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「ウルティマ オンライン武刀の天地」開発者インタビュー
UOの世界にアレンジした「日本の封建社会」を楽しんでほしい

10月13日収録

会場:増上寺

 エレクトロニック・アーツ株式会社(以下、EA)が、10月13日、東京芝公園の・増上寺にて、開催したプレス発表会「ウルティマ オンライン武刀の天地 7周年イベントin増上寺」。本誌ではこのイベントの後に、開発者にインタビューを行なった。開発プロデューサーのアンソニー・カストロ氏、リードデザイナーのジョナサン・ルクラフト氏、通訳もしていただいたオンライン事業部バイスプレジデントの正田純次氏の3人の方にお話をお聞きした。

 まず写真をお願いしたところ、開発者の方はノリノリで、刀を抜き、ポーズを取ってくれた。個別の写真でもサービス精神たっぷり。非常に楽しい雰囲気のインタビューとなった。


■侍と忍者、ふたつの職業の特色とは?

開発プロデューサー、アンソニー・カストロ氏
リードデザイナー、ジョナサン・ルクラフト氏
右が、通訳もしていただいたオンライン事業部バイスプレジデントの正田純次氏。3人とも、非常にノリノリのポーズを取ってくれた
編集部:今回の発表会では着物での登場となりましたが、侍になった感想はどうでしょうか?

アンソニー氏:階段を下りるとき、女性のスカートってこんな感触なのかな、と思ったよ。ちょっと僕は太ってるので、侍というより、「相撲取り」になってしまった感じかな(笑)

ジョナサン氏:僕はこの格好をして、レベルが10上がった気分だね(笑)

編集部:今回、日本の要素を入れた理由をお聞かせください。また、制作にあたって、日本のスタッフとはどんな協力をしましたか?

アンソニー氏:まず最初に思い出してもらいたいのは、「ウルティマオンライン」(以下、UO)には最初から武器に「刀」があったでしょう? それはUOの世界に“異国情緒”を取り入れるべく、最初から入っていた「余地」なんです。そして、今回その異国情緒を大きく取り入れることとなった。このときに気をつけたのは、多くのプレーヤーが同意してくれる要素でなければいけないということ。そのために日本という異国を選んだんです。

ジョナサン氏:まず最初に日本の要素を取り入れよう、というアイデアが出たのは、日米両方でのリサーチの結果です。実際のゲーム制作の過程では、僕の方から一生懸命リサーチを行ないました。日本についてたくさん調査をし、学んで、一段落した時点で日本のチームにアイデアを送って、見てもらったんです。

正田氏:アメリカのスタッフが非常に細かく調べていることには感心させられました。でも、やはり日本人の目から見るとおかしく映る部分も多々ありました。アイデアについては、非常に細かく議論をしましたね。

編集部:次に、新職業である侍と忍者についてお聞きしたいと思います。彼らが使うスペシャルアビリティーには、パラディンやネクロマンサーのように専用のブックが必要なのでしょうか?

ジョナサン氏:それぞれ専用の呪文書が用意されています。既存のキャラクタがこれらの職業に就くには、それぞれのスキルの呪文書を禅都にある商人から買わなくてはなりません。新キャラクタとしてそれぞれの職業を選択した場合は、最初からこの本は持っています。

編集部:魔法使いの秘薬や、パラディンの1/10税のように、スペシャルアビリティーを使うにはコストが必要になりますか?

ジョナサン氏:マナのみです。秘薬などの消費はありません。

編集部:今回追加された武器には、どんなものがありますか?

ジョナサン氏:手裏剣、二刀流ができる大小の刀、両手持ちの野太刀、吹き矢、サイ、ヌンチャク、鎌、鬼が持ちそうな金棒、他にもたくさんあります。

編集部:両手持ちの刀というのは、日本のユーザーが以前から強く望んでいたものでしたね?

ジョナサン氏:そうですね。ちょっと残念なのは、キャラクタのアニメーションでサポートできなかった点ですね。両手持ちの刀はルール的に「両手武器」として扱われます。脇差しと太刀を持った二刀流もできるようになりましたよ。

アンソニー氏:2Dのアニメーションは、キャラクタがどんな服装をしてもフォローできるように作られています。ところが、新しいモーションを入れるとこれを全部増やさなくてはならなくなってしまう。そこに労力を傾けるより、アイテムを増やした方がユーザーに喜んでもらえると判断した結果です。

編集部:侍は盾を持たず、両手剣を使って防御を行なうということなのですが、具体的にはどういったものになるでしょうか。

ジョナサン氏:“受け流し”というスキルは、武士道のスキルを上げていくほどに以前とは別な意味を持っていきます。それまでは盾を使って防御をするスキルでしたが、武士道が上がっていくと、盾を使うのは苦手になっていきます。両手剣や、二刀流の時に武器を使った受け流し効果がより顕著になっていくんです。

編集部:「正邪の大陸」の初期のコンセプトではパラディンとネクロマンサーはパーティーを組むことがカルマの関係上難しかったですが、侍と忍者はパーティーを組めますか?


