プレゼンテーションを行なった山内氏

価格：未定

　株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(開発:株式会社ポリフォニー・デジタル)のドライビングシミュレーター「グランツーリスモ4(GT4)」。昨年末にそのイントロ的タイトル「GT4プロローグ」が発売され、E3でも注目の高かった作品だが、SCEJブースでも試遊台を多数用意し、車をまさに撮影できる「フォトモード」、そして新機軸である「Bスペック」モード(後述)などに注目が集まっていた。

　さらに、「GT4」の発表会が幕張メッセ近くのホテルで開催された。ポリフォニー・デジタル プレジデントの山内一典氏が登壇、最新の「GT4」に関するプレゼンテーションを行なってくれた。

　発売日は12月3日、プレイステーション10周年記念のめでたい日に発売される。価格はまだ未定となっているのが残念だが、「プロローグ」から1年、ついに発売日が告知されたことはうれしいトピックだろう。

「グランツーリスモ」モードのメインとなる「グランツーリスモ・リゾート

　収録車種だが、ハイパワーマシンから記憶に残る名車、そして珍らしい車、旧車などをとりそろえた現在80メーカー、650台以上、そしてコースは50以上が納められていることが報告された。「グランツーリスモモード」のメインとなる「グランツーリスモ・リゾート」と呼ばれる新たなメイン画面では、国別のカータウン、ショップ、そして街の周囲にちりばめられたコースなど、より機能的なレイアウトになっていた。また、中古車ショップ、チューニングショップなども充実。ガレージには1,000台まで収容可能、そしてカレンダーにプレーヤーの車暦が残る新機能も追加された。

　新規コースは「鈴鹿サーキット」、「ツインリンクもてぎ」、「EL CAPITAN(北米国立公園の山麓に存在)」、「Infineon Raceway(カリフォルニア)」の4つが公開された。また、歴代「GT」で人気のあった「オータムリンク」、「東京R246」といった旧コースもリニューアルして登場。「ラグナ・セカ・レースウェイ」など、実在コースは測量からやり直すという懲りようだ。チューニングにはパワーアップ手段として「NITRO(ニトロ)」が追加され、いくつかの車種ではリアウィングの後付けが実現された。レースイベントも増え、決められた条件下でレースを行なう「ミッション・レース」を新設。不利な条件下で好成績を残すほど高得点が得られる「スコアシステム」も導入。

チューナーも最新のものにアップデート。細かな変更を行なっている

待望の鈴鹿サーキットがついに「GT」の世界に登場

「EL CAPITAN」の美しい風景に見とれてしまう

　E3で初公開された「フォトモード」は、「フォト・トラベル」と「フォト・ドライブ」の2つに分かれて実装された。「フォト・トラベル」は専用の風景にお気に入りの車を止めて心ゆくまで撮影を楽しめ、「フォト・ドライブ」は収録コースを写真撮影のために走行できる。特に「フォト・トラベル」はE3でも公開されていた細かなスペックでライティングやカメラ位置などを設定できるし、「フォト・ドライブ」においても1コースあたりの撮影可能ポイントは300以上あるという。

「フォト・トラベル」モード。ここでしか選べない場所もある

　E3で公開されたもう1つの要素である人間の再現もさらに進化。ドライバーはもちろん、ピットイン時にきびきび動くクルーの様子が上映され、さらなる作りこみが伺えた。

モーションキャプチャを使わずに生成しているモーションには注目したい

　サウンドもシリーズ初の「ドルビープロロジックII」対応に進化。実際に「GT3」と「GT4」スペックのエンジンサウンドを比較して聞かせてくれた山内氏は、「今まではアクセル全開状態でのサウンドの再現ができなかったが、『GT4』では可能となった」と発言。また、プロロジックII対応に関しても、「対応させてみたら思いのほか効果的だった」とその威力を語ってくれた。

