|
会場:スクウェア・エニックス本社
■ 「アトルガンの秘宝」実装率は70~80%、サルベージ、ナイズル島アサルトの今後のチューニング方針
小川氏: いろいろと膨らんだものが多くてずれこんでいます(笑)。現在70~80%ぐらい実装完了しています。 編: 現状のユーザーのプレイスタイルについては、どのように見ていますか? 小川氏: 「アトルガンの秘宝」導入当時はこちらの不備もあって混乱もあったのですが、現在は遊んでもらえてない過疎エリアなども少なくて、満遍なく楽しんでもらえてるかなと思います。気軽に遊べるという意味で用意したところはうまくいっているかなと。ただ、こちらがヘビーユーザー向けに設定したコンテンツは「厳しすぎる」など、不満の声を頂いています。そのあたりは意見を取り入れつつ調整しようと思います。 田中氏: あとは、アトルガンエリアにみなさんが集中しているので、逆に開発的には前の旧エリアでも遊びましょうよ、みたいな方向性はありますね(笑)。 小川氏: シグネットの強化であったり、チョコボ育成やレースが三国だけであったりとかは、そういう意味合いがありますね。 編: なるほど、開発側としてもちょっと集中しすぎているなという認識がありますか? 小川氏: アトルガンエリアに関してはだいぶ集中していますね。どうしても大陸が切り離されているので、ある意味仕方が無いのかなとは思いますが。もう少しバランスを取りたいです。 編: アルザビは、エリアは2つだけですが、これは今後増えるのでしょうか? 小川氏: それは初期の構想として2つと決まってしまっているので簡単には追加できないんですよね。今は許容量が少なくて、こちらとしてももう1エリアぐらい欲しいと思っていますが、実際に増やすのは難しいですね。 編: ジュノが4エリアで構成されていましたからね。 小川氏: そうなんですよね。それがそのまま入ってしまったような。そのあたりの分散に関して検討しているところです。 編: 新しい都市が追加されるというのは期待できないでしょうか? 小川氏: 開放していないエリアとしては、チョコボレース場のエリアや、あと闘獣場ですか。そのあたりしかないですね。プレーヤーの方が普段滞在する場所としては難しいですね。 編: 最近ですと、サルベージや、新しいアサルト「ナイズル島」などが追加されましたが、これらについてはどのような感想をお持ちでしょうか 小川氏: サルベージに関しては、デュナミスのような、難易度の高い、かつ組織的に動かないとクリアが難しいという方向のコンテンツとして作りました。慣れるまでは難しいというか手ごたえのある要素だと思います。現状だと、サルベージで得られる報酬がシビアで少ないと思うので、これをどうするか検討しています。 編: ゲームバランスを調整するというよりは、報酬を増やしていくという方向性ですか。 小川氏: そこは難しいところですが、現状でサルベージから得られる報酬というのは、最終的には性能がいいアイテムなので、難易度と報酬のバランスは取れているかなと思います。ただ、デュナミスでいう旧貨幣のような、おみやげ的な報酬がないのが不満として聞こえてきていますので、そこをなんとかしたいですね。 編: 確かにしっかり準備をしたのに、結果として何も得られないと、精神的に苦しいですよね。次に繋がるようなものがあるといいですよね。 小川氏: そうですね。ただ、そこに新たな報酬などを入れると、またキリが無くなってしまうとも思うので、そこはできるだけスマートに解決したいですね。 編: サルベージの最大の特徴である丸腰スタートという縛りプレイのような発想はどういった経緯から生まれたのですか? 小川氏: デュナミスの追加エリアにあった、サポートジョブが外れて、それを取り戻すという流れが元になっています。サルベージはその発展系というか、いつかはやりたいと考えていたことでした。プレーヤーが0の状態からスタートして、少しずつ取り戻していくという遊びです。それがやっと実装できたという。 編: サルベージに対するユーザーの反応はいかがでしたか? 小川氏: 手塩にかけて育ててきたキャラクタの全ての能力が失われて、0から始まるというのはビックリされたようです。そのあたりのゲームバランスも、報酬面と合わせて見直せれば、と思っています。 編: 開発側としても少しシビアすぎたかな、という認識がありますか? 小川氏: そうですね。実装してからの反響をみていると、そのような感じでした。遊びやすさや参加のしやすさに関しても見直すべきかな、と思います。 