007.htm
【3月28日】ガンホー/ジーモード、「ラグナロクオンライン GAMES」を6月に配信開始
「RO」本編で使える連動アイテムが手に入る携帯専用ゲームポータル
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070328/rogames.htm
【5月22日】ガンホー、「RAGNAROK ONLINE Japan Championship 2006」を開催
「ラグくじ」発売で大行列、次期アップデートは7月実装
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060522/rjc2006.htm

(2007年5月11日)

[Reported by 中村聖司]



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