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【連載第12回】ユーザーの視点から感じたノーラスの姿をレポート

エバークエスト II 連載
~ノーラス“見・遊・触・楽”記~


初の拡張ディスク「デザート オブ フレイム」が登場!
派閥抗争やFPS風のアリーナなど新しい試みを味わう


 12月15日、エバークエストII日本語版(以下、EQ2)初の拡張ディスク「デザート オブ フレイム(以下、DoF)」が発売された。DoFは砂漠を舞台にした新エリアを追加する拡張ディスク。新エリアの追加にともない、これまでのレベルキャップである50は60に引き上げられる。新エリアには、街中で派閥抗争が楽しめる危険溢れる盗賊の街マージ・ダルがあり、街中のアリーナでは既存の遊び方とはまったく異なるPvPスタイルのゲームも楽しめる。

 本稿では、Evilサイドのキャラクタで「マージ・ダルでの派閥争い」と「新エリアに見られる様々なギミック」を、Goodサイドのキャラクタではマージ・ダルの「アリーナ」を紹介しよう。なお、DoFの基本的な概要については“「エバークエストII デザート オブ フレイム」体験レポート”でも紹介しているので、合わせてご覧頂きたい。

『冒険記第12回~EVIL編~』
 マージ・ダルで日夜繰り広げられる派閥抗争に身を投じる!

魔法の絨毯に乗り、マージ・ダルを監視するウィザード・ガーディアン「シャイル」
 DoFエリアの活動の拠点となる新都市「マージ・ダル」。DoF導入済みのユーザーならすでに足を運んだことと思うが、この街は、街特有の「安息の雰囲気」と隣り合わせに、危険も持ち合わせている。ケイノスとフリーポートにはそれぞれ思想の異なる統治者がおり、独自の法が定められていたため、街中では争いは無かった。比べて第3の都市となるマージ・ダルは最も混沌としている都市だ。その理由はマージ・ダルを統治している存在が複数に分裂していることに他ならない。

 マージ・ダルを治めるファクションは、まず、プレーヤーが力を貸せる「ブレード」、「コイン」、「トゥルース」の3つがある。これに加えて魔法の絨毯に乗り空から街を監視、行き過ぎた争いを止める「Sha'ir(シャイル)」というウィザードガーディアン集団。さらに街の下層にある貧民地域を支配する非公式の派閥「ティアーズ」の合計5つが存在する。これらを総称したものがマージ・ダルを統治する「コート・オブ・マージダル」である。

 捉え方は千差万別ではあるが、空の上から街を監視して、彼ら自身の定める法でプレーヤーや他の派閥を押さえつけるウィザードガーディアン「Sha'ir(シャイル)」たちを、ケイノスとはまた異なる形のGood。貧民地域を支配して他の派閥の争いの中うまく立ち回り利益を出しているという「ティアーズ」をフリーポートとはまた異なるEvilと考えてみるのも面白いかもしれない。

 さて、マージ・ダル内でのプレイにおける中心となるのは、プレーヤー自身が選択して力を貸せる「ブレード」、「コイン」、「トゥルース」の3つの派閥だ。ブレードは青、コインは黄、トゥルースは赤と、それぞれにパーソナルカラーを持っていることから、この三つの派閥抗争をマフィアやカラーギャングたちの抗争というイメージに重ねているファンも多いだろう。

プレーヤーが協力可能な3つの派閥「ブレード」、「コイン」、「トゥルース」
写真左から、「ブレード」、「コイン」、「トゥルース」のNPCだ。彼らはそれぞれの拠点や詰め所にいたり、街中を巡回して動き回っている。写真左の背景にあるのは、街中に複数ある派閥NPCの詰め所だ

派閥との友好度はキャラクタ情報で確認できる。写真の状態はブレードの信頼度が少し向上しているだけの初期に近い状態だ
 それぞれの派閥にはクエストの達成や、他の派閥に所属するNPCの撃破といった形で協力が可能。協力することで派閥からの信頼度は次第に向上し、友好的な状態にすると「銀行」や「装備の修理」、「派閥によって異なるアイテム販売」など、マージ・ダルを拠点にするには欠かせない施設群が利用可能になるのである。

