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「リファインプロジェクト」では、デスペナルティの変更やショップでの販売品の追加、クエスト関連の変更、インターフェイスの機能拡張など様々なポイントに手が加えられている。プレーヤーの要望に応えて便利になった部分も、新しいバランスを提示することでゲームに変化をもたらすものもある。エヌ・シー・ジャパンは今回のアップデートを“First Step”と位置づけており、今後も第2、第3の「リファインプロジェクト」の存在も匂わせている。 本稿では、サーバー実装に先がけて実施された体験会の内容を紹介したい。なお、今回掲載したスクリーンショットはすべてテストサーバーのものであり、名称や仕様も開発中のものであるため、実装内容とは一部異なる場合もある。あらかじめご了承いただきたい。
■ デスペナルティの変更、距離を超えたパーティー勧誘など、プレイ感覚が新しく
マップ機能で面白いのは、「魔剣ザリチェ」の位置をいつでも確認できることだろう。これにより、より一層魔剣を奪い合う戦いが激化することが予想される。この他にも、オプション画面でドロップアイテムを表示させなくしたり、ローディング画面でゲームに関連するTIPSが表示されるようになった。 キャラクタ関連の変更事項としては、「デスペナルティの変更」がプレーヤーにとって大きなものとなるだろう。「リネージュ II」ではキャラクタが死亡すると、経験値の減少に加え、一定確率でアイテムをドロップしてしまうペナルティがあった。「リネージュ II」はキャラクタの装備が非常に重要な作品で、特に高レベルキャラクタ向けの装備アイテムや、武器(防具)強化スクロールで強化した装備などをドロップしたときのプレーヤーのショックは大変大きかった。今回のアップデートからは、一般プレーヤーにおいてはドロップされなくなり、PKを行なったカオティックプレーヤーも以前よりドロップする確率が抑えられるようになった。 その代わりに、死亡したキャラクタは一定の確率で「死がもたらす傷」という後遺症が発生する。このペナルティは従来のアイテムドロップ率とほぼ同じ確率で適用される。後遺症が発生したキャラクタはステータスが一定数減少する。このペナルティは「回復スクロール」を使うまで永続する。後遺症を治さないまま再び死亡しペナルティを受けると、減少値は更に拡大していく。このペナルティを回復できる回復スクロールはグレードが存在し、高レベルのキャラクタは高いグレードのスクロールを使わなくてはならない。 スクロールの値段はDグレードで(レベル20~39)で6,000アデナ、Aグレード(レベル61~75以上)で60,000アデナとそれなりに高価な設定になっている。回復スクロールは村のNPCから購入できるが、カオティックキャラクタの場合回復スクロールは使用できないため、「ブラックジャッジ」と呼ばれるNPCを探しだし、その都度、後遺症を取り除いてもらう必要がある。 新たなスキルとしては、「サモンフレンド」の存在が大きい。このスキルはレベル56以上の召喚職(ウォーロック、エレメンタル サマナー、ファントム サマナー)が使えるスキルで、パーティーメンバーを自分の場所に呼び寄せることができる。「リネージュ II」ではパーティーの勧誘は距離を超えてどこからでもできるため、村からダンジョンの深奥部までパーティー勧誘を出し、そのまま召喚することも可能になる。ダンジョンの奥でメンバーの1人だけが急用で帰らなくてはならなくなったときなど、追加メンバーを加えるときに重宝するスキルだろう。一方で、メンバーが替わりつつずっと1つのパーティーが、狩り場を占有するといった事態も生じかねない。どのような変化が生まれるかは興味深いところだ。
この他にもレベル5未満のキャラクタの死亡時のアイテムドロップを防いでいた初心者用スキル「ラッキー」が、レベル9まで死亡後遺症を防ぐ仕様に変更されたり、「フォーチュン オブ ノーブレス」や「クラン デス フォーチュン」などの仕様変更も行なわれた。また、補助魔法の効果が既存の20から、最大24まで重なるようになった。ただしそのためには「インクリーズ オブ ディビニティ」というスキルが必要となる。スキルを取得するためには決められたある条件や、多くの資金が必要となる。これに合わせて補助魔法を表示するウィンドウにも変更が加えられた。
