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会場:Softworld本社ビル
今回インタビューに参加して頂いたのは、Softworldのマーケティング部副部長 謝明娟氏、Game Flierからマーケティング&プロダクト部マネージャーの李初陽氏、オペレーションセンターマネージャーの銭幽蘭氏、そして新しい子会社Game Firstからはマーケティング&プロダクト部チーフの陳鴻文氏の4名。 今回は、Softworldグループの人気タイトルを中心に、得意とするプロモーションやマーケティングプランから、台湾オンラインゲーム事情を覗いてみた。
■ 「World of Warcraft」が「ラグナロクオンライン」に続く大ヒットコンテンツに
謝明娟氏: 子会社別に申し上げると、一番大きなのは米Blizzard関連会社と共同出資した子会社GameFirstが「World of Warcraft」のサービスを開始したことです。次にGame Flier(遊戯新幹線)が全部で9タイトル展開しています。このうち「剣侠情縁II(JX2 Online)」は、去年は発表だけでしたが、今年から正式サービスを開始する予定です。Chinese Gamer(中華網龍)はこれまでに5タイトル運営していまして、新たに「Wonderland Land(漂流幻境)」というタイトルを出しています。Chinese Gamerからは「トリックスター」を含めて何タイトルか出す予定です。 編: その中で人気の高いタイトルは何でしょうか? 謝: 今のところは「ラグナロクオンライン」(RO)と「World of Warcraft」(WoW)の2タイトルですね。 編: 最新のユーザー数はどれくらいですか? 謝、銭幽蘭氏:「RO」は発表できる数字としては2005年の最高同時接続数が35万人。一方、WoWは昨年12月12日に12万人を突破しています。 編: その他にも「信長の野望Online」、「RF Online」といった新規タイトルをいくつかリリースしていますが、こちらの人気はどうでしょうか。 銭: 「信長の野望Online」は去年の夏から課金を開始して、最大同時接続者3万人です。「RF Online」は3万8,000人です。 編: 新規タイトルの中では「WoW」の人気が高いですが、ヒットの要因は何だと思いますか? 陳鴻文氏: 4つありまして、1つはゲーム自体がうまく設計され、完成度が高いこと。次に我々のプロモーションが功を奏したことだと思います。3つめに、弊社のプロモーション、カスタマーサービス、運営チームが努力してくれたこと。4つ目は開発メーカーのBlizzardが強力にサポートしてくれたことです。 編: たとえば、どのようなプロモーションを行なったのですか? 陳: 正式にサービスする前にユーザーとの対面会を行ないました。ゲーム自体は去年の8月にクローズドβ、9月に正式サービスをスタートしています。正式サービスの半年前からプロモーションを展開していました。また、9月のサービス開始から60秒のTVコマーシャルを流しました。これは功を奏しました。 サービスを開始した後、「WoW」バスも用意しました。Taipei Game Showにも出展しています。このバスの中でユーザーが実際に「WoW」を遊んだり、ムービーを見ることができます。「WoW」のバスは2005年は主に展示会場で展示していましたが、今年は学校等にも向かわせようと思っています。オンラインではYahoo!と提携して、Yahoo! メッセンジャーでイベントを告知したり、スキンの提供をしたりしています。
■ 「信長の野望 Online」は日本語講座などゲーム外コンテンツで高年齢層にアピール
銭: 「信長の野望Online」に限らず、どのタイトルに関しても我々の基本的なスタンスは、いまの数字で満足してはいけないという事です。サービスに移る前、社内ではこのゲームは非常に深みがあって、ユーザーが定着しやすいゲームだと考えていました。 一般的に台湾のオンラインゲームのユーザーは10歳から25歳くらいまでが主なターゲットになりますが、「信長の野望Online」では年齢層が高く、40歳~50歳の人でも遊んでいます。もともとの弊社のユーザーとは違った年齢層の方も遊んでいるということで、新しいユーザーの方にも長く遊んでもらえるような提供の仕方をしたいと思いました。 編: 「信長の野望Online」は、日本の領土を取り合うようなゲームデザインとなっていますが、これは台湾のユーザーにすんなり受け入れられたのでしょうか。 銭: 台湾のユーザーにとって、そうした事が敷居の高さに繋がっているのは事実です。私も日本の歴史には興味がありますが、すべてわかっているわけではありません。ユーザーの方にもすぐにわかれというわけではなく、時間をかけてじっくり楽しんでもらいたいと思います。 編: 台湾のユーザーに日本の歴史を浸透させるためにどのような試みを行なっているのですか? 銭: たとえば、「信長の野望Online」には屋敷の機能があります。