 ただし、3つ全ての派閥を友好な状態に保つことはできない。ひとつの派閥の信頼度を上げると、他のひとつ、もしくは二つともの信頼度が下がる。派閥の信頼度が下がると、プレーヤーを認識すると襲い掛かる状態、アグローになってしまうこともポイント。街中に点在する敵対する派閥の拠点や詰め所はもちろん、巡回している派閥のガードが危険な敵となるのである。

 Evil側の私のキャラクタが協力することに決めたのは、青をパーソナルカラーとしている「ブレード」だ。この派閥争いには「参加する」というようなシステム的なアプローチや区切りは設けられていない。最初にマージ・ダルに訪れた状態で、プレーヤーキャラクタの情報にあるファクションの欄にブレード・コイン・トゥルースといった派閥の項目が確認できるはずだ。

 各派閥の初期の信頼度は全て「敵対者」という、ギリギリ襲い掛かることはない状態。盗賊の街マージ・ダルにおいて、外からきた訪問者をすぐに信頼したりはしないのだ。ここから基本的には2つの方法を実行して信頼度を向上させてゆくこととなる。ひとつはシンキングサンドの桟橋にいる各派閥の特使から始まる派閥からのクエストを達成することだ。派閥から依頼されるクエストは信頼度が上がることで、より重要で難度の高いものが出現するようになる。そしてもうひとつは、各派閥に所属するNPCを倒すとドロップする「トークン」をマージ・ダルの月の塔にいるNPCに渡すことだ。

 まずは派閥クエストに挑戦。桟橋のNPCから依頼を受ける。この時に依頼されたクエストは「複数のワニを倒し、ワニの巣を破壊する」というものだ。シンキングサンドの桟橋近くにある「クロコダイルの洞窟」に向かい、ワニを撃退する。この洞窟は、地形的にはシンキングサンドの砂漠の地下に広がる場所だ。洞窟には地下水脈が通り、広大に長く続いている。

 DoFから登場した新アクション「壁のぼり」によって、ダイナミックな高低差のあるフィールドが構成されているのが、DoFのエリアの特徴だろう。この「クロコダイルの洞窟」も、低い場所からはすんなりと歩いて入ることができるが、別の入り口は壁のぼりで昇り降りして行き来する作りになっている。「壁のぼり」がシステム的に用意されていない状態でプレーヤーが高低差を乗り越えるためには、緩やかなスロープや、ワープといったシステムがどうしても必要になる。壁のぼりによってプレーヤーの想像を超える複雑なフィールドを実現しているのだ。

 さて、クロコダイルの洞窟内でワニを撃退し、途中に点在するワニの巣を破壊したところで、派閥のNPCに首尾を報告。NPCに達成を告げると、通常のクエストとは異なる報酬が現われる。今回はブレードの派閥クエストを達成したので、ブレードの信頼度に+2,500、他の派閥には信頼度-2,500が課せられた。

派閥から依頼されるクエストを達成し、信頼を獲得!
シンキングサンドの地下に広がるクロコダイルの洞窟でワニを退治。派閥の特使にクエストの達成を告げると、信頼度が向上した。信頼度の状態によって派閥クエストをくれるNPCは増える

街中で敵派閥のNPCと戦闘! ドロップするトークンを自分の派閥のNPCに納めることで信頼度がアップする
 お次はマージ・ダルの街中でコインやトゥルースのガード撃退に挑戦した。本稿を書いている時点での私のキャラクタレベルは47。相手のガードたちは建物の外にいるもので、54のグループ。詰め所のような場所にいるものだと54ヒロイックのグループだ。レベルさえ上がれば屋外のガードはソロでも倒せるだろうが、屋内だと厳しい。ギルドのメンバーの中でも、同じブレードに協力しているメンバーとグループを組んで挑むことにした。

