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BCは、ネクチュロス・フォレストに存在するヴァンパイアの住処を舞台にしたクエストを集めたアドベンチャーパック。第1弾である「スプリットポゥ・サガ」と同様に、特典アイテムを調べることでBCのクエストが始まる形式だ。敵モンスターのレベル帯は、グループ用でレベル30から45ほど、レイドゾーンではレベル40から50と、ほぼ現在のキャップレベルである50に近いレベルを求められる高難度なコンテンツとなっている。 さて、BCは同じアドベンチャーパックである「スプリット・ポゥ」と比較すると、正反対のコンセプトを持っている。「スプリット・ポゥ」は様々なソロ、グループ、レイド用の様々なコンテンツを“スプリット・ポゥのねぐら”を中心に手軽に楽しめる内容であった。それに対し、BCはクエストを進行させて伝説的なヴァンパイアの復活にまつわるシナリオを追っていくという内容になっている。スプリット・ポゥのコンセプトを「手軽に様々なコンテンツが楽しめる」ものと捉えると、BCのコンセプトは「奥深いひとつの高難易度クエストに挑戦する」ということになる。 BCではクエストの進行によって進入するインスタンスや目的が異なってくる。そのため、共に遊ぶメンバーとはクエストの進行度が一致していることが望ましいということになる。仲のよいギルドメンバーと共に足並みをそろえて進めていくといったような遊び方が無難だろうかと感じた次第だ。この点も踏まえ、スプリット・ポゥを「手軽」、BCは「挑戦」とくくりたい。 今回はこのBCのシナリオ部分にはフォーカスを当てていないため、序盤から中盤にかけての内容を以下にダイジェスト的に紹介しておこう。ちなみに、最後に待ち受ける古代のヴァンパイア「T’Haen the Lost」をサーバー内で一番最初に撃破すると、サーバーにただひとつしか存在しないアイテムが入手できていたのだが、日本向けサーバーであるSebilisとVecsareではどちらも初撃破グループがすでに登場したようだ。スクウェア・エニックスが運営する特設サイトでは、撃破したギルドへのインタビューも掲載されている。ただ、2番目以降に撃破した場合はそのアイテムのレプリカがもらえるということなので、機会があればぜひ挑戦してみて欲しい。
このBCのレイドインスタンス挑戦に集まってくれたプレーヤーは総勢20名。半数のプレーヤーのレベルはキャップレベルである50に到達しており、他のメンバーも平均45以上とかなり高レベルだ。これほどのレベルになると、いずれのプレーヤーもスキルが高い。グループプレイはもちろん、レイド戦の戦術にも理解が高いメンバーが多いため、集合後の事前準備も順調に進んだ。 敵の攻撃をひきつけるMT(メインタンク)にレベル50のガーディアン、MTが倒れたときに敵をひきつけるST(サブタンク)にレベル50のバーサーカー、メンバーのアシストを背負い攻撃対象をセレクトするMA(メインアシスト)にはこれまたレベル50であるトルバドールのプレーヤーにお願いした。続いてグループへの支援効果があるアーツや呪文「Buff」を互いに重ねる。基本戦術が決まり、レイドの総合力が最大に高められたところで準備は万端。いよいよレイドインスタンスへのチャレンジ開始だ!
レイドインスタンス「トゥヘインの魔宮:復讐」へのアクセス権を持つプレーヤーがゾーン移動を選択すると、周囲のメンバーも自動的に移動される。今回は全員がこのゾーンへのアクセス権を持っていたわけではないのだが、一人でもゾーン移動の権利を所持していれば他のメンバーも入場できる仕組みになっている。自分のギルドでこのレイドインスタンスに挑戦するためにも、ある程度BCのシナリオを進めてこのゾーンのアクセス権を取得しておくのもよいだろう。 ゾーンに入ってみると、入り口付近を巡回しているヴァンパイアの従者らしき敵と獣タイプのペットというグループが確認できた。強さはすでに2匹ともレベル47エピック4。チャットで準備が整っていることを互いに確認して戦闘を開始! まずMTが敵のヘイトを稼ぎ敵のターゲットを固定、その間にもエピックらしい凶悪なダメージがMTに及ぶため、ヒーラーによるヒールがMTには降り注ぐ。ヘイトがある程度MTに固定されたと見るや、他のメンバーが敵に近づき攻撃を浴びせはじめる。レベル45以上の戦闘ともなると各クラスともに様々なアーツや呪文を駆使しており、ダメージのやり取りもダイナミックだ。 されども、敵はエピッククラス。かなりのHPとパワーを持っており、まだ雑魚クラスであるにも関わらず、相手はなかなか倒れず、こちらのパワーもぐんぐんと消費されていく。最初の2体を撃破した頃には、レイド全体のパワーは半分以下に消耗されていた。