日本の伝統的な住まいには「鴨居」がありますが、台湾のユーザーにしてみれば鳥の鴨が居るということで、どういうものなのか意味がよくわからない訳です。「信長の野望Online」にはこうしたケースがしばしばあります。 ユーザーによりわかりやすくするために、公式Webサイトに説明ページを設けてゲーム内に登場する日本の伝統的な事物を写真付きで紹介したり、実際の使い方や背景を教えたりしています。ユーザーの利便性も高まりますし、ゲームへの親しみも深まります。台湾のユーザーにとってはなじみの薄い要素をどう親しみやすくするかというところに気を遣っています。 編: ちなみにユーザーからの要望で多いのはどのようなものですか? 銭: ユーザーはコーエーのゲームに対する信頼感があり、満足度は凄く高いです。合戦に関していくつかの要望はありますが、概ね満足しています。 私は最新情報をチェックするために時々日本のサーバーでもプレイするのですが、日本サーバーの合戦は日本人らしい礼の精神が感じられます。ですが、台湾のユーザーは、合戦が終わった後で、合戦の結果について、掲示板で激しい罵り合いを始めます。 また、「信長の野望Online」の特徴に徒党をくんで旅に出かけるということが挙げられます。しかし、台湾のユーザー層は年齢層が高くサラリーマンも多いため、なかなか仲間が集めにくく、こうした状況を改善してほしいという要望があります。 この問題は日本では改善されていますが、アップデートに時間差があり、台湾での改善はまだです。これを踏まえて、3月か4月には台湾でも改善する予定です。
■ 新規ユーザー頭打ちで変わるプロモーション戦略に変化が
銭: 「RO」はサービス開始から2、3年たちまして、すでにレベルが最高に達してしまっているユーザーもいます。現在は大規模なイベントに対するニーズが高く、その時はワッと人が集まります。 編: 逆に言うと、大型のイベントがない時期ではユーザーは少ないわけで、そういった意味では飽きも来ているのでしょうか。 銭: 飽きが来るのは避けられないことです。救いなのは開発のGravityが開発スピードを早めていることです。クエストやマップ、アバターの開発を積極的に行なっているので、コアユーザーの流出を防いでいると思います。先日台湾では「人工生命体」というアップデートがあったばかりです。 編: 台湾で人気の大型のイベントとはどのようなものでしょうか? 銭: 昨年のクリスマスから今年の旧正月にかけて3カ月間に渡って一連のイベントを行ないました。3つの段階にわけてイベントを行なったのですが、webを使ったプロモーションでは新しいNPCやアイテムを使ったイベントを企画しました。 メインでは攻城戦のイベントをやりました。Webサイトとゲームの連携のほか、イメージキャラクタ、雑誌広告、Webサイトでの広告を集中させました。Gravityには新しいNPCや敵のキャラクタも設計してもらいました。最後に旧正月のイベントを開きました。 編: 日本のパブリッシャーであるガンホーはラグナロクジャパンチャンピオンシップ(RJC)ですとか、オフラインミーティングのようなオフラインイベントを定期的に開催しています。オフラインイベントに関して台湾ではどういった取り組みを行なっていますか? 銭: 「RO」については、オフラインイベントはサービス当初からやっています。Softworldは台湾で一番早くから、頻繁に行なっている会社です。2年前、3年前とラグナロクカーニバルというイベントをやっています。 謝: 「RO」は同時接続35万人ほどいったわけですが、その流れはオンラインゲームという枠組からひとつの流行に変わっていったんですね。最初の頃、ゲームのイベントではなく、もっと大きなオフラインイベントを企画していました。 2003年には台北、台中、高雄という3つの地域でイベントを行ないました。イメージキャラクタの歌手を呼んだり、露店や夜店のようにユーザーが遊べるようなイベントを用意しました。1つの会場で2万人、3つの会場で6万人のユーザーを集めました。ゲームを大衆化するという目的で大きな効果のあったイベントです。 2004年は最初の年とコンセプトを変えて、ゲームを健康なものだということをアピールするのにバスケットボールの大会イベントを企画しました。台北、台中、高雄の会場で3on3のストリートバスケ大会を行ないました。普通のオンラインゲームという範疇から外れて、もっと明るい太陽の下で遊びましょうよということで集めました。1会場あたり約2,000人×3会場の動員でした。これまでゲームのイベントといえば台北だけだったのですが、台中と高雄という地方でも行なったのです。 その後、2005年には、サービス開始から3年たち、ユーザーの新規加入数も落ちてきています。そういった傾向から、現状のユーザーと一度プレイしたことのあるユーザーへのアピールを中心にオンラインイベントへとシフトしました。攻城戦イベントもそうですし、ロト6を真似たイベントですとか、お久しぶりイベントなども行なっています。2005年はオンラインのイベントを集中していました。