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会場:エヌ・シー・ジャパン本社
「エピソード5」では、2003年10月から描かれていたダークエルフとアデンの人々の戦いがクライマックスを迎える。プレーヤー達は、ダークエルフの本拠地、ラスタバドにおいて激しい戦いを繰り広げることになる。この他にも、ストーリー性の高いクエストの楽しめる「海賊島」や、2つの魔族が対立する「影の神殿」など様々なコンテンツが追加される。 今回は、アップデートの内容とともに、今後の構想、そして、スタートから8年になろうとする「リネージュ」の現在も続く人気の秘密について話を伺った。
■ 今までにない新システムを積極的に取り入れる「エピソード5」、初心者向け要素も導入
キム・ミンギュ氏: 私は企画チームのマネージャーとして全体を統括しています。この作品の前は、他の会社でRTSなどを手がけていました。 キム・ジョンムク氏:私は企画をしています。この「リネージュ」に関わってからは1年半くらいですね。 キム・ギュホ氏: 私も企画チームです、コンテンツを手がけています。昨年のインタビューにも参加させていただいていますが、「リネージュ」の最初からのスタッフというわけではなく、「リネージュ」のGMをやった後、「EverQuest」にも関わりました。2001年から「リネージュ」の開発企画チームに所属しています。 編: エピソード1からずっと続いていたダークエルフとの決戦の地「ラスタバド」が今回いよいよ明らかになりますね。 ジョンムク氏:ラスタバドは、今まで名前でしか語られていない場所でした。話を聞いているだけでは漠然と「お城」のイメージを持っていた方が多かったようですが、従来の「リネージュ」の城とは違い、「ダークエルフの本拠地」という意味合いとともに、「タイムアタック」というゲーム性を持った、ユニークな場所になっています。 ラスタバドはいくつもの部屋にわかれていて、それぞれの部屋にボスモンスターがいます。プレーヤー達は制限時間内にその部屋のモンスターを倒さなくては、先に進めないのです。今までとひと味違うゲームプレイが楽しめます。 ギュホ氏: タイムアタックでは、特定のドアを開くことでカウントが始まります。その時間内にモンスターを倒せなければ、スタート地点付近まで戻されてしまいます。 編: ダークエルフとの戦いがこれまで続いてきましたが、この戦いは今回のエピソード5で一区切りがつくのでしょうか? ジョンムク氏:ストーリーは「エピソード6」へと続いていきます。「リネージュ」は「リネージュクロスランカー」というタイトルになってから、ダークエルフとアデンの人々が戦う“第2部”のストーリーが描かれましたが、このストーリーはエピソード1から、エピソード6まで設定されていました。ストーリーが完結するのはエピソード6ですから、今回のエピソード5は、クライマックスに相当する部分になりますね。 編: 次に「影の神殿」についてですが、プレーヤーがバルログの勢力かアンデット魔族かのどちらかの味方につき、もう一方と戦うとのことですが、こういったシステムは「リネージュ」では初の試みとなりますね。 ギュホ氏: その通りです、私たちはそのゲーム性を「カルマシステム」と名付けました。 編: このシステムでは、アンデット魔族とバルログの勢力、それぞれの味方をするプレーヤー達が争うようなこともあるのでしょうか。 ギュホ氏: 今回、プレーヤーはバルログの勢力かアンデッド魔族か、どちらかの味方になって戦います。現在は大規模PvPにこのルールを適用するかは考えていません。しかし、また違った大規模戦争システムも現在考案中です。 編: 「タイムアタックシステム」、「カルマシステム」。今回は今までにないゲームルールを積極的に取り入れましたね。 ミンギュ氏: 現在プレーヤー間で行なわれている“攻城戦”という戦闘を考えたときに、「城の外の敵を全滅させてから、城内でも激しい戦いが起きる」というアイデアで作られました。しかし、実際は、城の回りで戦いが起きて、中ではほとんど戦いは行なわれなくなってしまっています。 「タイムアタックシステム」は、「内城戦」ともいうべき戦いを実現するシステムです。