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「団結はプレーヤースキルに勝る」ガンホー
ゲームマスターグループ マネージャー 岩田氏から見た
「Ragnarok World Championship 2004」

7月18日 収録

 7月18日、「Ragnarok World Championship 2004」終了直後に、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 コンテンツ開発部ゲームマスターグループ マネージャーである岩田容賢氏に、今回のイベントについてのお話を伺った。

 ゲームマスターを統括するというユーザーに近い立場で「ラグナロクオンライン」を見守り続け、今回、選手達と共に時間を過ごした岩田氏の視点はどういったものだっただろうか?

編:まず、岩田さんの大会での役割をお教えください
ガンホー コンテンツ開発部ゲームマスターグループ マネージャー岩田容賢氏

 イベント自体では、ギルドメンバーへのサポートと、大会全体の監査委員的な役割を果たしました。

 この大会が始まる前に、参加する選手を選ぶ条件としては、ガンホーを初めとした各ディベロッパーに、一任されていたので、「ワールドのチャンピオンを選ぶ」ということで、各ユーザーさんには、自分のキャラクタを使って、勝ち進んでもらうというオンラインイベントを運営しました。オンライン上でイベントを行ない、予選である「Ragnarok World Championship 2004」日本代表戦につなげることができたのは良かったと思っています。

 社内で議論をしたのですが、海外へ行くということで、今回は、参加者を18歳以上の世界戦に参加する時間がとれる方というユーザーに限定させてもらいました。そして、「ラグナロクオンライン ドリームスタジアム(ラグスタ)」において行なったオフラインでの日本代表決定戦では、制限時間を本戦の半分の5分ということにしましたが、それ以外は、メニューを英語にしたものを用意するなど、できるだけ本戦と同じ状況で戦ってもらえるように努力をしました。

 結果としては予選が終わった時点でGravityの方から予選の結果を受けて、ブラックスミスがカートをもてるようになったり、アイテムの受け渡しができるようになるなど、細かい点が突然変わってしまいました。特に最初に戦った「Guardian-Chevalier」はいきなりルールが変更してしまったことで急遽作戦を立て直さなくてはならなってしまいました。

編:低年齢層のユーザーには、今回の日本代表以上の実力を持った選手はいるとお考えですか?


 個人であれば、参加したメンバーに匹敵する実力を持ったユーザーもいるとは思いますが、団体戦の場合は「連携」が重要になってきます。人と動く、というポイントではある程度年齢が上の人でないと難しいものがあると思っています。今回、イベントの予定では平日も含んでしまうので、義務教育の子供を休ませるわけにはいかない、という会社としての事情もありますが、ただうまい個人を9人集めても強いチームにはなれない。年齢制限はしましたが、今回の日本代表の2チームは、非常に強かったと思います。

編:今回の大会の全体的な感想をお聞かせください。

 各国の情報は普段からチェックしているので、大会に向けての盛り上がりは感じていましたが、一堂に会した選手を見て「ラグナロクオンライン」は、本当に世界でプレイされているんだなということを実感しましたね。

 「ラグナロクオンライン」を通じれば、言葉がわからなくても他の国の人たちと遊んだり戦ったりできる。これはオンラインゲームの本質である「コミュニケーション」の楽しさですよね。今回はバトルでしたが、それ以外にもアプローチがあるかもしれない。今回、初めての世界大会ということで、来てみて各国とコミュニケーションがとれると言うことを改めて実感できました。これは、うれしい体験でしたね。

編:岩田さんから見て、今回の各国の対戦レベルはいかがだったでしょうか?

 各国のサービス時期の違いがあるということで、今回は2-1の職業までという制限を設けたのですが、そうなるとある程度戦い方が決まってくる。各チームで多少の差違はあったとは思いますが、同じようなチーム編成と、同じような戦いになってきます。

 ゲーム自体も、プレーヤースキルは確かに必要ですが、世界レベルまで行ってしまえば、コミュニケーションとか、チームでの連携が重要になってくる。たとえ、1人がずば抜けて巧くても、勝ち目がない。スポーツなどではスタープレーヤーがいることで戦局が大きく変わりますが、「ラグナロクオンライン」はバランスを考えて作っているので、ギルド内での団結と、コミュニケーションが鍵になると思っていました。

 実際、チームがうまい、ということはあっても、個人がうまいという感想は持ちませんでしたね。ウィザードや、ハンターは目立ちますから「この人はうまい」という評価を受けがちですが、その人が、安定してうまい動きができるのは、結局チームの協力があってこそなんです。それができたチームが、結局1番強かった、というのが実感です。

 プレーヤースキルに関しては、それほど各国が離れていたとは思いません。ある事態に、どんな対処法を持っているか? それを数多く準備してきたギルドはミスが少ない。実力が拮抗しているところでは、そういった「幅」が勝敗を分けていたように思います。

