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会場:ActozSoft本社内
このインタビューにはStone studioのマネージャーLee se min氏を始め、総勢7人のスタッフに出席いただいた。本作のコンセプトはどうやって生まれたか、影響を受けたゲームは何か、デザインで気を使ったところは? などなどたくさんの質問から、現在の、そしてこれからの「アニス&フリッキー」の姿が見えてきたように思う。新しいゲームを生みだしたというに対するスタッフの自信と、チャレンジスピリッツを感じて欲しい。
■ 爆発的な人気を得てスタートした「アニス&フリッキー」
編集部: よろしくお願いします。まず、現在韓国でオープンβテストを開始している「アニス&フリッキー」ですが、これまでの手応えはどんなものでしょうか。 Lee氏: 現在、1カ月弱ですが、韓国では最初の人気が大事なのですが、結構“爆発的”な人気を獲得することができました。現在は自分たちが足りないな、と感じる部分があるのと、低レベル、中レベル、高レベルの人たち、それぞれのユーザーが増えてきてサービスそのものは安定してきたかな、という感じです。 編: 爆発的な人気、とのことですが、具体的な同時接続者数などを教えてください。 Lee氏: 韓国の有名なポータルサイト「naver」で検索ワード1位を獲得し、最大同時接続者数でも1万5千人を突破しました。自分たちが期待していたほどではないのですが、ゲームの特性から考えて、満足できる滑り出しだと思います。 編: なぜこのようなアクション性の高い作品を作ろうと思ったのか、本作が生まれた経緯を教えてください。 Kim sang yun氏: まず一般的なMMORPGの企画から、「今までにないゲームを作るにはどうすればいいのか」というところを考えて、Lee室長は実は私の先輩なのですが、2人でお酒を飲んでいる時に「MMORPGにアクション性をプラスしてみよう」と思いつきました。ここで、「キューブ+アクション」というコンセプトが固まり、やってみようということになりました。 編: アクション性をプラスする際に、影響を受けたゲームなどはありますか。私は日本のゲームの影響も感じたのですが。 Kim sang yun氏: 今までのMMORPGは「退屈」と感じるものも多いです。ゲームの過程自体を楽しむにはどうすればいいか、ということを考えて、そのためにアクション性を追加しました。ワンクリックで移動できる操作性を廃し、移動にもアクション性を持たせ面白さをもたらしています。パッケージゲームの影響を受けたところもあります。ただ、日本のゲームからの影響というのはありませんね。 Lee氏: キャラクタのイメージなどは、日本の作品の影響を受けているところもあるかもしれません。 Kim jin suck氏: 私は小さい頃から日本の漫画が好きでずっと見ていました。それから絵を描くようになったので、日本の作品の影響は強いです。 編: アクション性と共に、「アニス&フリッキー」はキューブスペースなど、SF的な世界観も非常に魅力的です。このような世界観をゲームに持たせたのはどうしてでしょうか。 Lee氏: 一般的な中世ファンタジーも魅力はありますが、私は映画の「キューブ」から影響を受けてこの世界を思いつきました。元々ゲームというのは仮想空間の中の世界なのでSF的な世界観が合うと思いました。 編: オープンβテストを開始してから1カ月ということですが、ユーザーからの要望はどのようなものが多いでしょうか。 Jang氏: 新しいキューブスペースや新要素をもっと欲しい、という意見が多いですね。コミュニティーに関する要素も要望が多いです。 編: テストを開始して予想通りだった部分と、意外だと感じたところを教えてください。 Lee氏: 予想通りだった部分は、「アニス&フリッキー」は既存のMMORPGより少し難しい作品ですが、そこを面白く感じてくれるユーザーが多かったことです。期待もしていたし、うれしかったところです。予想以外の部分は、私達がもっと難しいだろうと考えたところをユーザーが易々とクリアしてしまったところです。 編: 予想よりプレーヤーのスキルが高かったということで、今後ゲームは難しい方向になっていくのでしょうか。
Lee氏: ハードコアユーザーに向けた要素は今後も追加していく予定ですが、それ以外の、アクションが苦手なユーザーに向けたコンテンツももっと充実させていく予定です。
■ 新しいチャレンジの前に広がる課題と、より明確になるゲームの本質
