あの「スペースインベーダー」の3D版? MGA ENTERTAINMENT「VR3D SPACEINVADER」
MGA ENTERTAINMENT「VR3D SPACEINVADER」 |
発売 |
MGA ENTERTAINMENT |
価格 |
26.99ドル |
電源 |
アルカリ単4電池×3(別売) |
発売日 |
発売中 |
当コラムは海外のe-Toyにも注目し、これまでにも何度も取り上げてきたが、今回紹介するアイテムは珍品中の珍品といえるだろう。何しろバーチャルリアリティシステムを使った「スペースインベーダー」なのだから。筆者も最初は、目を疑った。「本当にタイトーのスペースインベーダーが元になっているのだろうか?」と。
しかし、パッケージにはタイトーの「スペースインベーダー」とまったく同じロゴが輝き、しかも権利を示すマークまで添えられている。どうやら、正真正銘のあの「スペースインベーダー」のようだ。
だとしたら、話はとたんに変わる。「スペースインベーダー」がどのように3D映像化されているのだろうか。3D効果によってインベーダーの大群が目の前にズンズンと押し寄せてくるのだろうか。「スペースインベーダー」がオリジナルとはいっても、元になっているのは初代なのか「II」なのか、あるいはリメイク版なのか。俄然と興味が湧き上がってくる。
パッケージをじっくりと観察すると、興奮はますます高まってきた。
「TRUE COLOR」
「TOTALLY WIRELESS!」
「INCREDIBLE STEREO SOUND EFFECTS!」
フルカラーで! 完全なワイヤレスで! 信じられないほど素晴らしいステレオサウンドなのか! 壊しそうな勢いでパッケージを開け始める。
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パッケージ。「スペースインベーダー」のロゴが燦然と輝く |
プレイして絶叫する少年。期待感を盛り上げる |
■スタイリッシュなゴーグルに期待と妄想が膨らむ
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バーチャルリアリティ・ゴーグル本体 |
商品構成は、以下の3点。バーチャルリアリティ・ゴーグル。ジョイステック。そしてステレオヘッドフォンだ。バーチャルリアリティ・ゴーグルは、見るからに格好いい。子供向けのトイだからといって、子供じみたところは微塵もなく、むしろハリウッド映画の小道具として登場しそうなスタイリッシュなデザイン。ブラックを基調に、クリアなグリーンをポイントに置いたデザインは、Xboxを彷彿とさせる。「アメリカ人って、本当にこのカラーリングが好きなんだなあ」と半ばあきれつつも、今回のアイテムの場合は「アメリカから来た凄いオモチャ」を感じさせてくれる方が楽しいので、グリーンのカラーがいっそ頼もしい。
バーチャルリアリティ・ゴーグルのゴーグル部分の上部には、電源スイッチが付いている。左のこめかみに近い部分には、ポーズやリセットボタンが用意されている。右のこめかみの近くには、音量を司るボリュームスイッチがある。なるほど、バーチャルリアリティ・ゴーグルに手を当てて、ここだけで基本的な操作を行なうというわけか。このイメージも格好いいぞ。
頭に取り付ける際は、付属のヘッドバンドを利用して固定する。本来は子供向けの商品なのでバンドの丈が短いが、調整してもっとも長くすると何とか大人の頭でもかぶれるようになった。
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全体のフォルムもハイテクメカのイメージで格好いい |
ゴーグル部分の上にある、ひときわ大きな丸い緑は、パワーボタン |
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基本的な操作を担うボタンは、ゴーグルに設置されている |
ここに両目をあてると、3D映像を見ることができる |
ジョイスティックは、デザインこそブラックとグリーンで装飾されてはいるが、握ってみるとおなじみのフィーリング。ステックを右の手のひらで包むとスッとなじみ、親指でボタンを押して、ひとさし指でトリガーを引けるようになっている。
ステレオヘッドフォンは、特筆すべきところのないオーソドックスなものだ。バーチャルリアリティ・ゴーグルに単4電池を3本セットし、バーチャルリアリティ・ゴーグルの端子にステレオヘッドフォンのプラグを差し込めば、準備は完了だ。
