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「ドリブル中央突破なんて流行ってないよ。なんで方法とか対策を考えなきゃいけないわけ?」と不思議に思われる人もいるかもしれないが、ここで仮に「対策」ではなく「方法」だけを教えたとするならば、不思議に思った人々の大半が“1トップ派”に鞍替えすることは、恐らく間違いないだろう。ドリブル中央突破だけを執拗に狙う1トップ戦法は、「WCCF 2001-2002」におけるBSクラスの単独突破を想起させるほどの強烈な攻撃力を誇っている。 都内のアミューズメント施設を中心にチェックした限りでは、現バージョンにおける1トップの有効性に気づいている人は、まだそれほど多くないように見受けられる。だが、すでに気づいている人がいる以上、広まるのは時間の問題。独自に対策を考えられる人はいいが、そうでない人は「これ止めるの絶対無理でしょ。俺もう『WCCF』辞めるわ」となるか、あるいは自分も同じフォーメーションにして不毛な打ち合いを演じる、といった状況も考えられなくはない。 初手からぶっちゃけてしまうと、どれだけ対策を万全にしたつもりでも、ジョージ・ウェアなどの一部レアカード選手が「止まらない(いわゆる“確変突入”)状態」になることは、決して珍しくない。だが、対策を立てることで、確変突入の回数そのものを減らすことはできる。チャッカーに玉(ボール)を入れさせない……といえばもう半分以上説明したも同然なのだが、まずは1トップ・ドリブル中央突破の基本から解説しよう。 ※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。
■ 1トップ・ドリブル中央突破の基本 1トップ・ドリブル中央突破を狙うプレーヤーの多くは、4-5-1あるいは5-4-1のフォーメーションを採用している。1トップのFWは限りなく前に、MFはセンターラインもしくはそれ以下に並べるのがセオリー。FWは、クリンスマン、カジラギ、ヴィアッリ、ヴィエリ、クライフェルトなどのDFに当たり負けしない強靱な肉体の持ち主か、DFのチェックを卓越したテクニックですり抜けるウェア、ロナウドなどが適任。どちらに分別するかは難しいが、シェフチェンコも1トップを十二分に任せられる驚異的な突破力の持ち主だ。
ちなみに、こうしたフォーメーションで“DFの裏に抜けるタイプのFW”に1トップを任せるのは難しい。F・インザーギなどはFWとして非常に優秀な選手だが、有能なパサーやクロッサーとペアで考えないと「WCCF 2002-2003 Ver.2」では他のFWに比べると使いにくいといわざるを得ない。個の力だけで得点できるFWが複数存在する以上、パートナーを必要とするタイプのFWが「WCCF」を“対戦ツール”として考えるプレーヤーから軽視されるのは、致し方ないのかもしれない。
上のサンプルを見て、脊髄反射的に「なんじゃこりゃ」と疑問に思った人も少なくないと思う。特にサッカー歴が長い人は「こんなドン引きのフォーメーションが、攻撃力高いわけないじゃん」と即座に思ったことだろう。それは、まさにその通りで、筆者も異論はない。だが「WCCF」では、これが有効に機能してしまう。 本フォーメーションの戦術指示は“カウンター”が基本。カウンターは、なるべく前のほうにいる味方にパスを出すための戦術指示ボタン。これを常時点燈させておくことで、とにもかくにも最前線のFWに素早くボールを供給する。もしパスをカットされて攻めてこられても、センターライン以下にズラリと並んだ10人がお相手しますよ、といった具合だ。 FWとMFの間隔が大きく離れているのは、FWにパスを出させないため。選手の位置、連携、戦術ボタンの押し方にもよるが、「WCCF」では前方がふさがっている場合、なるべくフリーの味方にパスを出そうとする。FWの選手同士が比較的近い場所にいると、相手の最終DFラインを目の前にしてお互いにパスを出し合うことがある。1トップなら、当然こうした問題も起こらないというわけだ。