2006年もオンラインでのイベントがメインになると思います。 李 初陽氏: 2005年の後半からイベントの調整を行なっています。ユーザーの構成についても新規ユーザーが少なくなっていますし、今まで遊んだことがあるユーザーを大切にしなければならないということも重要なポイントだと思います。 また、GameFlierのユーザーをすべて合わせればかなりのユーザー数になると思います。 ゲームは遊んだことがあるけど、イベントには参加したことがないユーザーがいるのでそうした方にもイベントの楽しさを伝えたい。 銭: 「信長の野望Online」は日本そのもののファンが多いですね。公式サイトに日本語教室があったり、日本の戦国時代の地図と今の日本の地図を比較してみたりですとか、信長とは直接関係ありませんが、日本の妖怪を紹介したりですとか、そうしたことで新しいユーザーさんを取りこむ試みをしています。オフラインイベントでの精神をオンラインイベントで活かしています。オンラインでそのポリシーを発揮しています。 編: オフラインイベントのポリシーって何でしょう。 李: 2003年、2004年とオフラインイベント行ないました。その中にはユーザーさんに遊んでもらったり、提携メーカーブースもありまして、そうしたものをオフラインイベントではなくてWebで再現できるようにしようと。この背景には、費用対効果のバランスもあるのですが。 台湾のトレンドでハローキティやワンピースの小物やグッズが流行っていますが、それらと提携したり、2月14日や3月14日のバレンタインとホワイトデーに合わせてイベントを行なっています。ここ最近のGameFlierでの一連のイベントを「情流感」(恋愛相談)と銘打っています。このネーミングは「禽流感」という鳥インフルエンザの中国語と同じ発音にかけています。
■ 国産オンラインゲームの海外進出とコンシューマ市場への参入
謝: 概算で台湾ゲーム市場が100億元(約400億円)といわれていまして、Softworldが30億元(約120億円)ですのでこれからいくと3割くらいです。オンラインゲームに関して言えば5割くらいは占めているんじゃないかと思います。 編: 5割の中の主な内訳をおしえてもらえますか 謝: 概算ですが、当グループで大きいのは「RO」と「WoW」が間違いなく大きいです。GameFlierでは「三国群英伝」が大きいです。他のタイトルにつきましては細かくなってしまうのでわかりません。 編: 台北ゲームショーの中で遊戯産業振興会の発足会があり、Softworldの王俊博会長が代表に就任されましたが、こちらの設立の経緯をおしえてください。 謝: ゲーム業界については以前から政府からゲーム産業をまとめてほしいという考えはありました。中国との関係もTCAも積極的に関与してほしいなという考えがありました。また、台湾のゲーム業界ではSoftworldがトップとみなされているので、弊社の王俊博の代表就任に関しては妥当ではないかと考えています。 編: 遊戯産業振興会の目標の中で海外進出というのがありますが、北米、日本へ進出していくというのはありえるのでしょうか。 謝: 現時点でGameFlierとGameFirstは海外タイトルのパブリッシングが中心ですので海外展開は考えにくいです。ChineseGamerは中国的な主題のタイトルが多いのでこれもやはり欧米向けは考えにくい。どちらかというと東南アジア、ベトナムタイフィリピン向けに展開しているからです。今のところ欧米向けというのは考えていませんが、将来的には考えています。Xbox 360はシンガポールの開発メーカーと提携しました。 編: 開発しているXbox 360のタイトルはどのような内容なのでしょうか? 謝: 今は発表できませんが、シンガポールの会社で2年くらい開発を進めています。 編: 中国市場への展開は現在どういった状況になっているのでしょうか。 謝: 台湾オリジナルタイトルを中心にサービスしていきます。Chinese Gamerの「三国群英伝Online」がダークホースで、大陸で人気を博しています。同時接続者数も10万人を突破しました。 編: 2006年以降のSoftworldの展開を教えてください。 謝: 1つ目が年齢層、ユーザー層の幅を上下に広げていきます。「信長の野望Online」や「RF online」のような3Dの歴史モノの投入は年齢層を上のほうに広げられるのではないでしょうか。また、「新絶代双交Online」、「トリックスター」などのカジュアルゲームで下の年齢層を取り込んでいきます。2つ目はXbox 360を発展させていき、3つ目にSoftworldを発展させていく。我々はパブリッシャーですが、子会社のソフトの他の台湾開発メーカーのタイトルも積極的にパブリッシングしていきたいです。 編: ありがとうございました。
□Taipei Game Showのホームページ (2006年2月19日) [Reported by 中村聖司]
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