● 実用性を高めた戦争アイテムや、バランスが変更されたオリンピアード
この他、「即効性のあるポーション」が追加された。「リネージュ II」での回復アイテムのほとんどは使用しても段階的に回復していくという仕様だが、 このポーションはすぐに影響を及ぼす。ただし、連続で使用する事はできず、5~10分のディレイが存在する。それでも通常の狩りにおいては重宝するだろう。緊急時には重宝するアイテムだ。HPの回復には「生命の秘薬」、MPには「精神の秘薬」、CPには「闘志の秘薬」を使用する。それぞれの秘薬にはグレードがある。各アイテムは商品で購入できるほか、アジトの生産機能を通じて製作図を入手することで、プレーヤーが製作できる。生命の秘薬と精神の秘薬の高グレード品は、プレーヤーに製作してもらう必要がある。 「リネージュ II」はキャラクタの重量制限がシビアなゲームとして知られている。特に戦争時は、キャラクタは回復用のアイテム、攻撃力を増加するアイテム、そのほか矢や召喚獣のためのクリスタルなどたくさんの消費アイテムを持って行かなくてはならない。今回3つの消費アイテムの重量が低減された。そのアイテムは、ルーンストーン(10から5に)、闘志のポーション(110から25に)、そして高級闘志のポーション(500から100に)である。さらに闘志のポーションと高級闘志のポーションは再使用時間も大幅に短縮されているのがうれしい。このポーションは戦争時にで体力を回復させるために必須のアイテムであり、今回の調整で大量の所持が可能になり実用性も増した。今まで以上に戦争で、持ちこたえることができそうだ。 また、中級以上のプレーヤーにとってうれしい要素として同時に遂行できるクエストの上限が15から25に増加する。他のゲームではこの数は多いかもしれないと思われるだろうが、「リネージュ II」の上級者向けクエストは「あるアイテムを1000個集めろ」といったように、長期間かかるクエストがあるほか、ダンジョンにはいるためにもクエストを受ける必要があった。今回の変更点で最も喜ばれるポイントかもしれない。 また、召喚職の召喚獣の召喚時間が今までと比べて3倍近くに増加した。対象の召喚獣は2次転職後に習得するものだ。また、ペットのレベルが飼い主より20以上高くなってしまった場合は、「攻撃」と「スキル」の命令が使えなくなる点は注意しておきたい。「収集」や「移動」といったコマンドは従来通り使用できる。 「セブンサイン」、「オリンピアード」に関しても大幅な見直しが行なわれる。細かいルール的な変更が多いため、公式ページで細部を確認して欲しいが、特に各職業の頂点を極め、 英雄を選出するオリンピアードでは、ルールの不備な点を利用して、知り合い同士でポイントを譲渡し、「談合」状態で勝敗が決められていた問題に、制限をかける仕様になっている。この談合は各サーバーで問題視されていただけに、今回の対応がどのような変化をもたらすかは見守りたい。オリンピアードの開催時間は以前は午後8時からだったものが、午後6時からになり、午前0時まで6時間開催されるようになった。
また、オリンピアードのフィールドが“狭く”なったのは、プレーヤーの間で話題を集めそうだ。これまでは相手のキャラクタの足を遅くして、逃げ回って勝つ、という方法で戦っていた職業のキャラクタは苦戦を強いられることになるだろう。新しいバランスでは、英雄を生み出すこの戦いがどのようなものになるか、注目したい。
■ 各フィールドのモンスターを再調整、ボスモンスターもより挑戦しやすく