Kim sang yun氏: 70%といったところでしょうか。PvPや競争のシステムは今後に詰めていこうと思っていますが、アドベンチャーなどの部分は実現できたと思っています。オンラインのRPGにアクションを追加した、というのは我々が初めてだと思っています。アクションとRPGをうまく融合させることができた、というのが70%の内訳です。 今後はPvPや競争のシステムを追加することで、ユーザーに更に充実したゲームを楽しんで欲しいと思います。もちろん新しいテーマなどは今後もどんどん追加していこうと思っています。 編: ロビー部分の移動が早くなるなど、短いスパンでゲームの要素を改善しているように感じました。今後はどういった部分に手を加えていくのでしょうか。 Lee氏: ロビーの移動はユーザーの要望で実現しました。「アニス&フリッキー」はロビーではアクション要素がなく、移動だけなのでより快適に目的地まで移動できるようにしました。オンラインゲームである以上、ユーザーの要望にはできるだけ迅速に応えるように努力しています。 編: 少しプレイしてみたのですが、足場が消える前にジャンプをする、といった時に引っかかりを感じたり、意図したタイミングでジャンプをしたとしても少しずれを感じる部分がありました。 Daniel氏: 空中でひっかかってしまうような同期ずれの問題は、かなりましになってきた部分もありますが、現在もまだ課題としてあります。今後も取り組んでいきたいと思っています。RPGに関してはこれまでも取り組んでいたので、問題はないのですが、技術的に難しいと感じる部分は、やはりアクションですね。 ジャンプや動く足場の要素など、チャレンジしていく要素は多いです。アクション部分は試作プログラムを組んで様々な点で検討を重ねています。「アニス&フリッキー」はパッケージゲームと違い、オンラインゲームなので、同期ずれといったところで難しいところもあります。 編: アクションとRPGの融合、と考えた場合、レベルをまず上げなくてはアクション部分を楽しむことができないのかな、という印象もあります。 Lee氏: 本作はRPGとして、キャラクタを成長させていきます。その過程でアクションがあり、その向こうにより強いモンスターが待っているのです。デモプレイでボス戦の様子をお見せしましたが、ボスとの戦いはRPGの要素を前面に出したものです。そのボスにたどり着くためには、パーティーメンバーが力を合わせてアクションをして、パズル要素を解き明かさなくてはいけません。「アニス&フリッキー」の本質はRPGであり、それを更に楽しむ要素としてアクション要素があるのです。 Kim sang yun氏: さらに「アニス&フリッキー」には、「トンキ」というシステムがあります。これはいわばタイムトライアルで、決められたタイム以内にフィニッシュをすると経験値などをゲットできるため、戦闘を繰り返す以外にもキャラクタを成長させることができます。狩りを続けるのに飽きたらトンキを楽しみ、また狩りを続ける、といったプレイが可能になっています。 編: ボス戦では「サブ職業」についたキャラクタ達がそれぞれの特性を活かして戦っていましたね。「アニス&フリッキー」はキャラクタを転職まで育て上げてからが本当のスタートかな、と感じました。 Lee氏: 「アニス&フリッキー」はソロプレイでもゲームを進める事ができます。転職するまではキャラクタ育成を楽しみつつ、この新しいゲームのルールを覚えていく。転職するまでゲームをプレイしていくと、このゲームの要素を充分に学び、次のステップとしてパーティープレイを覚えていくのです。3ランクという中級者のレベルにパーティープレイを設定したのはこのためです。 Kim sang yun氏: 色々なユーザーがいると思いますが、ユーザー達が力を合わせて戦うというパーティープレイの楽しさは、この作品で表現してみたかったものの中でも大きなものです。アクションの部分でも、メンバーの1人がトラップを解除することで先に進めるなど、協力要素を持たせています。
Lee氏: オンラインゲームの最終的な目標は協力と競争だと思います。パーティーを組んでボスのいるインスタンスダンジョンに挑むのは、協力要素が最も色濃く出るところです。
■ PvPや攻城戦、競争要素などコンテンツの更なる充実を目指す
Kim sang yun氏: サービス開始は秋頃を予定しています。アイテムのラインナップとしては、ゲームの特性上様々なものを用意できると思っています。新しいコスチュームの他、蘇生アイテムや、復活ポイントを設定できる「ローターシステム」の使用回数を増やすものもあります。アドベンチャーの際にユーザーが何度も使用できる消耗品も考えています。 編: 値段はいくらぐらいを考えていますか。 Lee氏: 韓国ではコスチュームアイテムの値段が3,000ウォン(約460円)~5,000ウォン(約600円)なので、それを基準に考えていただければ。 編: 次に、これからの導入予定のアイディアを教えてください。韓国では今後、どのような要素を実装していくのでしょうか。 Lee氏: まず先週ですが、装備の色を変更できる要素を実装しました。来週には装備のエンチャントが可能になります。これからは、ダンジョンが更に深くなり、高難易度タイムトライアル「死の道」も新しいコースが追加されます。