【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

★ピックアップ アーケード★

ワールドクラブ チャンピオンフットボール
ヨーロピアンクラブス 2004-2005

連載【SIDE-A:第4回】

  • ジャンル:スポーツ(サッカーゲーム)
  • 発売元:セガ
  • 操作デバイス:カード移動、戦術ボタン×5、データ表示ボタン、シュートボタン、キーパーボタン
  • 構成:サテライト席8席+メインモニター、ALLNet対応
  • 料金:1プレイ300円、2プレイ500円
  • 稼動日:稼動中

【ゲームの内容】

 ヨーロッパ4大リーグのトップチームと所属選手が実名で登場するサッカーゲーム。ジョイスティックなどで選手を直接操作するのではなく、フィールド上に“実在する選手のカード”を配置して、それを動かしたり、戦術ボタンで指示を与えながらプレイする。練習と試合を繰り返しながらチーム経験を積み重ねていき、チームを強化してカップ戦での勝利を狙う。試合後には選手カードが1枚排出される。



 公式全国大会の開催が発表された影響か、筆者の地元ではWCCF ECで追加された新レギュレーション「5R」に準じたチームでプレイする人の姿が目立つようになってきた。念のため説明しておくと、「5R」はレアカードが5枚以内、さらにはレアカードとスペシャルカードの合計が6枚以上含まれるというもので、レアカード6枚以上の「F(フリー)」よりも財政難になりにくいという特徴がある。

 レギュレーションといっても、現時点では店舗間対戦とその予選トーナメントにあたる「ロケーションチャンピオンシップ(U-5)」をのぞけば実質的な“くくり”として機能していないため、「財政難が怖くないなら、こっちのほうが強いじゃん」と考える人が増えるのは、ある意味(これまでのプレーヤー層から考えても)自然な流れといえる。全カードをトップクラスの選手だけで固めたチームは立ち上げ直後から強烈なパフォーマンスを発揮するため、数値、能力、連携の3つでフィルタリングされたチームは、今後増えることはあっても減ることはないだろう。

 攻撃と守備の両面でピーキーなバランス調整がなされているWCCF ECで、その恩恵を一身に受けた5Rが増える。セ・リーグ某球団のユニフォームカラーからオレンジと白を抜いたような金銀真っ黒の俺的最強チームが溢れ返るという“先祖がえり”的な状況が加速していく様子は、WCCF 2001-2002当時を彷彿とさせる。

 「サッカーゲームとして稀有なまでのキャッチーさを備えた本作の“楽しみ方”を広げていきたい」そう考えるSIDE-Aの連載趣旨からすれば“サッカーとかそんなことは関係ない。勝てばいい”という一点に集束していくのではなく「競技だから勝ちを狙いにいくのは大前提。その一点で足踏みを続けるのではなく、そこから先に広がる風景を視野にいれて前向きに進んでいく」のが当然というわけで、今回はそんな閉塞化しつつあるシーンを“ポストプレーヤーの起用”で打開していきたい。

※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。


■ 守備重視のチームが増加するには理由がある

守備特化チームのサンプル。あくまでも一例につき人選などに対するツッコミは無用
 5Rが増えつつある昨今、趣味チームの監督たちを悩ませるのが“守備に特化したチーム”の存在だ。調整がピーキーなぶんトップクラスDFの堅牢さは相当なもので、極端な話、ゴール前をそうした選手7~8人で固めれば、平均的なCPUチームならプレスボタンを点灯させたまま放置していても失点することは滅多にない。強豪CPUチーム相手でも、失点の要因はセットプレイが大半だ。

 恐らくは店舗間対戦で優秀な成績を収めたチームに倣ったものと思われるが、対人戦でもこうした7-0-3や8-0-2に近いシステムを採用するプレーヤーが増えている。「ただ模倣しただけじゃん」と侮るのはたやすいが、実際に崩すとなれば話は別。現状のバランス調整で鉄壁DFたちにリトリートを徹底されると、ちょっとやそっとフォーメーションやボタン操作を工夫したくらいでは打開できない状況に陥ってしまう。