さらに時間制限を設けることで、緊張感と、スピード感をもたらします。従来の攻城戦はユーザー同士の戦いですが、ラスタバドではNPCとの戦いを楽しめます。 ジョンムク氏: ユーザー対ユーザーならば、私たちが何もしなくても、そのまま激しい戦いが行なわれます。しかし、NPCとの戦いになると、ユーザーは安全性を重視した消極的な戦いをしがちです。時間制限をすることで、ユーザーは積極的な戦いを展開するようになるのです。 ギュホ氏: 「カルマシステム」は今までの新しいシステムと同じように、「ユーザーを楽しませること」を目的として導入しました。これまでユーザーが最も積極的に行なっていることは、経験値を多く得て、レベルアップを目指すことでした。しかし、それだけではユーザーも飽きてきてしまうのではないか、と私たちは判断しました。 「カルマシステム」は、経験値以外のモチベーションをプレーヤーにもたらそうと思って導入されました。これまでの敵は「先に攻撃してくる」、「攻撃してこない」の2つしかありませんでした。今回、ユーザーがどちらかの勢力を選ぶことで片方が味方につきます。ユーザーに選択させることで、ゲームの自由度がふくらむのではないかと思います。 編: 今回、エルフのダンジョン「エルヴンケイブ」がリニューアルされましたが、この恩恵を得ることができるのはエルフのキャラクタだけでしょうか。 ジョンムク氏: 確かに、エルフのキャラクタが得をするという一面はあります。リニューアルされたエルヴンケイブでは、入手できるアイテムが追加され、クエストが楽しめるのも、主にエルフです。ただし、今回追加されたものは低レベルユーザー向けのものであり、必ずしもエルフのユーザーだけを優遇したものではありません。 ギュホ氏: 今後も様々なマップをリニューアルしていく予定があります。 編: 今後は、他の種族の初心者向けの要素が追加されるということでしょうか。 ギュホ氏: その通りです。
■ 製作チームの語る「リネージュ」の魅力、今後は攻城戦の改良も
ジョンムク氏: 韓国において「リネージュ」は先行者としてのメリットがあります。ゲームの展開は3Dのゲームに比べてスピード感があり、プレーヤーは2Dのゲームならではの魅力を感じていると思います。 ミンギュ氏: 簡単にプレイできる、というのは「リネージュ」の大きな魅力ですね。間口は広く、初心者でもすぐにプレイが楽しめます。そして「リネージュ」は8年もの歳月によって成熟してきたコミュニティを持っています。多くのユーザーが現在もゲームを支えています。ユーザー層の厚さも大きな特徴です。 ギュホ氏: 「3Dは難しそう」、「酔ってしまいそう」ということで、「リネージュ」を選ぶユーザーも結構いると思いますよ。 編: 長い歴史を持つ「リネージュ」ですが、韓国ではずっと長い間城を持ち続けているような血盟(ギルド)もあるのでしょうか。 ギュホ氏: 城を持ち続けているのが良いか悪いかは別として、3年くらい城を独占した血盟もいますね。 ジョンムク氏: 他にも長く城を持ち続けた血盟もいますが、実際血盟そのもののメンバーは世代交代したりしています。形だけは独占しているように見えますが、実際は城主が変わっている、ということも多いようですね。 編: 「リネージュ」は現在でも新しいユーザーが入っていて、ユーザーコミュニティは活発だ、ということでしょうか。 ミンギュ氏: 「リネージュ」のコミュニティは非常に力を持ったユーザー達が主軸として存在し、そこに新しいユーザーが入ってくることで盛り上がりを維持しています。現在でも毎月3万以上のアカウントが作成されています。 編: 今後、「リネージュ」の継続していきたいところ、変えていきたいところはどこでしょうか。 ジョンムク氏: 3人の中にそれぞれ意見があると思いますが、私は継続するものというのは、「常に新しいアイデアを盛り込み、コンテンツをアップデートしていく」という姿勢だと思っています。その中でユーザーの動向を見ながら修正も行なっていきたい。 私が、「変化させてみたい」と思っているのは、「攻城戦」です。導入当初は大人気だった攻城戦が、最近その人気が少し衰えてきています。攻城戦をどう盛り上げていくかは、今後の課題です。そのためにはシステムの修正も必要となります。現在、そのためのアイデアを練っているところです。