編: サルベージを楽しむ層というのは、どういうユーザーを想定されているのでしょう 小川氏: サルベージ自体は、ある程度プレイを極めて、より強い装備が欲しいぞという人を対象に考えていますので、みんなでワイワイ楽しんでねという位置づけのコンテンツではないですね。 編: では、ある程度厳しいのは当然で、通常のアサルトのように誰もが楽しめるような難易度に引き下げる、ということではないんですね。 小川氏: そうですね。それはあまり考えていないです。 編: 一方、ナイズル島アサルトは、少しずつセーブしながら奥に進んでいくというゲームデザインが新しいですね。 小川氏: 定期的に通うことで進めていくというのと、通うたびに内容が変わるというコンセプトです。比較的、サルベージに比べればライトな層でも遊べるというコンテンツを想定していました。ただ、奥のブロックまで進もうと考えると、ライトユーザーでは気軽に行くと厳しいというバランスで調整しています。 聞く限りではすでに最後まで行ったユーザーさんもいるようですが、そこで得られる報酬は、今のところ真の価値が明らかにされていないんですね。「最後まで行ってこれかよ」的なご意見もいただくんですが、入手された方はどうか捨てないで欲しいと思います(笑)。 編: これまでの装備品よりも性能が高くなると考えていいのでしょうか? 小川氏: 現状出ているものに関しては、それほどでもないと思います。今後価値が高まっていく、という方向で考えています。 編: それは、どのようなきっかけで変わるのでしょう 小川氏: それは今はまだちょっと教えられません(笑)。今後の発表をお待ち頂きたいなと。 編: ナイズル島は、自動生成ダンジョンという新しい仕組みを盛り込んでいますが、技術的にどのような仕組みなんでしょう 小川氏: 「FF XI」でできる範囲で自動生成を実現しているので、実のところ、新しい技術は使っていないです。壁の仕切りの制御をランダムにしているというか、プロマシアのときの礼拝堂の発展系のような感じです。 編: 自動生成とはいえ、似たようなタイルセットが続くのが寂しいですよね。壁の色が変わったりすることはないんですか? 小川氏: 多少の変化をつけることは可能かもしれないですが……。実はメモリがシビアで、現状ではあれが限界ですね。もう少しできればよかったのですが。 編: ナイズル島ではいろんなNMが出現しますが、あれはどういう設定で登場しているんでしょうか?
小川氏: あれはダンジョンにゲート型のモンスターがいるのですが、あれが呼び込んでいる、という設定になっていますね。 ■ 「闘獣場」、「コロセウム」の実装予定。アイテムのEX/RARE化の流れのゆくえ
小川氏: 闘獣場に関しては企画自体は完成しているので、あとは実装していくのみなのですが、限られたスタッフでやっているので、彼らの手が空かないことには着手できないという状況です(笑)。年内には実装する予定なので、お楽しみにということで。コロセウムについては、現状凍結状態にあります。 編: 闘獣場もチョコボ系コンテンツのように膨らんでしまっているところがあるんでしょうか。 小川氏: 企画自体は当初から固まっているので、それは起きてないですね。ヴァナ・ディールに登場するモンスターをうまく利用したゲームにしようと思っています。 多少の報酬を得られるようになると思いますが、あまりいい物を入れると、それが目当てになって遊びとして余裕がなくなってしまうと思うので、最初は緩やかなものになると思います。純粋に楽しんでもらいたいという方向性です。 編: 実装時期については、チョコボレースの拡張がひと段落ついてからの着手になるのでしょうか 小川氏: チョコボレースとはまた別で、同時平行して開発しています。内容的にもまったく別ですからね。 編: 対象レベルはどのようになるのでしょう 小川氏: 基本的にはレベルは問わない、低レベルからでも楽しんでもらえる方向です。ただし、配置されているモンスターから何かしらを得る、みたいなことを考えているので、それなりに幅広く動ける人のほうが有利になるとは思います。 編: このところ「FF XI」ではほとんどのレアアイテムがEX/RARE(トレード/競売出品不可)になっていってますが、これに関してはどのようなポリシーなのでしょうか? 小川氏: EX/RAREのアイテムというのは、MMOの本来の良さである他人との取引などを阻害するものなので、本当はあまり入れたくはないのですが、やはり不正なユーザーの問題で、独占されたりしてしまうので。 田中氏: やはり性能がいいものであればあるほど、トレード可能にしてしまうと、不正なユーザーが入ってきてしまう。本当に必要としている人が手に入れられるようにするには、ある程度はEX/RAREにせざるを得ないんですね。 