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今回の試遊イベントは、先日の新日本プロレス東京ドーム大会に引続いて行なわれたもの。東京ドーム前の広場と異なり、一般の往来がほとんどないに等しい代々木第二体育館前。そこにテントが設置されたこともあってか、前回に比べると人数が少なめだったのは少々残念。とはいえ、何の予備知識もない一見さんではなく“会場まできちんと足を運ぶプロレスファン”の反応がダイレクトに確認できるという点で、これほど精度が高い環境は滅多にないともいえる。 体験版をプレイしていた人たちの反応を散見すると、やはりというか当然というか“異様なまでに作りこまれたグラフィックモデルに対する反応”が第一。それに続くのは、ただボタンや方向キーを連打して相手を倒そうとするのではなく「うわ、このムーブすげぇ! 超似てる!」など、きちんとモーションまで確認している人たちの反応。このあたりは、まさにプロレスファンならではの視点。ふとした操作で武藤選手おなじみのポーズが暴発したのか、その画面を見て隣にいた友人と爆笑している人たちの姿も見受けられた。 念のため、なぜこうした反応が生じるのかといえば、別に「武藤選手のポーズが面白いから笑える」のではなく「あまりにもソックリだから」脊髄反射的に笑いがこみ上げているだけの話。これについては筆者も同様で、入場シーンで上半身や顔がアップになった画面を目の当たりにすると、いまだに「うわ、そっくり……」などと頬がニンマリしてしまう。グラフィック表現の正統手がここまで到達すると、その先になにがあるのかと思ってしまうほど凄い。
近年は日本のゲーム業界もレーティング(年齢制限)が厳しくなったため、出血などの演出は難しいかもしれないが、やがては「マスカラ・コントラ・マスカラ or カベジェラ(マスクドレスラーの対戦で、負けたほうがマスクを剥がされたり頭髪を剃られたりする試合形式)なんかも一部始終が普通に再現される時代がくるのかなぁ」といった妄想まで膨らんでしまう。
体験イベントの開始から約30分が経過した頃、あらかじめ告知されていたとおり、全日本プロレス社長兼トップレスラーの武藤敬司選手がテント横の特設ステージに登場。 筆者だけではないと思うが、ゴールデンタイム中継を経過してきた世代は、かつて新日本プロレスで故・橋本真也選手、蝶野正洋選手らとともに“闘魂三銃士”と並び称された武藤選手を目の当たりにすると、やはりある種の感情を抱いてしまう。近年トップを張る若手選手の台頭も著しいのだが、レスラー然としたたたずまいと全身から放たれるカリスマ性は、まさに別格。飄々とした精神的な若さ、ベテランの味が相まった独特の風貌には、ひらたくいえばリスペクト、かしこまっていえば畏敬の念を禁じえない。
ファンサービス旺盛(あるいは過剰?)な武藤選手は、冒頭からユークスの子会社となった新日本プロレスに言及。その場にいた全員を爆笑の渦に誘い込み、一瞬で場の雰囲気とファンのハートを掌握してしまった。司会進行は、「スカイパーフェクTV!」チャンネル「FIGHTING TV サムライ」にてキャスターを務める三田佐代子さん。ここでは、当日行なわれたトークショウの模様を一部抜粋してお届けしよう。
武藤敬司(以下、武藤) 寒い! 俺、とにかくねぇ、みんなと違って毛がねぇからな(一同笑)。余計寒いよ。薄着も、俺こんなに寒いところに連れてこられると思ってなかったからさぁ。 ―― このあと、代々木体育館で試合が行なわれるわけですが、メインは小島聡選手の三冠ベルトに佐々木健介選手(フリー)が挑戦します。武藤選手、この試合に関しては? 武藤 当事者じゃないからねぇ……あんまり、興味ないね(笑) 前回、ここで負けたばっかりだからね。基本的に、どっちに転ぼうが、俺になにも関係ないからねぇ(一同笑) ―― 武藤選手は、本日TARU選手とのシングル。どうやらグレートムタ vs グレート・ルタになるんですよね。どうでしょう? 今までグレート・ニタとか、グレート・コジとか、色々なトリビュート・レスラーがいましたが。 武藤 たいてい、そういうのって気色悪い感じが……大仁田の、なんだっけ。ニタ? あんなの特に気色悪かったからねぇ(一同笑) ―― 大阪の南港から上がってきたときなんか、ホント気持ち悪かったですよぉ! 武藤 ねぇ、気持ち悪いよねぇ。ルタもそう。毒霧がヘタクソだし、色も悪いしねぇ、なんか気色悪いスねぇ。 ―― やはり、ムタにはムタの美意識みたいなものがあるわけですよね? 武藤 まぁ、最近、腹もちょっと出てきてるけどね(笑) それはそれなりに頑張ってますわ。 ―― じゃぁ、今日はわりとハードというか、ラフな試合になるんじゃないかと思いますが? 武藤 んー、もう寒いからねぇ。冷えた身体をハートから燃えさせるような試合をしますわ。はい。 ―― ぜひみなさんもご期待いただきたいと思います。さて今日は、12月22日に、あの! ユークスですね。 武藤 あの、ユークス! は~い、はいはい(一同笑) ―― 武藤選手は、あのニュースをどんな気持ちでお聞きになりましたか? 武藤 いや、あれも、人事だから(一同爆笑) ―― かつて自分がいた会社が買い取られたんだなぁ、みたいな感じは? 武藤 いや、ただ……俺が全日本にきたばっかりのときにねぇ、東スポの一面で猪木さんが「全日本は6カ月で潰れる」って書かれてねぇ、それ凄い根にもってたんスよ(笑) 根にずーっともってたんだけど、急にねぇ。アラ? って。おかえしするスキも与えてくれなかったスねぇ。もう少しで言おうかと思ってたんすよ。「新日本プロレスは6カ月で潰れる」って言おうと思ったのに、いきなりこうなっちゃったから。 ―― そのユークスから発売されますXbox360「レッスルキングダム」ですが、武藤選手はゲームを? 武藤 あまりやらないっスねぇ。ただ、先ほどチラっと俺の姿を(ゲーム画面で)見たけど、神無月よりは似てるね(笑) ―― そりゃムチャクチャ似てますよぉ! 神無月さんについては、どうなんですか? 武藤 神無月? 最近「長州小力」に押されてるなぁ、と(一同爆笑) う~ん、小力、ブームだねぇ。 ―― 息子さんは、ゲームをおやりになるそうですが。一緒にやったりとかは? 武藤 1回アレすると、猿のアレじゃねぇけど、やったらずーっと離さない、みたいな。 ―― お父さんとしては複雑な気持ちもあるんじゃないかと思うんですが。それはさておき、今日はXbox 360の凄い画面を見ていただきたいと思います。デモ画面を出していただけますか?(正面スクリーンに蝶野選手が映る) このゲームには、新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリングノア、さらにはフリーの選手が実名で…… 武藤 似てないよぉ! 本物こんなにいい身体してないよぉ!!(一同爆笑) ―― では、こちらは……これかなりリアルじゃないですか? (武藤選手、小島選手のモデリングに集まったファンから「おぉ~」という声があがる) 会場、リングアナウンサー、レフリーも選べます。あ、これ木原さん(リングアナウンサー)ですね。木原さんの声は、もちろん本人の声を録音したものです。 武藤 あ、お客さんが映ってる! お客さんも表情ありますね。もしかしたら、お客さん(の表情)勝手に使われてるかもしれないね(笑) 「全日本」って書いてある! うち、まだ東京ドームでやったことないんだよなぁ(一同爆笑) ま、それは高い目標として、ね。もう、ゲームの世界は東京ドームの世界までいってるから凄いね(笑) ―― やっぱり、東京ドームの入場はレスラーみんな気合の入り方が違いますよね? 武藤 え? いや、こっからまだ先が長ぇんだよ! 遠いなー! と思ってる(笑) ―― (アップになった)この胸毛が凄いんですよ! もの凄いリアル!! どうでしょう?(会場から再び「おぉ~」の声) 武藤 これちょっと胸毛気持ち悪くねぇか? いや、本当にリアルだねぇ。ていうか、こういうゲームって何回もリニューアルされてるじゃないですか。毎回進歩して、近づいてきますよねぇ。 ―― 私も、ちょっと離れたところで見たときにはゲームだっていう気がしなかったですからねぇ。さて、こう……東京ドームで、全日本プロレスが武藤 vs 小島という試合を行なう、と。 武藤 いいねぇ、夢だねぇ~! いつか、やりたいなぁ。 ―― ゲームの製作にあたって写真をたくさん撮られたということなんですけど。相当な量だったんですか? 武藤 そうですねぇ。だいたい8方向から。 ―― おっと、小島選手が出てきました。花道、しゃべりながら入場してきます。 武藤 表情とか凄いねぇ。 ―― (スタッフ操作による試合開始) 武藤 おっ、京平さん……京平さん髪ありすぎるよぉ!! あとで見てみ? もっとないよ?(一同笑) ―― 試合中は、ボルテージゲージを上げていくことで必殺技が出せるようになっています。 武藤 今、ちょっとLOVEポーズ出すタイミングじゃなかったなぁ(笑) ―― (スタッフ、ここで武藤選手の得意技“シャイニング・ウィーザード”を出してしまう) 武藤 ちょっとちょっと! まだ早いなぁ!!(一同笑) ―― 必殺技が出るとリプレイも流れます。