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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約800円)
■ 台湾大手ゲームパブリッシャー10社で遊戯産業振興会(GIPO)を設立
毎年初日は、主催のTCAによる台湾政府経済部や大手メーカーの代表を招いたオープニングセレモニーが行なわれる。定例の内容としては、台湾ゲーム市場の現況報告や政府からの支援、育成事業の報告、2005年のゲームから部門ごとに優秀作を選出するアワード「GAMESTAR」の授賞式などが挙げられる。昨年は、初出展のSCEH(現SCE Asia)の安田哲彦董事長が招かれ、大きな拍手で迎えられる中、挨拶を行なった。 今年のセレモニーでは、立法院(国会に相当)の王金平院長が出席し、挨拶を行なった。王氏は、ゲームのやりすぎ、不正行為、PKなどがユーザーの不満として蓄積されていることを挙げ、「この影響が立法にまで及ばないか心配している」と懸念を表明。GIPOの設立を歓迎し、ゲーム産業を健全な発展に導くことに期待を寄せた。政界のトップが、ゲームデザイン上の問題点に言及するところに驚かされたが、それ以前にこうした“セレモニー”の挨拶で、具体的な提言を行なうというところが凄い。 今年の目新しい発表としては遊戯産業振興会(Game Industry Promotion Association)の設立が挙げられる。GIPOは、日本のCESAに相当する団体だが、国内ゲーム産業の健全な発展に加え、自社開発力を育成し、海外進出を大きな目標としているあたり、韓国のKorea Game Development & Promotion Institute(KGDI)に性格がよく似ている。 GIPOの設立式では、オープニングでスピーチ壇の脇の小部屋から、右手に剣、左手に盾を持った10人の“円卓の騎士”がゾロゾロと出現。そのコスプレをした人物が、GIPOを構成する10社の代表者だったことから、多くの業界関係者が参席する場内からは大きな笑いが起こった。日本ではちょっとありえない展開である。 10社の参加企業の内訳は、GIPO代表を務める王俊博董事長率いるSoftworldを筆頭に、Gamania、Softstar、IGS、Interserve、Digicell、Wayi、Fun Town、XPEC、Lager。純粋なデベロッパーであるXPECなども含んでいるが、台湾では名の知られたメーカーばかりが集まっている。逆に言うと、ここに挙げられたメーカーが台湾ゲームメーカーのほとんどということでもある。この10社を持って、すでに飽和状態なのが台湾オンラインゲーム市場の現状であり、活路を海外に見いだすのは自明といえるだろう。
これまで台湾ゲーム産業は、コンピュータ繋がりということでなし崩し的にTCAの管轄下に置かれていたが、TCA自体は、台湾輸出産業のメインストリームであるコンピュータ関連だけで手一杯な部分があり、GIPOの設立は、有力輸出候補先の日本にとっても歓迎できる話だ。わかりやすいメリットとしては、台湾産タイトルの日本展開の機会の増加、台湾へのゲーム開発の委託機会の増加などが挙げられる。GIPOは、2月16日に設立されたばかりだが、今後の活動が楽しみだ。
■ SCE AsiaはPSPとPS3を大プッシュ、Xbox 360の発売を控えたMicrosoftは未出展
アジア地域で精力的に展開しているPS2とPSPに加え、今年は新たにPS3シアターを設置。アジア地域でのPS3およびPS3シアターの公開は、韓国、香港についで3カ所目となるが、発表内容も昨年のE3レベルに留まる参考出品レベルにも関わらず、初日のオープニングセレモニーでは、カメラを携えた記者、関係者に加え、多くのテレビカメラが押し寄せた。 ちなみにSCE Asiaは、SCEJ(日本)、SCEA(北米)、SCEE(ヨーロッパ)に続く4つ目の独立単位となる。2005年7月の組織変更で新たに誕生した組織で、正式名称はアジア事業統括本部。台湾、香港、タイ、マレーシアなど東南アジア地域を担当するSCEH(HongKong)を中核とし、SCEK(Korea)、ソニー本体が代理販売を行なっていた中国などをすべてひっくるめた日本を除くアジア全域を担当する部署となっている。 SCE Asiaには1部と2部が存在し、1部が台湾、香港、韓国を中心としたアジア地域、2部が今後成長が見込まれる中国となっている。中国を独立部署としているところに、SCEIの中国進出に対する強い期待が伺える。本部長はSCEH董事長としてアジアを統括していた安田哲彦氏がそのまま引き継ぎ、さらに2部部長も兼務するなど、中国での本格展開を見据えた布陣となっている。 