 戦術的に閉塞した状況を“卓越した個人技”で打開するというのはよくあるシーンだが、まず最初にそれありきといったロケーションの現状で「それに倣え」では、本連載を掲載させていただいている意味がない。こんな状況だからこそ、スピードスターによるサイド攻撃全盛で多くのプレーヤーが忘却の彼方に追いやった“ポストプレーヤー”に注目してみたい。そして“適材適所の大切さ”を改めて再確認していただければ幸いだ。


■ 千丈の堤も蟻の一穴より崩れる ~頼りになる“ポストプレーヤー”の存在~

SP値が低いため軽視されがちなポストワークのスペシャリストたち。だが適材適所で起用すれば抜群の存在感を発揮する
 守備に徹するべく完全に引いたチームを崩すには、現実のサッカーでも常套手段とされているアーリークロスなどの「サイドアタック」が有効。ただし、だからといってサイド攻撃ボタンばかり点灯させていても上手くいかないのはご存知のとおり。選手のAIごとにキャラクタ設定が異なるため、苦手な選手にボールを持たせてもDFに突っ込んで自爆するのが関の山。

 ロケーションで多くのプレーヤーが実践している、両サイドのWGがタッチライン上にビッタリ張り付いた3トップによるサイドチェンジも有効ではあるが、これはWGをこなす選手の視野と超高精度ロングキック能力に100パーセント依存しているため、趣味チームにはおすすめできない。平均的な選手では逆サイドのタッチラインまで蹴れなかったり、蹴れたとしてもスタミナの低下によりボールが届かなくなる選手も珍しくない。扇状に大きく開いた3トップは、常時トップフォームを維持していられる選りすぐりのアスリートを起用して初めて成り立つ方法といえる。

 ここでおすすめしたいのが、能力ではなく“役割”によるアプローチ。これまた現実のサッカー同様に「ポストプレーヤーでくさびを打ち込む」方法だ。一応説明しておくと「ポストプレーヤー」とは前線の深い位置でボールを受ける重要な役割を担う選手で、DFと競り合っても当たり負けしない競り合いの強さが必要不可欠。自身が得点に直接絡むこともあるが、ワークの大半は僚友となるストライカーの得点チャンスを創出すること。くさびとなってボールをキープし、前を向いた味方の足元やオープンスペースにボールを落とすわけだ。

 必然的に“高さ”と“肉体的な強さ”を持った選手に任されることが多いポストワークだが、だからといって身長や体重に明確な基準があるわけではなく、あくまでも選手自身がそうしたプレイを得意としているか(あるいはこなせるか)否かが重要。たとえば、横浜 F・マリノス所属のFW久保竜彦選手は、身長181cm、体重74kg(オフィシャルサイトより)と立派な体格の持主だが、海外トップリーグのFWと比較した場合、決して高いほうの数字ではない。

 だが、2004年4月に行なわれた日本代表の欧州遠征では、ネドヴェドやコラーをはじめとする屈強なチェコ代表の面々が久保選手の身体能力に驚嘆するコメントを残しており、プレイにおける質の高さは“単純な数値では測れない”領域といえる(ご本人の言動も常識では推し量れない不思議な魅力にあふれているが……)。鹿島アントラーズの鈴木隆行選手も、ファール狙いで頻繁に転倒する印象こそ強いが、本気になったときの当たりの強さやキープ力は文字どおり日本屈指だ。

 少々話が脱線してしまったが、深い位置でボールを受けられるポストプレーヤーは、それだけで貴重な存在。あとは、その特徴をWCCF ECという枠内においてどのように実践してもらうのかという話になる。


■ ポストプレーヤーの起用を前提としたフォーメーション例

両脇にポスト役を配してWCCF流にアレンジした一例。FWを減らし2トップの一方にポスト役を据えても構わない
 どっ引きチームの大半は、本バージョンにおける守備の優位性から「人数をかければ守りが一層堅くなる」と考えるようだが、こと対人戦においては“とある1点”で逆効果を生んでいる。それは“守備全体の厚みがなくなる”ことだ。引きこもりチームはセンターライン付近でのボール支配を放棄しているため、ロングパスへの対処法を理解していれば、クリアもしくはカットされたボールをサイドに出される前に、こちらが“高い位置”で再奪取を試みることができるようになる。敵陣内でのプレイ時間が増えれば、そのぶん味方のゴールが脅かされる危険度は減るわけだ。

