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マイクロソフト、「Xbox Summit 2005」開催
インターフェイス画面など公開。岡本吉起氏のパーティゲームも明らかに

7月25日 発売

 マイクロソフト株式会社は25日、都内ホテルでマスコミ、ゲーム開発者、流通関係者を多数招き、2005年内の発売を目指して開発中の次世代家庭用ゲーム機「Xbox 360」の国内展開などについてのカンファレンスを実施した。今回の発表会においても価格と発売日については発表されなかったが、9月に開催される東京ゲームショウ2005で何らかの形で出展され、さらに発売前後には各種イベントも予定していることも明らかにされた。

 発表会場はかなりの広さながら、来場者でぎっしりと埋まった。現行機種のXboxは、日本国内においてはお世辞にも好調とはいえないわけだが、Xbox 360についてはゲーム開発会社や流通からも「マイクロソフトは今度は本気だ」という声がささやかれ、日本市場においても早い段階から各方面にヒアリングを行ない準備を進めてきたことで、ゲーム業界関係者のみならず多方面から注目を集めている。

 カンファレンスが始まると大きなふたつのスクリーンに、ビル・ゲイツ氏が映し出された。ゲイツ氏は「日本市場はファミコン、プレイステーションなど家庭用ゲーム機が産声を上げた国でシビアな市場」と、目の肥えたゲームファンが多い市場であることは認識しているという。その上で、「Xbox事業部にとって日本は間違いなく重要な市場のひとつです」と改めて強調。「開発者、マーケット関係者、ユーザーとより密接に関わり合いたい」とコメントした。また最後に次回来日時にはゲームに関するアピールを行ないたい旨を語った。Xbox発売された年の東京ゲームショウではビル・ゲイツ氏が基調講演を行ない、発売日には渋谷のイベントに登場している。今回も何かしらのアクションを考えていると思われる。

 続いて壇上に上がったのはホーム & エンターテイメントディビジョン ワールドワイド マーケティング & パブリッシング コーポレートのバイスプレジデントのPeter Moore氏。Moore氏はSega of AmericaのCOOをつとめていたこともあり、米国のみならず全世界のゲーム業界においても重要に位置を占める人物。Moore氏は「Xboxでの課題を認め、日本という進んだ市場からのみ得られる教訓を学んだ」と好調ではないことを認め、そこからXbox 360にかける意気込みを語った。今回はメジャーサードパーティにもコミットしてもらいソフトの制作が進んでいる点をあげ、その理由のひとつがXNAにあるとし、クリエイティビティなツールを手に入れたことで魅力的な作品を素早く作れると語った。

 Moore氏は「このことは日本のユーザーにとっていいことだが、それだけではなく、日本の良質なゲームを世界のゲーマーに提供できることになり、ゲーマーにとってもいい出来事となる」と続けた。「日本はゲームにおいては超大国であり、ゲームにおいては日本がメジャーリーグだ。Xbox 360の登場で次のレベルまで引き上げていく。日本、欧州、米国の3つの市場で2005年内に発売され、エンタテインメントの将来はいま始まることになる」と語り締めくくった。

 続いて登場したのはXbox事業本部長の丸山嘉浩氏。丸山氏は「次世代機はハードウェアだけではダメです。Xboxは発売当初はスタンドアローンのゲーム機だったが、Xbox Liveでオンラインコンソールとなった。その後もミュージックミキサーやビデオチャットなど進化を続けてきた。Xbox 360も進化していく。順次新しい機能を供給していく」とコメント。

 ハードウェア、ゲームエンタテインメント、Xbox Live、そして映像や音楽などライフスタイルに直結する分野をも取り込み、ハイビジョン映像、オンライン、自由にカスタマイズできる機能をまとめて「ハイデフエンターテイメント」と命名。自信を持って次世代機を展開していくとした。

「Xbox Summit 2005」がスタートするとふたつの巨大スクリーンにビル・ゲイツ氏が映し出された。「ファミコンやPSが産声を上げた国であり、シビアな市場であることを認識した上で、「日本は重要な市場のひとつです」とコメント マイクロソフトのバイスプレジデントであるPeter Moore氏。「(Xbox 360の発売で)エンターテインメントの将来がいま始まる」と力強く言い切った Xbox事業本部長の丸山嘉浩氏。「Xboxはハードウェアだけではない。常に進化し続ける」とし、Xbox 360についても進化を続けると語った
発表会で流されたスライドから。ハードウェアだけでなく、Xbox Live、そしてソフトウェア開発ツール“XNA”と言ったものも含め、新しいエンターテインメントコンテンツを提供できる環境となった ゲームはもちろんのこと、Xbox Liveによるコミュニケーションから、映像や音楽などライフスタイルに関するエンターテインメント要素なども含まれる 丸山氏がこれらをまとめて語った「ハイデフエンターテインメント」と命名ハイビジョン映像とオンライン環境、そしてカスタマイズ可能という点が重要な要素としている



 カンファレンスではXbox事業本部 プラットフォーム開発統括部 統括部長の間中信一氏がXbox 360のインターフェイス画面を通じて何ができるかを説明。画面上では各種不明な点も多いのだが、質疑応答がなかったため、明らかになっていない点もある。