 まずは街中を巡回しているガードのグループに挑む。メインタンクが攻撃を仕掛け、筆者はシャドウナイトというクラスの立場上、またレベル的な側面もありタンクのサポートをする。ここ半年のプレイを経て、このMTのサポートをしつつ、いざというときにはサブタンクとして行動するというスタンスにだいぶ理解が進んだ。本連載の前回分「ブラッドラインクロニクル」のレイドシーンでも取り上げたが、メインタンクにHP吸収の効果を付与して、HP回復の補助をするアーツや、ダメージを肩代わりするインターセプト系のアーツを駆使して、MTとヒーラーの負荷を軽減する。ちなみに肩代わりして自分に与えられたダメージは自らHP吸収のアーツを放って自己回復する。この直線的ではないが、一風変わった役割が私にはとても楽しく、満足している。

 さて、街中での戦闘は特に戦う場所に気を使う。まず第一に考えるのが範囲攻撃で街の住民を巻き込まないように注意する、ということだろう。街の住人はこれまたレベルが高い。平均的に見て50といったところだ。また、一見グループを組んでいないように見える住人は、襲われている住人を見ると連鎖的に戦闘に参加してくる。

 第二に「シャイルに見つからないようにする」ということが挙げられる。空飛ぶ絨毯に乗り街を監視するウィザードガーディアン「シャイル」はレベル的には61ヒロイックのカッコ付き。とても太刀打ちできる相手ではない。街中には彼らの監視が届かない場所がいくつかあるようなので、戦闘する場所をあらかじめ確保しておきたい。

 派閥のNPCは、倒すと確実に「トークン」をひとつドロップする。これをマージ・ダルの入り口ほど近くにある「月の塔」にいる各派閥のNPCに渡すことで、派閥の信頼度が変化するのである。例えば、ブレードの特使にコインのトークンを渡せば、コインの信頼度が下がりブレードの信頼度が向上する、といった具合だ。先ほど派閥クエストで得た信頼度が2,500ポイントだったことを踏まえて、トークン1枚あたりのポイントを想像すると、およそ100ポイントほどではないかと思われる。また、派閥の施設を利用できるようになる状態「好人物」までは、これまた想像だがポイントにして50,000から60,000ポイントほどが必要ではないかと思われる。

トークンを稼ぎつつ、ドロップアイテムや経験値も一緒に稼ぐ
敵派閥のガードたちはレベル54前後と、EXP目当ての敵として捉えても問題がない。また所定の場所にはリーダー格と思われるネームドのNPCも出現するようなので、ドロップアイテムも期待できる。トークン、経験値、アイテムと、一石三鳥なのだ

トークンを月の塔の特使に渡す
ガードたちを倒して手に入れたトークンは、月の塔の中にいる自分の派閥のNPCに渡すことで信頼度が上がる。このトークン引渡しは数値化されてはいないが、トークン1枚辺りのポイントはかなり少なめと考えていいだろう

ある日見かけた強力なネームドの市民に挑むグループの模様。かなりの難敵だったようで、バタバタとプレーヤーが倒されていった
 派閥の仕組みでプレーヤーが気にかけるのは「異なる派閥に協力しているプレーヤー同士は一緒にプレイできないか?」という点だろう。筆者の場合、ブレードに協力しているため、コインに協力しているプレーヤーと共に派閥NPCを狙う場合は、もうひとつの派閥であるトゥルースを狙えばよいだろうと考えている。ただし、アグローになる敵が同じグループ内でも異なるため、実際には移動などに手間取るだろう。極力一緒に遊ぶプレーヤー同士、またギルドでは協力する派閥を揃えたほうが遊びやすいのは確かだ。

 派閥争いに参加してまず感じることは、街中特有の安堵感を得られる雰囲気の中で、戦闘が可能という新鮮さと不思議な違和感だ。街の中でガードを倒していると最初のうちは「いけないこと」をしているような背徳感も感じた。だが、それもすぐに慣れてしまうと、今度はアクセスのよい街で戦闘できる気軽さが嬉しく感じられるようになった。

