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「飛天Online」はSoftstarの人気RPGシリーズ「軒轅剣」の歴史と背景を受け継いでいる。シリーズの要素を受け継ぐ作品なだけに、特に練られた世界観と、ムービーシーンをふんだんに取り入れたストーリーに特徴があり、他のMMORPGとはひと味違った魅力を持っている。 「飛天Online」は日本では12月29日にアイテム課金制に移行し、タイトルを「飛天オンライン 第弐之季節」と改めた。生産システムの変更や戦闘バランスの調整など様々な点で手が加えられた。台湾では日本に先がけて9月にこれらの要素は実装されている。 今回、Taipei Game Show 2007にて「飛天Online」のプロデューサーを務める蔡明宏氏に話を伺った。先行している台湾の「飛天Online」の現状、台湾ユーザーの反応、そしてこれからの「飛天Online」の姿、といったテーマで質問をした。「飛天Online」は今後、どのような方向性に進化していくのだろうか。蔡氏の作品へのこだわりと、ユーザーへの思いを感じて欲しい。 なお、日本の「飛天オンライン」は課金アイテムなども一部は台湾と異なっており、台湾の要素が必ずしもそのまま実装されるわけではない。台湾の変化を受けて日本版はどのように要素を追加していくかも注目したいところだ。
■ より便利で快適なプレイを! 台湾ユーザーの想いに合致したアイテム課金制への移行
蔡明宏氏(以下、蔡氏): 基本プレイが無料になると大きくユーザーが増加します。そうなるとより一層プレーヤー同士のコミュニケーションが必要になってくる、と考えました。黙々と1人でプレイをして、モンスターを倒したり経験値を稼いだりすること以上に、「仲間と協力すると楽しい」と感じられる要素を盛り込みました。 課金アイテムを使うと、ユーザー間の距離が近くなるものもあります。アイテムを使うことで離れた友人を一瞬でテレポートさせる事もできます。敵のバランスなどもパーティープレイで敵に立ち向かう楽しさを持たせています。課金アイテムは装備のレベルアップを可能にするなど、購入することで快適にプレイができるものになっています。 編: 台湾のユーザーの反応はどのようなものがありましたか。 蔡氏: アイテムを購入することでレベルアップしやすくなった、というところは好評です。短い時間で狩りが楽しめるようになりました。より便利になるアイテムが欲しい、という声も多いですね。 編: 逆に便利になりすぎてしまうとゲームバランスがおかしくなってしまう心配はないでしょうか。大量にお金をつぎ込むだけで強力なキャラクタになってしまったり。 蔡氏: ゲームの面白さは変わらずに維持できると思いますし、実はユーザー自身、アイテム課金をする前からお金をつぎ込むユーザーはいました。現在生産活動の「採集」を自動的に行なってくれる「採集人形」という課金アイテムがあります。 これは購入し採集場所に設置しておけば自動的に材料を集めてくれる便利なアイテムですが、無料化する前も一部のユーザーは2アカウント分月額料金を支払い、1キャラクタをずっと採集活動に割り当てたりしていたのです。 編: 日本では例えば薬の連続使用ができなくなったり、生産アイテムの材料が変わってしまったことに対してとまどいの声が上がりましたが、台湾ではどうでしょうか。
蔡氏: 日本で12月に導入されたアップデートは台湾ユーザーの声を多く採用したバランスになった、という側面があります。今後このアップデートで日本のユーザーからの声が出てくれば、日本ユーザー向きのバランス調整も行なっていく予定です。日本のスタッフとは密接に連絡を取り合っていますので、どうやっていけばいいかは今後も考えていきます。
■ 1月に登場した「龍棲山」と今後実装される「浮屠山」。日本未実装の新マップとは? 編: 現在の台湾のバージョンでは実装されていて、日本ではまだ実装されていないものは、どのような要素があるでしょうか。 蔡氏: まずは髪染めですね。髪の色が変更できるようになりました。そして台湾では1月に「龍棲山」という新マップが実装されています。また、2月の後半になりますが「浮屠山」という高レベル向けキャラクタの新フィールドが実装されます。 編: 龍棲山について詳しく教えてください。 蔡氏: 龍棲山はその名の通り龍の一族がすんでいたという伝説のある山です。しかしその龍達は死んでしまったため、現在は彼らの骨の化石が残っているだけです。ここではある女性の依頼で、この化石を集めるというクエストが発生します。