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2004年2月にオープンβテストを開始した本作は、2年半の間に多くの新地域、新システムを実装してきた。クロニクル5では今まで空白地区のあったワールドマップに最後のピースがはめ込まれ“エルモア大陸”のマップが遂に完成する。 また、同作に欠かせない要素である血盟(ギルド)システムが、より組織的に運用できるように規模を拡張し、さらに階級要素が追加された。キャラクタのレベルキャップも80に引き上げられ、コアプレーヤーには更なる高みへ上るための要素が追加された。 一方、中級者向けのフィールドの充実やアイテムの追加など、ゲームのボリューム自体も大きく増した点も見逃せない要素だ。今回はクロニクル5実装に先駆けてエヌ・シー・ジャパン本社内で行なわれた体験会のレポートをスクリーンショットを交えて紹介したい。
■ 血盟を強化。“繋がり”をより強固にする新システム
今回追加されたレベル5以上の血盟になることで、プレーヤーは「アカデミー」や「近衛隊」、「騎士団」という新しい血盟組織を作ることが可能になる。血盟の最大人数も40名から一気に140名まで拡張される。アカデミーは、レベル40以下で2次転職前のキャラクタが入隊できる組織。血盟主はアカデミーへ加入したメンバーに、血盟員の1人を「後見人」に任命することができる。後見人とアカデミー員はお互いがログイン状態を確認でき、クエストを手伝うなどバックアップしてもらうことが可能だ。メンバーは2次転職をするとアカデミーから卒業し、血盟に「血盟名声値」がもたらされる。 近衛隊は血盟レベル6、騎士団は血盟レベル7になると創設できる。血盟主は血盟メンバーからそれぞれ隊長、団長を任命できる。近衛隊のメンバーは最大20人、騎士団は最大10人で、騎士団は近衛隊の下部組織という扱いになる。 今回のアップデートでアカデミー、騎士団、近衛隊、そして「盟主直属の血盟員(最大40人)」という組織ができる。これらは階層をなしており、アカデミー所属員、騎士団所属員、近衛隊所属員、直属の血盟員、騎士団長、近衛団長、血盟主の順で地位が高まっていく。今回、血盟メンバーの上限が40から140に引き上げられたことで、多くの血盟の統廃合が活発化され、より組織的な集団へ変化していくこととなるだろう。 血盟名声値は、血盟のレベルアップや、「血盟スキル」の取得、下部組織の創設、名声値で買える専用アイテムの購入に必要となる。名声値は血盟戦、または攻城戦で敵対組織の構成員を倒したり、城や占領型アジトを得ることで上昇する。反対に城や占領型アジトを失ったり、血盟組織のメンバーを倒されると減少してしまう。血盟スキルは、血盟員のみに影響を及ぼすパッシブスキル。PvPに効果を及ぼすものや狩りに有用なものなど、その内容は様々だが、キャラクタの社会的地位(階級)が高くなければ恩恵を得られないものが多い。また、血盟関係のインターフェイスも改善され、団長の任命など新たな機能が追加され、盟主の交代もできるようになった。 血盟名声値や血盟スキル、下部組織の存在など、システム面からの「社会階級制度」が明確になったことで、「リネージュII」の世界に大きな動きがもたらされることは確実である。地位を保証されることで「引き抜き」なども恒常的に行なわれるようになるかもしれない。アカデミーへの勧誘なども活発化するだろう。アップデートで、どんな社会変化がもたらされるか、それは、サーバーごとにも異なっていく、とても興味深いポイントだ。
今回の体験会では、血盟スキルの一部や、スキルの獲得条件、所属員専用の装備などが確認できた。特に血盟スキルを獲得するための条件となっている名声値の必要ポイントの莫大さには驚かされた。今後、このスキルを獲得するのは血盟の大きな目標となりそうだ。血盟スキルは上位階級にしか効果を及ぼさないものもある。血盟内でもより高い地位を目指すというベクトルも強くなるだろう。
■ 新フィールドが多数追加、大陸の空白地帯が消え、すべてが地続きに
今回、新地域を歩いてみて改めて思ったのは「リネージュII」開発者のセンスの良さである。複雑な構造の「シュチュッツガルト城」、オークの独自の文明を感じさせる「悪霊の棲処」、今は使われていない駅が放置されている「略奪の荒野」、棲息するモンスターと構造がアリの巣そのままの「スタッカートの巣」、魔法のフィールドが周囲の寒さを遮断しているような「氷屋の小屋」など興味深い場所ばかりだ。どんな物語が展開するのだろうかと、ワクワクしてくる。 筆者が一番気に入ったのは「パヴェルの遺跡」だ。設定ではドクターカオスというマッドサイエンティストが世界征服をたくらみゴーレム軍団を量産している場所、とのことだが、オーバーテクノロジーを思わせる幾何学的な建物や、建物内部にいる様々なゴーレム、そして青い光を放つウェザーコントローラーなどSFマインドを刺激してくれるオブジェクトがてんこ盛りだ。ゴーレムは「研究所の遺跡」でも見ることができる。足が車輪タイプのゴーレムや、手にドリルや巨大なブレードを装備したタイプなど様々な種類があり、思わず細かくチェックしたくなってしまう。 今回の新フィールドは上級者向けの地域だけではなく、中級者向けの地域も多数あるのも特徴だろう。