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「ギルドウォーズ(以下、GW)」のPvPモードに挑む本連載。サンプルとしてチョイスしているジョブはモンクだが、モンク固有の話よりも、プレイにおけるプレーヤーとしての思考を中心にしているので、他クラスでも応用ができるはずだ。また、本作が気になってはいるものの、まだ手を出せていないという人にも、PvPの魅力を伝えることを目的とした連載である。 前回は、PvPモード用キャラクタの作成から始まり、4人チームで対戦するランダムアリーナとチームアリーナでの奮闘の模様をお伝えした。今回は、本作の持つ多数の魅力の中でも、最も注目される中枢のひとつ「ギルドバトル」を紹介していく。ギルドバトルは、アリーナのチーム人数である4人の倍の人数、総勢8人で挑むという大規模なものだ。
■ 4人で挑む「アリーナ」、ギルドで挑む「ギルドバトル」、国対抗で戦える「英雄たちの丘」 PvPモードの試合形式は人数別に2種類がある。前回紹介したランダム、チームの「アリーナ」では、1チームが4人。今回紹介する「ギルドバトル」は、1チームがギルドメンバーのみで8人のパーティを構成する。さらに、自由に8人のチームを組んで戦いに挑む「英雄たちの丘」というものも存在する。ちなみにギルドバトルのメンバーは8人で完全に固定されるわけではなく、毎試合メンバーを入れ替えることが可能だ。
ギルドバトルと英雄たちの丘の違いは何かというと、ギルドバトルのメンバーは当然ギルド縛りになることに加え、それぞれ勝利の先にあるものが異なっている。ギルドバトルは、勝敗結果によって所属ギルドのランキングが変動し、英雄たちの丘では、縛りのない自由なメンバーで挑めるものの、所属国やギルドで統一してチームを組むと、国別の対抗戦という色味を持つようになる。国ごとに戦い、“神の恩恵”という自国の全プレーヤーに与えられる報酬を奪い合うというものなのだ。英雄たちの丘は、次回詳しく取り上げるつもりだ。
■ ギルドバトル前にスキルをチェック! 筆者のモンクはヒーリングよりもプロテクションを重視 さて、今回のテーマは、ギルド同士で勝敗を決する「ギルドバトルに挑戦!」である。まずは、ギルドバトルに挑む時点での、筆者モンクの選択スキルをチェックしよう。試合に臨むにあたって、筆者がどのようなスキルを使い、いかなる役割を考えているかをご紹介したい。 スキル名の前に括弧で「ES」と記載しているものは、エリートスキルという、その名の通り性能の高いスキル。そのため、スキルバーの中に1つしか入れられないという制限がある。キャラクタの動きと方向性を示すスキルが入ることになる。スキル名のあとに「:ヒーリング」というように書いているものは、そのスキルの効果を左右する特性。ポイントを割り振って特性をあげるが、ポイントには上限があるため、すべての特性を高くすることはできない。 前回は、アリーナで戦いながら「自分のやりたい行動を実現させる」という選び方でスキルのチョイスを行なっていった。その結果、8つのスキルをセットできるスキルバーには、以下のようなスキルが並んでいる。 ・ギルドバトル1戦目のスキル
1. ヒーリングオリゾン:ヒーリング
2.ES:ヒーリングワード:ヒーリング
3.ラスシンボル:ホーリー
4.ガーディアン:プロテクション
5.シールドハンド:プロテクション
6.フォーチュンリバーサル:プロテクション
7.イージス:プロテクション
8.メンドエイル:プロテクション
3番の「ラスシンボル」のみ、ホーリーという特性の、いわば攻撃用スキルなのだが、これは、相手プレーヤーに一方的に倒されるのを防ぐためのもの。1対1の状況でプロテクションスキルで武装した状態ならば、相手によってはかなり戦えるためだ。だが、基本的には、相手に「このモンクを狙うのはリスクが大きい」と思わせるための“ブラフ”なので、特性ポイントは割り振らない。 大きなポイントになるのは、7番のスキル「イージス」だ。5~11秒間、メンバー全員が50%の確立で物理攻撃をブロックするというもの。プロテクションの特性を高めているため、効果時間は最大の11秒間に近い。理屈では、このイージスを絶え間なくかけていれば、全ての物理攻撃ダメージは半分になるわけで、極めて有効なスキルだ。 だが、実際にはそんなにうまくいかない。このイージスというスキルは、まず消費エネルギーが大きい。この時にセットしているスキルのほとんどは消費エネルギーが5なのに対し、イージスは15。最高レベルである20での最大エネルギーは33ということも考えれば、かなり大きいのがわかるはずだ。また、再詠唱の時間も30秒と長い。少なくともモンク1人では、イージスの効果を絶え間なく発動させることはできないということだ。
いろいろ考える余地があるものの、基本的にはヒーリングスキルで回復を行ない、相手プレーヤーに狙われた味方や自分にはプロテクションのスキルで対抗する。このような行動の軸を持ったキャラクタをビルドしてみた。 ■ 相手戦力の循環を断ち切れ! 8人チームの総力がぶつかりあうギルドバトル開始!!
