|
会場:ディファ有明
予選を勝ち残ったのは、LOKIサーバーの「Cafeteria」、FENRIRサーバーの「Penrir」と「EnPenril」、SES サーバーの「§パルプンテ§」、IDUNサーバーの「蒼天の光」、MAGNIサーバーの「皆さん眠りなさい!」、EIRサーバーの「JunkyZ」、THORサーバーの「Precipice」である。残念だったのは、決勝トーナメントにJunkyZ、Precipiceの2ギルドが出場を辞退してしまい、決勝戦は6ギルドで行なわれることになってしまったことだ。さらに、Penrirもメンバーが集まることができず5人で挑むことになり、全国のメンバーを集結させなくてはならないというオフラインでの大会の難しさも感じさせられた。 RJCでは、7人のキャラクタが1チームとなって7vs7の対戦が行なわれる。参加者達はあらかじめ出場するキャラクタの職業を選択し、会場でそのキャラクタをカスタマイズして戦うこととなる。上位2次職は2人まで、職業の重複は認められない。メンバー構成や、キャラクタにどんな役割を持たせるかが非常に重要になってくる。 3年目を迎えるギルド戦の中で、ある程度の「定番」の戦術が生まれ始めている。プロフェッサーの「ランドプロテクター」で仲間を守りながら、ウィザードが「ストームガスト」で敵を凍らせようとする。一瞬のチャンスにモンクが「阿修羅覇凰拳」で敵に大ダメージを与える。プリーストが仲間の回復を行ない、クルセイダーが「ディボーション」で仲間のダメージを肩代わりする……などなど「必須」の戦術が確立されつつある。いかにその定番の戦術を、高いレベルで実現できるかが、大きな勝敗の鍵となっている。 今年はクリエイターの「アシッドデモンストレーション」が注目を浴びた。この攻撃は対象のVIT(バイタリティ:防御力や、最大HPなどに影響)が高いほどダメージが大きくなる。ギルド戦ではどのキャラクタも体力を確保するためにVITの値を大きくする傾向があり、このアシッドデモンストレーションは大きな脅威となる。この攻撃にどう対処するかが今年の参加者達の課題の1つとなっていた。
今回のRJCでは解説にエンターブレインの中村聡伸氏が参加した。中村氏は試合前に各ギルドの戦術分析や観戦前の注目のポイントなどを説明し、更に試合前のセットアップの場面では「カメラに向かってのパフォーマンスが欲しいですね」と、選手達のアピールを誘った。選手達もこれに応え、エモーションなどで会場を沸かせていた。会場にいるファンにわかりやすく戦術を解説をする中村氏の協力によって、選手とファンの距離が一層近くなった印象を受けた。
■ ユニークな戦術と高いレベルの連携で勝ち進むCafeteria 2チームの辞退により決勝戦は6チームで争われることになり、第一戦はCafeteriaとEnPenrilがぶつかった。Cafeteriaは昨年優勝したギルドCafeと同じギルドである。実は昨年はギルドマスターが試合に参加できないかもしれないということでCafeというギルドを作ったとのことで、Cafeteriaがギルドの正式名称だという。EnPenrilは昨年優勝したギルドPenrirから派生したギルドである。全23サーバー中、決勝戦に2チームが駒を進めたのはFENRIRサーバーのみである。両者とも実力は非常に高い。
更に、Cafeteriaならではの戦術としてハイウィザードの「ガンバンテイン」があった。このスキルは設置系の魔法の効果を無効化するもので、ランドプロテクターに穴を空けることができる。これによってストームガストで敵を凍らせる確率が上がるのである。凍った敵にモンクの拳が炸裂する、Cafeteriaの息のあった連携と、作戦のユニークさを会場に強く意識させる試合となった。 2戦目はPenrirと§パルプンテ§である。残念だったのは、Penrirのメンバーの都合がつかず、5人での試合参加となってしまっていたことだ。RWCの日本予選を含め、3年目を迎える本大会では、戦術もこなれてきて、かつこの大会を目的に練習を重ねるギルドも多くなっている。各ギルドの実力も伯仲していて、予選から高いレベルでの駆け引きが行なわれていた。昨年準優勝のPenrirも人数が少ない状態では勝つことができなかった。声援を受けながら戦うことができ、戦いの興奮を会場で体験できるオフラインイベントだが、メンバーが集まらない問題も常に起きている。「日本一強いギルド」を決める上で、この形が適切なのかは、これからも議論されていく問題だろう。 3戦目は蒼天の光と皆さん眠りなさい!で行なわれた。この2チームは、特に会場の一角から熱い声援が投げかけられた。皆さん眠りなさい!のギルドマスターの「過疎サーバーの実力を見せてあげましょう!」という一言には会場が大きく盛り上がった。RJCの観客の中には「自分が所属しているサーバーの代表者を応援したい」という想いで会場を訪れた人も多いようだ。 3戦目の勝利者は蒼天の光。お互いきちんとまとまり、距離を置きながら魔法を撃ち合い、相手の隙をうかがうという伯仲した戦いだったが、皆さん眠りなさい!のクルセイダーの保護が解けた瞬間、蒼天の光のクリエーターがアシッドデモンストレーションでメンバーが倒されてバランスが傾き、一気に蒼天の光が勝利をもぎ取った形になった。2チームの辞退により蒼天の光はこの勝利で決勝戦進出を果たすことになった。 準決勝戦は Cafeteriaと§パルプンテ§である。§パルプンテ§のギルドマスターは「派手に散ります」というちょっと弱気なコメントだったが、準備をする時のメンバー達の後ろ姿からは充分な気合いを感じさせられた。§パルプンテ§はメンバーの中にダンサーを加えていて、「スクリーム」によって敵をスタンさせるという特色を持っている。