こうした不自然なパスも戦術ボタンの押し方やカード移動で避けられるのだが、それを面倒だと考える人たちが、こうした1トップ・ドリブル中央突破という極端かつ安直なスタイルを生み出したのかもしれない。 さて、ボールをもらったFWはどうするか。周囲には味方が誰1人いない。当然、パスなんて出せる状況にはない。つまり“もはやドリブルで単独突破するしかない”というわけだ。進退窮まったFWが“窮鼠猫を噛む”ではないが、ゴールめがけてドリブルを始める。これが現実のサッカーなら、当然守備側に分がある。マラドーナ全盛期やそれ以前の時代ならともかく、本作は現代の「セリエA」がモチーフ。守備戦術というものが確立されている以上、いくら優秀なFWでもおいそれと単独突破を許すはずがない。 だが、「WCCF」は好きな選手カードを自由に組み合わせてクラブチームを作れるのが売りのひとつ。現実では“数十年に1人の逸材”と称されるスーパースターも、ゲームなら話は別(まさにクローン状態)。ましてや、レジェンドクラスともなれば全盛期のパフォーマンスを参考にパラメータが設定されているわけで、そうそう有り得ない単独突破のファンタジーも“日常の光景”ということになる。
単独突破中の指示はプレーヤーごとに異なるようだが、筆者は「プレスボタンのみ点燈」させるのが有効であると考えている。これは、DFにボールを奪われた際、選手によっては即座に奪い返しにいってくれるというのが大きい。いまひとつわからないという人は、単独突破の際にプレスボタン点燈、無点燈を数試合ほど試してみれば実感できるはずだ。ちなみに、筆者はこの状態を“野放し”と呼んでいる。
1トップ・ドリブル中央突破の特徴をひとことで表現するなら“ラクチン”に尽きる。人数をかけてボールを奪い、最前線のFWにカウンターでパス。あとは驚異的な身体能力を持ったFWが1人で勝手に得点してくれるのだから、これほど楽な戦法はない。人材に恵まれないクラブが“守備的フォーメーション”として否応なしに採用するならともかく、スーパースターをズラリと揃えたチームがこれをやるのだから性質が悪い。もし現代の「レアルマドリード」が、「ACミラン」がこんなフォーメーションで戦ったら、果たしてサポーターはどう思うだろう。「さすがは俺たちのクラブ!」などと感心するだろうか。胸を張れるだろうか。 ゲームと現実を混同して考えるのはナンセンスかもしれないが、モチーフとなっている“サッカー”に対して特別な想いがあるのなら、綺羅星のごとき選手カードを並べて最初からドっ引きの陣形を取らせるというのは、さすがにどうなんだろう? という気がしてならない。決定力の高いFW、ボールをキープできるMF、どんな相手にも引けをとらないDF。優秀な人材を揃えていながら戦術で相手を崩すサッカーができない(もしくは面倒だからやらない)というのは、何よりも勝利を優先するため攻撃よりも守備に重点を置く「セリエA」ということを差し引いても、個人的には少々疑問符がつく。
まぁ本作はゲームなので「サッカーとか全然知らないけど、強いカード並べてたら対戦とか余裕で勝てるし、すっげぇ気分いい」という人もプレイする。そういう人たちがサテライトの大半を占めていることも珍しくないわけで、どうせ避けられないのなら正攻法で叩き潰すのが“サッカー”と“WCCF”の双方を愛好するファンの正しい姿勢ではあるまいか。仮に負けても、相手を頭から否定したり、ましてや“カードの差”などと逃げるのは論外。頼まれて(あくまでもゲーム的に)弱い選手カードを使っているのではない。その選手が好きだから、あるいは興味があるから起用するのであり、だからこそ活躍させたい、勝ちたい! と強く願うのだ。
■ FWにボールを渡さない中盤の構成