■ 「自分でドライブしない『GT』」である「Bスペック」モード

発表会会場でもプレイできた「Bスペック」の画面の見方

　と、これだけでも十分待たせているだけのことはあるボリュームアップであることは間違いないのだが、さらに衝撃だったのが冒頭でも紹介した新操作モードといえる「Bスペック(＝ディレクター)」モードの存在だ。「GT3」のサブタイトルに「A-SPEC」と付いていたのは読者なら周知の事実だと思われるが、山内氏いわく、「『GT3 A-SPEC』発売後、それほど間を開けずに『B-SPEC』を出したいと計画していたが、なかなか難しかった。『GT4』でやっと搭載できた」と苦労のほどを語ってくれた。このモードは「自分でドライブしない『GT』(山内氏)」で、レースにおけるチーム監督的立場となり、ドライバーへ指示を与えることでレースを展開するという、ドライブゲームでありながらシミュレーション的要素を重視したモードだ。「走行ペース」、「オーバーテイク」、「ピットイン」、「ピットメニュー」の4つのコマンドが用意され、戦況にあわせて適宜コマンドを選択する。ペースアップすればミスも増えるし、オーバーテイクばかりというわけにもいかない。そういったドライバー心理やレース状況を考慮に入れながらの戦いが要求される。

　さらに、レースモニター画面ではビデオのようにレースを早送りすることもできる。「ル・マン24時間のように、長いスパンのレースも早送りすることで時間を短縮して遊べるし、前走車に追いつきそうになるところだけ等倍速に戻して細かく指示を与えるなどといった遊び方も可能(山内氏)」とのこと。このBスペックモードは、レース開始前にコース、車を選択した後、通常のドライブゲームモードである「Aスペック」と、「Bスペック」の選択が全てのレースにおいて可能。つまり、ドライブゲームが苦手でも、戦略さえあれば、全てのゲームを勝ち抜くことができるようになった。また、時間のない人でも本作を堪能できる可能性が広がったわけだ。

　山内氏が“『GT』で革命を起こしたように、『GT4』でもう1度革命を起こしたい”という想いがこもった「Bスペック」モード。TGS会場でもプレイできるので、ぜひその感覚を味わってもらいたい。

画面に「Bスペック」用のコマンドがずらり並ぶ	レースモニター画面で、モニタースピードを変更できる

■ オンラインバージョンは別! 「GT4」ではLANによる対戦が可能に

発表会会場ではTGS2004バージョンが「Aスペック」、「Bスペック」、そして「フォトモード」と体験できた

　ここで残念な報告が1つ行なわれた。オンライン対応をうたってきた「GT4」だが、このバージョンではそれを断念することが山内氏の口から明言された。「オンライン部分の実装はすでに終了していたのだが、いろいろな要素を考えると、『GT4』ではオンライン要素を省くことにした」と山内氏。

　その実装が終わっていることを証明するというわけではないだろうが、LANによる対戦をサポートしていることもあわせて明らかにした。「何台までいけるかわかりませんが、現状6台までは確認しています」と同時対戦について語った山内氏。それと同時に、観戦だけでも何台か同時に接続するところまですでに実現できているという。ネットワーク端子を装備した新型PS2「SCPH-70000CB」でのデモが行なわれていたこともあり、ネットワークへの意欲はむしろ変わっていない様子。

　また、「オンラインに関しては来年以降にチャレンジしたいなと思っています。おそらく来年のどこかで『オンラインバージョン』をお見せできると思います」と山内氏は力強く語った。その内容がどんなものになるのだろうか? そのまえに「GT4」を遊びつくすにはどれぐらい時間がかかるのだろうか? と思わず考えてしまった記者だったが、「日々刻々とゲームが完成しつつあります。ほんとにすごいものを作るつもりなので、12月3日の発売日を期待して待っていてください」とプレゼンを締めた山内氏の顔には自信をうかがわせる笑みが浮かんでいたのが印象に残った。

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□プレイステーションのホームページ
http://www.playstation.jp/
□製品情報
http://www.playstation.jp/scej/title/gt4/
□関連情報
【5月14日】「グランツーリスモ4」の新要素「フォトモード」を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040514/gt4.htm
【5月14日】GT4プロデューサー、山内一典氏インタビュー
～ GT4でクルマ好きの集うコミュニティ作りを……
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040514/gt4_2.htm

(2004年9月24日)

[Reported by 佐伯憲司]

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