編: 特に「アトルガンの秘宝」以降は、ある程度以上のレベルになってくると、競売で取引できるアイテムが意味を成さなくなってきています。競売という素晴らしいシステムがありながら、それを否定するようなEX/RAREのアイテムが拡大しつつあるのはもったいないなと思うんですね。 田中氏: 結局、理想とするアイテム、個性となるようなアイテムは、プレーヤー自らが努力して手に入れて欲しいというのが開発側の根底にあります。それをやはりトレードやギルで簡単に入手できるというのは、あまり本位ではないんですね。ですから、今の流れはある程度は必然なのかなと。 編: 今後にそのあたりをうまく考えたアイテムや仕組みというのは登場するでしょうか
田中氏: 不正なユーザーのことを考えなければできるのですが、やはりそうしたユーザーの対策とセットでないと導入ができないですね。そこがうまく折り合いがつけられれば可能性があるかと思います。 ■ アトルガンジョブの今後、「アトルガンの秘宝」ミッション、そして、次の「FFXI」
小川氏: 発売後、何度かの調整も行なってきて、一応、形にはなったかなと思います。今後は、他ジョブとの項目を比べると、メリットポイントが埋まっていなかったりとありますので、そうした追加もしつつ、今後も随時調整していくことになります。 編: たとえば、新しい青魔法やアタッチメント、レベル60以上のコルセアロールなども追加されると考えていいのでしょうか? 小川氏: コルセアのロールについても順次追加していきます。具体的には言えませんが、「FF XI」が続いていく限り、新しく追加される可能性があります。 編: 「アトルガンの秘宝」の開発は、今後どのように進んでいくでしょうか? 小川氏: 今後、毎回のバージョンアップで行なってきたような、ミッションの追加、傭兵ランクの開放やアサルトの追加、あとは先ほどにも挙がったチョコボレースや闘獣場の追加が行なわれますね。これは構想段階ですが、アトルガンエリア全体を使った遊びみたいなものがなにかできないかな、と検討しているところです。 編: 「アトルガンの秘宝」のメインストーリーはまだまだ終わりが予測できない感じですが、今後はどのような展開を見せますか? 答えにくいと思いますが(笑) 小川氏: ネタばれしないように言うのは難しいので、衝撃の展開が待っていますとだけお答えしておきます(笑)。 編: 現在のミッションの実装状況はどれぐらいですか? 小川氏: これもアトルガン全体のコンテンツと同様で、70~80%ぐらいですね。かなりクライマックスに近いところまで来ています。だいぶ風呂敷が広がったので、そろそろたたみ始めないとたたみきれなくなっちゃいそうで……。 編: クエストなどで、「近東」ではなく「東」がチラホラと出るようになってきましたが、今後拡張ディスク等で具現化することを期待していいのでしょうか(笑)。 小川氏: あー、そのあたりは(笑)。えー、妄想を膨らましておいて頂ければと思います(笑)。 編: あと数回のアップデートで、「アトルガンの秘宝」のミッションは終息していくようですが、「アトルガンの秘宝」の次はどうなっていくでしょうか? 田中氏: これだけユーザーさんがいらっしゃいますし、これまで同様に鋭意開発を続けていきますね。 編: それはやはり拡張ディスクになるのでしょうか
田中氏: それはまぁ(笑)。平行して開発していますので、もう少し経ったらお話できると思います。 ■ 最新ハードやテクノロジーへの対応と、「次世代MMORPG」の最新動向
田中氏: Xbox 360については今のままの対応でいいかなと思っています。PS3に関しては、SCEIさんのおかげでPS2版が動くようにはなりました。あれがなかったらPS3用を作らないとならないなと思ってました(笑)。さすがに今は一からPS3版を用意するほどのマンパワーは割けないので、しばらくPS3ではPS2互換でいきます。その先はお待ちくださいということで。 編: その先というと、PS3で、Xbox 360版水準のグラフィックスで遊べるような、展開というのは難しいのでしょうか? 田中氏: 難しいですね。Xbox 360版はWindows版の環境であるDirectXが共通だったので、すんなりと移植できたのですが、PS3の場合は元から作っていかないといけなくなります。レンダーやシェーダが、まったく違うものですから、PS3の性能を活かしたものにしようとすると元のモデルデータから作り直しになってしまう。移植しようとしたら4年、5年かかってしまうようなレベルですね。 編: Windows Vistaへの対応はいかがでしょうか 田中氏: 一応の対応はできました。