 まず電源だが、本体に電源ボタンが付いているが、コントローラの中央の“X”の刻印の入った丸いボタンを押すことでコントローラからワイヤレスで電源を投入することができる。インターフェイス画面では、ゲーム、Xbox Live、メディア、システムなど各項目に分かれている。画面デザインは丸みを持ったタグで区切られておりコントローラーの左右で切り替えていく。この丸みを帯びたタグが“刀”を思わせることから、ブレードと呼ばれているようだ。

 また、Windowsのように複数のユーザーにアカウントが発行され、それぞれのゲーマープロフィールを切り替え、それぞれ別々にXbox 360を使用、カスタマイズしていくことが可能。使用する度にサインイン、サインアウトし、切り替えて使用することになる。このゲーマープロフィールはたとえばXbox Liveに接続したときに他のプレーヤーが見ることができ、たとえば対戦相手を選ぶときの情報のひとつとなる。画面のカスタマイズなどはシステムブレードで行なうことになるパレンタルロックの設定も各ユーザーごとにこの画面で行なうようだ。

 ゲームブレードではこれまで遊んだゲームの情報や実績などの情報が収められている。Xbox Liveブレードではこれまでからたびたび発表されてきたマーケットプレイスへの接続などが行なわれる。ゲームの追加シナリオの配信や購入はここからされることとなる。たとえば、ゲームの途中でもこの画面を呼び出し購入することも可能になるのだという。

 デモンストレーションではメディアブレードの説明で、Windows Media Centerとの接続もしてみせた。ひとつはデジタルカメラをXbox 360に接続し、スライドショウを作成。ただ画像が切り替わるだけでは味気ない……ということでハードディスク上にある音楽をBGMとして設定する事も行なった。Windows Media Centerは画面イメージを統一。リモコンにもメディアセンターエディションのボタンが設置され、でAV機器を操作するように Windows Media Center搭載PCと無線で接続し、ハイビジョン映像の再生を行なった。無線ユニットについてはオプションで発売が予定されており、802.11a、b、g対応で背面にあるUSB端子と接続することで実現できるという。

 Xbox Liveは無料コンテンツも用意されるとされてきたが、今回の発表ではシルバーメンバーシップと、ゴールドメンバーシップの2種類が用意されることが明らかになっている。ゴールドは有料で、シルバーは無料。このため、シルバー会員であればクレジットカードナンバーを入力する必要が無く、自宅がブロードバンド環境であれば、Xbox 360を購入した日からすぐに楽しむことができることになる。

Xbox 360のインターフェイス画面。それぞれを“ブレード”と呼んでいる。ゲームブレードではゲームに関する各種情報が収められている これまで以上に重要な要素となる「Xbox Live」ブレード。ここからLiveにアクセスする システムの設定画面。パレンタルロックやネットワーク設定、そして画面のカスタマイズなど、細かい設定が可能となる
Xbox Liveブレード内のマーケットプレイス画面。ゲームに関する追加コンテンツなどの購入もここで行なう。ゲームをプレイしている途中でこの画面にくることが可能だという ゲーマープロフィール。Xbox 360はWindowsと同じく、1台のXboxに対して複数のユーザーにアカウントを発行し、ログイン/ログアウトすることになる。このプロフィールはLive上でも見ることができ、ネットワークで共に遊ぶときにこの画面を検索することで相手の概要がつかめる仕組みも用意されるという マイクロソフトの間中信一氏。コントローラを掲げ「しっくりくる」とコメントしコントローラ上から電源を投入できるとも語った
画像、映像、音楽などを扱う「メディア」ブレードWindows Media CenterでPCとも接続する 会場ではデジタルカメラを接続し、その画像を使ったスライドショーで流して見せた 「画像データだけでは寂しい」ということで、ハードディスクにある音楽データをBGMとして使用
右写真はWindows Media Centerの画像。デモンストレーションではここからPCに接続詞ハイビジョン映像を再生してみせた。Xbox 360は単体で完結せず、ワイヤレスで多様につながることで様々なことが可能となる Xbox 360の背面にあるUSBに接続することでワイヤレス環境が実現するという802.11a、b、gに対応



 発表会では5月の発表会に引き続き、ファーストパーティのソフトの発表が行なわれた。今回発表されたのはXboxでもヒットを記録したカーレースゲームの人気シリーズ「Project Gotham Racing」シリーズ最新作「Project Gotham Racing 3」と、ゲームリパブリックの岡本吉起氏自らが壇上に立ちソフトの説明を行なったパーティゲーム「エブリパーティ」、キューエンタテインメントの水口哲也氏と韓国PhantagramのSangYoun Lee氏によって制作が進められている「N3 NINETY-NINE NIGHTS」の3タイトル。