準備が整い次第、パーティのリーダーがボタンをクリックして試合を開始。対戦相手のギルドがマッチングされる。戦いの舞台は、どちらかのチームのギルドホールだ。ギルドホールは8つの種類のどれかを自ギルドの場所として選ぶことができるのだが、基本的にはランキングが下のギルドのギルドホールが戦いの舞台となる。作りを熟知したホームで戦えるというわけだ。 戦いを盛り上げつつ、基本的なルールを教えてくれるムービーが挿入され、それが終わるといよいよ試合開始。対戦相手のギルドが表示される。相手は同じ日本のギルド。ただし、こちらのランキングが3,500位ほどなのに対し、相手はなんと400位ほど。ランキング的には圧倒的に格上だ。それだけに勝利の意味は大きい。メンバーに不安とやる気が交錯する。 拠点の門をくぐり、中央位置にあるフラッグタワーのあたりで互いのギルドがぶつかり合う。フラッグタワーは自陣地にあるフラッグを運び掲げることで士気を高められるものだ。士気はスキルによって再使用が可能になるなど、スキルによって様々な作用がある。 お互いのギルドメンバー総勢16人が対峙する。互いのメンバーを確認しあう時間が流れる。攻撃目標が定まるのか定まらないのかといったところで、誰からともなく戦いが始まる。剣やハンマー、弓が振るわれる戦いの音が響き、魔法が敵味方に降り注がれる。筆者のモンクがまず最初に行なうのは、相手の最初の一手を防ぐ意味もこめてのイージスだ。その効果で全員を守護する。 16人が入り乱れる戦場で、それぞれの状況を把握するのはかなり難しい。実際この時は、仲間の体力ゲージを見て、減少したらヒールを加え、減少が激しいプレーヤーには、追加でプロテクションをいれるということをするので精一杯だった。その合間には再使用可能を待ってイージスを定期的に発動する。戦況はというと、パワーバランスが保たれているようで、膠着状態だった。
しばらくして、自チームのエレメンタリストが集中的に攻撃を加えられ始めた。ガーディアンなどのプロテクションスキルを入れつつ、必死にヒールする。大きなダメージと、大きなヒーリングで激しく上下する味方エレメンタリストの体力ゲージ。防御力の低いスペルユーザーなうえに、これは8人が相手のギルド戦。集中して一人を攻撃されたときのダメージ量は4人チーム戦のアリーナよりもはるかに大きいのだ。プレーヤーが1人倒れるだけでも、蘇生する間にパワーバランスが崩れて総崩れする可能性があるのだ。
正直こうなってくると、スキルを発動させるキーボードの数字キーを連打しているような状態だ。焦りが募る。だが、スキルにはそれぞれに詠唱時間があり、さらに同時にスキルを発動することはできない。ジリ貧状態。筆者も、そして味方のエレメンタリストも確実に倒れる瞬間が近づいている。味方の別のモンクが、筆者たちにそれぞれスキルをまわす。だが、あえなく筆者のモンクが倒れた。 それを確認したギルドメンバーが筆者のモンクへ蘇生のスキルを使う。だが、総じて蘇生のスキルは詠唱完了までの時間が長い。詠唱が中断されてしまうため移動することもできなくなる。蘇生スキルを使って立て直すタイミングは難しいのだ。筆者はなんとか蘇生してもらったものの、入れ替わるかのように、味方のウォーリアが倒れる。 この機を逃さず、相手ギルドが前線を押し上げてくる。蘇生に回るプレーヤーを倒すべくダメージのプレッシャーが強まる。これ以上倒れたメンバーが出るのを防ぐため、スペルユーザーを狙う相手にダメージのプレッシャーを与える味方メンバー。このあたりが均衡の崩れるひとつの山場なのだ。相手チームの波状攻撃に押され、雪崩式に倒れていくメンバー。残る半数のメンバーは、自陣地の中に後退し、門を閉めようとしたが、門を閉める前に相手チームに押し込まれてしまった。 一気にこちらのギルドロードの元へと詰める相手ギルド。ギルドバトルでは、試合の経過時間が2の倍数になったタイミングで、死亡しているプレーヤーが復帰される。スキルによる復活と混合しないよう、本稿中では"復活タイミング”としておこう。復活タイミングは、崩れた味方陣営を建て直し、巻き返していくための大きなチャンス。復活直後の混乱を乗り切り、さらには、押し返していきたいところだ。