最後まで残ったのは、日本語版のIMEと互換性が無い問題だったのですが、それは「FF XI」だけの問題ではなくて、全部のゲームタイトルが持っていた問題だったと思います。そこをマイクロソフトさんに対応して頂いたので問題は解決しました。 編: Windows Vistaといえば、DirectX 10がひとつの特徴ですが、Direct X 10に対応してグラフィックスが強化されるような展開はあるのでしょうか? 田中氏: それは考えていないですね。そこまでやってしまうとDirectX 10に対応していないPCを使っている人は買い換えないといけなくなったりしますから。 編: 話がそれますが、田中さんのチームで同時並行して開発が進められている「次世代MMORPG」の進捗はいかがでしょうか? 田中氏: そちらも鋭意作ってはいるのですが、やはり次世代機向けということで、制作体制そのものから見直さなくてはいけないような部分が多々あって一筋縄ではいかないですね。 編: それは、ターゲットプラットフォームであるWindows VistaやDirectX 10の内容に誤算があったということでしょうか。 田中氏: そういうことではないですね。PS3やXbox 360、それとWindows Vistaも、当初予定していたよりも遅れました。それによって、開発環境もずれこんだというところです。 編: GDCでもマルチコアの活用法が注目されていましたが、そうした新ハードへの対応の影響もあるのでしょうか? 田中氏: もちろんそれは使いこなさないといけません。元々、FFXIもマルチスレッドで作っていますので、あまり作り方に大幅に変化はないです。やはりグラフィック面での作り方が影響していますね。 編: いつぐらいにユーザーに届けられるでしょう 田中氏: それはちょっとまだお答えできません(笑)。動きがありましたらお知らせします。
田中氏: ここまで5年間続けてきたので、「その延長かな」という非常につまらない答えではありますが(笑)。支持されている限りは、倒れるまで続けていきたいですね。 編: 「FF XI」は、韓国や欧米で時折見られるお家騒動のような自爆的なトラブルもなく、田中さん以下しっかりとした組織で、本当にいつまででも続けられそうな雰囲気があります。「FF XI」は、ストーリーとコンテンツアップデートによる重厚長大路線を歩み続けていますが、今後はどのような展望を考えていますか? 田中氏: オンラインゲームを作っていて感じるのは、リアルタイムでバージョンアップしたことに対して、ユーザーから評価が返ってきて、やりがいやモチベーションがずっと維持できることです。作っていて楽しいですね。みんな楽しんで作っています。みんな作るのが辛くなってきて、パッケージを作りたいって言い出すかなとも思ったんですけど、あまり言い出さないですね。オンラインのほうがいいみたいです。 編: やはり「FF XI」をずっと作り続けたいという想いがあるようですね。 田中氏: それはありますね。小川をはじめとしたスタッフががんばってくれて、私自身はハンズフリーになったところはあるんですけどね。「FF XI」と、もうひとつ次世代MMOもね。平行して続けていこうと思います。 編: 昨年は「ファイナルファンタジー III」の開発にも携わられて、「やはりオフラインゲームの開発はいいな」と思い直したりしたところはないんですか? 田中氏: それは無いですね(笑)。こんなに面白いゲームはないですからね。一度MMOを作っちゃうと、もう元には戻れない。パッケージはパッケージでいいんですけどね。一話完結的な良さがあって、作りきったっていう達成感もある。でも、生き物であるMMOの面白さ、この魅力にとりつかれちゃうと、「オフラインゲームはようやらん」、と思いますよ(笑)。 編: 最後にユーザーにメッセージをお願いします 小川氏: 5周年ということで、おかげさまで長く遊んでいただいていますが。今後も末永く遊んで頂けるよう、いろんな遊びを詰め込んでお届けしていこうと思います。今後ともよろしくお願いいたします。 田中氏: 5月の12日、13日に開催されるスクウェア・エニックスパーティ2007では、「FF XI」でも5周年のお祝いをしようと思いますので、みなさんぜひ、幕張に遊びに来てください。 編: ありがとうございました。 (C)2002-2007 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年4月18日) [Reported by 中村聖司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|