「相手FW1人に対してDH3人は、あまりにも非効率では?」という意見もあるだろうが、センターラインのどこからカウンターパスが出てくるのかわからない以上、こうするのがもっとも無難。こちらの選手配置である程度カウンターパスの出所を限定させることは可能だが、イレギュラーがないとも限らない。よって、左右、中央のどこからパスが出ても対応できるよう、どうしてもDHが3人必要になる。パスの出所を限定する場合は、パスを出して欲しくない相手MFと、こちらの攻撃的MFの位置をおおむね重なるように配置すればいい。出口を作っておけば、必然的にそこからボールが顔を出すことになる。 DH3人の高さは、相手FWのポジションに準じる。もしDHがパスカットする前に相手FWが下がってボールを受けるようなら、その前にインターセプトできるようDFを含め全体の位置を少し高めに調節する。このとき、中央のDHとDFの隙間が開きすぎると、そこを狙われて最終ラインと1対1の状況が作られてしまうため注意が必要。また、全体が高すぎるとDF後方のオープンスペースにボールを放り込まれる場合があるため、こちらにも十分気を配っておきたい。 パスカットを狙うときは、相手チームがボールを持っている際に「相手MFの左右がどれだけ攻め上がってくるか」に注意すること。もし相手ボールの最中に左右MFが攻め上がってくるようなら、相手サテライトの戦術ボタンの左右が点燈しているはず。左右MFがネドヴェド、ヤンクロフスキなどの突破力とスピードを兼ね備えた選手であれば、単なる1トップではなく実質的な3トップとして機能してしまう場合がある。 戦術ボタン全点燈タイプに多いが、もし左右MFが攻め上がってくるようなら、左右サイドをケアできるようDFの配置を工夫する必要がある。5バックなら、中央3枚を固めて左右サイドバックをそれぞれ大きく張り出すか、あるいは若干高めにおく。4バックなら、中央が手薄にならないようややサイドに張り出すか、いっそのことDHを増やして左右に配置するといった感じだ。
なお、こうして1トップにDHを3人あてがっても、ボールの動きなどでフォーメーションが乱れ、結果として相手FWにボールが渡ってしまうケースは少なくない。こんな時こそ最終ラインの出番だが、同時にキーパーボタンを押す準備も怠ってはならない。「WCCF 2002-2003 Ver.2」は、シュートボタンを押すタイミングが遅れると、そのままドリブルでキーパーの目前まで走りこんでしまうことがある。相手がミスをしないとも限らないので、ドリブルの間隔を見計らい、ボールが大きく前に蹴り出されたところに合わせてキーパーを飛び出させるなど、ギリギリまで気を抜かずに対応しよう。
■ インターセプトに成功……さて、どう反撃する?
MF全体が低く配置されているため、MFとDFの間隔がほとんどない。つまり、MFとDFで2列になるはずが、近すぎるため実質1枚に近い形となり、MFがカウンターパスに対する抑止力にならないことが多々あるのだ。それなりに高い位置でボールが奪えることもあり、それに合わせてこちらもFWを高めに配置しておけば、カウンターパス1発で最終ラインと1対1の状況が作り出せる。
相手MFの能力、こちらのカウンターパスの出所によりインターセプトされるケースもあるが、カウンターパスを受けるFWの位置を調節すれば、相手が地蔵(選手カードを動かさないチーム)であれば、何度かチャレンジするうちに必ずパスが通るようになる。一般的なレギュラーカードの選手で戦う場合、FWとDFのマッチアップは攻撃側が負けることのほうが圧倒的に多いわけだが、こちらもボールを受けるポジションを少しずつ修正することで、DFのチェック回数を減らすことが可能。やみくもにチャッカーめがけて玉を弾くのではなく、少しでも当選確率をあげるべく“確実に玉を入れる”ことが大切といえる。
■ カウンターを責めないで ~カウンター自体は至極まっとうで有効な戦術 ここまで目を通して、現バージョンにおける1トップ・ドリブル中央突破の恐ろしさ(あるいは有効性)を理解できた人のなかには、もしかすると「カウンターって汚い戦法なんだな。もう使わないようにしよう」と思ってしまった人がいるかもしれない。 そこまで極端な人はいないかもしれないが、実際に試して、あまりにも簡単に得点できてしまうことから、カウンターを使うことに抵抗を覚えてしまうケースは十分に考えられる。だが、ちょっと待っていただきたい。カウンターそれ自体は、決して安易な戦法ではない。