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会場:有明コロシアム
2004年に開催された「RAGNAROK World Championship 2004」日本予選から数えると4回目となる今大会には、3月から4月上旬にかけてオンラインで行なわれた予選に192チームが参加。昨年、一昨年と2連覇を果たした「Cafeteria」が予選1回戦で敗退するという波乱含みの展開を見せつつ、8チームが有明コロシアムでの決勝に駒を進めた。ただし1チームの出場辞退があったため、7チームでのトーナメントで争われることになった。 決勝トーナメントに進んだチームの構成を見てみると、方針が大きく2つに分かれていた。1つは、モンクの「阿修羅覇凰拳」を主軸としたもの。プロフェッサーがモンクにSPを渡しつつ「ランドプロテクター」を展開し、その隙間にウィザードが「ストームガスト」を撃ち込んで凍結効果を狙うというもの。昨年も猛威を振るっていた、いわば鉄板構成である。 もう1つは、アサシンクロスの「ソウルブレイカー」または「ソニックブロー」で攻めるもの。こちらの場合は、モンクほどに極端なSP補給を必要としないため、プロフェッサーがセージになる。「ソウルブレイカー」は遠距離からの大ダメージを期待できるので、味方とのコンボ攻撃に合わせやすい。「ソニックブロー」は「阿修羅覇凰拳」に迫る瞬間ダメージを、「クローキング」などで姿を隠しての不意打ちで仕掛けられるのが利点。相手にするとモンクとは違う警戒が必要になるため、神経を使う。
このほかのジョブでは、守りの要となるクルセイダーとプリースト、「アシッドデモンストレーション」で2枚目のアタッカーとなるクリエイターがほぼ入っていた。後は構成次第だが、バードやダンサーの姿が多かった。本大会の7対7というルールでは、「いかにして1人の敵を一瞬で倒すか」が最重要となるため、物理ダメージ担当のモンクまたはアサシンクロスと、高VITキャラ対策となるクリエイターの2枚看板を、他のメンバーが補助するというのが戦略の柱となっていた。
■ 「阿修羅覇凰拳」時代終焉! アサシンクロスの攻めが際立つ 決勝トーナメントの試合展開を見ていくと、昨年までとは異なる展開が見て取れた。「決まればほぼ一撃」という強さを誇っていたモンクの「阿修羅覇凰拳」が、決めきれないシーンが非常に多かったのだ。これは鉄板構成ができあがると同時に、対策も練られた結果であろう。3連覇がかかった「Cafeteria」が予選で敗退したのも、もしかするとその影響があったのかもしれない。 手数を出すのが難しい「阿修羅覇凰拳」の対策が打たれると、アサシンクロスとクリエイターの働きが目立ってくる。発動中に「阿修羅覇凰拳」の文字が表示されるような華々しさこそないが、遠距離攻撃や不意打ちで即死級の大ダメージが飛んでくるため、一瞬の隙が命取りとなる。 またこの2タイプのパーティには、もう1つの違いが見られた。モンクを主軸とした場合、SPや準備の問題で連打が効かない「阿修羅覇凰拳」をいかに確実に叩き込むかが重要になるため、「ランドプロテクター」を使って守りつつ隙を狙うのが定石。しかしアサシンクロスは比較的自由に動けるため、常に強気に攻め続けられる。 モンクのパーティがアサシンクロスのパーティに敗れるシーンでは、まずアサシンクロス側が「ランドプロテクター」を強気に前に出していき、互いの「ランドプロテクター」を重ねて打ち消していく。その勢いに乗ってクルセイダーが「シールドブーメラン」で相手のウィザードを足止め。ここでモンクの「阿修羅覇凰拳」が繰り出される可能性があるが、それを乗り切ってしまえば、相手のプロフェッサーはモンクへのSP補助と「ランドプロテクター」の修復を、“プレッシャーに負けて下がりながら”せざるを得なくなる。もちろんそこで攻め手を緩めることはなく、てんてこ舞いのプロフェッサーを叩き落し、そのまま一気に攻めきる……という流れだ。
もちろん、必ずこのような綺麗な展開になるとは限らないが、アサシンクロスのチームが攻めの意識を強く持っていれば、攻めの流れを取って精神的にも優位に進める可能性は高い。事実、決勝に残った2チームは、常に攻めの姿勢を崩すことなく、モンク主軸のチームを見事に葬っていった。1、2人は倒されるのもやむなしという豪快な攻めで、試合は長くて2~3分、早ければ1分未満の秒殺という展開。決勝戦に至るまで、全ての試合で10分の時間制限を迎えることはなかった。
