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「グランツーリスモ4」の新要素「フォトモード」を公開
~ 山内一典プロデューサーがプレゼンテーション

5月12日 発表

会場:LosAngeles Convention Center

 ソニー・コンピュータエンタテインメントは12日(現地時間)、E3会場であるLosAngeles Convention Center内の一室で「グランツーリスモ4」(以下、GT4)に関する発表会を開催。新たに「フォトモード」の搭載などが明らかにされた。

 発表会は昨年と同様に、ポリフォニー・デジタルのプレジデントでグランツーリスモシリーズのプロデューサーである山内一典氏のプレゼンテーションを中心に行なわれた。山内氏によれば、今回E3に出展したバージョンにおける一番大きな発表は「フォトモード」の搭載であるという。'97年に最初の「グランツーリスモ」を発表したときにあった「リアルドライビングの魅力」、「(走行の)リプレイによって車を楽しむ」という大きな2つのベクトルに対して、久々にグランツーリスモの世界に新しい価値を生み出すもので、これは新しい提案になると山内氏は説明する。

 「フォトモード」は、あらかじめ用意されたフォトモード専用の16のシーンのなかに車を自由に配置して写真が撮れるモード。イタリアのサンマルコ広場や、京都の嵯峨野、南禅寺など世界有数の美しい風景のなかで好きな車の写真を撮影することができる。操作は直感的に理解できるように工夫されており、任意の場所に車が配置できるほか、カメラ位置もかなり自由に設定できる。「車好きに加えてカメラ好き」と言う山内氏のこだわりは、このフォトモードにプロカメラマンでもきちんと使ってもらえるような様々な写真表現を入れたいという。具体的には交換レンズを選んだり、被写界深度をかえたり、モーションブラーの効果を入れたりすること。さらにフィルムを選択して色調を変えたり、光学フィルターをいれて色味、コントラストを変えるといったこだわりを見せる。

 フォトモード専用の16のシーンに加え、「GT4」に搭載される50のコースでもフォトモード専用シーンほど構図の自由度(カメラ位置の制限などが発生する)はないとのことだが撮影が可能。リプレイ中にシャッターを押すことで写真が撮れるという。あわせて66種類のコースで500台以上の車の写真が撮れるということで、車をテーマにした写真が事実上無限ともいえるほど撮れることになる。

 こうして撮影されたデータは、L版程度のプリントであればまったく問題がないほどに高い解像度を持っているため、USBプリンタを接続してプリントアウトして楽しむという遊び方ができる。また、データとして保存した写真はスライドショー形式で楽しむことができる。山内氏が“インテリジェントな仕組み”というこのスライドショーの生成は、撮影された写真のなかで、どの車がプレーヤーの乗った(操作する)車か、速度ベクトルがどちらを向いているか、敵車の配置はどうなっているかをデータから判断して、それを生かした演出が行なわれるようなスライドショーが生成されるということだ。

 フォトモードで作成される写真は、前述のとおりにプリントアウトして楽しめるほど高解像度のものだが、これは数々のデータをレンダリングして生成されている画像。実際の撮影情報だけならば、どこ(シーンやコース)で、なに(車種)を撮ったかということを基本に、カメラ位置やさまざまな撮影条件を加えるだけなので、実は数キロバイト程度の小さいデータに収まることになる。この撮影データをオンラインを介して流通させると、「GT4」ユーザーは数キロバイトのデータでメガピクセル級の写真データのやりとりができることになる。山内氏は「これはオンラインのコミュニティのなかで、かなり楽しい遊びになると思う」と、「GT4」を中心とするいわゆる車好きのコミュニティづくりにも意欲を見せた。

 このフォトモードに関して山内氏は「新しい車を買ったら、写真を撮りたくなると思います。でも、季節や天候に恵まれなかったり、光線の具合がよくないこともある。満足なカメラポジションがとれないなんてことは僕にも経験があります。フォトモードはやみつきになる機能です。好きな車をいろんな場所に連れ出して、写真を撮ってほしい。自分の車をきれいな場所に持って行って写真を撮ろうということです」とコメントした。

ポリフォニー・デジタルのプレジデントでグランツーリスモシリーズのプロデューサーである山内一典氏 フォトモードの画面。画面左の赤のラインに車を配置し、青のカメラ位置を移動させるとで右側のファインダーに撮影できる写真がプレビューできる。パンやチルト、ズーミングなどはアイコンを使って操作する。これはアマチュアモードということでズームの表現も○倍となっているが、プロモードでは実際の焦点距離やレンズの開放F値などが表示されたりすることになるようだ 「GT4」ユーザーは数キロバイトのデータでメガピクセル級の写真データのやりとりができることになる。山内氏は「これはオンラインのコミュニティのなかで、かなり楽しい遊びになると思う」とコメント


