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【連載第204回】 あの、おもちゃを徹底レポート




言葉のコミュニケーションを可能にした続編!
トミー「不思議なおしゃべりペット ファービー2」

「不思議なおしゃべりペット ファービー2」
発売 トミー
価格 4,179円
電源 アルカリ単三電池×4(別売)
発売日 発売中



パッケージは、「話して遊ぶ」トイであることを強調している
 「ファービー」といえば、'99年に発売されたペット型トイ。ユーザーの行動に反応するコミュニケーション機能が画期的で、北米で2,700万台、国内だけでも320万台もの売り上げを記録する大ヒット商品となった。

 今回紹介する「ファービー2」は、その続編。新たに音声認識機能を搭載し、スムースな会話が可能になっている。現在は体毛の異なる8種類のバリエーションが発売されており、クリスマスを目前に迎え、一部のトイショップでは品切れになるほどの好評を博している。

 筆者の個人的な意見を述べると、「ファービーって、本当に可愛いのかなあ?」と常々疑問を感じていた。顔や体の造形があまりにアメリカンテイストなので、まったく琴線に触れないのだ。今回の「ファービー2」は、前作と比べると、可愛らしさは加味されてはいる。けれど、まだまだ手放しで「かわいい!」と言えるレベルに達しているとは思えない。

 とはいえ、好調な売り上げを記録しているというニュースを耳にすると、自分の感性が古くなっていて、今の子供たちにはこれがかわいく感じられるのかもしれない……と不安にも感じる。遊びこめば、筆者の目にも「ファービー2」が可愛らしく映るようになるのだろうか。この疑問を原稿の“裏テーマ”として、レポートを進めてこう。


話しかけると多彩なリアクションを返してくる

 「ファービー2」の外見上の特徴は、その大きさだ。前作と比べるとサイズはひと周り以上大きくなっており、ギュッと抱きしめると心地よく感じられる。ペット型トイとしては、この変更は効果大といえるだろう。変更の理由は、内部構造の変化にある。音声認識機能を追加し、6倍以上のメモリを搭載しているためだ。

「ファービー2」本体。完全な2頭身のクリーチャーだ 瞳は憂いを帯びて、まつ毛が長い。このデザインにとくにアメリカンテイストが感じられる
全身は豊かな毛で覆われており、触れると心地よい 後姿。体に比べると、左右の耳が大きいデザインであることがわかる 足の裏は、しわまで刻まれており、生命感を強調したデザインになっている


 2頭身の本体には、合計で5種類のセンサーが搭載されている。1つ目は、音声認識センサー。白い毛に覆われたお腹の中に内蔵されており、ユーザーが話しかけてくる言葉を識別する。2つ目は、お口センサー。上唇を下へ押すと認識され、「ファービー2」にご飯をあげることができる。3つ目は、おなかセンサー。お腹に触れてグッと押すと、「ファービー2」をくすぐることができる。4つ目は、背中センサー。背中をなでると、「ファービー2」は心地よさそうに目を細める。5つ目は、傾きセンサー。「ファービー2」を持ち上げて、左右へ傾けると喜んだり、不安がったりする。

口を押すと、センサーが感知し、食事を与えられる。おなかが減っているときは喜ばれる お腹に内蔵されたセンサーを押すと、くすぐったさを感じるようで「キャハハハ」と笑う
背中のセンサーを押すと、「ファービー2」は目をトロンとさせ、気持ちよさそうな表情を浮かべる 傾けると「ワア!」と驚いたり、自慢げに「見て!」と言ったりする


 個人的に感心したのが、「ファービー2」の成長段階の演出だ。「ファービー2」はファービー語と日本語の両方を話すのだが、このバイリンガルを生かした仕掛けが施されているのだ。

 「ファービー2」はユーザーが世話をいっぱいして、仲良くなるとその知能が3段階に成長していく。成長段階が1のときは、「ファービー2」は、ファービー語を多用する。しかし、成長段階が3になると、ほとんどの会話を日本語で話すようになる。つまり、成長すればするほど、「ファービー2」の言葉や内面がよくわかるようになり、コミュニケーションも円滑に行なわれるようになるわけだ。大切に接するほどに、成長が嬉しく、また「ファービー2」が愛しく感じられるだろう。

 「ファービー2」とコミュニケーションを行なう方法は、大きく分けると3種類ある。

・「ファービー2」に話しかける
・「ファービー2」からの問いに答える
・「ファービー2」の体(各センサー)に触れる

 この中でユーザーがもっとも多く利用するのが、「『ファービー2』に話しかける」だ。これを中心に具体的な遊びかたを紹介していく。

 ユーザーが「ファービー2」に話しかけられる言葉は、以下の10種類だ。

・「おなかすいた?」
・「占いしようよ?」
・「お話して」
・「遊ぼうよ」
・「歌って」
・「踊って」
・「大好き」
・「おはよう」
・「おやすみなさい」
・「わからない」

 「ファービー!」と呼びかけると、「ファービー2」は「な~に?」や「なに?」、「ん?」と返事をする。ときにはファービー語を使って「Doo?(ドゥー)」と返事をすることもある。