むやみにカウンターばかり狙うチームは、フォーメーションからボールの基本的な動きを押さえてしまえば、パスカットから逆にカウンターをくらうハメに陥る。強引にボールを前に蹴り出すぶん、リターンもあれば相応のリスクもある戦術なのだ。 問題は、AIの再調整で一部レアカード選手の能力が際立った結果、それに頼る安易な戦法として「カウンター」にスポットが当てられてしまった、というだけの話。もし他に、もっと簡単で有効な戦法があるのなら、レアカードの能力頼みでチームを組んでいるプレーヤーたちは、恥もプライドもかなぐり捨ててその戦法に飛びつくことだろう。
フォーメーションや連携をきちんと考えて“ここぞ!”というタイミングで繰り出される研ぎ澄まされたカウンターは、一度見ればすぐわかる。何も考えずレアカードのFWめがけてボールをポンポン放り込んでいるだけのチームも、また然り。自分なりに考えた結果、辿り着いた戦法が「カウンター」だったのなら、むしろそれを誇りに思うべきではないだろうか。
■ レギュラーカードで組む・守備主体のフォーメーションサンプル
1対1で分が悪い以上、人数を配して組織力でボールを奪い、素早く前につなげるのがもっとも有効であることに変わりはない。ただし、素早く前につなげるといっても、レギュラーカード選手に「1人で何でもできちゃいます」というタイプは少ない。つまり、最前線に“FW1人”では心許ないことから、相手の最終ラインを“崩す”あるいは“ギャップを突く”ために、どうしても2人はFWが必要になってくる。FWが1人なら潰されたら即終了だが、2人いれば(守備側にとって、本来あってはならないことだが)片方がフリーになっていることが多々あり、そちらにボールを託すといった選択肢も生まれてくる。 一部レアカードの選手であれば、パスのタイミングでチェックにこられるよりは、そのままボールを持ち込んでしまうほうが攻撃の成功率が高いから単独ドリブル中央突破が有効となるわけだが、レギュラーカードで戦う場合、FWにくわえて玉離れがいい1.5列目やトップ下という選択肢も視野に入れる必要がある。FW2人の一方がサイドに流れる“サイド攻撃”という攻撃オプションも使えるようになり、カードの動かし方次第では、フォアチェックが異常なまでに速い一部DFを紙一重でかわして得点というスリルに満ちた戦い方も楽しめるようになる。 攻撃の人数を最低限にすることで、守備に多くの人数を割り当てる。人数が多ければそれだけスペースが埋められるため守備が安定しそうだが、残念ながら一概にそうとはいえない。1トップに対するDHの配置と同様に、FWのポジションに対応してこちらもフォーメーションを調整する、しないでは結果に雲泥の差が出てくるからだ。前述の“パスの出所を限定する”やりかた同様、FWに対するプレスに温度差をつければ、当然パス回しやルートが変化する。
日々プレイしていれば身体で理解している(あるいはトラウマとして刻まれている)ことと思うが、一部レアカードのFWは人数だけで止められるものではない。チーム経験値に差があれば、その光景はもはやジェノサイドにも等しい。それでもマッチングされたら戦わなければならない以上、監督のやるべきことは、あきらめるのではなく最善を尽くすこと。マッチアップで勝負できないなら、相手のFW配置に対応してフォーメーションを調整し、ボール回しに制約をくわえることで対抗するという手段が残されている。ここで紹介したサンプルを参考に、プレーヤー各自で色々な対抗策を考えてみてほしい。
特に現バージョンにおいては、プレーヤー自身のスキルを磨くという意味でも「対応型のサッカー」を覚えておいて損はないと思う。次回【SIDE-A】第4回は、CPUチームのいくつかを例に、狙うべきポイントやカードの動かし方などをご紹介する予定だ。
(C)SEGA,2002,2004
□セガのホームページ (2004年7月30日) [Reported by 北村孝和]
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