 最初に訪れたときには一部のシーフやアサシン以外は襲ってくることがなかったNPCたちが、自分の選択した行動によって敵に変化する。街中には特定の派閥クエストに必要となるのか、もっと高レベルなネームドの市民も存在しており、たまにそれに挑んで壊滅しているグループを見かける。日常の中で争いが茶飯事に起こるマージ・ダルという街は、これまでの「EQ2」には見られない世界観と雰囲気を持っていてユニークだ。また、派閥に協力することで、自分の安全かつ便利な居場所を作ることができるというのも面白い。

 レベル50付近のプレーヤーは、DoFエリアを開拓するにあたりマージ・ダルの施設を利用可能にして、拠点を構成することが有用な道筋になるだろう。もちろん、クエストをこなしたり、レベル50オーバーのNPCを相手に戦闘を重ねていれば、レベルアップも見込める。また、マージ・ダルには本稿の後半Good編で紹介している「アリーナ・チャンピオン」という、通常のプレイとは異なる楽しさがあるコンテンツも用意されており、気分転換にはもってこいだ。

ティアーズからの依頼をこなしてトークンと報酬をゲットせよ!

街中にいるティアーズのNPCからは比較的手軽なレベル可変式のクエストを繰り返し受けることができる。ただし、次のクエストを受けるには30分ほどの時間制限がある
 派閥の信頼度を向上させる方法として「派閥からのクエストを達成する」というものと、「派閥のNPCを倒してトークンを入手する」を紹介したが、実はこの「派閥からのクエストを達成する」には、自分が協力する派閥から依頼されるクエストのほかに、もうひとつ特殊なものがある。それが非公式の派閥「ティアーズ」から依頼されるクエストだ。

 ティアーズのNPCから受けるクエストはレベル可変式になっており、筆者のキャラクタレベル47でクエストを受けた場合にはクエストレベルは47となっていた。クエストの内容は複数の種類があるようだが、いずれもソロで可能なものだ。派閥からのクエストや派閥NPCの撃破はプレーヤーによるもののほとんどの場合グループでの行動が基準となるが、このティアーズからの依頼に関してはソロで達成可能なのが嬉しい。

 内容の多くは、貧民地域にある住宅に押しかけて、住民を暗殺したりといったものだ。住宅の中は小規模なインスタンスになっており、クエスト全体は手間取っても30分ほどで完了することができる。

 なによりこのクエストで嬉しいのは報酬だ。これだけ手軽かつ簡単にこなせるうえにレベルが可変式なものでありながら、結構な金額と各派閥のトークンを数枚もらうことができるのである。このトークンを月の塔の特使に渡せば、もちろん通常通り信頼度が上下する。ただしこのクエストには30分ほどの時間制限が設けられており、連続しては受けられない仕組みになっている。感触的にはスプリットポゥのソロ用コンテンツを想像させるものだ。ちょっと時間のあるときに達成することができるクエストの最たるものだろう。こうした手軽なアプローチも用意されている心遣いは嬉しい限りだ。

住宅に押しかけて寝込みを襲う
ティアーズから依頼されるクエストは基本的に街中の家に侵入し、暗殺を試みるといったものが多い。写真では寝ているNPCのそばにコブラを置いてNPCを暗殺。直後に現れたスペクターのような敵を倒してクエスト完了となる

海の孤島で短気なランプの精霊と対決!

ランプの中に囚われた時間が長すぎて、怒っているランプの精霊。うまく会話を進めていくと、ランプの中に入ることになる
 DoFのエリアを探索していて見つけた、ちょっと面白い仕組みのインスタンスを紹介しよう。それはシンキングサンドの桟橋から確認できる海の孤島「パイレーツ・ピーチ」の海岸にある、海辺にぽつんと落ちている金色のランプがそれだ。アラビアンナイトと言えばランプ。ランプと言えばランプの精だ。この海岸に落ちているランプももちろん「こする」ことができる。

 こすってみると、ランプからポワーンと煙が出て、みるみるうちに精霊の姿になった。これはもしかして願い事を叶えてくれるのでは!? と期待して精霊に話かけると、思いもよらない言葉が飛んでくるのである。