今思えば、このときに気がつけば良かったのかもしれない。ステレオヘッドフォンは有線で接続している。つまりパッケージに書かれていたような「TOTALLY WIRELESS」ではないことを……。
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ジョイスティック本体 |
操作方法は、トリガーとボタンの2種類がある |
ヘッドフォンには商品ロゴもなく、ごく普通の印象だ |
■アメリカナイズされた「スペースインベーダー」
遊び始める前まで、筆者の脳裏には妄想が広がっていた。ドット絵の極地といえるあの美しいインベーダーたちが、そのままの姿で再現され、3Dらしく立体感が加えられている。そんなインベーダーたちが目の前に続々と迫ってきて、従来の「スペースインベーダー」を上回る一新一退のスリルを味わえるのだろう。BGMはもちろん「デッ、デッ、デッ、デッ……」とのクールなサウンドが淡々と鳴り響くだけ。ああ、心の奥底のどこかでこんなゲームを求めていた気がする、とさえ思えてきた。
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プレイイメージ。ゴーグルをかぶって、ジョイスティックを操作する |
やや強引に、覗き窓から映像を撮影。筆者の衝撃のほどが伝わるだろうか…… |
しかし、実際に遊んでみた「VR3D SPACEINVADER」は、期待(妄想?)から大きく外れるものだった。あまりのことにもう一度パッケージを手にとって、「スペースインベーダー」の正式なロゴが印刷されていたかどうかを確認したほどだ。
何に驚いたのかといえば、オリジナルの「スペースインベーダー」とひどくかけ離れていたからだ。迫り来るインベーダーとUFOのデザインは、別物。アメリカチックにデザインされ、原型を留めていない。東宝のゴジラとハリウッド映画の「GODZZILA」くらいの違いがあるのだ。サウンドも異なっている。今風に豪華になっているわけでもなく、ただ単に違っているのだ。
肝心の3Dバーチャルリアリティも相当に疑わしい。ゴーグルの向こうにある空間にはあらかじめパースの付いたインベーダーがプリントされており、状況に応じてインベーダーが点灯する仕組みなのだ。どうひいき目に見ようとも、立体感やバーチャルリアリティを感じることはできない。
最大の問題は、ゲームシステムにあるだろう。オリジナルの「スペースインベーダー」は、砲台を動かしながら、インベーダーを破壊し、降り注ぐ弾丸を避ける遊びだ。しかし、「VR3D SPACEINVADER」で動かすのは、画面全体。砲台は一切映されず、弾丸が落ちてきたら、画面フレームそのものを動かして避けるシステムなのだ。これはまさに、ちっ、珍品だ。ヘナヘナ……。
気を取り直して総括する。国内では任天堂の「ヴァーチャルボーイ」がビジネス的な成果を収められないまま失速して以来、あれほど喧伝されていたバーチャルリアリティを志向したゲームが、消えてしまった。それが例え安っぽいものであれ、アメリカでは生きていることが個人的には嬉しい。続いている限り、将来は凄いものを見られる可能性があるからだ。
またジョイスティックとバーチャルリアリティ・ゴーグルは、完全なワイヤレスで、それぞれの電源を入れるだけで遊ぶことができたのも特筆すべきことだ。ここには「確かな未来」を感じることができる。
それにしても、アメリカ製のトイは、予想が付かないという意味においては、他の追従を許さない。今後もウォッチを続けようと、心に強く刻むのであった。
この商品は当編集部が海外で購入してきた物であり、現在手に入りにくい状況となっているようです。同様のシステムを使った商品「Spider-Man 2 VR 3D」などは米国などでは販売されており通信販売などで手に入る可能性があります。当編集部では購入などについてのご質問にはお答え致しかねます。ご了承下さいませ。
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□MGA ENTERTAINMENTのページ
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(2005年3月24日)
[Reported by 元宮秀介]
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