また、これはファイター系のクラスに共通するアーツではあるが、対象のプレーヤーが受けた攻撃を1度だけ身代わりになって喰らうという「インターセプト系」の呪文も重要視している。これは対象のプレーヤーが喰らう1回分のダメージを奪い、20%以下に軽減して自分に与えるというもの。文字通り、横から被ダメージを奪いとるのである。1/5以下のダメージ値にして自分に与えるため、数値の効率的にもよい。MTにかけるのはもちろんオススメだし、範囲攻撃でダメージを喰らう可能性があるアタッカー等にかけてもよいだろう。頻繁にかけておいて損がない呪文だ。特にモンクやブルーザーといった、軽減力は少ないものの回避力があるタイプのクラスがMTの場合には重要となるだろう。 話をレイドプレイに戻そう。1グループずつ慎重に敵を引っ張り慎重に倒していく。複数のグループを同時に相手してはひとたまりもない状態だからだ。パワーの回復を1戦ごとに行なって少しずつ奥を目指す。通路を抜け、少し開けた場所にでた。ここでこのゾーンにいるとは思ってもいなかったヒロイック表示の敵が見えたのだ。ヒロイック表示の敵はグループ用の敵で、通常のレベル上げで相手するようなノーマルな敵だ。「これは楽勝だね」と話し合い、気軽に戦闘を開始してみると、離れた場所にいたのか、複数のエピックの敵がヒロイックの敵と共に襲い掛かってきたではないか。ヒロイック表示にだまされて何気なく手を出すと、見えていなかったエピッククラスの敵に囲まれて痛い目にあうというトラップ的な仕掛けだ。 予想外の敵グループに襲われて乱戦になってしまい、エピックの攻撃がヒーラーにも及んでしまう。高レベルなエピックの攻撃ともなると、スペルユーザーではあっという間に倒されてしまう。次々にメンバーが倒れ、ここで今回初の全滅という事態になってしまった。辺り一面屍の山だ。
キャラクタを復帰させ、体制を整える。純粋に高レベルのエピックが待ち受けているだけだろうと考えていたのだが、なんとも憎らしく、面白いギミックが待ち受けていたものだ。見事にひっかかって油断してしまった。
じりじりと道を進み敵を片付けていく。戦う敵のグループは相変わらずいずれもレベル45以上のエピックが構成されている。敵グループとの戦闘時間はいずれも長く、通常グループプレイなどで相手する敵とは異なる濃厚な戦闘のやりとりが続く。当初45から47のエピックだった敵のレベルも奥に進むとさらに少しづつ上がっていく。ヴァンパイアの従者たちのグループなどは、すでにレベル51エピック2の敵を3体同時に相手するという構成になっており、倒せるのかどうか不安を覚えるような強さだ。 そのヴァンパイアの従者のグループを撃破して一息ついた瞬間だった。どこからともなく獣タイプの敵が大量に襲い掛かってきたのだ! その数はおよそ6、7匹。虚をつかれた私とレイドメンバー。瞬く間に中心的にヒールワークを行なっていたヒーラーのプレーヤーが倒され、ジリ貧の状態に持ち込まれまたしても壊滅! 所定の場所にいるヴァンパイアの従者たちを倒すと、獣型の敵グループが出現してプレーヤーを襲うギミックのようだ。敵の強さだけでも緊張感たっぷりだと言うのに、虚をつく罠もたっぷりと用意されている。これでもかと言うほどの難易度だ。
しかし、こちらも最初の全滅を踏まえて対策をとっていた。特定のサブクラスには、「フェイン・デス」というFDと略される呪文がある。この呪文は対象にしたプレーヤーを一時的に死亡状態にするというものだ。つまり、死んだフリをさせて敵のエンカウンターをやりすごし、敵が離れたら生き返るということができるのである。レイドメンバーの1人が間一髪このFDの発動に間に合い、敵グループが去ったあと、ただ一人生き残ることができた。プリースト系のクラスだけを蘇生可能なグループプレイ時の救済アイテムである蘇生アイテムを使用して、プリーストのクラスを復活させる。生き返ったプリーストは次々にメンバーを蘇生し、入り口まで戻ることなくその場で体勢を立て直すことができた。 一度仕組みさえわかってしまえば、なんとか対策はできるもので、さきほど出現した獣型のグループを撃破。再度、別のヴァンパイアの従者たちのエピックグループを相手にしたときには、戦闘中に「これを倒すとさっきのように敵がくるんじゃないだろうか? 」と予想する会話がされており、予想通り、先ほど同様の新たなグループが出現したときにも見事連戦に勝利! こうして少しずつではあるが、マップの一角を制圧していった。 エリアの一角にいるエピックグループをほぼ殲滅し続けていくと、奥へ進む道の先にキラキラと光る光の壁が見えてきた。このBCエピックインスタンスでは、奥へ進むための道を光の壁がふさいでおり、各所のボスを撃破しないと奥へは進めないのだ。ただ、レイドが進んでいる場所にはそれらしきボスの姿は見あたらない。この付近の敵を排除し続け、エリアの1角にいる敵をなんとか排除し終わったその時、レベル50エピック4という凶悪な強さの獣型のネームドが複数襲い掛かってきたのである。サイズもひときわ大きく、見るだけで特別な存在であることがわかる。さきほどのような通常レベルのエピックであればなんとか対処もできただろうが、このボスクラスエピックの襲撃にはなす術もなくメンバーが倒されていった。 ここで私は先ほどのフェイン・デスを発動。これは間違いなくレイドは壊滅すると確信したからだ。仮死状態になり、ボスクラスのエピックが去るのを待つ。敵が去ったのちにむっくりと起き上がり、蘇生アイテムでメンバーを蘇生した。3度目の体勢立て直しだ。死亡回数が多く重なり、装備品を修理する必要も出てきた。死亡すると装備品の耐久度が下がり、耐久度が0%になったアイテムは、修理をしないと装備不可能になってしまうのである。かくいう私も、フェイン・デスの発動前あたりで気が付いたのだが、肝心の武器の耐久度が0%になってしまい、手ぶらになってしまっている。