【スクリーンショット フォトモード】


 「GT4」には、80の自動車メーカーから500台以上の車種が収録されることになる。年代で言えば1986年から2004年までのもので、これらのうち約250台が今回のE3で出展しているバージョンで試遊することができるようになっている。さらに、「GT4」に収録されるコースは50コース。こうしたグランツーリスモの世界の大型化で、これまでのレースゲームのユーザーインタフェイスでは、マネージメントが難しくなってきたと山内氏は説明する。そこで、新しいユーザーインタフェイスが導入されることになるという。このユーザーインターフェイスでは、ユーザーカスタマイズを含めると数千台もの車をマネジメントしなければいけないこのゲームで、年代順やメーカー順、あるいは新たにアンベイルされた車を選ぶなどさまざまな工夫が加えられることになるようだ。

 またE3開催に合わせて、「GT4」に搭載される新たな3つのコースが発表された。なかでも、ニュルブルクリンクサーキットには「一番大事にしている場所。グランツーリスモをはじめた時から、最終的な目標はここにあります」とこだわりを見せた。実際、「グランツーリスモ1」では、このニュルブルクリンクをモチーフにした架空の小規模なサーキットが収録されている。「現行(ハードウェア)の世代では無理かと思っていた」という山内氏だが、さまざまな技術革新を経て、現行世代のメモリ内に全長20kmを超えるニュルブルクリンクのコースを収めることができるようになったという。

 ニュルブルクリンクは、世界中の自動車メーカーが開発に利用しているコースでもある。「このサーキットが正確に『GT4』に収録されることで、車のシミュレーションにもいい影響が出る」と山内氏は言う。実際、およそ1カ月を費やしたという取材はプラスマイナス15mm程度で路面精度をかなり念入りにとったと紹介し「これが僕らのこのコースに対してのこだわり」と続けた。山内氏は、日産のトップテストドライバーを例に挙げ、同一車種で実車と「GT4」で走行した場合、5秒以内(1%程度)のラップ差が実現できていると紹介した。

 また、昨年発売された「プロローグ」から取り組んでいるテーマである人物の表現について、プロローグでは群衆は1枚のポリゴンとして描かれているが、「GT4」ではそれぞれが立体になっていると説明。さらに「次世代以降に成就するテクノロジーだとは思いますが……」と前置きしたうえで、「GT4」ではモーションキャプチャを使わず物理シミュレーションだけで、ドライバーを走行に合わせて動かしていることを明らかにした。実際にステアリングを持ち替えてまわしたり、走行Gに抗いながら意志を持って(ドライバーが)動くという最初の表現になるという。

山内氏は「モータースポーツのテーマパーク、モータースポーツのリゾートというものを『GT4』のなかで実現したい」とコメントし、これを“グランツーリスモ・リゾート”と表現してみせた
 今回のE3で展示しているバージョンには含まれていないグランツーリスモモードも含めて、山内氏は「モータースポーツのテーマパーク、モータースポーツのリゾートというものを『GT4』のなかで実現したい」とコメントし、これを“グランツーリスモ・リゾート”と表現してみせた。「今後はミュージアム、クラシックカーショップ、オンラインのレセプション、フリーマーケットなどが次々にアンベイルされていく。次はおそらく夏の終わり頃にプレゼンテーションができると思います」と発表会を締めくくった。

 最後に出席した記者から、PSP向けタイトルである「グランツーリスモ4モバイル(仮称)」について質問が寄せられると、E3期間中に同タイトルについて詳細なコメントをすることは控えているとしながらも「コンセプトははっきりしており、グランツーリスモをどこでも遊ばせたい、PSPで『GT4』をそのまま動かしたいということ。携帯ゲーム機向けの可愛らしいGTや、機能を削ったものを作るということは考えていません。フルスペックのGTをきちんと動かしたうえで、携帯ゲーム機ならではの機能を加えるということです」と回答した。

 弊誌では発表会後に山内氏へのインタビューを行なっており、インタビューの内容も追って掲載する予定だ。

メーカー順、年代順などで車をマネジメントできる新しいユーザーインターフェイスが採用されるという 今回のE3で展示されているバージョンから走行できるようになっている3つの新コース 山内氏が、「一番大事にしている場所。グランツーリスモをはじめた時から、最終的な目標はここにあります」というニュルブルクリンクサーキット
山内氏は、日産のトップテストドライバーを例に挙げ、同一車種で実車と「GT4」で走行した場合、5秒以内(1%程度)のラップ差が実現できていると紹介した プロローグでは群衆は1枚のポリゴンとして描かれているが、「GT4」ではそれぞれが立体になっていると説明。ドライバーも意志を持って動くという最初の表現になるという 今回のE3で展示しているバージョンには含まれていないグランツーリスモモードのユーザーインターフェイスはサンプルイメージを公開


【スクリーンショット】


(C)Sony Computer Entertainment Inc.

□プレイステーションのホームページ
http://www.playstation.jp/
□「グランツーリスモ4」のページ
http://www.playstation.jp/scej/title/gt4/

(2004年5月14日)

[Reported by 矢作晃]

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