家庭で本格的な陶芸ができる! タカラトミー「ろくろ倶楽部」
「ろくろ倶楽部」 |
発売 |
タカラトミー |
価格 |
10,500円 (基本セット)、1,890円 (専用土) |
電源 |
単1アルカリ電池×4(別売) |
発売日 |
発売中 |
2007年最初の「気になるe-Toy遊んでレポート」は、新年にふさわしく「和」のトイをレポートしてみたい。タカラトミーから発売中の「ろくろ倶楽部」だ。ろくろを回して陶芸を楽しむには、本来は高価な道具やさまざまな器具が必要だ。しかし、この「ろくろ倶楽部」は、家庭にあるオーブンレンジで焼成が可能な特殊な土を採用し、家庭で本格的な陶芸が楽しめるという。
老若男女問わず、気になるアイテムではないだろうか。
■ 土に触れ、童心に返れる面白さ
「ろくろ倶楽部」の中には、電動ろくろをはじめ、さまざまな小道具が入っており、付属の専用土を使えば、湯飲みを3個作れる。また土は色合いが異なる3種類が発売されており、専用の絵付けセットなども別売だが用意されている。より本格的な作品を仕上げてみたいのなら、こうしたオプションを購入してみるとよいだろう。
回転台は、両手で抱えて持ち上げる必要のあるほどの大きさ。作業をはじめる前には、簡単な組み立てを行なう必要がある。回転台には、まず棒のような支柱を取り付ける。そして、支柱の下部にはガイドを、上部にはアームをはめこむ。アームの先には、弓をセットする。
ガイドやアーム、弓などの使用方法は、手順を追いながら説明していく。
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パッケージ。トイとはいえ、中高年層も手に取りやすい落ち着いたデザインになっている |
「ろくろ倶楽部」のセット内容。たくさんの道具を使用するが、どれも一度使えば、使い方を覚えられる簡単さだ |
作業全体は以下の流れで行なう。
土を練る
回転台の中心に置く
↓
形を作る
口の処理をする
回転台から切り離す
↓
乾燥1回目
削り
乾燥2回目
↓
焼成
それでは、具体的に湯飲みを作るまでの工程を紹介していこう。しっぴきと呼ばれる糸を使い、土を3等分する。1等分が湯飲み1個に相当する。
土を切ったら、もみこむようにして練っていく。土が固く、ひびが入る状態の場合は、水を加えて耳たぶくらいのやわらかさにするのがコツだ。もみこむときは、土の中に空気が入らぬように細心の注意を払うこと。
十分にもみこむことができたら、土を手のひらで軽く叩くようにしながら、山型に整える。これで下準備は完了だ。
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しっぴきで土を3等分にする。このときの土は重く、力を必要とする |
土を練る作業。水を適度に加えてやわらかくしていく。空気が入ると失敗の元になるので注意すること |
土を山型に整える。すべての基本となる作業だ |
次は回転台を使って、土を円柱にする作業だ。回転台の中心に土を載せ、押し付けるようにして回転台に密着させる。そうしたら電源を入れ、ろくろを回転させる。ろくろが回転したら、手にたっぷりと水をつけ、土になじませる。手の形は“く”の字にし、土を包み込むように添え、土の形を円柱状にしていく。
水に浸った土の感触は、子供の頃のどろんこ遊びを想起させる。手のひらがぐちゃぐちゃになり、汚れもするが、妙に心地がよい。なるほど、こうして童心に返れることが陶芸の魅力のひとつなのだな、と納得。
しかし、そんな感慨も一瞬で、作業は困難を極めた。何しろはじめての陶芸なので、土が円柱にならないのだ。円柱ではなく、富士山の形にするのが関の山だ。そんな場合には、アームが役に立つ。アームの先端には、削り出し棒が取り付けられており、土の側面を平均的に削り取り、円柱状に削り出してくれるのだ。
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回転台から飛んで落ちてしまわないように、土をギュッと押して密着させる |
手の形を“く”の字にし、円柱形にしていく。言うが易し。慣れないうちは非常に難しい |
【ムービー】 土を円柱形にしていく [MPEG形式:960KB 10秒] |
土が円柱状になったら、ろくろを回転させながら、頂点に親指を挿して、中心に穴を開けていく。穴ができたら、そのまま親指を外側に広げていく。さらには、両手の指で土をはさみながら下から上へ少しずつ伸ばしていき、湯飲みの形へ近づけていく。
筆者がもっとも苦労したのは、この作業だった。土を下から上へ伸ばしているうちに、土がちぎれてしまい、“最初からやり直し”になってしまうのだ。何度も何度もくり返し作業した。