試合開始直後、Cafeteriaのモンクが試合会場中央に突然現われ、そして隠れたことが会場に驚きの声を上げさせた。この瞬間移動は「残影」というモンクのスキルである。この行動でモンクは開始直後いきなり敵チームの真ん中に飛び込み、阿修羅覇凰拳で§パルプンテ§のプリーストを倒した。回復役を失った§パルプンテ§はそれでも持ちこたえようとしたのだが、次々とメンバーが倒されてしまった。Cafeteriaはクルセイダーのシールドブーメランに呪いの効果を持たせたり、ウィザードがストーンカースを使ったりと、弱体化魔法も効果的に織り交ぜて使っていた。
■ Cafeteria vs 蒼天の光で行われた決勝戦、世界戦への意気込みも 決勝戦はCafeteriaと蒼天の光がぶつかることになった。試合会場は専用の天空に浮かぶマップである。勝負は2ポイント先取の3回戦で行なわれる。Cafeteriaはハイウィザードによるガンバンテインを使った戦術がユニークなチーム。メンバーのコメントによれば、「アシッドデモンストレーションとガンバンテインは導入されたばかりのスキルで、自分たちはこちらを選択しただけで、特別に奇をてらったわけではない」とのこと。また、「特に相手との距離にこだわっている」ということで、間合いの取り方を重要視した戦術を採っているという。
1戦目、蒼天の光はCafeteriaをよく研究している動きを見せた。Cafeteriaの得意戦法であるモンクの速攻をそれ以上に早く行ない、阿修羅覇凰拳を当てた。しかし重なるはずのクリエーターのアシッドデモンストレーションを止められたため、仕留めきれず、逆襲を受けた。蒼天の光はメンバーを倒され守勢に立ちながらもCafeteriaのクルセイダーを倒すことに成功するが、押し切られてしまった。 2戦目では、蒼天の光は引きながら戦うという相手を誘い込ませるような戦法を採った。しかし、距離を重視するCafeteriaはきちんとメンバーをまとめ、ヒドラを配置した場所に逆に蒼天の光を引き込むような動きも見せた。お互いの距離が離れたりくっついたりする駆け引きは非常に見応えがあったが、Cafeteriaはこの駆け引きの中に巧妙に状態異常を混ぜてきた。 蒼天の光は、Cafeteriaのガンバンテインで穴を空けストームガストで凍らせる戦法には何度もランドプロテクションをかけ直すという戦法で対抗したが、呪いで魔法を止められ、スパイダーウェブで動きを止められるなどCafeteriaの多彩な攻撃の前に戦力を削られ、阿修羅覇凰拳で倒されていってしまった。2ポイント先取によりCafeteriaは2連覇を果たしたのである。 会場は大きく盛り上がり、特に決勝戦は会場からも大きな声援が上がった。阿修羅覇凰拳が発動する時などは、会場全体がどよめいた。表彰式にはガンホー代表取締役社長森下一喜氏が登場し、「圧倒的だった」とCafeteriaのメンバーを褒め称えた。森下氏は今回のRJCを振り返って、入場者の誘導など運営の点で至らなかった点を謝りながらも、「来年も是非開催したい」と意欲を見せた。 試合後、両チームからコメントをもらった。蒼天の光のメンバーは「蒼天の光は2005のRJCでは予選の1回戦で敗退し、今年は決勝戦を目指して戦ってきた。Cafeteriaの戦法はある程度は予想していたのだが、それ以上に相手が上だった。“場数”の足りなさを感じました。来年開催されるなら、是非出ます」と語ってくれた。 Cafeteriaは「今回はクルセイダーにゴーストリングを装備するなど、アシッドデモンストレーションへの対策を意識して戦術を組み立てました。モンクが絶好調だったのも大きかったと思います。他の対戦者も参考にして、いいとこ取りで。来年ももちろん参加したいですが、台湾のチームが強いと聞きます、世界戦に挑戦したいです」とコメントしてくれた。 「ラグナロクオンライン」制作担当廣瀬高志氏は、今回の試合を振り返って、「予選から追加した要素を使った進化した戦いを見ることができて、とてもうれしかった」と語る。特にCafeteriaの定石とは違う戦法に感心させられた。定石からはずれる戦い方を実行することは、勇気のある行為であり、それで優勝したところに心を動かされたという。「『ラグナロクオンライン』の“陣地をうまく維持し、相手を崩す”という戦いの根本は3年間で変わっていないと思います。しかし、敵の意表をいかにつくかで毎年劇的に変わっていく。戦いの進化を感じています」と感想を寄せた。 今後の大会に関しては、「公のコメントとしては何も言えないが、私個人の想いとしては来年の戦いも見てみたいし、ユーザーも開催されることを期待していると思います。世界戦ではCafeteriaを始めとした日本の実力が世界でどこまで通用するか興味があります」とコメントをもらった。
Cafeteriaのメンバーから「世界へ」という言葉が出た瞬間、その場に興奮の波が広がるのが確かに感じられた。今回のCafeteriaの戦いはメンバーの連携、戦術の練り込み、相手の意表をかくタイミングなどで他ギルドに比べて頭1つ飛び出している印象を持った。「ラグナロクオンライン」はアジア圏を中心に、様々な国で楽しまれているゲームである。単純に「世界」というよりも、アップデートのタイミングが比較的近く、「ラグナロクオンライン」に対する情熱が高い国ならば、かなりの熱い戦いが期待できそうだ。「世界」という言葉には大きなロマンがある。ガンホーの今後の取り組みには大きく期待したいところだ。
□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2006年5月22日) [Reported by 勝田哲也]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|