アンソニー氏:もちろん一緒に戦えますよ。もっと言えば、侍と忍者のスキルをひとつのキャラクタで持たせることも可能です。しかし、ふたつのスキルにくわえて関連するスキルも上げなくてはならなくなるので、結果としてどっちつかずのキャラクタになってしまう可能性はありますね。

編集部:特に隠密スキルも必要な忍者は魔法に技能が割り振ることができなくなってしまいそうです。UOではルーンを使った魔法による移動“リコール呪文”が必須になっていますが、例えばパラディンの騎士道スキルで使う移動呪文のように、代替する能力はあるのでしょうか?

ジョナサン氏:移動に関してはルーンブックの改善という方向で対応していきます。ルーンブックに呪文をチャージしておけば、例え魔法技能が0だとしても、100%の確率で移動が行なえます。魔法技能がないキャラクタは、本と呪文を購入しておけば移動に支障はなくなります。この変更は、「武刀の天地」導入と同時に実施されます。

編集部:忍者の「隠れて戦う」というコンセプトは、特に対人戦で効果を発揮すると思います。忍者の能力のデザインは、「対人戦をもっと盛んにしよう」という意図もあるのでしょうか?

ジョナサン氏:忍者のコンセプトは非常に特殊なもので、戦闘にまったく新しい要素を加えてくれるでしょう。対人戦では強敵になり得ます。対人戦を盛んにしたい、と言う意図はあります。忍者だけではなく、侍の能力もユニークなものがあります。侍のスペシャルアビリティーを使えば、複数の敵から攻撃された場合でも反撃できる可能性がある。今までのPvPでは1対1でないとマズイというところがありましたが、侍の能力も忍者と同じように、今までとは違った対戦風景を生み出すかもしれませんね。

アンソニー氏:対人戦を活発にしたいという要素については、ギルドシステムの改善というポイントでも対応しています。インターフェイスを刷新して、使いやすくしました。ギルドを作るのにギルドストーンが必要なくなったというのも改善した点です。特に、ギルドシステムのインターフェイスの改善は強調しておきたいですね。ユーザーからの要望に応えるために、注力して改善しました。

 さらに、同盟が組めるようにもなりました。勝敗の条件にも新ルールを導入しています。具体的にはふたつのルールを導入していて、宣戦布告をしてから、何人倒したら勝ち、と言う勝利条件。もうひとつは、決められた期間中に何人倒せるか、というものです。対人戦は今まで以上に楽しめるようになると思います。


■新世界はどんな場所か?

編集部:新世界である「徳之島」は日本をモデルにしているとのことですが、特にこだわった部分はどこでしょうか?

ジョナサン氏:日本的な要素を入れる、と言うことで、たとえば社があったり、茶室があったり、道場があったりとかさまざまなオブジェクトを入れています。ちょっとした迷路のようなものがありまして、これは日本の庭園をイメージしています。日本的な「名所」をちりばめたかったんです。

アンソニー氏:どうしても入れたかったのは、徳之島のなかに、大きな山を入れたかったんですね。勇島の中央にありますから、ぜひ見に行ってください。ちょっと「富士山風」ですよ。

ジョナサン氏:勇島の北側は氷雪地帯になっていて、ここで雪女に出会うことができます。

正田氏:各島の名前なども、私たちもアメリカのスタッフ達と話をしている中で、「どんな名前にしようか?」と議論を重ねました。最終的にはアンソニーが決めたんですが、「武士道には何が必要か?」という部分で考えて、島の名前を決めようということで日本のスタッフから提案したのが、勇気である“勇”、名誉の“誉れ”、誠実の“誠”だったんです。この世界全体が、武士道を象徴しているんですよね。

アンソニー氏:最初に考えていたのは、その勇、誉れ、誠の3つの漢字を、各島の木々や川で作ってしまおうかな、と言うことだったのですが、どうしてもうまくいかず断念しました(笑)

編集部:ふたつあるというダンジョンについてその特徴を教えてください。

ジョナサン氏:「ファンダンサー道場」という場所の地下は実はダンジョンになっていまして、地下深くまで広がっています。ファンダンサーはここの財宝を守っています。地下深くまで行くほど貴重なアイテムが入手できるようになっています。非常に難易度の高いダンジョンとして設計しました。上級者向けの場所です。

 もうひとつは「ヨモツ-マイン(坑道)」という場所です。ここも非常に危険な場所ですが、新しい騎乗動物「ファイアビートル」はここでしか出会うことができません。彼らをテイムするためにはこのヨモツマインに挑戦するしかありませんね。

正田氏:ヨモツというのは、黄泉比良坂(日本神話に出てくる死者の国へつながる道)からですね。名前に関しては、本当に大変だったんですよ。アメリカのスタッフは、本当にいろんな資料から名前を調べてアイデアを送ってくるんですが、日本語でおかしかったりするんです。発音が違うからこちらも原典がわからなかったりしたことが多々ありました。

編集部:騎乗動物といえば、飛竜の存在がありますが、この竜にのることで海上などを移動できますか? 本当に飛べるんでしょうか? また、この動物に乗るためには、武士道と調教スキル両方が必要なのですか?

