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★ PCゲームレビュー★
前編では、基本システムについて紹介してきた。「Dark Age of Camelot (DAoC)」では、キャラクタを作成した直後から、すべては「Realm vs Realm (RvR)」への布石であり、基本システムもRvRを前提に設計されていることを解説してきた。 そこで、この後編では、DAoCの最大の魅力というよりも、本質と言うべき「RvR」について紹介していきたい。なお、本稿ではNew FrontiersでのRvRを中心に話しを進めていくが、低レベルキャラクタ向けに用意されたBattle GroundというRvR専用エリアで、お手軽にRvRを体験することもできるので、興味を持たれた方はぜひ飛び込んでみて欲しい。
■ アルビオン、ヒベルニア、ミッドガルド、3国による三つ巴の戦い
さて、その戦場となる New Frontierだが、そこには緑溢れる草原や木々に覆われた森、雪に閉ざされたエリアなど、さまざまな特徴を持った広大なマップが広がっている。そのエリアには各レルムの領土があり、その間を海エリアが相互につないでいる。それぞれの国のエリアには7つずつ、計21個の砦(Keep)と、その砦1つにつき4本の塔(Guard Tower)が配置され、各国の領土の奥地にはレリック(Relic)と呼ばれる宝物が2個ずつ安置されている。 RvRにおける最終的な目標はそのレリックをすべて奪うことなのだが、それには少なくとも50人以上、防衛に出撃してくるプレーヤーの人数によっては100人以上という規模の戦力が必要となるため、実際には毎日そんな大掛かりな戦いを繰り広げているわけではない。実は塔や砦には、国ごとに保有している数に応じて、レルム全体の攻撃力アップやモンスターを倒したときの経験値上昇など、さまざまなボーナスが設定されている。そのため、レリックまではいかなくとも、塔や砦を陥落させることで、自国のボーナスを増やし、敵国のボーナスを減らすために、日々小競り合いを続けていくことになる。 また、もっとも多くの砦を占拠しているレルムには、Darkness Fallsというダンジョンへの入口が開くという特典もある。このダンジョンには、レベル30以上のキャラクタにとって、非常にレベリングしやすい敵が多く、また、通常の店売りではレベル25前後までしか売っていない装備品が、ここではレベル35以上の装備品を買うことができる貴重な場所となっている。このダンジョン内はかなり広く、3つのレルム同士で繋がっていることから、砦を奪って入口が開いた直後には、レベリング中の敵レルムのプレーヤーを狩りに行くプレーヤーもいる。
DAoCの世界では、毎日24時間戦争状態にあるので、プレーヤーの気が向けば、いつでも戦争に突入できる。RvRでは基本的には砦や塔を基点として戦闘を開始するが、戦い方の基本は遭遇戦と攻城戦、そして Relic Raid (数十人から100人以上の大人数でのレリック攻撃) の3つにパターンに区別することができる。このうち前者2つが日常行なわれているRvRの戦闘パターンとなる。
■ 遭遇戦はスピードとAEmez命 遭遇戦とは簡単に言ってしまえば、砦や塔を攻めずに、敵がいそうなエリアを巡回し、見つけたら一気に襲い掛かって蹴散らすことだ。攻城戦と違って、“待ち”ではなく能動的に行動できることから、遭遇戦を好むプレーヤーも多く、自国の本隊が攻城戦をしている最中でも、そこに加わらず警戒と称して周囲を走り回っている(Roaming)グループもよく見かけるほどだ。 DAoCにおける遭遇戦の醍醐味は1人称シューティング(FPS)に近いものがある。基本的に移動中は進行方向を見ているので、後方を見ることができず、後ろから攻撃を仕掛けられると対応は後手後手にまわってしまう。後ろに限らず、高低差を利用して崖の上からの奇襲や障害物の陰から一気に突撃するなど、視界を利用した戦術を用いることで、勝利の確率は飛躍的に向上し、時にはあっけなく完勝することもできる。これらの戦術をするには、当然移動スピードも速いにこしたことはなく、遅いとそれだけで簡単にバックを取られてしまうのだ。 そんな遭遇戦で、もっとも重要となるのが、AEmez(Area Effect Mesmerise)と呼ばれる範囲内の敵を眠らせる魔法だ。この魔法が入ると敵は一定時間または攻撃を受けるまで何もできなくなるため、各個撃破であっさりと全滅させることができる。この魔法の効果は絶大で完璧に入れることさえできれば、2倍以上の戦力の敵が相手でも勝利することが可能だ。