■ 「ソウルブレイカー」対「ソニックブロー」の決勝戦
試合は決勝のみ、2本先取で行なわれた。第1戦は「STAR DUST」のアサシンクロスが大活躍し、一気呵成に攻め込んで圧勝した。互いに攻めの色を全力で出した結果とはいえ、ほぼパーフェクトといえる勝利で、一気に流れをつかんだかに見えた。 続く2戦目。今度は「Ruf Prism」の攻撃が驚くほど綺麗に集中され、開幕から数的有利を得た。そのまま流れは「Ruf Prism」に傾くかと思われたが、「STAR DUST」のアタッカー陣が猛反撃を開始し、攻め気になっていた「Ruf Prism」のメンバーが的確に撃破されてしまう。しかし「Ruf Prism」も何とか自力を見せ、アサシンクロスとクリエイターを残しつつ、相手をクリエイターのみにした。ここで「Ruf Prism」は制限時間を待つことなく、相手クリエイターを追い込んで撃破。下手にアイテムを消費したくない場面ではあったが、勝った流れを途切れさせないことを考えれば、これも1つの選択としてはありえるだろう。
互いに最も緊張したであろう最終戦。1本取られた気持ちを立て直し、落ち着いて攻めようとした「STAR DUST」に対し、「Ruf Prism」のリーダーは「相手の思いも寄らない戦法で行こう」と決断。開幕の中央でのぶつかり合いで、「ランドプロテクター」をあえて使わず、足を止めることなく突撃を仕掛けた。定石から言えば無謀ともいえる動きだが、意識が守りに向いていた「STAR DUST」は、この意外な攻めに一瞬判断が遅れて総崩れ。そのまま「Ruf Prism」が押し切り、逆転優勝をつかんだ。
■ 「らぐな☆がーるず」対プレス連合チームのエキシビジョンマッチ
「らぐな☆がーるず」は、乾曜子さん、岩田有以さん、虎南有香さんの3人で組まれたユニット。対戦は7対7となるので、残りの4人をガンホーのスタッフが担当した。 「らぐな☆がーるず」チームは、プロフェッサーを抜き、モンクとアサシンクロスの2枚看板で攻める超攻撃型。対するプレス連合は、モンクを主軸にしたベーシックな構成。ただソウルリンカーが入っているなど、ちょっと変わった色合いもあり、「RJC2007」本戦とは少々異なる雰囲気で試合が行なわれた。 プレス連合チームはもちろんモンクで攻めたいところだが、「らぐな☆がーるず」チームのセージからディスペルを受け無力化されてしまう。そこで三浦氏の操るクリエイターが果敢に攻め、相手のアサシンクロスに「アシッドデモンストレーション」を撃ち込んで倒すと、試合の流れはプレス連合へ。見事に「らぐな☆がーるず」チームを圧倒した。
会場には、乾いた拍手と「空気読め」というムードも感じられたが、勝利は勝利! しかし「らぐな☆がーるず」の面々もなかなか油断ならない動きを見せていたので、またいつかリベンジがあることを期待しよう。
会場は昨年よりも広くなっていてもなお、この調子だというから驚かされる。サービス開始から5年という長寿タイトルになった「ラグナロクオンライン」の人気、そして4度目となる「RJC」への注目度は、未だ冷める気配がないことが肌で感じられた。 「RJC2007」はこれで終了ということになるが、会場ではこれに続く世界大会となる「RAGNAROK World Championship 2007」の開催が明らかにされた。7月21日、22日に韓国ソウルで開催される。開催日まで3カ月弱まで迫っているが、日本代表は「RJC2007」の勝者ではなく、改めて予選から行なうという。
「ラグナロクオンライン」制作担当の廣瀬高志氏からは、「日本代表が最高の状態で戦えるよう、ガンホーも全力でサポートしていきたい」というコメントも聞けた。「RJC2007」で苦渋を飲まされたチームも、再度奮起して頑張っていただきたい。
(2007年4月30日) [Reported by 石田賀津男]
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