化石はモンスターを倒すことで入手できます。 編: 山という名前のマップということは、すごく高いところまで登るような、巨大な山のような構造になっているのでしょうか? また出てくるモンスターは龍ばかりなのでしょうか。 蔡氏: 起伏が激しいマップにはなりますが、大きな山1つだけのマップというわけではありません。龍は伝説ですでに死んでしまっているので、ここにいるモンスターは山賊や蛇が多いです。しかし、一定のエリア内のモンスターを狩り続けると、死に絶えたはずの龍がフィールドボスモンスターとして登場します。このフィールドボスを倒すとレアアイテムが入手できます。 龍はまた化石を集めるクエストの最後の難関としても登場します。龍棲山はレベル50のキャラクタを対象にした難易度の高いフィールドですがボスは更に強く、パーティーのフルメンバーである6人で挑まなくては勝つことは難しいと思います。 編: もう1つの浮屠山はどのようなマップになるでしょうか。 蔡氏: こちらはレベルキャップである60近くのキャラクタでなくては難しいマップです。このマップには「狼族」、「兎族」、「熊族」の3つのモンスターがいます。この種族はそれぞれ集落を作っていています。それぞれのモンスターは龍棲山と同じように倒し続けるとフィールドモンスターが登場します。
このフィールドには例えるなら「兎人」という人と会話ができるNPCもいて、クエストが用意されています。現在の所は兎人のストーリーが実装される予定で、これはラブストーリーになります。
■ 3月には新職業「商人」と5つの戦いが楽しめる「競技場」を実装
台湾では3月に新職業の「商人」と、「競技場」という要素が実装されます。特に競技場はゲームの楽しさを大きく増してくれるものになる予定です。3月のアップデートは9月以来の大型アップデートになる予定です。この他にも巨大なボスなど多数の要素が追加されます。 競技場では5つのタイプの戦いが楽しめます。1つ目はパーティーで戦うことができる「チーム戦」です。2つ目はボスに複数のパーティーで立ち向かう「ボス戦」。3つ目は拠点を攻撃する「攻城戦」。4つ目はお互いの陣地にある「ブタ」のモンスターを攻撃する「特別戦」です。この戦いではプレーヤー達は自軍のブタを守りつつ、敵の陣地のブタを攻撃しなくてはいけません。 そして5つ目が「ランキング戦」です。ここでは1vs1で戦います。週に一度行なわれ、No1になったプレーヤーには「仙幻剣」という特別なアイテムが贈られます。このアイテムは「飛天Online」の中で幻の武器とされるもので、名誉あるアイテムです。しかしこの武器は現実の時間で10日たつと消えてしまいます。もし持ち続けたいと望むならランキング戦で勝ち続けなくてはなりません。 編: 商人はどのような職業になるのでしょうか。 蔡氏: 商人は自分の持っているお金で敵を攻撃するスキルを持ちます。また、たくさんアイテムを持てる能力を持ち、露店ではより多くの商品を販売することができます。この他にも多くの特性を持たせる予定ですが、現在は調整中です。 商人は月額課金時に考えられていた職業のため、商人に職業をチェンジして戦うと敵がよりアイテムをドロップしやすくなるという能力を持たせる予定でしたが、これは課金アイテムを使えば誰でも獲得できる能力になってしまいました。商人ならではの能力は現在模索しています。 編: 商人が攻撃に使うのは現実のお金ではなく、ゲーム内の通貨ですよね。 蔡氏: 露店は商人の能力が発揮される場面の1つで、レベルアップをすることでより多くのアイテムを販売できるようになります。攻撃に関しては、もちろん現金をそんな風に使うようにしたら大変です(笑)。 編: 商人は戦闘、生産のどちら向けのキャラクタなのでしょうか。露店の時にチェンジする職業、というイメージもあります。 蔡氏: どちらでも活躍できる職業だと思います。露店はもちろんですが、お金を使ったスキルの強さは侮れません。所持金を消費するという大きなデメリットはありますが、その威力は他の職業の攻撃と比べて高いものになります。 編: 例えば上級プレーヤーはゲーム内通貨もたくさん持っている人がいると思いますが、彼らが商人にチェンジし、所持金を一気に使ってボスを一撃で倒す、といったプレイは可能でしょうか。
蔡氏: 所持金を使うスキルは強力ですが上限があります。このスキルを強化していけばダメージも増加しますがゲームバランスを大きくこわすものではありません。そこまで極端な効果はありませんね。ただ、通常のスキルはマナを消費しますが、お金の攻撃スキルは所持金が続く限り使用できます。