 例えば、フィリピンのチームは、非常にトリッキーな動きをして、一瞬優位に立てたように見えたのですが、結局、安定した戦いをするギルドにはかなわなかった。戦い方では、「定石」を突き詰める様になっていきますが、パフォーマンスなどで、各国に非常に違いが出ていて、それが面白かったですね。

編:日本の各チームの戦い方についてお聞かせください。

 「Guardian-Chevalier」は、あらゆる状況に対して作戦がある。と言っていたように、事前準備とコミュニケーションは非常に高いレベルにあったと思います。隙のない、優秀な戦い方をしていたのですが、不利になったとき、1人メンバーがかけてしまった場合の対処方法が、他の作戦に比べて少なかったようですね。

 1人もメンバーを倒されずに予選を勝ち上がってきたことが、逆に「経験できなかった」部分での弱点になったかもしれません。

 「321Colors」は、8人という不利な状況ももちろんあったとは思うのですが、むしろ他の原因があったのではないかと思います。一見飄々としていたのですが、会場に座ると雰囲気は全く別でして、「やばい、緊張してきた」と本人達も言っていまして。今までの動きと比べると、明らかに違っていまして、自分たちの力を出せなかったんだと思います。

 元気のいい、ノリのいいチームですから、歯車がずれてしまったときに、挽回することが出来なかったのかなと、思いました。

編:「321Colors」は、戦いの前にトラブルも起きてしまいましたね。


 そうですね。私自身、トラブルが起きた時点で試合を止められなかったのは非常に残念でした。しかし、アメリカのギルドの好意もあってか、再戦ができたのはいい仕切直しができたとして、事前のトラブルが敗因になってしまった、というのは、あまり言いたくはないですね。本人達も、「あれがなければ……」というわけではなくて、やるべきことはやった、ということで、さっぱりしていたのかな、と、思いました。

編:世界と日本の差、というものはあったでしょうか?

 特に日本が低かったという印象はうけません。むしろ、他のギルドの戦いをよく見て分析しているなと感心させられました。時間の都合で一方が観戦できなかった場合はメモを見せるなど、ふたつのギルドはよく協力していたな、と。

編:決勝戦の感想をお知らせください。

 決勝用の特別なマップを使用することで、それまでとは若干違った戦い方が展開しましたね。多くの障害物があるマップでしたが、勝ったチームはそこに適切な罠や攻撃を集中させる動きを、常に仕掛け続けてきた。それが徹底してできたことで、3連勝できたのではないかなと。非常に統率がとれていて、マップに最適な動きを、勝利したギルドはしていました。

 結果として台湾チームは予選と逆の順位になりましたが、勝敗の原因にマップの要素が大きかったんじゃないかな、と、思います。やりなれているマップだったら、3-0という結果にはならなかったと思いますよ。

編:最後に、来年、「RWC」を目指す日本人プレーヤーへのコメントをお願いします。

 今回は、2-2の職業が導入されませんでしたが、来年は、それも導入されての戦いになると思います。その場合、今とは全く別な戦いが展開することになる。その日に備えて、プレーヤー達には腕を磨いてもらいたいのです。それと共に、ギルドにかけているクラスがあったとしたら、大会に向けて自分がそのクラスのエキスパートになるように、今から目指す。というように、今から準備をしていただければこちらとしても期待がもてるというか、気合いが入ってるな、という感じでうれしいですね。

 今回、日本代表のふたつのギルドはRWCのために結成されたとのことですが、とても団結力が強かった。2日間行動を共にしましたが、メンバー同士がゲームだけではない、良い友達づきあいを築いていたように見えました。そう言った関係を築くことができる、というのは、どんなプレーヤースキルにも勝ることだなと。来年もそう言ったことのできる方に、日本代表として戦ってもらいたいですね。

 今回、運営側に任せるだけではなく、ガンホー自身がやることでメンバーをもうちょっとケア出来たのじゃないかと、反省する部分もありました。試合は終わってしまいましたが、残りの日程を選手達には思いっきり楽しんでもらいたいです。こういった経験は、今後に活かしていきたいですね。

□「ラグナロクオンライン」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□「Ragnarok World Championship」のページ
http://www.rochampionship.com/
□関連情報
【7月19日】「RWC2004」レポート第2日目
トラブルに見舞われた「321Colors」。まさかの初戦敗退
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040719/rw3.htm
【7月18日】韓国にて「Ragnarok World Championship」が開催
1,800ギルドの頂点を決める「ラグナロクオンライン」世界大会
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040718/rwc_01.htm
【7月18日】「RWC2004」レポート第1日目 決勝へは台湾が進出、
日本は準々決勝で敗退
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040718/rw2.htm

(2004年7月20日)

[Reported by 勝田哲也]


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