フリンテッサ戦での「スカーレット ヴァン ハリシャ」、「アンタラス」、「ヴァラカス」の3体のボスモンスターも総HP量や防御力が引き下げられた。これらのボスモンスターは1度に挑戦できるメンバーが限られているものもあり、現在のバランスではとても倒せないという声も多かった。あるサーバーでは、フリンテッサの力が弱くなる前に、英雄も多数参加する最強メンバーでの挑戦が行なわれたが、全く太刀打ちできなかったという。今回のアップデートでフリンテッサは空を飛ぶスキルの使用頻度が低くなる。キャラクタを強制的に踊らせてしまうという「魅惑のマズルカ」の演奏頻度も減ったという。実装されればまた、多くのプレーヤーが彼らに挑戦するだろう。 この他にも新規キャラクタだけでなく、レベル25までのキャラクタには初心者特典が支給されるようになったり、平日の午後8時から午前0時まではゲートキーパーの料金が安くなったりと細かい点も変更されている。他にも変更点は多数ある。公式ページでのより詳細な説明や、プレーヤー達の解析を待ちたいところだ。 今回のアップデートは「快適なゲーム操作」、「初心者に優しいシステム」など、プレーヤーの要望に応えた形で行なわれたアップデートだ。プレイをしていてバランス的に疑問を持った点など、多くのポイントが改善されている。こういったアップデートを行なう開発スタッフの姿勢は高く評価したい。今回はFirst Stepということで、今後の継続的な調整にも期待がかかるところだ。また、これをきっかけに、ユーザーからもよりよいゲームのバランス、遊び方を広げてくれるような新しいゲームシステムの提案が活発になってくれることを期待したい。 筆者自身の要望としては、なんと言っても韓国のアップデートスケジュールにもっと、もっと近づけてもらいたいということだ。韓国では新しい大規模アップデートも実装されるという。最新コンテンツをできるだけ早く遊びたいというのは、全プレーヤーの願いでもある。エヌ・シー・ジャパンにはより一層の努力を希望したい。 個人的には、「アバター要素」が大きな不満点である。前回のアップデートで帽子や羽根飾りなどが追加されたが、種類は少なく、また、ものすごく高価で、とても一般プレーヤーが手を出せない。「リネージュ II」にはこういったとても希少で、持っていることがステータスになるようなアイテムがあるが、それは、「プレーヤーキャラクタの個性を主張する」とは全く違うベクトルだと思う。 現在の「リネージュ II」では各職業で最強の装備がガチガチに決まっていて、プレーヤーのセンスでキャラクタの個性を主張するような要素がない。狩りや戦争時はそれでもいいかもしれないが、アジトで仲間とくつろいだり、村にいる時などはプレーヤー達が思い思いの格好ができるような服装アイテムが欲しい。武器、靴、装備の上下など本作のキャラクタの装備箇所は多い。服装の組み合わせは戦争と狩り以外の新しい楽しさを本作にもたらしてくれると思っている。 筆者は、日本人プレーヤーの間に「こちらの声が運営側に、特に韓国側にうまく伝わっていないのではないか」という気持ちが広がっていることを危惧している。「リネージュ II」にはまだまだ改善すべき点があり、もっとユーザーの声を反映してもらいたいと、特にコアユーザー達は強く思っている。「リファインプロジェクト」は日本のユーザーのモチベーションを上げてくれるアップデートだと思う。日本の運営、韓国の開発共に、こういった方向性をもっと強めてもらいたい。 「リネージュ II」は現在でも韓国のMMORPGを先導するタイトルであり、韓国の多くのゲームが本作の方向性を踏襲している。本作は歴史を重ねることで、戦いの楽しさ、各要素の充実度において、世界を見回しても充分に誇れるコンテンツに成長した。プレーヤー達の声に応える「リファインプロジェクト」を実施できたのも、「リネージュ II」ならではであり、この動きは韓国のMMORPG業界に間違いなく大きな動きをもたらすだろう。
だからこそ、より自由度の高い、プレーヤーの遊びを広げる要素を提示することで、韓国のMMORPGそのものがレベルアップすることも筆者は期待している。ユーザーの提案に応え、より質の高いコンテンツを提供していくことで「リネージュ II」には更なる高みを目指してもらいたい。
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□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2006年10月24日) [Reported by 横山譲/勝田哲也]
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