■ これからの「リネージュ」の展開。エピソード6の構想は? 編: 今後の「リネージュ」についてお聞きします。「エピソード6」は韓国ではいつぐらいに実装される予定なのでしょうか。 ミンギュ氏: そういったことを決定するのはマーケティングチームなので、私たちは正確な答えは出せませんが、年末から来年初頭頃を想定して開発に取り組んでいます。 編: 現在考えているアイデアは、どのようなものがあるでしょうか。 ジョンムク氏: 今回導入されたラスタバドと影の神殿は、エピソード6でも大きなウェイトを占め続けます。ラスタバドは実はエピソード5ではその全貌が明らかになっていないのです。エビソード6ではラスタバドの上層階が開放されます。ダークエルフとの戦争は、エピソード6で決着が着くのです。 ギュホ氏: 影の神殿はバルログの勢力とアンデッド魔族どちらかの味方になるストーリーですが、エピソード5ではアンデッド魔族のストーリーしか用意されていません。エピソード6で「欲望の洞窟」というマップを実装することで、バルログの勢力のストーリーが明らかになります。2つのストーリーによって、「カルマシステム」がきちんと機能するようになります。 ジョンムク氏: さらに海賊島では、「船舶の墓」という海底のダンジョンが出現します。今までのダンジョンとはひと味違ったものになっています。 編: エピソード5では新しいゲームシステムが導入されましたが、6でも新しいシステムを導入する予定はあるでしょうか。 ミンギュ氏: いくつかアイデアはありますが、現在の所は検証中で、具体的なお話はまだできません。 編: 初心者向けの要素などのアイデアはありますか? ジョンムク氏: もちろん追加予定です。どちらかというと、まったくの初心者向けというよりは、ゲームの面白さがわかってきたレベルのユーザーに向けて、コンテンツを追加させていきたいと思っています。「エルヴンケイブ」はその1例ですね。 編: 今回のアップデートの皆さんそれぞれのお気に入りの部分を教えてください。日本のユーザーへメッセージもお願いします。 ミンギュ氏: やはりラスタバドに愛着があります。タイムアタックのシステム、ドロップされるアイテムも悩んで悩んで決めました。ぜひ楽しんでください。 ただ、日本の「リネージュ」ユーザーのキャラクタの平均レベルは、韓国のユーザーよりは少し低いです。エピソード5は全体的に高レベルキャラクタ向けの要素が多いので、ちょっときついかもしれません。しかし、日本のユーザーは、協力して戦略的に戦うのがうまいです。素晴らしい戦略でクリアしてください。 ジョンムク氏: 私は個人的には海賊島です。海賊島はエピソード4から登場し、エピソード5でクエストの全貌が明らかになります。特にエピソード5では海賊王「ドレイク」のストーリーが完結します。ぜひ、楽しんでください。 今回日本に来てみて、「やはり日本のユーザーは、韓国のユーザーとは違ったゲームの楽しみ方をしているな」ということを感じました。韓国のユーザーに高い評価を受けたものが、日本では反響が少なかったものもありました。日本のユーザーに受けてかつ全世界で受け入れてもらえそうなコンテンツを作っていきたいと思います。 ギュホ氏: 私は、主に影の神殿を手がけたので、やはり影の神殿に思い入れがあります。カルマシステムは、プレーヤーの選択で片方の魔族を味方にできるシステムです。最初は、両方の魔族が敵ですが、例えばバルログの勢力を攻撃すると、アンデッド魔族は攻撃してこなくなる。エピソード5では、実は片一方しかこのシステムは実装されていません。 エピソード6でもう一方の魔族も味方にできます。つまり、プレーヤーによっては、味方になる魔族を変えるという、「裏切り」も体験できるのです。どちらの勢力につくか迷うという“人間らしい”プレイを楽しんでもらえればと思います。 編: ありがとうございました。
□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2006年8月9日) [Reported by 勝田哲也]
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