もちろん、すべての敵を眠らせることはできなくとも、眠っている敵は戦力外であるため、攻撃陣が間違えて叩き起こさない限りは、圧倒的優位に立つ。もちろん敵も使えるクラスがあるので、お互いに遭遇に気付いている場合には、先にAEmezを打ち込めた方の勝利がほぼ確定するといえる。正面からの遭遇においては、グループの編成云々以前に、すべてはAEmezを使えるプレーヤーの腕にかかっていると言っても過言ではない。 双方のAEmezが失敗して乱戦となった場合には、今度は個々の動きが勝敗を左右することになる。基本的には、タンククラスは敵のキャスターやヒーラークラスへ張り付き、倒したり魔法の詠唱を妨害し、キャスターやヒーラークラスは逆に木の影に隠れたり、うまく散開して戦うことになる。攻城戦のようにある程度安全なエリアなど用意されていない戦いでは、自分の動きで精一杯で指示する余裕などないため、敵のクラスの判断や、敵の捕捉されにくい動きなどが個々に求められる。プレーヤースキルの差が如実に現れる、それがDAoCの遭遇戦だ。
しかし、ここに挙げたのはあくまで一例であり、戦況やメンバーなどによって、さまざまな戦術は考えられる。正面切っての攻防だけではなく、また毎回違った戦いが楽しめるのが RvR の魅力の1つである。
■ Ram、Trebchetなどを使ったリアルな攻城戦 (Sieging) 攻城戦について知るには、まず塔や砦の占領について簡単に触れておこう。塔は塔本体とゲートに分かれており、中にいるNPCロードを倒すことで占領できる。砦は外壁と中央の砦に分かれており、それぞれにゲートが設置され、中央の砦の中にいるNPCロードを倒すことで占領となる。塔と中央砦はゲートを破壊しないと進入することはできないが、砦の外壁のみは外壁を破壊しても入ることができる。また、砦や塔はギルドで所有(Claim)することで、アップグレードして防御を堅くすることができる。 ギルドで砦や塔を所有するには、賞金ポイントというレルムポイントとは別に、敵レルムのプレーヤーを倒したときに獲得できるポイントを消費し、アップグレードすればするほどその消費量は増えていく。しかしこの所有(Claim)システムは防御力をアップさせるだけのものではない。所有すると、獲得できる経験値やレルムポイントにボーナスが追加されるほか、そこが敵から攻撃を受けた際には、ギルドチャットに攻撃を受けた知らせがNPCガードから届くのだ。しかも、攻め込んできた敵の人数も情報として送られてくる。RvRにおいては、情報戦が非常に重要な比重を占めており、これも非常に有用な情報となるのだ。
攻城兵器を設置した後は、それを操作するオペレーター以外は見守るだけで暇になるかというと、まったく逆で、射程圏外ぎりぎりでお互いににらみ合いつつ、小競り合いを続けて、敵の接近を阻止しなければならない。しかも油断していると、いつの間にか敵の増援軍が到着して、数に任せて一気に突撃してくることもあるのだ。もちろん、逆に味方の増援軍が先に到着して、打って出ることもある。戦場であることを考えれば当然の話ではあるが、常時気が抜けないのが RvR である。 そして最終的に戦力が劣る方は砦や塔に立て篭もっての徹底防戦へと移行する。塔にしろ砦にしろ、その内部は狭い空間になっているが、DAoCにはコリジョン(キャラクタ同士の衝突)がないので、キャラクタそのものでブロックすることはできない。そこで活躍するのは、PBAoE(Point Blank Area of Effect)を持つクラスだ。普段はPBと略されるこの魔法は、術者を中心に効果を発揮する範囲攻撃魔法で、敵をターゲットしなくても詠唱可能で、しかもダメージは最強クラスという凶悪な魔法だ。防御側は当然PBAoEユーザーを中心に守りを堅め、攻撃側はPBAoEの嵐を突破するために波状攻撃などの作戦を練ることになる。 ほかにも、攻城戦においては姿を隠すことができるステルススキルを持つステルサーの活躍も重要になる。ステルスして、敵の戦力などの情報を集めるのはもちろん、アサシンクラスであれば砦の中に潜入し、攻城兵器のオペレーターや安全と思って座って油断している敵を後ろからバッサリと暗殺するなど、文字通り「暗殺者」として活動することができる。また、アーチャークラスであれば、城壁の上を狙えるあたりでステルスして待ち構え、敵が顔を出した瞬間に弓で撃ち殺すといったスナイパーな役割を果たす。このあたりは、あらかじめ RvR 向けにデザインされているDAoCならではの魅力といえるだろう。
■ 戦果、功績をランキングで表示「Camelot Herald」