だが、相手ギルドはさらに上手だった。まっすぐにギルドロードのいる最奥へと向かうのではなく、復帰されるポイントを囲み、フィールドトラップを仕掛け、こちらの復活タイミングを待っていたのだ。不利な状況を強いられ、復帰直後にすぐさま、なぎ倒されてしまった。全員が倒れ、次の復活タイミングもかなり先になってしまった。この時点で勝敗は決したのだ。ほどなくしてギルドロードが倒され、敗北となった。
■ 30分を超えるシーソーゲームの果てに得た「good game」の言葉
筆者が先の試合を経て感じたのが、エネルギーの枯渇状態が続いたという点だ。特に定期的に使っているイージスの消費量が大きく、ヒールやプロテクションのスキルをフルに使っている中では絶対的にエネルギーが足りなくなる。だが、イージス自体は使っていきたいところだ。 そこで、サブジョブであるエレメンタリストの無属性スキル「レッサーエネルギークリフ」をチョイス。このスキルは“15秒以内に次のスペルを詠唱すると、詠唱に必要なエネルギーが15減少する”というもの。このスキル自身のエネルギー消費量は5だ。つまり、このスキルを発動後にイージスを使えば、エネルギー消費量は5で済むということになる。 新たなスキルを入れるために、外すスキルを選ぶ。外したのは、ホーリーのスキル「ラスシンボル」だ。これは、攻撃用のスキルも持っているように見せかけるためのブラフとして入れていたもの。アリーナで何度か試してみたところ、使えると味をしめたブラフなのだが、先のギルドバトルにおいては、ここまであまり意味がなかった。また、細かなブラフを打つような余裕など一度もなかったことも理由だ。 あまり大きく変えてもいいことはないだろうと、ここでセッティングを終了。少しづつスキルや動きを変えて、それが自分にとって良い選択であったかを確認していく。意味を持って自分のスキルセレクトや動きを少しづつ見直し、精度を高めていくことが、地道ながらも勝利への確実な道だ。 前回、対人戦のゲームであれば「相手の嫌がることをする」のが基本だと書いたが、本稿ではそれに続いて「理由のある行動をする」というものを挙げよう。勝つことにも、負けることにも、すべての結果にはプロセスがあり理由がある。運要素の絡むものはいたしかたないのだが、本作においては、それはあまり感じない。となれば、勝利も敗北も、理由からくる必然なのだ。理由なき行動をなんとなく行なったとき、それは敗北の可能性を含んでいる。それらを排除し、無駄を少しずつなくしていくことで、確実に勝利に近づくはずだ。本作は個人戦ではないため、チーム全体の意思の疎通や動きは大きな要素なのだが、それ以前の前提として、個々のプレーヤーの精度、熟練度も可能な限り高めていく必要があるだろう。 さて、他のメンバーの準備も整ったところで、次の試合に臨む。先ほどは日本のチームであったが、次にマッチングされたのは、ヨーロッパのギルドだった。ランキングは2,500位ほど。こちらの順位は先ほどの敗戦を受けてさらに低くなってしまった。なんとか勝利してランキングを戻したいところだ。 門が開き、フラッグタワーを境に激突する両ギルド。筆者は先ほどエネルギーの枯渇を回避するべく導入したレッサーエネルギークリフを使い、その後にイージスを使用する。エネルギー消費は大幅に減った。この組み合わせ自体の効果は大きいのだが、スキルバーを2スロット使うことが最大のネックだ。 味方にヒールとプロテクションを配りつつ、相手プレーヤーにターゲットされないよう下がりめに位置をとる。他のスペルユーザーも先ほど押し込まれた記憶からか、慎重だ。経験がプレーヤー自身を成長させるのが、こういった対戦タイトルの面白みだ。ゲーム内のデータ的な貯蓄ではなく、得たものはプレーヤー自身の内面にある。 ターゲットしても逃げては戻りを繰り返し、相手プレーヤーの押し込みをカットする自ギルドのスペルユーザー。それに手を焼き続ける相手チームの前衛ジョブは、転じて、こちらのウォーリアの一人に集中してアタックし始めた。だが、こちらのモンクがそれを阻む。プロテクションとヒールを集中させ、ダメージを完全に相殺する。その間、フリーな状態になったこちらの他メンバーは、相手ギルドのプレーヤーに強いダメージプレッシャーを与え始めた。押し込むチャンスだ。