数カ月の長いスパンでは、PvPや競争要素も今後充実していきます。 編:「アニス&フリッキー」でのPvPはアクション要素もあり、今までのMMORPGとは違ったものになりそうです。現在の課題はどのようなものでしょうか。 Daniel氏: PvPは多くのMMORPGで実装されているシステムです。現在は、ギルド戦など、専用のステージで行なう事のできる戦闘システムを考案中です。ここが特に難しいですね。 Kim sang yun氏: アクション性を加味したことで、本作のPvPは今までのMMORPGにはない駆け引きが可能になると思っています。例えば複雑な地形を逃げ回ることで、追っ手の方が落ちてしまう、というような状況も生まれるかもしれません。これまでの静的なPvPではなく、躍動感のあるPvPが行なわれると思います。 Lee氏: 「攻城戦」の要素も考案中です。こちらも高低差をジャンプで飛び越えることができるため、より多彩な要素が詰まったアクション性の高い戦いができるのではないかと期待しています。 編:例えばPvPの場合、トラッパーの地雷が見えてしまったら、対戦相手は決してそれを踏まないと思います。PvPを想定してスキルの追加や調整などは行なわれるのでしょうか。 Choi氏: 色々な調整方法を考えています。対戦相手には基本的に地雷は見えなくする予定ですが、特別なゴーグルなどを装着することであいてのトラップが見えるようにするなど、多くのアイディアを現在検討中です。 編:次に日本版で追加されるオリジナル要素を教えてください。 Lee氏: 「アニス&フリッキー」はどこの国のユーザーにも気に入ってもらえる、基本要素を持った作品だと自負しています。現在の1番の目的は日本で9月に始まるX-TESTをできるだけ安定した形で実施することです。また、Kim jin suckを始めとしたスタッフが、日本のユーザーのニーズに合うキャラクタの表情を現在デザインしています。 編:日本向け、ということで気をつけている点とは、具体的にどんなものでしょうか。 Lee氏: 基本的にGMO GamesとNetclueのスタッフと打ち合わせて、意見を最大限に取り入れるようにしています。私たちStone studioでは今まで日本に向けてゲームをサービスしたことがないので、パートナーの話をよく聞くことにしています。日本のユーザーは細部に凄く敏感だと聞いています。現在は完成度を上げるべく努力をしています。 Kim jin suck氏: 日本向けに、アニスとフリッキー2人のキャラクタの表情、きれいさや、セクシーさではなくて、より感情が入る、表情豊かで親しみの持てる部分を大事にしてみました。そして一般の人達がしないヘアスタイルなども追加しています。 編:では最後に、皆さんそれぞれに「アニス&フリッキー」で特に気に入ってる部分をお聞きしたいと思います。そして日本のユーザーへのメッセージを。 Kim sang yun氏: 「アニス&フリッキー」はその独自性が最大の特徴です。ゲーム自体、これまでのMMORPGとはまったく違います。ロビーも、既存のプレーヤーが集まっている「村」とは景色が違います。新しくて独特で、少し難しいですが、ゲームの持つ躍動感を面白く感じていただければうれしいです。ゲームの歴史から考えても、新しいゲームです。奇妙に感じる部分もあるかもしれませんが、広い気持ちでお楽しみください。 Daniel氏: 手に汗握る緊張感を持った作品です。ぜひこの緊張感を体験してください。 Choi氏: 私は「死の道」が気に入っています。戦闘の要素がなく、アクションのみに集中できるステージです。日本のユーザーにも楽しんでもらいたいです。 Kim jin suck氏: グラフィックス的に見ても、スーツやアイテムなどとても面白いものが多いです。細部までじっくりチェックしてみてください。思わず笑ってしまうものが多数あると思いますよ。たくさんゲームに興味を持ってください。 Han氏: このゲームは「操作感」が大事だと思います。レベルアップだけでなく、本作独特の操作感になれてください。このゲームを楽しんでいただければ、それだけでうれしいです。 Jang氏: このゲームのスリルと、面白いゲームイメージが私は気に入っています。細かいところをじっくり見てみてください。
Lee氏: もちろんこのゲームの全部が大好きですが、今までにないキャラクタを作ることができたところに特に満足しています。日本の皆さんには、「いよいよ『アニス&フリッキー』がプレイできるぞ!」と、緊張して欲しいですね。
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□ネットクルーのホームページ (2006年8月19日) [Reported by 勝田哲也]
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