「Camelot Herald」では、New Frontierにある砦や塔の状況が、若干の遅延はあるが、ほぼリアルタイムで更新され、各ギルドの情報や各キャラクタ単位でも、レベル、クラス、クラフト技能、そしてレルムポイントといったさまざまな情報を参照することができる。そしてここからがポイントなのだが、通算獲得レルムポイントや、近1週間の獲得レルムポイントなどをもとに、誰がどのくらい活躍したのかをウェブ上でランキング表示してくれるのだ。
このうち、特に強調しておきたいのは、「I Remain Standing (IRS)」のランキング。これは1回の死亡あたり、どれくらいのレルムポイントを稼いだのかを表す数字で、この値が高いほど敵にレルムポイントを与えず、たくさん稼いだことになる。通算では到底、ヘビーゲーマーにはかなわなくとも、IRSであればプレーヤー次第でトップに立つことも可能ということだ。プレイ時間がそれほどなくても、連戦連勝した後には、「Camelot Herald」を見るのが楽しみになることは間違いないだろう。
■ 賛否両論、というより否定派多数のArtifactsとMaster Level DAoCではレベル上限が50に設定されているが、レベリングが終わってもアーティファクト(Artifact) やマスターレベル(Master Level) という要素が用意されている。……と書こうと考えていたのだが、現状、よくできたシステムか? と問われると「No」と答えるしかないので、触れたくはないというのが本音。しかし、説明なしにそう結論付けるのもどうかと思われるので、紹介しておこう。
さて、ここで何がつらいかというと、まずモンスターを倒すのは人数を揃えれば可能なのだが、問題は世界に1匹しかいないこと、そしてその再出現時間が、長いもので20時間以上というものまでいるということにある。しかも倒したからといって必ずしもドロップするわけではなく、数回に1回という頻度になっているからだ。また、スクロールも3本中2本までは大抵の場合、頻繁にドロップするため、簡単に見つかるし、また住宅地の委託商人でも売りにでていることが多い。しかし、残りの1本はほとんどがレアドロップになっており、運が悪いと10時間狩り続けても出ないことなど、ざらなのだ。ましてやそのドロップするモンスターがレベル60以上のこともあり、ごく一部のクラスを除いては、1人ではまず不可能といえる。 もう1つのマスターレベルは、RAIDを必要とするクエストといえば、おわかりいただけるだろうか。マスターレベルは、10レベルまであり、各レベルはそれぞれ10前後のステップで構成されている。このステップには、ソロ用、グループ用、バトルグループ用と3種類ある。ソロや比較的集まりやすいグループまではともかく、グループの8人ではまず不可能なミッションがバトルグループ用のステップとなっているため、少なくとも8人以上(16人程度)で揃って行くことが要求される難易度のものや、さらには連続でこなさなければならないものがある。その結果、連続6時間以上のプレイ時間が必要となってくるのだ。 そして最悪なことに、アーティファクトやマスターレベルで得られる特殊能力は、通常のアイテムやレルムアビリティからは得られない強力なものが揃っているため、明らかに戦力差が生じてしまう。現状ではまだサービスがスタートしたばかりで、アーティファクトやマスターレベルによる差は大きくないが、もうしばらくすると、かなり違ってくるはずだ。 しかしながら、1日数時間しかプレイ時間を割けないカジュアルプレーヤーにとって、このようなヘビーなプレイは苦痛でしかなく、「廃人仕様」としか言えない要素となっている。以前、開発者のMatt Firor氏は「カジュアルプレーヤー向けに難易度を下げている」とインタビューで語ってくれたが、現在の仕様でもまだまだ難しすぎると言わざるをえない。2月中にさらなる難易度の引き下げを実行するとのことなので、そこでどこまで変更されるのかが期待される。 最後に、課金開始と同時にプレーヤー数が激減するのでは? と心配されていたのだが、筆者がいつもログオンする時間帯のオンラインプレーヤー数は、約1~2割減った程度にとどまっており、しかも直後にRelic Raidを敢行するほどのプレーヤーがRvRに参戦したようで、この心配は稀有に終わった。しかし、英語版のサーバーと比べると、ピーク時の人口は十分多いとは言えず、プレーヤー数を増やすために、今後のプロモーション活動を活発に行なってくれることを願わずにはいられない。
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□Mythic Entertainmentのホームページ(英語) (2005年2月4日) [Reported by 滝沢修]
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