 ポスト役にボールを出すCH、SH、DHの配置は、センターラインを基準に調節する。相手が引いているとはいえ、その程度には微妙な差があるもの。フォアチェックが速いMFやDHが正面に控えているときは若干低めもしくは左右にずらしたり、プレスを押してこないなど徹頭徹尾引いてくるときは高めにするなど、ボールを放り込む際に適切な間隔や角度になるよう常にカード位置を調整すること。このとき、押し上げてくる相手に対するケアも踏まえておくのが重要なポイント。完全に引いた相手なら「このポジションならプレスをかけて小競り合いに持ち込める」という高さがあることに気付くはず。これが前述の「高い位置での再奪取」にあたる。

 ボールを供給する際、戦術ボタンは(同時点灯含め)カウンターがメイン。敵が密集するエリア内の味方ターゲットめがけて強引にねじこむためクリアされることも多いが、カウンターのミドルパスによる最短手順で再度ボールが供給できるため、各上相手にも攻撃サイクルの早さで勝負できるようになる。このあたりの攻防は一昔前のプレミアにおける“キック アンド ラッシュ”を彷彿とさせ「俺って雑なサッカーやってるよなぁ」と自己嫌悪に陥るかもしれないが、それ以上に粗雑なサッカーをやっているのは銀河系軍団で初っ端から引きこもり上等という相手チームであり、それが一定条件において非常に有効という現バージョンのバランス調整がそうさせていると納得するしかない。

 ただ単にボールを放り込むのが嫌なら、ポストプレーヤーを密集したDFの端にあわせてボールを受けると同時にタッチライン際に走らせてクロスを上げさせたり、プレスがきつめならカウンターでボールを出すと同時に即中央ボタンを同時点灯させバックヘッドで後方のわずかなスペースや僚友の足元にダイレクトパスを狙う、プレスが甘ければ空いたコースめがけて即シュートなど、フィニッシュに至るアプローチに変化をつけてみるのもいいだろう。

 通常、ポスト役はタイプが異なるFWとペアを組むのがセオリー。前述の日本代表欧州遠征では、ポストワークもこなせる久保選手はドリブラーの玉田選手とペアで先発メンバーに起用されている。ポスト役の人数も、一般的にはひとりだが、それでは常に有利なポジションがキープできるとは限らないため、前線の選択肢を増やす意味であえて“ふたり”を配置するのも有効。サイドや中央からポスト役にボールを供給する際、ほんの少しでも有利なポジションにいるFWをMFに選択してもらうためだ。パートナーの選択基準に関しては個人の嗜好が大きく反映する部分でもあると思うので、色々な組み合わせを試していただきたい。

 筆者が起用した範疇で迷わずオススメできるFWは、コッラーディ、フェネホール・O・H、アナスタシウなどの“ポストプレーヤーの典型”といった面々。いずれもスピード値が極端に低いため起用を懸念する人が少なくないかもしれないが、スペースさえあればそのままゴールに向かって走らせても問題ないキープ力を備えている。深い位置でボールを受けるため、チャンスがあればパートナーだけではなく自身のシュート力も存分に発揮させてあげたいところだ。

ボールを奪ったらカウンターボタンで素早くポスト役にフィード。中盤のポジションを調整して、なるべくセンターライン前後で攻撃サイクルを完結させたいところだ ポストプレーヤーは総じてキープ力が高い。受けた直後、前方にスペースがあればそのまま前に走らせてもOK。SP値こそ低いが直線的なドリブルは意外と追いつかれにくい 相手パターンにはきちんと対応すべき。サイドアタックに対してはカットしたボールがタッチラインを割らないようSHを併用して正面で捕らえやすくするなど常に体勢を整えたい


敵DFの厳しいチェックに耐えてボールを受け得点チャンスを創出する。これはポストプレーヤーにしかできない仕事だ
 こうした攻撃手順をみて「単にパワータイプのFWにボールを放り込んでいるだけじゃん」と考える人がいそうだが、実際はそうではない。連携の熟成度やパスを出す選手にもよるが、たとえ同じフォーメーションでも、FWにポストプレイを得意とする選手がいるといないのとでは、そのポジションに対するパスの供給頻度が全然違ってくる。これは、敵が密集しているエリア内の味方に対してパスを出せと指示を出した際、AIの判断基準にポストプレーヤーの能力が(この場合は)プラスの影響要素を持っているのではないかと推測される。