ドワーフのプレーヤーは少し成長すると仲間を求めて故郷から遠く離れなくてはならなかったが、略奪の荒野など中級者向けの地域が実装されたことで故郷の近くで狩りを楽しみ、キャラクタを育成することも可能になった。今まで以上に中級者向けの狩りの場所が広がったといえるだろう。2人目、3人目のキャラクタを育てるときに「同じ狩り場はちょっと飽きたな」というプレーヤーにも朗報だろう。中級者向けのレイドボスなども追加されており、隅々まで探索してみることをオススメしたい。 もちろん、上級者向けのマップも多数追加されている。「沈黙の修道院」は天使型モンスターのひしめく恐ろしい場所だ。非常に高い建物のようで、冒険者は建物の中をモンスターを倒しながら何階も上がって行かなくてはならない。上層部ではステンドグラスから光が差し込む非常に美しい回廊を見ることができる。その奥には恐ろしいボスモンスターがいるという。
今回でエルモア大陸のマップはすべての地域が繋がり、一応の完成を見た。次のアップデートでは全く新しい大陸が追加されるのか、どんな冒険の場所が追加されるかは楽しみである。新世界がもたらされるとすれば、「リネージュII」に全く新しい流れがもたらされることとなる。まずは完成した大陸を隅々まで探索し、新しい冒険に備えることにしよう。
■ 新アイテム、新スキル、そして「魔剣」……より充実するゲーム性
この魔剣が出現したとき、地面は赤く染まる。この剣を手にしたプレーヤーは強大な力をふるう事が可能となる。魔剣ザリチェを手にしたプレーヤーはその時点でPK扱い(カオティックキャラクタ)になり、他プレーヤーを攻撃できる。魔剣を手にしたプレーヤーは攻撃力を大幅に増加させる。初心者プレーヤーですら上級者をPKすることが可能になるかもしれない。さらにこの魔剣はプレーヤーを倒せば倒すほどその力を増すのだ。 魔剣は一定時間が経過するか所持しているプレーヤーが倒れると消滅し、またどこかに現われることとなる。所持していたプレーヤーが倒れた場合、必ず魔剣をドロップする。そしてそれを手にしたプレーヤーを殺戮者に変えてしまう、「リネージュII」の世界に新たな脅威をもたらすアイテムである。 今回は新しい武器も多数追加される。今までのアップデートのような高レベルプレーヤー向けの武器ではなく、B~Dグレードまでの中級者武器だ。今まで、装備のバリエーションが少な目だった「リネージュII」でも、武器が追加されたことで自分なりの装備を追求することができるようになった。また付与できる特殊能力などもそれぞれで、プレイスタイルに合わせた選択も楽しめるだろう。この他にも新たに12種類のヘアアクセサリー装備が追加された。羽根飾りやおしゃれな帽子など、ちょっとしたアクセントをつけることができる。 また、多くの現役プレーヤーに影響を及ぼすのが新スキルと、スキルの調整だろう。そのバランスは、韓国では「よりPvP向けになった」という評価があるようだ。聖属性に対する防御力を上げる「レジスト ホーリー」、敵の命中率を下げる「サンド ボム」、敵を弱体化させる「デーモン ブレード ダンス」など、追加されたスキルは多彩で、取得レベル帯も様々である。 スキルの再調整に関しては、回復系の魔法が段階的になったり、催眠系魔法の詠唱速度が低下したりと、こちらも多く手が入れられている。先行して導入された韓国では変更されたスキル、新スキルに関して議論が交わされていて、パッチによる調整も行なわれているという。日本ではどういったバランスで実装されるかも気にかかるところだ。 1つ気になっているのは、血盟スキルの獲得に必要なアイテムを取得したりするために、今まで以上にレイドボス討伐の重要度が増すところだ。現在、「リネージュII」の多くのサーバーでは一部のプレーヤー達による狩り場の占有が問題になっている。この問題がさらに大きくなるようなことになっては、プレーヤーのゲームに取り組む意識をスポイルしかねない。他のMMORPGでも同様の問題を抱えているとは思うが、今後この問題はどうなっていくのか、見守っていきたいと思う。
「リネージュII」は多くのアップデートを経て、プレイの場が広がり、アジトや城も増え、モンスターレースやフィッシングなど遊びの幅も広がった。MMORPGとしてコンテンツの充実した作品になったと思う。これだけのボリュームを持ったMMORPGは、他を見てもそう多くはないだろう。そしてクロニクル5では、血盟レベルという大きなプレーヤーの目的が提示され、血盟員の枠が広がり、PvPへのベクトルも強まった。血盟名声値を求めて城の奪い合いが活性するサーバーも多くなるだろう。アカデミー制度によって、初心者との交流も期待したいところだ。大きな組織を目指して活発になっていく血盟、その動きはゲームの社会全体を活性化していくに違いない。
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□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2006年9月4日) [Reported by 横山譲/勝田哲也]
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