■ ユーザーの要望により実装時期を調整。現在はペット騎乗システムを開発中
蔡氏: 台湾の熱心なユーザーは特に集中力がすごく、寝る間も惜しんでプレイしているような人たちがいます。彼らはコンテンツの消費スピードも速いので、「もっともっと内容の充実を! 新しいストーリーを!」という声が大きいです。 編: MMORPGは他のゲームで実装されている要素をこちらの作品にも入れて欲しい、という声が大きくなりがちだと思います。「飛天オンライン」らしさ、ここだけはこだわりたいところとは、どのような点でしょうか。 蔡氏: 私達がこだわるところ、ユーザーに訴えかけていきたいところはなんと言っても本作のストーリー性です。「飛天オンライン」正と邪が争う大きなストーリーと共に、いくつものサブストーリーが盛り込まれています。プレーヤーはメインストーリーを進める間でも様々な小さな冒険に挑戦することになります。 メインのストーリーも正の立場だけではなく、時には悪側の視点からものを見ることもあります。いくつものストーリーを進めていく楽しさをユーザーに体験してもらいたいと思っています。龍棲山のクエストなどはサブストーリーですが、今後も新マップを作っていく場合はストーリーも共に盛り込んでいきます。サブストーリーを進めることでキャラクタを強くし、メインストーリーを進めていけるようにしていきます。 編: 新しい職業「蟲師」や自分の部屋を持てるシステムといった要素は、日本でのサービス開始前からアナウンスされていた要素ですが、現在に至っても実装されていません。この実装が遅れている理由を教えてください。 蔡氏: もちろんリリースをすべく開発を進めていますが、台湾のユーザーがより競技場の実装を強く望んだためにこちらを優先しました。将来的な予定ですが、日本の運営スタッフから、「ペットに乗って移動したい」という要望がユーザーから多く寄せられているということで、これを実現すべく開発を進めています。ユーザーの要望に応えることは重要なことだと考えていますので、こちらの企画の優先度が下がることもあります。 編: 先ほどよりコミュニケーションを重視した方向性にゲーム性を変化させたとおっしゃっていましたが、ゲームの運営を進めていくことで変わっていったことなどがあるでしょうか。 蔡氏: アイテム課金に伴うアップデートの機会に、私達もパーティープレイ、パーティーで協力する「チームワーク」をより重視したゲームを志向し始めました。パーティー全員の経験値をアップさせるアイテムなども販売し、パーティープレイの楽しさをユーザーももっと積極的に体験できるようにしていったつもりです。 編: アイテム課金制になったことでより豊富なゲーム性を持たせることができ、より面白いゲームを作ることができるようになったということでしょうか。 蔡氏: 「面白さ」という言葉で言えば、アイテム課金制でも、月額制でもそれぞれの面白さを提供できると思います。競技場は、月額制ともアイテム課金との直接関係ない部分で楽しさを追加していけたつもりです。一方でアイテム課金制に移行することで便利さを求めるユーザーに応えることができました。アイテム課金になったことで発想の転換が行なわれ、違った楽しさを提供できるようになりました。 台湾では便利なアイテムの人気が高く、要望も多いですが、日本のユーザーからはアバター要素に関する希望が多く寄せられています。日本のユーザーのために和服やユニークな装備アイテムなども作ってきました。これからも多くのアイテムを追加していく予定です。 アイテム課金はその場で直接ユーザーにゲーム内の商品を買ってもらうビジネスです。どのようにお金を払ってもらうか、商品を買ってもらうか、この世界にずっと居続けてもらうか、そういったことを考えながらこれからも開発を進めていきたいと考えています。 編: 最後に日本のユーザーへ、メッセージをお願いします。 蔡氏: 日本のユーザーに支持をいただくことができ、とても感謝しています。もっともっと「飛天Online」を楽しんでいただけるために、日本のユーザーの意見も取り入れて開発を進めたいと思っています。ぜひ、たくさんの意見や感想をお寄せください。
編: ありがとうございました。
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□Softstarのホームページ (2007年2月12日) [Reported by 勝田哲也]
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