ひときわ大きい獣型のボスエピックモンスターを遠めに、今後の進退を話し合う。武器が外れてしまった私以外は、からくも装備が外れていない状態のようで装備の耐久度はみなギリギリの状態。時間的にもこの時点で3時間が経過しており、続行が厳しい状態になってきた。そこで、眼前のボスクラスエピックに最後の挑戦をして、勝っても負けてもそこで終了とするということに意見がまとまった。ダンジョンの作り的にこのボスは中ボスクラスと思われるものの、せっかく出現させるところまで進んだのだから、撃破してみたい! 挑戦してみたい! という思いが皆それぞれにある。
数値的にはまったく勝ち目がないように思えるが、試してみることが大事だ。万全の状態で挑めばもしかして、という思いを胸に秘めてラストチャレンジを挑む。サイズの小さい雑魚のエピックから攻撃して、まず頭数を減らすという攻撃順序をたて、攻撃していない敵は眠らせることができないかどうか試してみることにした。Buffを確認し、ペットを召喚できるものは次々にペットを召喚する。時間的にもラストチャンス、ぜひとも勝利で終わらせたい。 準備が整い、この日ラストの戦闘を開始! MTが攻撃を放つと、ボスエピックのグループが一目散にこちらに走ってきた! ヒーラーは一斉にMTにヒールを浴びせる! しかし、MTは驚くほど瞬く間に倒れた。もう笑うしかない強さである。キャップレベルに到達しているMTに適したクラスのプレーヤーでも数撃で沈められてしまう。エピックモンスターの強さ表示には「神にも匹敵する強さを持っている」というような一文があるのだが、これぞまさしく神にも匹敵する強さである。
あっという間にボスエピックによってまたしても壊滅させられた高レベルレイドグループ。レイドメンバーは口々に「強すぎるー! 」といった言葉や「フルレイドでも勝てるんだろうか? 」といったような疑問を漏らしていた。装備の耐久度が限界にきていたこともあり、この日のBCレイドインスタンスの挑戦はこれにて終了。 BCのレイドインスタンスという、なかなか挑戦できない道の場所だったこと、さらに、驚愕の強さの敵が待ち受けていたこともあり、かなり挑戦的な内容になってしまった。結果は全滅三昧という内容だったため、レイドに誘ったメンバーに申し訳なく謝る私。すると、みな、「死にまくったけど面白かったー」、「リベンジしたいですねー」、「次もよろしくですー」といった返事を返してくれた。この日の冒険が、未知のスペシャルゾーンへのチャレンジであることを理解してくれたことを心より感謝したい。この日はその後、あのようなボスクラスのエピックに勝つにはどのような戦術を立てればよいのか? ということを少しの時間メンバーと話し合い、冒険を終えたのだった。
今回はアドベンチャーパック第2弾のBCで楽しめるコンテンツの中でも、最も高難易度と思われるエピックインスタンスに高レベルなレイドで挑戦した模様をお届けしたが、いかがだっただろうか? EQ2の舞台であるノーラスには今回紹介したような驚愕の難易度を持つエピックインスタンスが複数存在する。いずれもちょっとやそっとではクリア不可能な場所だ。高レベルに到達したプレーヤーでも頭を悩ませるほどの挑戦的なコンテンツがひしめいているのである。レイドの魅力は様々だが、多数の人数で力をあわせて、ソロやグループの規模では決して進めないような場所を進んでいくだけでもとても楽しいものだ。これは個人差もあるかもしれないが、その結果として全滅してしまっても、それはそれで楽しめたりもする。もちろん勝利を得られればなおのこと楽しいはずだ。
レイドは大規模ゆえに準備が大変ではあるが、やはりEQ2の醍醐味だ。強大な敵に共に挑むことで生まれる心がある。それはオンラインの世界とはいえ、そこにいるプレーヤーは皆もちろん現実の人だからにほかならない。共通の敵を前に力をあわせ意思を通わせ、テンションが上がっていく。その先には現実の世界では味わえない記憶を生むこともあるはず。ぜひ皆様にも挑戦し続けてもらいたいと思う次第だ。それではまた次回お会いしましょう。
□スクウェア・エニックスのホームページ (2005年12月6日) [Reported by 山村智美/Pomm]
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