 精霊は、数百年もの長い間、自分を解放してくれるご主人様が現れず、ランプの中に囚われ続けたことに怒っているということなのだ。あまりに怒ったランプの精は、次から自分を呼び出した主人を殺害することに決めたという。実際のアラビアンナイトとはまったく話が違う。願いを叶えるどころか、解放してくれた人を殺してしまうとは。期待に膨らんでいた胸が戦闘の予感で別の高鳴りをみせる。だがそれと同時に、そんな筋が通っているのかいないのかよくわからない話で殺されたのではたまったものではないという思いも頭によぎる。ここで落ち着いて会話を進めて行くと、ランプの中に実際に入れるのか証明させろ、というように会話が流れていく。まずはランプの中に飛び込んでみよう。

 ランプの中は豪華な内装になっており、従者もいれば、美女もいる。なんとも贅沢な暮らしをしている精霊のようだ。短気なランプの精はこう続ける。「実際に我の力を証明してみせたので、次はお前の番だ」と。どうやらランプの精は、部下であるモンスターと順々に戦わせてプレーヤーを死亡させたいらしい。

ランプの中は思いがけず豪華な内装になっていた
ランプの精霊とうまく会話を進めてランプの中に入ってみると、予想外に豪勢な内装になっていた。美女はいるし、従者も多いようだ。怒るほど不自由な暮らしとも思えない。もしかしたらランプの精霊は本気で怒っているわけではなく、余興が欲しいだけなのではないか? とも感じる

 ここまでで察しのよいEQ2プレーヤーは勘付いたかもしれないが、ここはアドベンチャーパック「スプリットポゥ・サガ」でも楽しめたソロ用の闘技場に近い場所なのだ。ランプの精が次々に呼び出すモンスターと戦うことができる。敵のレベルは可変式になっているようで、筆者のキャラクタレベルである47前後に敵の強さが整えられていた。

 早速モンスターに挑戦! ランプの精に準備が整っていることを告げ、中央の絨毯の上に立つ。現れたのはレベル46のサソリのモンスターが4匹。しっかりと敵のレベルが可変になっているようだ。サソリを難なく撃破する筆者。HPとパワーの回復を待って、次の相手に挑戦する。お次の相手は先ほどのサソリとは一回りも二回りも巨大なサソリが現われた。敵のレベルは47カッコ付き。私のキャラクタはこれに大苦戦し、最高の攻撃力を誇る15分アーツ「マレフィックタッチ」を使ってなんとか勝利を収めることができた。

 スプリットポゥの闘技場との違いは、途中でやめても報酬が出たりはしないということ。また、2回目以降のチャレンジでは前に倒した敵は現われないところも異なる点だ。この風変わりなランプの精とのやりとりは最終的にどうなっていくのか? 筆者ももう少しアーツのランクや装備の性能を上げてチャレンジするつもりだ。

ランプの精霊のしもべと対決!
ランプの精霊が呼び出すモンスターと戦闘! 最初の敵はサソリのグループ。お次は巨大なサソリだ。敵のレベルは可変式になっているものの、強めのバランスが取られているようで苦戦するのは間違いない

『冒険記第12回~GOOD編~』
アリーナ・チャンピオンに変身してFPS風のゲームに勝ち抜け!

アリーナのルーム一覧。ここで自分のルームを新たに作成するか、開催されているゲームを選ぶ
 DoFでの魅力的なコンテンツと言えばまず最初に上がるのがマージ・ダルにある「アリーナ」だろう。アリーナというとアドベンチャーパック「スプリットポゥ・サガ」にもあった闘技場と混ざってしまいがちかもしれないが、マージ・ダルのアリーナはそれとはまったく異なる。

 マージ・ダルのアリーナでは、「アリーナ・チャンピオン」という、モンスターに変身して、3つのルールのプレーヤーVSスタイルのゲームを楽しむことができる。その楽しさや魅力は、通常のEQ2で得られるものとはまったく異なる。というよりもMMORPGで楽しめるものとしても異質なものだ。