本体にハードディスクがついているので、自分で好きなテーマ曲に変えることも可能です。オンライン対戦も4人までタッグマッチができるようになってます。小島選手、もうすっかりグロッキーですね。 武藤 (画面内の小島選手を見て)この小島の調子じゃぁ、今日もうヤバイね。一度も攻めてない(笑) ―― さぁ、フィニッシュポーズが出ました。シャイニング・ウィザードが炸裂して……なんと、3分9秒という物凄い秒殺です(笑) 武藤 (アップになった勝利画面を見て)……写真みたいだなぁ。写真だよね、コレ? ―― 写真じゃないんですよ。今はここまでリアルに再現できるんです。どうですか、ご自分と見比べて? 武藤 恥ずかしいな(笑) ―― 好きなレスラーが選べて、エディット機能もあります。ドラマモードでは、自分で育てたレスラーを好きなトップレスラーに入門させることができるんですよ。たとえば、武藤選手のところに入門して、武藤選手の付き人として育てることもできると…… 武藤 今、俺、現実でいっぱいやってるから。 ―― どんなことから教えていくんですか? 武藤 あの……なんていうの? スピリットから、具体的なアレから、すべて教えていきますよ。 ―― ゲームではプロレスLOVEから教えられるようですが、入門するレスラーによって育ち方が違ってきます。初回限定でテクニカルファイル付属。あと、本当はこれ隠しキャラだということなんですが……「ムタ」も出るんですよね? 武藤 今日? 俺試合しますよ? ―― 今日はもちろんそうなんですが(笑) ゲームにムタが隠しキャラとして潜んでいるという話で。その撮影をなさったんですよね? 武藤 忘れちゃった……(一同笑) あ、ムタはあくまでも俺じゃないから。記憶にございません。今度聞いておきます(笑) ―― ど、どうやらムタも撮影に参加したようで(汗) ある一定のところをクリアすると「ムタ」が登場します。さて、今日の代々木大会が終了すると、明日から全日本恒例のシリーズ「最強タッグ」が始まります。武藤選手は曙選手とタッグを組みますが、タッグパートナーとしての曙選手はいかがですか? 武藤 いやぁ、いいんじゃないですか? (曙選手が)年末にねぇ、ボビー・オロゴンっていうのと試合しなくちゃならなくて、ちょっと嫌らしいんですよ。そのストレスが凄く溜まっててね、今、いい状態で気持ちがムラムラしてるらしくて。 ―― そういう意味では、曙選手はボビーとの対戦にも備えなきゃいけないし、最強タッグも一緒にやっていかなきゃならないし。楽しみなシリーズになりそうです。12月5日の大田区で最終戦……。 武藤 新日本プロレスって大田区から生まれたんスよね。関係ないけどな(一同笑) ―― ちょっと、何か思うところがありますか?(笑) 会場に対する思い入れはあるんですか? 武藤 ありますよ。その会場で、こういう試合があったとか。だいたい記憶されてるもんスよ。 ―― よく、レスラーのかたって“天井”を覚えているって…… 武藤 天井!? それ弱いレスラーだろ?(一同爆笑) ―― お時間が迫ってきたようですので、最後になにか質問がある方は……(ファンから「今一番対戦してみたい人は誰ですか」との質問に)どうでしょう? 武藤 急に言われてもなぁ。まいったなぁ。色々な人とやってますからねぇ。ちょっと夢物語を言わせてもらうと、やっぱりWWEの大物とか、さ。やってみてぇよな。でもいねぇもんな。どういうのがいる? WWEで。 ―― HHH(トリプルH)とか、バティスタとか……でも、もう武藤選手の世代のあとですものね。 武藤 知らねぇもんな。ストーンコールドとか、やったことあるもんねぇ。 ―― ストーンコールドが、ストーンコールドになる前ですね。ご自身のなかで、WWEの舞台でやってみたいという気持ちは? 武藤 いや、ないよ?(アッサリ) ただ……幸い、今(全日本は)WWEのガイジンばっかりだから。 ―― そうなんですよ。いいメンバーが揃ってますからねぇ。でも、ダッドリーズとかあまり知らなかったそうですが? 武藤 時代が違うからね。こんどサムライ TV見て勉強しときますわ(笑) ―― 最後に、武藤選手からファンのみなさんにメッセージをお願いします。 武藤 いやもうみんなで盛り上がって熱くなろうよぉ。寒ぃわぁ。それだけ。エンジョイしてってください。ささ、早く会場いって、俺、毒霧、仕込まなきゃ(笑) ―― ありがとうございました(一同笑)
(C)2005 YUKE'S
□ユークスのホームページ (2005年11月21日) [Reported by 豊臣和孝]
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