 現時点では能力値のパラメータよりもブラインドデータに寄る所が大きいように感じられるため、極端にパワー値が高くなくてもこなせる選手を探してみるのも面白い。ただし、前述のとおり全選手でもトップ10に入るDFで固められた5Rチームと正面からやりあえるレギュラーカード選手は、コッラーディ、フェネホール・O・H、アナスタシウ、ターレ、トニ、ボナッツォーリなどの典型的なパワータイプということになってしまう。フラットラインが相手ならこの限りではないが、さまざまな局面に対応していくためにも、最低ひとりはポストプレーヤーをチームに所属させておいたほうがいいのではないか、と筆者は考える。


■ 効率面でサイド攻撃に劣るが、現状に辟易している人はぜひ一度お試しあれ

 適材適所は、トップクラスの万能選手ばかり起用しているプレーヤーほど気付かない要素。ひとくちにFWといっても、裏に抜けるのが上手かったり競り合いに強いなど、さまざまなタイプが存在する。ボールの受け方が上手いため必然的に目立つという面もあるが、敵の密集地帯にいてもパスが期待でき、なおかつ状況を打開できる可能性を内包している点で、WCCF ECにおけるポストプレーヤーの存在価値は決して小さくない。今回はポストプレーヤーに注目してみたが、それ以外にもパスやドリブルなど一定のスタイルに特化した選手はたくさんいる。そうした選手を“適材適所”で活躍させるべく頑張ってみるというのも、また監督たるプレーヤーの役目であり、楽しみ方のひとつではないだろうか。

 ただ、実際に試されるうえで注意していただきたいのは、ひとくちに“適材適所”といっても「ゲームとして勝つための効率的なアプローチ」という意味で紹介したわけではない、ということ。PA内で目前のルーズボールを平然と見守る(といっても全然守ってない)、FWのマークをいとも簡単に外すなど、根本的な改善がなされていないDFのAIと相まって、徹底的なサイド突破は現状もっとも有効な攻撃手段であることは間違いない。トップクラスの選手を大前提としたピーキーな調整(さらにはそれを利用した奇怪なフォーメーションと能力重視の選手起用)の前には、“適材適所”も霧のようにかすんでしまうというのが現実だ。

 それでもあえて“ポストプレーヤー”を起用するスタイルを提案したのは、“サイド攻撃以外にも選択肢はあるし、効率面で数段劣ってもアプローチとしては成り立つ”ことを知っていただきたいからだ。「サイド攻撃の成功率が高すぎるからWCCF ECはダメ」というのではなく、プレーヤーの脳裏に“想い描くサッカー”があれば、それを具現化するためにできることは少なからずあるはず。サッカー的なアプローチが水泡に帰しやすい現在のバランス調整でそこに言及するのは酷な話かもしれないが、WCCFシリーズでしか得られないカタルシスが存在する以上、少なくとも次のバージョンをこの目で見るまでは、瀬戸際ギリギリで踏ん張ってみてもいいかなぁ、などと考えてしまうのである。


(C)SEGA,2002,2005
(C)Panini 2005

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「WCCF」公式サイト
http://www.wccf.jp/
□関連情報
【8月5日】ピックアップ アーケード「WCCF EC」SIDE-B:第3回
http://watch.impress.co.jp/docs/20050805/wccf.htm
【7月29日】ピックアップ アーケード「WCCF EC」SIDE-A:第3回
http://watch.impress.co.jp/docs/20050729/wccf.htm
【7月22日】ピックアップ アーケード「WCCF EC」SIDE-B:第2回
http://watch.impress.co.jp/docs/20050722/wccf.htm
【7月15日】ピックアップ アーケード「WCCF EC」SIDE-A:第2回
http://watch.impress.co.jp/docs/20050715/wccf.htm
【7月8日】ピックアップ アーケード「WCCF EC」SIDE-B:第1回
http://watch.impress.co.jp/docs/20050708/wccf.htm
【7月1日】ピックアップ アーケード「WCCF EC」SIDE-A:第1回
http://watch.impress.co.jp/docs/20050701/wccf.htm
【6月29日】セガ、「WCCF」最新作「European Clubs 2004-2005」本日稼動開始!
http://watch.impress.co.jp/docs/20050629/wccf.htm

(2005年8月19日)

[Reported by 北村孝和]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c)2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.