少しづつではあるが、確実に相手の拠点へと押し込んでいく。相手ギルドのプレーヤーは、陣地の門の中へと後退、門を降ろした。門を外側から開けるには、NPCのギルドシーフを門へと導き、開錠してもらわなければならない。開錠させている間、投石器のスイッチを操作し、相手ギルドの陣地内へ、投石を行なう。投石の破壊力は大きく、落下地点のプレーヤーは一撃で一掃される。門の前あたりに落下するので、門内へ退避した場合は、投石に注意する必要がある。 門が開き、相手陣地へとなだれ込む。こちらのムードに勢いがあるため、かなりスピーディーに入り込んでいく。だが、これが仇となった。復活タイミングで復帰して、こちらの侵入を待ち構えていた相手ギルドの逆襲を喰らったのだ。トラップにかかり、範囲魔法を浴び、下がる間もなくスペルユーザーが囲まれる。敵陣地の中で瞬く間に倒される。復活による巻き返しには細心の注意が必要なのだ。 こちらのメンバーは半数が倒れ、筆者もやられてしまう。逆襲を喰らった結果、こちらは8人中5人が倒れるという、大きなダメージを負ってしまったのだ。残る3人は一気に自陣地へと引き返す。復活タイミングによって立ち直り、中央付近の場所へと急ぎ移動する筆者を含むメンバー。引き返してきた生き残り3名と合流し、再びフラッグタワー付近で合間見える両ギルド。この時点で経過時間は約16分。
中央付近での激突は、最初の展開のリピートとなった。こちらのスペルユーザーに対して押し切れない相手メンバー、こちらのメンバーは逆に相手の後衛へと手を伸ばしていく。このときには、筆者もヒールスキルを発動させる機会はあまりなく、終始イージスをはじめとしたプロテクションを配りまくる状況になった。相手チームはこちらの戦力の循環をどこで断ち切ればいいのかを、完全に見失っていた。 試合開始から約24分。相手ギルドの門前付近へと、再度押し込んでいった。すでにギルドシーフによって破壊されている門をくぐりぬけ、相手陣地内へと踏み込む。先ほど巻き返しをくらったときは、勢いにまかせて、固まって進んでしまったため、戦力を切り崩されてしまった。今回は、前衛と後衛が距離をとって分かれ、復活タイミングによって起こる巻き返しにも万全の体制をとった。 相手ギルドが次の復活タイミングを迎えて復帰、ギルドロードのいる位置の前にある階段で最後の激突が繰り広げられる。こちらの後衛にまで手が届かぬよう、階段を埋めつつ進む前衛ジョブ。筆者は変わらずプロテクションを配り続けている。狭い場所まで押し込まれると、相手は反撃の糸口がなくなってくる。ほどなくして相手プレーヤーの最後の一人が倒れた。すると、相手プレーヤーの一人が、こうタイピングした。 「Good Game」
本作のPvPにおいて、勝敗が決したときに最も多く見られる共通の言葉だ。略して「GG」とタイピングすることのほうが多いのだが、フルにタイピングしてくれたこと、そしてまだ試合中にも関わらずタイプしてくれたことに思いを感じる。戦況がシーソーのように揺れた面白い試合だった。こちらのメンバーも「so nice game」と返す。試合開始から約35分。相手ギルドのギルドロードが倒れ、筆者の所属するギルドの勝利で試合の幕は降りた。
■ 「個」の洗練から「集団」へ。チームビルドを練って、目指せ! GWFCの頂点!!
ひとつ共通している点といえば、個々のプレーヤーが役割を最大限に発揮する、という前提がある。まず、個々の役割が明確に洗練されていかないと、チームビルドを考える軸ができあがらない。 本作のPvPのバランスは非常に良質だ。奥深い練りこみが可能なギルドバトルにおいては、それがさらに強く感じられる。理不尽さが少なく、本稿中にもあるが運要素も少ないため、純粋に実力を出し切れる。勝ったときも負けたときも理由が明確なことが多く、納得することができる。
なおタイミングの良いことに、3月7日より、「The Guild Wars Factions Championship(以下、GWFC)」というギルドバトルをテーマにした世界大会が行なわれる。世界NO.1のギルドを決定するこの大会は、ギルドランキングをもとに、期間内の上位ギルドを選出し、半年ほどの期間をかけて世界一を決定していく。もちろん日本もこの大会の対象地域だ。日本のギルドが世界を相手にどこまで通用するのか。ギルドバトルを楽しむのならば、いっそ世界一を目指してみるのもよいだろう。
□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2005年3月6日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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