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土の頂点に親指を差し込んで、口を空けていく |
口が開いたら両手のひらで湯飲みの側面を整形していく。土がちぎれて最も苦労したパートだ |
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【ムービー】 土に口を空けていく [MPEG形式:672KB 7秒] |
【ムービー】 湯飲みの側面を整形する [MPEG形式:892KB 10秒] |
今度は、口の処理だ。がたがたになっている口をなめらかに整える作業だ。ろくろの支柱に弓をつけたアームを取り付ける。そうしてろくろを回転させ、アームを徐々に下に下ろし、口のでこぼこを切り落とす。ろくろが1回転し、余分なでこぼこを切り落とせたら、この作業は完了だ。
最後は、作品を回転台から切り離す作業だ。これには糸のようなしっぴきという道具を再利用する。支柱のガイドにしっぴきをつけ、糸が作品の下部に来るように固定したら、ろくろを回転させ、ぐいっとしっぴきを手前に引く。こうすれば作品を回転台から引き離すことができる。
以上でろくろ挽きの作業は完了だ。
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アームを使って、口を整形する。アームとろくろの回転を利用して、がたがたになっている部分を切り落とすのだ |
しっぴきを奥から手前へ引き、湯飲みを回転台から取り外す |
【ムービー】 口のガタガタを切り落とす [MPEG形式:284KB 3秒] |
■ 完成まで3回の乾燥を行なう
あとは合計で3回の乾燥を行なう。1回目の乾燥は、作品を半乾きの状態にするまでだ。直射日光の当たらない風通しのよい場所に置き、表面のべたつきがなくなるまで乾かす。
そこまで乾いたら今度は、削りの作業を行なう。付属の削り出し棒やヘラを使い、作品の外側の胴となる部分を削り、厚みが均一になるようにする。最後に少量の水を指先につけ、作品の表面を滑らかにする。あえて滑らかにせず、削り跡を残して“味”とする方法もあるようだ。
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湯飲みの側面が均一になるように、削り出し棒やヘラを使って不要な部分を削除していく |
整形の仕上げとして、指先に水をつけ、荒れた表面を整えていく |
2回目の乾燥は、オーブンレンジを使用する。温度を120度に設定し、20~30分ほど焼成をする。時間が過ぎたら、作品が冷めるまで放置する。
3回目の乾燥がラストの作業だ。オーブンレンジの温度を130度に設定し、長めに30~40分ほど焼成をする。このとき、焼成の時間によって、作品の色合いを変えることができる。時間が長いほど、表面の色合いが濃くなる傾向があるようだ。この辺は、好みで調整されたい。
筆者は合計で2個ほど湯飲みを作成したのだが、1個目はとてもじゃないが掲載できるレベルのものではないので、割愛させていただいた。2個目も一見すると、一般的な焼き物に見えなくもないが、湯飲みという概念からはほど遠く、強いて言えば“土器”に近いものになってしまった。
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空気乾燥を1回、オーブン焼を2回して完成させる |
結果として、湯飲みとも器ともつかないものになってしまった。これがはじめての陶芸なので許されたし |
これは「ろくろ倶楽部」の品質に問題があるわけではなく、筆者自身の腕前であることを明記しておく(当たり前だ)。練習を重ねれば、取っ手をつけた湯飲みや底面に高台をつけた湯飲み、あるいは各種のお皿が作れるようになるようだ。公式ホームページには作品集として写真も掲載されているので、参考にしてみると良いだろう。
テストした感想は、とにかく手軽で、物造りの楽しさを味わうことができた、ことに尽きる。セットの内容を考えれば、10,500円という価格設定も高くは感じない。興味のある方はぜひチャレンジしていただきたい。きっと素敵な休日を過ごすことができますよ。
(C)2006 タカラトミー
□タカラトミーのページ
http://www.takaratomy.co.jp/
□「ろくろ倶楽部」のページ
http://www.takaratomy.co.jp/products/rokuroclub/
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(2007年1月11日)
[Reported by 元宮秀介]
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