5月の発表会に続き登壇したゲームリパブリックの岡本吉起氏。前回はパーティゲームとしか発表されなかったタイトルだが、今回は「エブリパーティ」としてゲーム画面を公開した
 5月の発表会ではパーティゲームということしか明らかにされていなかったのだが、今回はその内容の一端が明らかにされた。タイトルは、エブリバディ(みんな)が遊べるパーティゲームということで、「エブリパーティ」。すごろくをベースに特殊なルーレットを回して進めていく。ミニゲームなどが多数収録され、4人でわいわいがやがやと楽しめる、新しくも懐かしいゲームだ。

 その中でもインパクトのある話題のひとつが、さくらももこさんがキャラクタデザインを手がけているという点。かわいらしいキャラクタが多数登場するようだ。岡本氏は「今回は暴力描写が一切ありません。これまで三角のシールが貼られたソフトが多かったけど、今回はない」とアピール。「なぜパーティゲームと思われるかもしれませんが、私はボードゲームなどが大好き。みんなでわいわいがやがや楽しく遊べる」と制作動機を明らかにしている。

 ちなみにこのゲームはプロデューサーだけでなくディレクターも岡本氏が担当しており、そういった意味でも気合いが入っていることが伺える。周りに誰もいなくてもXbox Liveで接続し4人集まればゲームができると言うことで、Xbox Liveにうってつけのゲームといえるだろう。

さくらももこさんのキャラクタにホッとさせられる。基本はすごろくだが、ミニゲームなどが多数収録され、一発逆転をねらえたり、戦略性もあるゲームシステムなのだという



「Project Gotham Racing 3」を開発しているBizarre CreationsのデザインマネージャNick Davies氏が解説
 「Project Gotham Racing 3」の説明ではニューヨークのコースと新宿のコースの映像が流された。新宿のコースはすでに収録されたことのあるコースだが、そのリアリティあふれる映像は数段上をいっている。青梅街道にかかる歩道橋、いまは工事中だがすっきりとした新宿南口の甲州街道を激走するなどリアリティがあるだけにたまらない迫力だ。

 ポリゴンデータ数だけとっても相当にパワーアップしており、ニューヨークのデータを引き合いに出し、ブルックリンブリッジの制作ポリゴン数だけで、2作目の街ひとつのデータ量に相当するのだという。80車種を収録し、1台の外装だけで4万ポリゴン。さらに内装も4万ポリゴンというとてつもないデータ量。これらがクラッシュすればそれぞれ反映されることになる。

 サウンドにも力が入っていることはもちろんのこと、カスタマイズ機能も充実。何より面白いのは、コースをカスタマイズできるということ。これは街を舞台にしていることから街ひとつをまるまる作り、通りやカーブをユーザーで選択することができるようになる。これは簡単なカスタマイズではなく、自分でカスタマイズしたコースをXbox Liveで遊ぶことができるようにもなると言うことで、かなり作り込むこともできそうな予感だ。

 ネットワークではニュースが流れ、ベストタイムを出したユーザーのリプレイデータを書くユーザーが見ることができるなど観客としても楽しめるようだ。

ニューヨークと新宿のコースの映像を見せた。左写真はニューヨークのデータで、ブルックリンブリッジだけで、前作のひとつの街を制作したのと同じくらいのポリゴンデータの量になるのだという。そして面白いカスタマイズ機能としては右写真のように、コースを自分でカスタマイズできるという点。写真は新宿だが、街を作り込んで通りを選んで自由にコースを設定できるのだという



「N3 NINETY-NINE NIGHTS」を制作している韓国PhantagramのSangYoun Lee氏(左)とキューエンタテインメントの水口哲也氏。
 「N3 NINETY-NINE NIGHTS」でもっとも大きな話題は実機によるゲーム画像が公開されたこと。この場ではグラフィックスを公開できないが、丘の上、全てを埋め尽くした軍勢を剣で割って入り、バンバンと倒していく様はかなりの迫力。

 SangYoun Lee氏は「アクションではなく、RPGを制作しているような気がする」というくらいキャラクタが多数登場し、それらが有機的に絡み合ったドラマを展開する。各キャラクタが色々な宿命を背負っており、それが戦いを進める中で明らかになっていく。マルチアングルシナリオと呼ばれるもので、それぞれまったく違った立場のドラマを体験できるという。

今回の発表会では実記映像によるゲーム画面が公開された。圧倒的な軍勢に一人で切り込んでいき、一振りで軽く20人から30人が吹っ飛んでいく迫力の映像だった


□Xboxのホームページ
http://www.xbox.com/ja-jp/
□Xbox 360のページ
http://www.xbox.com/ja-JP/xbox360/default.htm
□ニュースリリース
http://www.xbox.com/ja-JP/press/release/20050725-1.htm
http://www.xbox.com/ja-JP/press/release/20050725-2.htm
□関連情報
【5月13日】マイクロソフト、「Xbox 360」ハードウェア編
丸山嘉浩氏「日本で成功しなければ成功したと言えない」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050513/xbox2.htm
【5月13日】マイクロソフト、「Xbox 360」ソフトウェア編
坂口博信氏、岡本吉起氏、水口哲也氏らがXbox 360用ソフトを初公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050513/xbox3.htm

(2005年7月25日)

[Reported by 船津稔]



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