初日のオープニングセレモニーでは、SCEの台湾展開に尽力頂いたという前経済部長の何美氏や経済部工業局局長の陳昭義氏らを招き、SCE Asiaを代表して本部長の安田氏が挨拶を行なった。安田氏は、冒頭で台湾進出から5年が経過したことを報告し、この間を支えてくれた、経済局や業界関係者、マスコミ、ユーザーに感謝の意を述べた。 2005年5月に発売したPSPについては、数多くのラインナップを揃え、ゲームのみならず、音楽、映画、TVなどを視聴できるメディアプレーヤー的な楽しみ方が可能なハードウェアであることを挙げ、「その使いやすさは日々進化しております」と自信を覗かせ、来月3月にはオンラインサービスの提供を開始することを報告。その後、PS3シアターの大画面、フルHD、立体音響システムといった特徴を紹介した。 最後に安田氏は、今なお海賊版が存在し続けていることに触れ、「我々のライバルは、同業他社ではなく、並行輸入業者や海賊版業者です」と強調。「この5日間を事故のないように楽しんでください」と笑顔で締めくくった。 一方、昨年、Xboxを大々的に展開していたMicrosoftは、今年は出展を見合わせていた。この背景には、台湾でのXbox 360の発売が遅れていること、台湾ユーザーが好むコンテンツがなかなか揃わないことなどが挙げられそうだが、Xbox 360の発売を3月16日に控えているだけに、出展見送りは正直言って意外だった。
同じコンシューマ市場の仲間であるSCE Asiaの関係者も「一緒に市場を育てていくパートナーだと思っているので、出てほしかったですね」としきりに残念がっていた。初日にTCAがプレス向けに配布したTaipei Game Showの開催概要資料にも「Xbox 360の発売が遅れるなか、SCEHはためらうことなくPS3シアターを公開した」となかなか手厳しい。台湾における次世代機戦争は、PS3が不戦のまま一歩リードといった印象である。
■ 韓国大手が本格参入、台湾市場の台風の目に
一方、Taipei Game Show本来の主役である台湾メーカーは、SoftworldやSoftstarなど大手が存在感を示す一方で、Gamania、Digicellなどが未出展だった。全体の規模で言えば、台湾勢が優勢なのだが、ブースの広さのトップ3を日韓のメーカーが占めているため、ともすると押されがちの印象は否めなかった。台湾のゲームショウだけに、台湾メーカーにはもっともっと頑張って欲しいところだ。 余談だが、出展した2社は、コーエーの「信長の野望 Online」、「大航海時代 Online」のパブリッシャーであり、未出展の2社は韓国大手Nexonの主要タイトルのパブリッシャーである。Softstarブースで「大航海時代 Online」が大々的に出展されているのに比べると、Nexonタイトルの存在感はまったくゼロであり、ちょっと可愛そうだった。特に今年は、最大のライバルであるNC Softが圧倒的な存在感を見せていただけに、Nexon関係者は複雑な思いなのではないだろうか。 ただ、Gamaniaは「メイプルストーリー」において、既存のプロモーションチャネルではなく、Yahoo!を使ったプロモーションで大成功を収めており、多大な費用を必要とするTaipei Game Showへの出展は必ずしもベストチョイスではないという考えも出てきている。 また、NC Taiwanを通じてパートナー関係にあるGamaniaとNC Softの間柄も微妙になりつつある印象がある。両社の関係は「天堂(リネージュ)」の契約以来、蜜月関係にあったが、「天堂II(リネージュII)」では、NC Taiwanを共同で設立し、ファシリティや課金はGamaniaのシステムを採用するが、パブリッシャーはあくまでNC Taiwanとなっている。「激戦(Guild Wars)」でもこの方式は受け継がれている。
そして今年のオープニングセレモニーでは、韓国NC Softのキム・テクジンCEOが登場したものの、GamaniaのAlbert Liu CEOの姿はなかった。NC Softのカジュアルゲームポータル「PlayNC」の発表においても、Gamaniaとのパートナーシップに関する発表は一切なく、課金決済にGamaniaのGASHプラットフォームを使うかどうかも未発表だった。実際、GamaniaがGASHプラットフォームと、PlayNCは戦略的に衝突する部分が多く、ここがどうなるのかは注目されるところだ。
□Taipei Game Showのホームページ (2006年2月17日) [Reported by 中村聖司]
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