 このアリーナの楽しさは、Xboxで発売されている「HALO」シリーズや、「バトルフィールド」シリーズのようなFPS的な面白さだ。EQ2という世界観やインターフェイスを利用した、通常の冒険とはまったく異なる楽しさが味わえるのである。

アリーナで選択できるルールは3種類
ルーム作成時に選択できるルールは「チームデスマッチ」、「キャプチャー・ザ・フラッグ」、「デストロイ・ジ・アイドル」の3種類だ。FPSタイプのゲームに慣れた人には耳慣れたルールが多いだろう。あまり経験のない人は「チームデスマッチ」、「デストロイ・ジ・アイドル」でまずアリーナに慣れるのがオススメ

 アリーナでは、まずプレーヤーがルームを作成する。ルーム作成時には「チームデスマッチ」「キャプチャー・ザ・フラッグ」、「デストロイ・ジ・アイドル」というルールが選択可能で、いずれも、赤と青のチームに参加プレーヤーがわかれてポイントを競うものだ。

 チームデスマッチは単純に敵チームのプレーヤーを倒してポイントを競うもの。キャプチャー・ザ・フラッグは敵の陣地にあるフラッグを自陣のフラッグまで持ち帰るとポイントが入るというものだ。このときに自陣のフラッグが敵に奪われているとポイントが入らないため、フラッグを奪うプレーヤーと守るプレーヤーにわかれるなど、戦略が必要になる。

 さて、筆者とギルドメンバーがお気に入りなのが、3つ目のルール「デストロイ・ジ・アイドル」だ。これは敵の陣地にある石造をアーツや呪文を駆使して破壊するというシンプルなゲームだ。

 実際に遊び込んでみると、EQ2のシステムはこのFPS的なゲームに非常にマッチしていることがわかる。中でも重要なのは、アーツや呪文を発動させる距離や視界の概念だ。基本的な攻撃方法となるアーツや呪文を発動させるには、まず対象が有効な範囲にいること、そして、キャラクタの視界内にターゲットが見えていることが前提となる。

 そんな最中、筆者は、敵陣地の奥深くまでなんとか潜入し、敵陣地の真後ろにあたる場所から、こっそりと相手チームの石像を攻撃する作戦に出た。これは他のFPSタイトルでも筆者がまず試してみるやり方だ。死亡した敵のプレーヤーが復帰する場所にむしろ近く、敵陣地の後方である心理的な死角から遠距離の武器で攻撃するというものだ。この思惑は見事に成功し、前方の相手陣地を気にしている相手チームは混乱し、こちらの存在がバレるまで成果をあげることができた。プレーヤーVS形式であることと、戦略の自由度の高さ、個性の異なるチャンピオンのおかげで、プレイスタイルは無数にある。特にこのゲームでデメリットやペナルティが発生することもないので、自由にワイワイと楽しみたいところだ。

自分の立ち回り方にあわせてチャンピオンを選択!
手に入れたアリーナ・チャンピオンはゲーム中いつでも変更が可能。攻撃に参加するのか、守備に参加するのかといった役割に応じてチャンピオンを選択しよう

スピーディーなアリーナのバトルは冒険の息抜きに最適
プレーヤー同士チームにわかれて戦うアリーナは当然、モンスター相手の戦闘とはまったく異なる。チャンピオンの性能や相性もさることながら、相手の足を止めたり、視覚外から攻撃をしかけたりといったことが重要だ。写真右は相手陣地の裏まで進み、相手チームの石像を魔法で攻撃している様子。対戦形式のものでは、相手の意識の裏をかくのがいつでも有効なのだ

 アリーナの楽しさとして忘れてはならないのが、普段グループを組まないと話す機会のない、他のプレーヤーとワイワイとチャットをしながら楽しめる点だ。アリーナ内ではアリーナに参加しているプレーヤー全体に聞こえるアリーナチャットと、チームのメンバーに聞こえるグループのチャットを使い分けることになる。FPSに馴染みがあまりない人でも、アリーナを数回遊んでみれば、攻守の役割などを同チームのメンバーと話し合ったほうがより楽しめるのがすぐに理解できるはずだ。チームの勝利に向かって、それまでは見知らぬプレーヤーであった人と共に楽しむと、あっという間に距離は縮む。勝利したときにはやったーと喜び、負けたときには悔しがる。ただそれだけでいいのだ。