 返事が返ってきたら、上記の言葉のうちのどれか1つを話しかけるといい。たとえば「おなかすいた?」と呼びかけると、「ボク、おなかすいた」などと返事をする。お腹がすいているなら「ファービー2」の口を押して、ご飯を与える。こんな感じで、言葉を中心にしたコミュニケーションを楽しむのだ。

   「占いしようよ!」と話しかけると、「ファービー2」がその日の運勢を占ってくれるようになる。続けて「今日の運勢は?」と訪ねると、「一つ星」、「二つ星」、「三つ星」の中から1つが選ばれ、運勢が診断される。ここで「もっと教えて」と訪ねると、さらにくわしい運勢を教えてくれる。ちなみに筆者の12月22日の運勢は、「二つ星」、「お友だちと出かけるといいことあるかも」だった。

 「お話して」と話しかけると、「ファービー2」が暮らしている島の話を聴かせてくれる。「ボクね、島に住んでいるの」、「ボク、島で遊ぶの」、「ボク、踊ったり歌ったりするの大好き」……話は途切れることがなく、次第に興が乗ってきて、歌を口ずさんだり、体をゆすって踊ったりもする。「ファービー2」のあどけなさが伝わってくる。

 「遊ぼうよ」と話しかけると、「ダルマさんが転んだ」を遊べるようになる。「ファービー2」が鬼の役となって、「だ、る、ま、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ」と実際に話すのだ。「ファービー2」から10歩離れた場所からスタートし、「だるまさんが」と言っているときにお腹に触れられれば勝ち、「ころんだ」のときにお腹に触れてしまうと負け、というルールだ。

 「歌って」は、「ファービー2」の歌を聴ける。持ち歌は童謡「キラキラ星」で、ファービー語で歌われる。ちなみにファービー語による歌は、英語でもない日本語でもない、独特のイントネーションで発声され、可愛らしくも不思議な印象。さわりの部分を紹介すると、こんな感じだ。

tee-wee-lah dee dah-ay-loh
(ティーウィーラー ディー ダーエイロウ)

doo kah way-nah oo-ney boh
(ドゥー カー ウェイ ナア ウー ナイ ボゥ)

 「踊って」と話しかけると、体を揺さぶり、まぶた激しく動かして、できうる限りのアクションを披露する。

 「大好き」と伝えると、「ホントに?」、「ボクもキミのこと大好き!」と嬉しそうな声色で答えを返してくれる。

 「おはよう」は、「ファービー2」の機嫌の良し悪しがわかるキーワードだ。「すごく元気」、「とっても楽しい」などポジティブな言葉を返してきたら、「ファービー2」の機嫌がいい証拠。「少し悲しい」や「あ~」というふうに気のない返事を返してきたら、元気がない証だ。

 「おやすみなさい」は、「ファービー2」を眠りにつかせるための言葉。語りかけると、たちまちのうちにまぶたを閉じ、いびきをかいて熟睡する。

 音声認識の精度は高い、と評価できる。こちらがゆっくりと話し、発音が不明瞭でない限り、ほとんどの言葉が認識される。ただし、会話が弾んでくるとつい日常のように早口で話かけてしまうことがあり、その場合は「ファービー2」は「わからない」という言葉を発する。

まぶたや口の開閉や瞳の動きで、いろいろな表情を生み出す 「おやすみなさい」と話しかけ、眠りこけたところ 写真ではわかりにくいが、体を左右へ揺さぶり、踊りを披露している



遊ぶほどに湧き上がってくる愛着

 「占いしようか?」、「歌おうか?」などと「ファービー2」から話しかけてくることもあるが、コミュニケーションの内容は上記のものといっしょだ。

 「ファービー2」の体に埋め込まれたセンサーに触れると、さまざなリアクションを返してくるが、これらは会話よりも、「ファービー2」の表情の変化を楽しむといった感じだ。「ファービー2」は、瞳とまぶた、くちばし、左右の耳、とさか、そして足が動き、これらの動きを組み合わせて、多彩な表情を演出する。

 こうして遊んでいるうちに、「ファービー2」の言葉にかすかな変化が現われた。それまでは話す言葉の中に「Doo?(ドゥー)」や「kah-ay-tay(カーエイテイ)」 といったファービー言葉が多く混ざっていたのだが、「な~に?」、「ボク、おなかがすいた」などと日本語が目立つようになってきたのだ。文章で書くとあまり大きな変化に感じられないかもしれないが、耳にすると印象は大きく異なる。「ファービー2」の話す日本語が耳に柔らかく届き、「ファービー2」との距離が縮まったように感じられ、親しみが沸いてくるのだ。なるほど、これは小さな子供ならずとも夢中になってしまうだろう。

 筆者の好みが変わったわけではないけれど、「ファービー2」の顔を見ると少しずつ「愛嬌のある顔だな」と感じられるようになってきた。「そんな現金な!」というご意見もあろうが、遊んでみれば、この気持ち、きっとわかる。

TM&(C)2005 Hasbro. All Rights Reserved.


□トミーのページ
http://www.tomy.co.jp/
□「不思議なおしゃべりペット ファービー2」のページ
http://www.tomy.co.jp/furby2/


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(2005年12月22日)

[Reported by 元宮秀介]


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