ジョナサン氏:残念ながら「飛ぶように走る」だけで、他の騎乗動物と同じです。飛竜をテイムするには高いテイムスキルが、飛竜に乗るためには高い武士道スキルが必要ですが、必ずしも一人のキャラクタで両方のスキルを持つ必要はありません。優秀なテイマーから飛竜をもらえれば、高い武士道スキルを持ったキャラクタはその飛竜に乗ることができるのです。


■開発スタッフに影響を与えた日本の作品、そして今後のUOは?

編集部:次に、制作にあたり、強く影響を受けたり、参考にした日本の作品はなんでしょうか?

ジョナサン氏:「ニンジャスクロール」という映画と、「七人の侍」ですね。自分では使えないんですけど、僕は本物の日本の刀を一振り持っていますよ。

アンソニー氏:「ショーグン」という本は参考になりました。開発チームが集まって参考になる映画を2、3本一緒に見たりとか、知識の共有も計りました。「宮本武蔵」の映画も見ました。

正田氏:なるほど、それで二刀流が入っているんだね(笑)

アンソニー氏:これはちょっとジョークだけど、ニンジャのコンサルタントを雇ったんですよ。UOのホームページにその変な「Bad Ninjya」が出てくるから、みてもらいたいですね(笑)

編集部:ゲーム制作とは離れた部分で、お二人が好きな日本のものはありますか?

アンソニー氏:アニメ映画の「GHOST IN THE SHELL(攻殻機動隊)」だね。

ジョナサン氏:僕は盆栽と、お菓子のポッキー。ポッキーはアメリカでも買えるんです。

アンソニー氏:僕の娘はまだ2才だけど、枝豆が大好きなんだ(笑)。僕は寿司も好きだね。

編集部:今回導入を見送った部分として、「新しいPvPシステム」というのがありますが、このコンセプトはどういったものになるでしょうか?

アンソニー氏:今後、PvPシステムは更なる改善を行なう予定で、実際に作業は始めていますが、今はまだお話しできるレベルではありません。「相当良くなる」という約束しかできないですね。

編集部:では最後に、日本のユーザーへのメッセージをお願いします。

アンソニー氏:「武刀の天地」は日本のたくさんのユーザーから寄せられたアイデアを元に、私たちが受けたインスピレーションによって作られたエクスパンションです。私たちが解釈した「日本の封建社会」というものを是非楽しんで欲しいですね。その解釈はUOの世界観にあったものとして作っています。現実世界とはちょっと違っていますけど、そういった要素も味わってみてください。

ジョナサン氏:全部言われてしまったな(笑)。僕はゲームの中で「LORD OF OAK(樫の木)」として登場します。ゲームの中でお会いしましょう。

ありがとうございました。

□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.japan.ea.com/
□「ウルティマ オンライン」のページ
http://www.jp.uo.com/
□「ウルティマ オンライン 武刀の天地」のオフィシャルサイト
http://www.jp.uo.com/uose.html
□関連情報
【10月13日】紅の忍者装束で藤崎奈々子さん登場!
EA「ウルティマオンライン 武刀の天地」
7周年記念プレス発表会を“増上寺”で開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041013/but.htm
【7月28日】エレクトロニック・アーツ、期間限定で1,000円オフ
「ウルティマ オンライン 武刀の天地 準備キャンペーン」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040728/uo.htm
【7月17日】UO、第6番目の拡張パックは和風テイストを満載した
「ウルティマオンライン 武刀の天地」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040717/uose.htm
【7月9日】EA、「ウルティマオンライン」新都市ネーミングコンテストを実施
当選者には1年分のゲームタイムと次期拡張版をプレゼント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040709/uoname.htm
【3月5日】EA、「ウルティマオンライン」プレスカンファレンスを開催
次期拡張セットはガマガエルに乗った忍者が忍法を唱える和風ファンタジー世界
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040305/uop.htm
【2月27日】EA、「ウルティマオンライン」最新拡張セットを正式発表
アジアンテイストの世界観の導入とPvP機能の強化が中心
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040227/uonew.htm

(2004年10月14日)

[Reported by 勝田哲也]


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