 ちなみにアリーナ・チャンピオンはアリーナの勝利数を稼いだり、もしくは派閥の信頼度をあげると利用可能になる施設で購入して、様々なタイプを入手することができる。それを探してみるのも楽しみのひとつだろう。マージ・ダルのアリーナは、EQ2のコンテンツとしては最もユーザーイベントが行ないやすいものだとも感じる。今はまだDoFリリース直後ということもあって、レベル上げや新エリアの開拓が活発だが、ひと段落したあとにアリーナにはまる人は増えるはず。今後アリーナを利用したユーザーイベントなどが、登場するとよりいっそう楽しめそうだ。そういった動きにも期待大である。


 2005年6月より正式サービスがスタートしたEQ2日本語版。本連載でも正式サービス開始以来その動きを追い、EQ2の楽しさを伝えてきた。この半年で強く感じるのは、サービス当初と比較してゲーム内容が、圧倒的に遊びやすく、洗練されたことだ。ライブアップデート13で適用された戦闘システムの大幅な改修をはじめ、クエストに関するもの、インターフェイス全般にわたって、ほぼすべてが変化したと言えるだろう。DoFでは、待望のギルドバンクも実装され、コミュニケーションを促進させるような要素も整ってきた。MMORPGはサービスの中でアップデートにより進化していく、生き物のようなジャンルであるとは言え、EQ2の正当進化は高く評価できるものだろう。

 DoFに言及すると、その魅力が生まれる過程には、評価の高かったアドベンチャーパック「スプリットポゥ・サガ」の存在が欠かせなかったことが感じられる。手軽なものから奥深いもの、簡単なものから大変に難しいものまで幅広くカバーされていた「スプリットポゥ・サガ」の魅力が、より洗練されてDoFの世界に溶け込んでいるのである。

 DoFで登場した要素の中でも、マージ・ダルのアリーナなどは、既成概念にまったく縛られていない。すべてのプレーヤーが思っているはずの「楽しければ問題はない」ということだけを考えているわけで、アリーナはEQ2らしい形で、別ジャンルの楽しさを取り入れた試みのひとつといえる。MMORPGとしての作りはガッシリと骨太であるEQ2だけに、プレーヤーの想像を超えた新しい試みや楽しさの登場は嬉しい。もしかしたらその先には、まったく新しいMMORPGの姿が垣間見えるのかもしれないと、大きな期待をしてしまう筆者だ。

 筆者の冒険もここ1年で大きく進んだ。最近では魔法展示場やソルセックの眼といった、高レベルの秘境に行ってみたりと、これでもかと奥深く広がっているEQ2の世界とそのボリュームに舌を巻いているところだ。本連載の初期にも書いたが、“エバークエスト”というタイトルどおり、終わりの見えない壮大な冒険が魅力の本作。今後も拡張ディスクやアドベンチャーパックのリリースによって、より一層広がっていくはずだ。それぞれのプレーヤーが綴るノーラスの冒険譚はまだまだ続いていく。終わること知らぬ冒険をぜひ喜びと楽しさで満ちたものにしてもらいたい。

まだ見ぬ場所が広がるノーラス。冒険はエバーに続いていく
こちらは最近の筆者の冒険の一コマ。写真左はエバーフロストにある魔法展示場で巨大な敵グループと対決中。中央はソルセックの眼で巨人との戦いの模様。写真右はDoFのシンキングサンドにいる巨人との模様だ。まだ見ぬ世界がノーラスにはたくさん待ち受けている!



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□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□スクウェア・エニックスの特設ホームページ
http://www.playonline.com/eq2/
□「エバークエスト II」のホームページ
http://eq2players.station.sony.com/ja/

(2005年12月26日)

[Reported by 山村智美/Pomm]



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